風の道を設計する [2006年10月19日(Thu)]
風の道 水色の矢印は、夏の南風を北に流す通路。 南北に風がまっすぐ抜けるよう窓を配置する。 青の矢印は、上下に風を流す通路。 温まった風は、階段スペース・天窓から外へ抜ける。 メゾネット形式にした設計には、もうひとつ大きなメリットがあった。 それは風の道の確保だ。 エアコンなどのアクティブな機能に頼らず、なるべく自然の力を利用して涼しいパッシブな住まいを実現するには、風の活用が欠かせない。 外から風を取り込み、温まった空気を抜く設計が必要だ。 以前2階の気温が高いと書いたとおり、どうしても建物の高い部分が暑くなってしまう。 そこで、メゾネットの特徴である「階段」に温まった空気を抜く通路としての機能をもたせることとした。 階段を昇りきった天井に天窓を設け、空気が上に抜ける通り道として階段を活用する。 人も風も昇る階段だ。 イラストのように、南北に抜ける水色の風の道を確保するのに加え、温まった空気が屋根部分から青色矢印のように空気が抜けていく仕組みだ。 これは温まった空気と冷たい空気が「温度のギャップ」をつくり、呼吸するようにゆったりと空気の流れを作ることも狙いとしている。 北側に設置予定の壁面緑化により、アパートはつねに気温のギャップが生まれ、そのギャップが「風」を創る。 南北の風の流れに加え、上下に風の流れが生まれ、各部屋には清涼感が生まれることになる。 クーラーが必要ないというといいすぎかもしれないが、クーラーを使うとしても、その時間は格段と短くなり、その分省エネとなる。 天窓を設けたことにより温まった空気の出口が確保できただけでなく、階段の採光ができて、部屋は格段に明るくなる。 メゾネット形式のデザインは、「台所と畑をつなぐ」に加え「夏に涼しい家」というコンセプトを同時に具体化できそうだ。 |