木製カメラ うつ病癒やす 写真家・福田文昭さん 活動再開(読売新聞)
[2008年12月10日(水)]
2008(平成20)年12月10日(水)
東京新聞 夕刊
トップ>社会>紙面から一覧
【社会】
木製カメラ うつ病癒やす 写真家・福田文昭さん
活動再開
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008121002000238.html

うつ病克服のきっかけとなった「8×10」
を構える福田さん=東京都台東区で
故田中角栄元首相の法廷内隠し撮り写真や、
山口百恵さんと三浦友和さんのデート写真。
数々の歴史的スクープをものにしてきた記録写真家、
福田文昭さん(61)=東京都台東区=
はこの2年間、うつ病に悩む日々だった。
再起のきっかけは、かつて手にしたフィルムカメラ
「8×10(エイトバイテン)」。
今、この木製のカメラで撮影しているのは、家族写真だ。
(丹治早智子)
現代社会で増えているうつ病。福田さんの場合は、
出版不況で仕事が激減したのが引き金だった。
過去の華々しい経歴も足かせになった。
家でふさぎ込む日が続き、
「このまま死ねたら」
と自殺をも考えるようになった。
転機は今秋。友人の計らいで、創造学園大(群馬県高崎市)が
東京キャンパス開校を機に、福田さんを客員教授に招いてくれた。
授業は週1回。歌手や脚本家志望の学生を相手に、実技と講義で
写真を指導する。
「プロの写真家を育てる自信はないが、写真の魅力を伝えること
なら自分にもできる」。
福田さんは、沈んでいた心を奮い立たせるとともに、
学生に写真の仕組みを教えるため、事務所の隅でほこりを
かぶっていた「8×10」を教材用に引っ張り出した。
フィルムのサイズから「8×10(インチ)」と呼ばれる
この大判カメラは、箱にレンズとシャッターを取り付け、
後ろにフィルムホルダーを装着しただけのシンプルな構造。
だが、デジタルカメラではかなわない、圧倒的な解像力を持つ。
福田さんがこのカメラを購入したのは二十数年前。
写真週刊誌の連載を終えたのを機に、
「これからはより質の高い写真を撮ろう」
と考えたからだった。
時間をかけて設定し、絞りやスピードを調節しながら、
たった一度のシャッターチャンスにかける。
できあがった写真は、大判でモノクロ。独特な風合いと温かさがある。
講義で使ううち、福田さんは古風なカメラの魅力に、
あらためて取りつかれていった。
「家族写真を撮ろうと決めたのは、ふさぎ込んでいたこの2年間、
人と人がコミュニケーションをとることの大切さを知ったから」。
コミュニケーションの基本が家族。なのに
「家族同士が殺し合う嫌な時代」。
家族の姿を、ちゃんと撮っておきたいと思った。
「デジタルカメラ全盛時代に逆行していると笑われるかも
しれないが、肝心なのは被写体に対する愛情と熱意」。
穏やかに語る顔は、写真家としての自信にあふれていた。
2008年12月10日 夕刊
東京新聞 夕刊
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【社会】
木製カメラ うつ病癒やす 写真家・福田文昭さん
活動再開
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008121002000238.html

うつ病克服のきっかけとなった「8×10」
を構える福田さん=東京都台東区で
故田中角栄元首相の法廷内隠し撮り写真や、
山口百恵さんと三浦友和さんのデート写真。
数々の歴史的スクープをものにしてきた記録写真家、
福田文昭さん(61)=東京都台東区=
はこの2年間、うつ病に悩む日々だった。
再起のきっかけは、かつて手にしたフィルムカメラ
「8×10(エイトバイテン)」。
今、この木製のカメラで撮影しているのは、家族写真だ。
(丹治早智子)
現代社会で増えているうつ病。福田さんの場合は、
出版不況で仕事が激減したのが引き金だった。
過去の華々しい経歴も足かせになった。
家でふさぎ込む日が続き、
「このまま死ねたら」
と自殺をも考えるようになった。
転機は今秋。友人の計らいで、創造学園大(群馬県高崎市)が
東京キャンパス開校を機に、福田さんを客員教授に招いてくれた。
授業は週1回。歌手や脚本家志望の学生を相手に、実技と講義で
写真を指導する。
「プロの写真家を育てる自信はないが、写真の魅力を伝えること
なら自分にもできる」。
福田さんは、沈んでいた心を奮い立たせるとともに、
学生に写真の仕組みを教えるため、事務所の隅でほこりを
かぶっていた「8×10」を教材用に引っ張り出した。
フィルムのサイズから「8×10(インチ)」と呼ばれる
この大判カメラは、箱にレンズとシャッターを取り付け、
後ろにフィルムホルダーを装着しただけのシンプルな構造。
だが、デジタルカメラではかなわない、圧倒的な解像力を持つ。
福田さんがこのカメラを購入したのは二十数年前。
写真週刊誌の連載を終えたのを機に、
「これからはより質の高い写真を撮ろう」
と考えたからだった。
時間をかけて設定し、絞りやスピードを調節しながら、
たった一度のシャッターチャンスにかける。
できあがった写真は、大判でモノクロ。独特な風合いと温かさがある。
講義で使ううち、福田さんは古風なカメラの魅力に、
あらためて取りつかれていった。
「家族写真を撮ろうと決めたのは、ふさぎ込んでいたこの2年間、
人と人がコミュニケーションをとることの大切さを知ったから」。
コミュニケーションの基本が家族。なのに
「家族同士が殺し合う嫌な時代」。
家族の姿を、ちゃんと撮っておきたいと思った。
「デジタルカメラ全盛時代に逆行していると笑われるかも
しれないが、肝心なのは被写体に対する愛情と熱意」。
穏やかに語る顔は、写真家としての自信にあふれていた。
2008年12月10日 夕刊


