「天国はまだ遠く」加藤ローサさんに聞く(毎日新聞)
[2008年11月12日(水)]
2008(平成20)年11月12日(水)
毎日新聞
トップ>エンターテインメント>映画>インタビュー
「天国はまだ遠く」加藤ローサさんに聞く
「生きてるだけで幸せなんだなと思ってもらえれば」
http://mainichi.jp/enta/cinema/interview/news/20081112mog00m200027000c.html

「千鶴と似ているところはたくさんあります」
と話した加藤ローサさん
都会の生活に疲れ、自殺をするために田舎町を訪れた女性。
しかし、自殺に失敗。宿泊した民宿の主人との触れ合いを通して、
やがて生きることへ前向きになっていく……。
人気作家、瀬尾まいこさんの小説を加藤ローサさん主演
で映画化した「天国はまだ遠く」が、11月8日から
東京を皮切りに全国で順次公開される。
監督・共同脚本は長澤雅彦さん。
加藤さんとは「夜のピクニック」で一度組んだことがある。
お笑い界の“イケメン”で知られるお笑いコンビ「チュートリアル」
の徳井義実さんが民宿の主人役で出演していることでも話題だ。
役作りなどに加藤さんに話を聞いた。
(文/りんたいこ、写真/細田尚子)
◇ 死と生はつながっている
−−自殺を試みる女性とそれに失敗した後。
1人の女性の2つの顔を表現していますね。
私自身、最初は千鶴が暗い女の子だと思っていたんです。
でも、(ロケ地の)宮津(京都府宮津市)に行く前のリハーサルで、
監督から
「(千鶴は)基本的にはすごくいい加減で、自殺なんか考えない
ような子。だから前半と後半とではまったくの別人だと思って
演じてもらっていい」
と言われたんです。それで、自殺をする前の千鶴と、
それに失敗して朝、目覚めてからの千鶴は別人だと思って
演じるようにしました。
−−両極端の性格の人間を演じることに戸惑いはなかったのですか?
戸惑いはなかったんですが、自殺をしなさそうな子が
自殺をするというのは、最初はやりづらかったのは確かです。
でも監督が
「“死”は“生”の対極にあるわけではなく、生きている限り
ずっと横にくっついていて、すきあらばこちらに向かってくる。
それを伝えたいから普通の子をわざと演じてほしい」
と言われて理解することができました。
◇ “抜けてる”千鶴と“気配りが効く”加藤さん
−−加藤さんご自身、千鶴には共感できました?
根本的なところでは、似てるところはたくさんあります。
たとえば、力の抜け加減とか、いい加減なところ。
マイペースや人任せのところも似ていますね。
でも、千鶴は運が悪いことに、周りに気づいてくれる人や
頼れる人がいなかった。
私は、この(女優という)仕事を通して随分精神は
鍛えられているので(笑い)、千鶴みたいに自殺をすることは
ないですね。
−−千鶴は、相手に自分の気持ちが伝わっていると思って
いたのに実際は伝わっていなかった、そうしたエピソードも
物語の中にあります。
そこが千鶴の抜けている部分、運の悪いところだと思います。
私の場合、そういうことは、あまりないと思います。
千鶴は意外に、普通に生きていたら強い子だと思うんです。
逆風が吹いても気づかない、みたいな。
でも私は、割と慎重派で臆病なほう。自分で言うのもなんですが、
周囲に気を遣うほうで、人の顔色をうかがうのが小さいころからの
クセなんです。だから、自分の言ったことが相手に伝わったと
確信が持てないと安心できない。
たとえば、大勢でお酒を飲みに行って、店員さんに今のオーダー、
ちゃんと通ってないな、と感じる時ってあるじゃないですか。
1本のビールの注文が2本と勘違いされていたり。
そういうのを読み取るのが、けっこう得意ですね(笑い)。
◇ モデルはアンジェラ・アキさん
−−この映画の原作である瀬尾まいこさんの小説は読みましたか。
