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まるゼミ誕生までB〜地域と教育の壁〜 [2017年10月29日(Sun)]

私にはずっと蓋をしていたことがある。

「コミュニティは夢を諦めさせる装置やと言われてる」

もう3〜4年前だろうか。高校の先輩が気仙沼に来てくれた。中央省庁で官僚として働く先輩。
その先輩と飲んでるときに、教えてもらった言葉。

唐桑で過ごしているからか、すぐにピンと来た。
集落においては、豆腐屋の息子は豆腐屋、米屋の息子は米屋である「べき」なのだ。

集落のよさは各家々の「役割」がそれぞれしっかりしていること。
それが都会では醸し出せない「くらしがい」を生んでいることは確かだ。
でも、一方で個の夢を縛る。「おれは家督(後継)だから」と夢を諦めて家業に入る人も少なくない。

若者の夢を諦めさせて、維持してきたのがコミュニティなのだ。

実際、近年「家を継ぐ」という意識が希薄化するとコミュニティは一気に廃れた。
私が求めているものは、夢を諦める子どもたちの姿なんだろうか。

そこの答えが分からず、蓋をした。

それを今回、海士町への旅で開けることになった。


---


2017年2月13日。
島根県の離島海士町、隠岐国学習センターにて豊田庄吾さんの話を聞く。

とあるエピソードを教えてくれる。どこの地域の話かは忘れた。
「先生、これ以上子どもたちに教えないでくれ」
村人からこう言われた教師がいたそうだ。教育すればするほど、子どもたちが外に出て行き、ムラが廃れる。そんな「教育のジレンマ」が日本には存在するという。
私は冒頭の先輩の言葉を思い出していた。

でも、「地域」と「教育」は共存し得る。
確かに教育が地域衰退に貢献していた面もある。それを「地域の魅力を活かした教育の魅力化」へと昇華させようとしているのが海士町だった。


「離島中山間地域の学校の役割を再定義できないだろうか」

「教育の分断『T字の壁』をぶち壊せないのか」

 高校 | 社
ーーーー| 会
 小中 | 教
 学校 | 育

↑ T字の壁
横の壁:高校と小中の壁
縦の壁:学校教育と社会教育の壁

「地域で新たな生業、継業を創り出せる人材『地域起業家的グローカル人材』をどう育てるか」



そのあと、島の高校の寮の見学へ。
寮生自らが寮内を案内してくれる。
姫路出身の子もいた。同郷だ。まちについて尋ねると、

「この島は、本気でやりたい!って言ったら、絶対誰かが応援してくれる島なんです」

と、さらっと答えた。ひねりだした感もない。もちろん言わされてる感もない。自然とぽろりと出してくれた言葉に大人たちは唸った。


夜。
民宿で地元の人も来てくれて宴会になる。
地酒が出て来ると一気にみんな舌がまわる。

「んじゃ、海士町恒例の」
締めになると、みんな立ち上がって輪になり手をつなぎ、
「ふるさと」の3番を唄う。

「こころざ〜しを〜はたしに〜」
「いつのひ〜にか〜かえらん〜」

20世紀の故郷像が元の唄では唄われている。
「志を果たして」帰る場所が故郷。成功するのは都会。
終えたら帰る場所、負けたら帰る場所が故郷。

でも、これからは違う。海士町は歌詞を1文字替えて唄う。
「志を果たしに」帰る場所が故郷。修行するのは都会。
力をつけたら帰る場所、挑戦したくなったら帰る場所が故郷。

「ブーメラン」のように。力強く外に出すと力強く帰ってくる人材。

本島から3時間もかかるこの離島で、新しい実験が着々と進んでいることに大きな刺激を受ける。


---


今回、市教育委員会、市役所、NPOの3者がチームを組んで、海士町に行けたことが何より大きかったかもしれない。

松江に着き、居酒屋で夕食をとりながら、付せんとペンが配られ、みんなでやんややんや議論する。カオスだ。
「海士で得たことの振り返りをしたい」「腹が減った」「呑みたい」の欲がごちゃ混ぜになってる。

短い視察の期間に、岩本悠さんにも松江で二度お会いすることができた。


---


視察団はその後もミーティングを定期的に行なっている。
3月、市教育委員会への報告会を経て、
気仙沼版「高校生マイプロアワード」実施に向けて動き出した。

個人的には、神谷先生と唐桑地域の協働教育について相談する機会が増えた。

チームは拡大し、教育委員会の藤山先生も加わってくれるようになった。
その藤山先生が言う。
「私は『ムラを育てる学力』をつけたいなと教師になってずっと思っています」

いた。海士で聞いた話と同じ話をする人がいた!
「ESD先進地」気仙沼は伊達じゃない。
気仙沼も「地域×教育」でまだまだおもしろい事業ができる。

じゃあどうやって?

そんなこんなで新年度がやって来た。
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