最終申込画面にも返品条件?
[2009年05月26日(Tue)]
特商法施行規則についてパブコメを提出しました。昨年6月の改正では、11条の広告表示義務に「契約申込みの撤回(キャンセル)・売買契約の解除(返品)についての事項」が追加されるとともに、15条の2が新設され、「表示(特約)がなかった場合は8日間返品・キャンセル可能」とされました。これ自体は従来の考え方から大きく逸脱するものではなく、返品特約があればそれが優先されます。
但しインターネット通販に関しては、返品特約の表示方法に指定がついています。「広告に表示する以外の方法」においても返品特約を表示しなければ当該特約が有効にならない、というのです。そこまでが法律事項です。今回の省令案では、返品特約を「最終申込画面に(も)表示しなければならない」という方針が提示されました。4月の審議会では、ガイドライン案も示されています。
私の意見は、その点に反対するものです。下記、全文を掲載します。
(該当箇所)
3.(2)電子消費者契約における「広告に表示する方法以外の方法」について
(意見)
省令で定められる「広告に表示する方法以外の方法」は、「最終申込画面への表示」が必須要件とはならない形で規定されるべきと考えます。 「最終申込画面への表示」は、あくまで「良い例の1つ」という考え方で、ガイドライン等をご作成いただきたいと思います。
(理由)
2008年度、消費者からECネットワークに寄せられた国内インターネット通販のトラブル約600件のうち、返品に関連するものは112件(18.6%)と、かなりの割合を占めています。しかし、そのうち、「返品特約の記載がない(または掲載場所が見つけられない)」というクレームは2件に過ぎません。それ以外の多くは、「記載内容がわかりにくい(誤解を生む表現である)」「記載内容と実際の運用が違う」といった苦情です。
つまり、多くの場合、消費者は返品特約の内容を確認できており、契約条件として拘束されることに納得していますが、それでもトラブルになっています。表示義務の徹底や表示場所の特定では、こういったトラブルを減らす効果はあまり期待できないと考えます。
事業者にとっても、購入者が、返品可能かどうかにつき勘違いをしていれば、後で余計なクレームを発生させる原因となり、ビジネス上、マイナスです。従って返品特約は、特にオーダー品など返品不可能な場合には、むしろ積極的に、見やすい位置に記載するインセンティブが働き、最終申込画面以外でも、様々な工夫を施して、参照可能な場所に(しつこいほど)掲載しているのが現状です。
最終申込画面に「必ず」表示しない限り、返品特約が有効にならないとすることは、このような実務の実態と乖離するだけでなく、システム上の対応という大きなコストを発生させることになります。
返品特約の有効性は、広告から購入にいたるまでの流れの中できちんと説明されているかどうかで、総合的に判断されるべきと思います。
紛争処理の実務上も、広告表示をはじめとして、あっちこっちに返品特約がデカデカと書いてあるにも関わらず、「最終申込画面でのリンクが小さいから無効」とは到底判断できないと思います。
合理的な決着を期待したいものです。
但しインターネット通販に関しては、返品特約の表示方法に指定がついています。「広告に表示する以外の方法」においても返品特約を表示しなければ当該特約が有効にならない、というのです。そこまでが法律事項です。今回の省令案では、返品特約を「最終申込画面に(も)表示しなければならない」という方針が提示されました。4月の審議会では、ガイドライン案も示されています。
私の意見は、その点に反対するものです。下記、全文を掲載します。
(該当箇所)
3.(2)電子消費者契約における「広告に表示する方法以外の方法」について
(意見)
省令で定められる「広告に表示する方法以外の方法」は、「最終申込画面への表示」が必須要件とはならない形で規定されるべきと考えます。 「最終申込画面への表示」は、あくまで「良い例の1つ」という考え方で、ガイドライン等をご作成いただきたいと思います。
(理由)
2008年度、消費者からECネットワークに寄せられた国内インターネット通販のトラブル約600件のうち、返品に関連するものは112件(18.6%)と、かなりの割合を占めています。しかし、そのうち、「返品特約の記載がない(または掲載場所が見つけられない)」というクレームは2件に過ぎません。それ以外の多くは、「記載内容がわかりにくい(誤解を生む表現である)」「記載内容と実際の運用が違う」といった苦情です。
つまり、多くの場合、消費者は返品特約の内容を確認できており、契約条件として拘束されることに納得していますが、それでもトラブルになっています。表示義務の徹底や表示場所の特定では、こういったトラブルを減らす効果はあまり期待できないと考えます。
事業者にとっても、購入者が、返品可能かどうかにつき勘違いをしていれば、後で余計なクレームを発生させる原因となり、ビジネス上、マイナスです。従って返品特約は、特にオーダー品など返品不可能な場合には、むしろ積極的に、見やすい位置に記載するインセンティブが働き、最終申込画面以外でも、様々な工夫を施して、参照可能な場所に(しつこいほど)掲載しているのが現状です。
最終申込画面に「必ず」表示しない限り、返品特約が有効にならないとすることは、このような実務の実態と乖離するだけでなく、システム上の対応という大きなコストを発生させることになります。
返品特約の有効性は、広告から購入にいたるまでの流れの中できちんと説明されているかどうかで、総合的に判断されるべきと思います。
紛争処理の実務上も、広告表示をはじめとして、あっちこっちに返品特約がデカデカと書いてあるにも関わらず、「最終申込画面でのリンクが小さいから無効」とは到底判断できないと思います。
合理的な決着を期待したいものです。