どうも、相談担当です。
特定商取引法(特商法)と割賦販売法の一部を改正する法案が国会に提出されるようですが、どうも日銀のお偉いさんの話で盛り上がっていて、これらが審議されるのは大分遅れそうですね。
さて、特商法の通信販売以外の業態においては、消費者の強力な権利としてクーリングオフ制度があります。
これは書面を受取ってから8日(20日)以内であれば、消費者側から一方的に申込みの撤回や契約の解除が出来るという権利です。さらにその際、事業者は違約金の請求や損害賠償請求をしてはならず、原状回復において費用が発生する場合は事業者側の負担とされています。つまり商品を返送する場合は着払いでよく、返金時の振込み手数料や現金書留費用も事業者負担ということです。
さらに、これは片面的強行規定として、消費者側に不利な特約は全て無効とされています。
ここまで消費者保護に徹底した内容は国際社会でも特殊だそうです。
ただ、訪問販売や電話勧誘販売などで契約している場合は、その契約したものが指定商品や役務、権利でなければならず、かつ政令で定められた商品はクーリングオフできません。これは車が該当します。
さらに政令で指定されている消耗品の場合は、それを使用してしまった場合は、その分はクーリングオフできない、つまり使用した分は支払わなければならないとされています。但しその場合は事前に書面にその旨、記載しておかなければなりません。健康食品や化粧品、消臭剤等の7項目が指定されています。
その他、3,000円未満の現金取引、1年で2回以上過去に取引している場合などの除外があります。
つい先日、訪問販売で、前日に母親が味噌を約1万円で現金購入したという相談を受けました。
「昨晩、家族と話したんですが食料品なんか返品できないんじゃないかって、だけど、もらった書面にはクーリングオフできるって書いてあるし・・どうなんでしょう?」
「はい、クーリングオフできます、ご安心ください」
みそ、しょうゆ等の調味料は、昨年夏に指定商品に入りましたよ、バッチリ大丈夫。
「ああ、良かった、未開封にしておいてよかったわ。何か開封したらクーリングオフ出来ないって書いてあるし」
確かに書面には、クーリングオフのお知らせのところに
【8日以内であっても、開封、使用した場合はクーリングオフできません】
と書かれています。
おやおや、みそは政令で消耗品には指定されていないハズ、でもこれを読んだら、もしかしたら良識(?)のある消費者ほど、仕方ないと思って信じてしまいそうです。
このような場合は、クーリングオフ妨害と言って、正しいことが記載された書面を交付されるまで、クーリングオフの起算日が始まらず、従って、いつでもこの事業者の場合はクーリングオフできてしまいます。
悪質だなあ、と思ったらさらに追い討ちかけるように、契約者名欄に「○○店」とあります。
「え、事業者契約にしたのですか?」
「あ、これは母の字ではありません、未だ看板が出ているだけで、ここで商売はしていません、向こうが勝手に看板見て書き込んだのでしょう、これが何か問題あるんですか?」
うーん、問題だ、いや相談者ではなく事業者が・・。そうきたか。セコいなあ。消火器の訪問販売のようだ。でも、もちろんこの件では消費者契約であることは間違いありません。
消耗品でない商品の場合は、使用後であっても消費者はクーリングオフすることで損害賠償を負うことはありませんので、使用したことで再販売できなくなったと事業者が主張しても、それは仕方ないと言うことになります。
でも、商品を転売してしまったり故意に紛失してしまって、事業者に返還できなくなってしまった場合は、その損害賠償請求が認められてしまう可能性もあります。
事例としてあがるのは、布団の場合、せっかくだから使おうと思って寝ていたところ、具合が悪くなってその布団の上に吐いて汚してしまっても、そのままクーリングオフで返品できますが、契約してしまったことに腹を立て、その布団をビリビリに破いてしまった場合はマズイかも知れませんということです。
また、中には契約してはクーリングオフを繰り返すような消費者がいて、権利の乱用を問題にされる話もあります。
ただ、訪問販売など不意打ち性の高い勧誘で契約してしまったものが本当に必要であったのか、頭を冷やして考え直すことは大事なことです。
自分で判断できなかったら、家族とか、第三者に意見を聞いてみることも大事です。アタマは中からも外からも冷やせる環境にしておくことが必要ですね。