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肺の吐く力弱まる病、国民的な認識を(朝日新聞/福島) [2009年01月22日(Thu)]
2009(平成21)年01月22日(木)
朝日新聞
asahi.com>マイタウン>福島

【見る・診る・観る】
肺の吐く力弱まる病、国民的な認識を



イラスト:鈴木里美

昔は多くの医学会が閉鎖的な存在だった。最近は学会総会でも必ず
市民参加のプログラムが組まれ、一般社会の中でも様々な啓発活動
が行われている。

現在は名誉会員に祭り上げられているが、かつては会長も務めた
ことのある日本呼吸器学会も、語呂合わせであるが8月1日を
「肺の日」、5月9日を「呼吸の日」と称してさまざまなキャン
ペーンを行っている。

今、呼吸器学会はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の問題性を声を
大にして訴えている。肺が古いゴム風船のようになって吐き出す力
が低下し、部分的に破壊されてくる病気で、症状は息切れである。
この病気への国民的認識が希薄だ。

県の医療審議会で、今後5カ年間の医療計画を作成する検討会でも
相変わらず、がん、循環器疾患、脳卒中、糖尿病の四病と、救急
医療などの五業を中心に据えるという、国のお仕着せのシナリオを
もとに討議が行われた。

私はCOPDと年間3万人を超える自殺問題の重要性を執拗に主張
し、嫌われたようだ。

2020年にはCOPDは死亡原因の3位になると予測されて
いる。先日、COPD研究の第一人者である畏友を福島県に招いて
講演してもらった。彼も東京都に対して同じ主張をしたが、四病は
五病にならなかったと嘆いていた。

もし県が正面から五病あるいは六病五業と掲げれば、全国から注目
されたはずだ。

その畏友がリーダーとなった全国調査や世界的規模の疫学調査の
結果は40歳以上の人口の10%前後がCOPDに罹患していると
いう事実を示している。
福島県財団法人病院協会などが実施した調査も同様な数値で、一流
の医学雑誌に掲載された。

興味深いのは、今回COPDと診断された人のうち医療機関で
COPDと診断されていた人は約10%で、90%は放置されて
いたという事実である。

私たちがこの病気を重大視している理由は、かなりの症状が出て
くるのは60歳過ぎで、症状を軽くすることはできるが今のところ
治療法がないこと、高齢者のQOL(生活の質)、ADL(日常
生活動作)と密接するためだ。

主な原因は喫煙で、その意味では生活習慣病だが、新しい研究論文では循環器や腎臓、糖尿病との合併も指摘されている。
そうなるとCOPDは肺の病ではなく、全身性の疾患だということ
になる。

肝心なのは禁煙であり、早期発見である。
症状はスパイロメトリーという息を吸ったり吐いたりする検査で分かる。
日本呼吸器学会はスパイロメトリーでの吐き出す力(量)から
肺の若々しさを示す指標として「肺年齢」を発表した。
1秒間に吐き出せる空気の量から簡単に計算できる。

COPDへの国民の認識を早急に高めるべきである。

2009年01月22日
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