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≪大きく変わったガイドライン 2015≫今までの概念では通用しないファーストエイド [2015年10月19日(Mon)]
10月15日 ILCOR(国際蘇生連絡協議会)国際コンセンサス をはじめに AHA(アメリカ心臓協会) ERC(ヨーロッパ蘇生協議会) JRC(日本蘇生協議会) ガイドライン2015が発表されました。

その中で、重要な変更が多かったファーストエイドを取り上げたいと思います。

ガイドライン2015では、ファーストエイドが過去最大のボリュームで記載されています。さらにエビデンスが示されていて、非常に興味深い内容ではないでしょうか。

日本におけるファーストエイド手技は、昔からの慣例・一部の専門医の見解から作られたものが多くありました。そのため、指導団体・文献により異なっているものも多くあります。
それが今回、ガイドラインとして1つの方向性が示されたのは大きな改革です。

なお、ファーストエイド日本版ガイドライン2015は、ILCOR国際コンセンサスをもとにしておりAHAガイドラインと比べてもあまり違いがありません。

主なトピックとして、以下の内容が記載されています。

・アナフィラキシーのエピペン2度打ち
・脱水の補水に関するエビデンス
・止血ドレッシング(止血剤使用)
・脳震盪 
・やけどのドレッシング  など



しかしガイドライン2015の最大の変更点は、別のところにあります。

それは「ファーストエイドの目的」と「ファーストエイドプロバイダーの定義」です。

●ファーストエイドの目的(ガイドライン2015)

ILCOR国際コンセンサス および JRC(日本蘇生協議会)
「人の命を守り、苦痛を和らげ、それ以上の病気けがの悪化を防ぎ、回復を促すこと」

AHA(アメリカ心臓協会) および アメリカ赤十字社
「苦痛を和らげ、さらなる疾病や損傷を予防し、回復を促進することにより合併症発生率と死亡率を低減すること」


※JRC版ガイドライン2015では心停止傷病者を含んだ対応を(応急手当)、心停止傷病者を含まない対応を(ファーストエイド)と表記することとなっています。私たちも、その表記にならって文章を記載いたします。


これまで、日本では応急手当を「けがや病気の悪化を防ぐこと(総務省消防庁)」を目的としてきました。そのため、医療機関に引き継ぐまでに市民が最低限できることが普及されています。

しかし、ガイドライン2015ではファーストエイドの目的が大きく拡大されているのです。
そして、一定の条件の下で薬の利用の補助や訓練を受けた者による器具の取り扱いなどが、ファーストエイドの内容に入ってきました。

これは文章をはき違えると怖い内容で、治療(医行為)との境目がわかりづらくなり、市民による「医者のまねごと」が加速する懸念があります。
また誤った判断でファーストエイドを行うことで、救助者の手により命の危機を招くことが今まで以上に増えるかもしれません。

しかしその懸念を見越してか、ILCOR国際コンセンサス および JRC(日本蘇生協議会)ガイドライン2015ではファーストエイドプロバイダーを次のように定義しました。


ファーストエイドプロバイダーとは、ファーストエイドの訓練を受け、次のことをすべき人である

・ファーストエイドの必要な事態を認識し、評価し、優先順位をつけること
・適切な能力を用いてファーストエイドを行うこと
・ファーストエイドの限界を理解し、必要に応じて次にゆだねること



ここで、注目したいのは「事態を認識し、評価し、優先順位をつけること」がトップに来ていることです。

これまで日本では、応急手当の方法及び手技を学んだ人が、応急手当プロバイダーとしての資格を手にしていました。それらの講習では心停止評価を除き「事態を認識し、評価し、優先順位をつけること」のトレーニングはほぼ行いません。

そのため、市民が傷病者に出会ったとき「傷病名=自分が対応方法を知っている(又は名称を知っている)傷病」と認識し、誤った対応をするケースが多くみられます。
例)呼吸が早く浅い=過呼吸と認識→ペーパーバック(呼吸不全やショックであった場合ペーパーバックを行うと命にかかわる※過換気症候群ペーパーバックの効果もエビデンスがない)
例)痙攣=てんかんと認識(痙攣を起こす原因はてんかん以外にもさまざま)
例)クラゲ刺され→患部加温(刺された場所の手当に集中しアナフィラキシーの兆候見逃し)

いずれも、市民が「傷病名」を(自分なりに)特定させ、それからファーストエイドを開始することから起きています。

ファーストエイドプロバイダーの考え方はそうではありません。
まず、状況を判断し、ヒヤリング(原因 主訴 飲食 既往歴 アレルギー 薬 など)を行い、バイタル(意識レベル、顔色、脈拍、呼吸など)を観察し、命にかかわる問題点(呼吸・循環・神経)の有無を判断し、行動の優先順位をつけていきます。

経験上、傷病者観察中に「早く○○○しろ!」と、取り囲んだバイスタンダーから声がかかることがあります。まわりから見ると「レスキューが何もしない」ように見えるのだと思います。しかし命にかかわる問題の観察ができないと次に進めません。

その「事態を認識し、評価し、優先順位をつけること」が、ガイドライン2015に文章化されたのは、大きな注目点です。

今後は「ファーストエイド方法・手技の訓練を受けた」だけの人は、ファーストエイドプロバイダーと呼べないと言えるでしょう。

ただ、傷病者評価や優先順位とらえ方などの教育方法については、研究されていないとも書かれています。今後の課題となっているので、ガイドライン2020がたのしみですね。


これまでもJAEAでは、傷病者評価を勉強会や AHA ファーストエイドコース 、野外救命コース内で、「事態を認識し、評価し、優先順位をつける」トレーニングを取り入れてきました。

特に、野外救命コースは「事態を認識し、評価し、優先順位をつける」ことが主題で1日かけて体験していきます。

ご興味ある方は、JAEA 募集中コース一覧 をご覧ください。


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