にせラブストーリー(第壱拾四話)
[2008年09月03日(Wed)]
どうも、相談担当です。
第壱拾参話の続き。
正直申しまして、文字が読めないのです。「か」と「や」の区別すらつかないような状態です。しかも、文字の大きさがばらばらで、ワープロで言うと8ポイントと20ポイントの文字が入り乱れて同じ紙に書かれているような状態です。なので、彼の書いた手紙は、読むというより解読するといったほうが表現的には合っているかもしれません。
手紙を書くのは難しかったのかもと反省し、ワープロで打ちなおすことも考えましたが、彼が一生懸命書いてくれたこの手紙を、わたしは敢えて事業者と信販会社にそのまま出すことを決めました。手紙の内容は、どうせわたしが直接補足説明すればよいことです。
なにより事業者と信販会社には、このような彼と契約を取っているということを知ってもらいたいという気持ちもありました。
信販会社は特に滞りなく抗弁に応じました。事業者に連絡を取ります。女性管理職が出てきました。
「それ届いてはいるんですが、この手紙の内容は一体何でしょう?」
わたしは、彼の契約に至った経緯と状況を伝え、契約の解除について検討してくれるよう求めました。
「一応、解約には応じますが、ただ、こちらも社内で基準がありますので、それにのっとった解約違約金をお支払いいただきますが」
「それは、もしかしたら何の問題もなく契約を取った場合に、消費者側から解約を申し出た際の社内基準ではないですか?彼のケースは理由がきちんとありますよ、ご説明したとおりです」
「あなたの話だけじゃ一方的なのでこちらでも調査しないを分からないですが、こちらでも強引な販売はしてはならないと一応社員教育を徹底しておりますし、また判断能力に乏しいと思われる人に対しては契約を取らないよう販売担当には通知しておりますので・・とりあえず検討してから回答しますが回答はあなたにすればいいんでしょ」
何だか、この女性管理職は相談機関からの問合せにすっかり慣れている様子です。つまりトラブルが多いという証拠でもあります。ともかく始終嫌味っぽい感じで、全額返金には頑として応じませんでしたが、それでも何とか違約金の減額交渉には応じてくれました。
最終的には社内規定という違約金の半額で、双方合意しました。
「ところで版画はきちんとした状態でしょうね、傷が付いていたりしたら困りますよ」
「彼は箱に入れたままの状態で保管しているといっています」
「版画を包んでいる黄色い布があるんですよ、それも無事ですか、その布にきちんと包んで返送してください、その布が無いと返品に応じられません」
そんなに布が大事なのかい、と思いましたが、彼に確認すると確かに版画を覆っている黄色い布があるといいます。
事業者は、版画の状態を神経質に尋ねてきていましたので、後のトラブルを避けるために、わたしは彼にこういいました。
「本当は版画をわたしのところに持ってきてもらって一緒に確認してから返送したいのですが、大きい物で大変だから今回は止めておきましょう」
「はい」
「だから念のため、あなたのほうで版画の状態や布に包まれている状態を写真に撮っておいてもらえますか?何枚か撮っておいてください、その後に送ってくださいね」
きっと、この時のわたしの言い方が拙かったんだと思います。
次週に続く。
第壱拾参話の続き。
正直申しまして、文字が読めないのです。「か」と「や」の区別すらつかないような状態です。しかも、文字の大きさがばらばらで、ワープロで言うと8ポイントと20ポイントの文字が入り乱れて同じ紙に書かれているような状態です。なので、彼の書いた手紙は、読むというより解読するといったほうが表現的には合っているかもしれません。
手紙を書くのは難しかったのかもと反省し、ワープロで打ちなおすことも考えましたが、彼が一生懸命書いてくれたこの手紙を、わたしは敢えて事業者と信販会社にそのまま出すことを決めました。手紙の内容は、どうせわたしが直接補足説明すればよいことです。
なにより事業者と信販会社には、このような彼と契約を取っているということを知ってもらいたいという気持ちもありました。
信販会社は特に滞りなく抗弁に応じました。事業者に連絡を取ります。女性管理職が出てきました。
「それ届いてはいるんですが、この手紙の内容は一体何でしょう?」
わたしは、彼の契約に至った経緯と状況を伝え、契約の解除について検討してくれるよう求めました。
「一応、解約には応じますが、ただ、こちらも社内で基準がありますので、それにのっとった解約違約金をお支払いいただきますが」
「それは、もしかしたら何の問題もなく契約を取った場合に、消費者側から解約を申し出た際の社内基準ではないですか?彼のケースは理由がきちんとありますよ、ご説明したとおりです」
「あなたの話だけじゃ一方的なのでこちらでも調査しないを分からないですが、こちらでも強引な販売はしてはならないと一応社員教育を徹底しておりますし、また判断能力に乏しいと思われる人に対しては契約を取らないよう販売担当には通知しておりますので・・とりあえず検討してから回答しますが回答はあなたにすればいいんでしょ」
何だか、この女性管理職は相談機関からの問合せにすっかり慣れている様子です。つまりトラブルが多いという証拠でもあります。ともかく始終嫌味っぽい感じで、全額返金には頑として応じませんでしたが、それでも何とか違約金の減額交渉には応じてくれました。
最終的には社内規定という違約金の半額で、双方合意しました。
「ところで版画はきちんとした状態でしょうね、傷が付いていたりしたら困りますよ」
「彼は箱に入れたままの状態で保管しているといっています」
「版画を包んでいる黄色い布があるんですよ、それも無事ですか、その布にきちんと包んで返送してください、その布が無いと返品に応じられません」
そんなに布が大事なのかい、と思いましたが、彼に確認すると確かに版画を覆っている黄色い布があるといいます。
事業者は、版画の状態を神経質に尋ねてきていましたので、後のトラブルを避けるために、わたしは彼にこういいました。
「本当は版画をわたしのところに持ってきてもらって一緒に確認してから返送したいのですが、大きい物で大変だから今回は止めておきましょう」
「はい」
「だから念のため、あなたのほうで版画の状態や布に包まれている状態を写真に撮っておいてもらえますか?何枚か撮っておいてください、その後に送ってくださいね」
きっと、この時のわたしの言い方が拙かったんだと思います。
次週に続く。
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