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RE:まずは庇と軒の出 [2006年08月14日(月)]



『昨今の住宅は価格競争に晒されて、一坪あたりいくら、というようなことばかりが喧伝されています。そうしたコスト競争のしわ寄せはどこにくるのでしょうか?
例えばそうした庇などをつけるか、どうかに影響されてくるのですね。庇をつけなくても床面積の広さは変わりませんから。いわゆる「坪単価」は低くなってくるわけです。だけど確実に家の価値は下がっています。』


なるほど、坪単価がいくらかが、イコール住宅にかけるコスト基準であるという考え方は、確かにあります。

それなら余計な出っ張りをなくして、その分単価を安くしようという考えも、ビジネスですから当然出てきますね。見た目も良いですし、メンテナンスも楽でしょうし、何より施主がそれを望んでいるという傾向も実際にあるわけですから。

「坪単価25万円!」

なんて宣伝にぐぐっと引き付けられてしまう施主にも問題がありますね(と反省)。まして自ら住むわけではないアパート経営なら、なおさら

「より安く・より広く・より早く・より簡単に」

いう考えが加速してもおかしくありません。なにしろ住まい手が

「間取りはどうか?」
「日当たりは?」
「アクセスは?」

などは気にしても、

「庇の長さはどれくらいですか?」

などというマニアックなこだわりは持ちませんからね。
実際、周辺で新しく建設されるアパートやマンションは、1DKが多いです。

「寝る・食べる・くつろぐ」

という個のニーズは満たしても、またアパート経営で成功するという施主のニーズは満たしても、隣同士があいさつしたり、多様な個同士が合意したり、個がつながって町を形成していく場や機会は少なくなるかもしれません。

「もしその街で子供を育てるとしたら?」
「もしその街で老後を過ごすとしたら?」
「もしその街でプライベートな時間を楽しみたいと思ったら?」

年をとり、ライフスタイルが変われば、コミュニティとの関わりも変わってくるでしょう。
できたばかりの若い街は、若者を惹きつけるかもしれません。でも私たちはいつまでも若いわけではなく、また街は私たちと同じように歳をとってくれるわけでもありません。

目に見えるきれいな街がどんどんできるなかで、経済指標には現れないさまざまなものが失われていくような気がします。環境とビジネスにおける適正なバランスなどというとちょっと小難しいかもしれませんが、安くつくって使い捨てのような感覚で住宅を造ると、あとあと高くつく羽目になりますね。

庇の話からだいぶ脱線しました。


 山田さんの投稿写真と、私の投稿写真が偶然上下になったので、昔の家の庇(ひさし)と現在の家の庇の差がはっきりとわかりました。  

庇を長くしなければ建物に影響してしまった昔と違い、現代の建物は材質などの向上で庇がなくても平気なように技術が発展しました。それ自体はよいことなのですが、問題はそこに知恵の調和というか、現代技術のよいところはどんどん取り入れながらも、同時に古くからのよさも伝承していく、という考え方があまり見られないことです。それは建物だけでなく、町全体にもいえることです。

 以前訪ねたモントリオールのオールドタウンや、沖縄の離島でみかける珊瑚の石垣などを見ると、歴史や文化とつながっている自分を発見できてなんだかわくわくするものです。
建物はその土地、その気候にあったものであるべきという話をよく聞きます。

「住まいは夏を旨とすべし」

とは吉田兼好が、徒然草のなかで述べた言葉です。

エコアパートが建ったら、庇の説明をするたびに、吉田兼好の話を引用するためにも、庇はコスト計算に入れておきたいですね(「そのためだけかよ」とツッコミがはいりそうですが)。


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