随分前に読みました。そのあとで台本を読んだんですが、
最初の印象は、原作以上に登場人物に厚みが加えられていて、
いろんな人とのつながりや関係性が描かれていると思いました。
(死んで)いなくなろうと思っていた千鶴が、与えてもらうばかり
ではなく、自分では気付いていないところできちんと他人に与える
こともできる、そういう内容だったので、
「あ、素敵だな」
と思ったことを覚えています。
−−今作ではいろんなことに挑戦していますね。
たとえばピアノ。ペダルの踏み方から、ピアノ演奏歴があると
見たのですが。
ピアノは、小学校1〜6年生まで習っていましたし、
自宅にピアノもあるんですが、いまだに何も弾けないんです(笑い)。
(ペダルの踏み方は)監督には、何に効いているのかわからないけど、
とにかく踏んでる、みたいな感じ、頭の振り具合は、アンジェラ・アキ
さんみたいに、と言われてああした形になりました。
◇ 徳井さんとは「似た者同士」
−−そば打ちのシーンもあります。
あまりうまく作れなかったようですが(笑い)。
あれは、そば職人の方が普通とは水配分の違うタネを作って
失敗するようにしてくださいました。でも徳井さんは、すごく
上手になったみたいですよ。
−−その徳井さんについて聞かせてください。どんな方でした?
とてもおとなしくてホンワカした空気の方。初めてお会いして
共演させていただいたんですけど、気を遣うこともなく、
(撮影待ちの)車の中に一緒にいても全然緊張しない、
無言でいられる人でした。
−−もしかして仲が悪かった?
いえいえそうではなく(笑い)。最近、2人で話をする機会が
あって、その時にようやく答えが見つかったんです。
2人とも“似た者同士”なんだと。
私は割と、周囲の人に対してオープンにするタイプ。
自分から積極的に話しかけたりしないけど、だからといって
引いたりもしない。自然の触れ合いに身を任せるというか……。
どうやら徳井さんもそういうタイプのようで、2人とも開いては
いるけど、あえて自分からは近づかないし、離れないみたいな。
で、最近お会いしたときに徳井さんが私に
「俺に興味なかったじゃん」
と言うので、私は私で
「そうじゃない、徳井さんだってなかったじゃない」
みたいな話になって(笑い)。結局、気が合い過ぎたんでしょうね。
そういうところは、(徳井さん演じる)田村と千鶴の関係と
すごく似ていると思います。
−−そんなお2人の息の合った演技が見られる
今回の作品の見どころを最後に。
宮津の大自然と、千鶴と地元の人との触れ合い、
ご飯をおいしそうに食べる顔、それから、徳井さんが普段
バラエティ番組で見せている顔を封印して役者として真面目に
演技をしているところ。そこが見どころだと思います。
−−ご自身の演技については?
千鶴を見て、あ、生きているっていいことなんだな、
生きてるだけで幸せなんだなと思ってもらえればいいな、
と思っています。
*……「天国はまだ遠く」は11月8日から
東京・シネセゾン渋谷ほか全国で順次公開。
<加藤ローサさんのプロフィル>
1985年、鹿児島県出身。ファッションモデルとして
デビューした後、リクルート「ゼクシィ」のCMで話題に。
05年「tokyo tower」で映画デビュー。
06年には「シムソンズ」で初主演を果たす。
テレビでも活躍をしており、“月9”の「CHANGE」での、
首相のおきゃんなアシスタント役は記憶に新しい。
その他の代表作に映画「いちばんきれいな水」
「デトロイト・メタル・シティ」などがある。
今作の長澤雅彦監督とは「夜のピクニック」以来
2度目のコラボレーション。
毎日新聞
トップ>エンターテインメント>映画>インタビュー
「天国はまだ遠く」加藤ローサさんに聞く
「生きてるだけで幸せなんだなと思ってもらえれば」
http://mainichi.jp/enta/cinema/interview/news/20081112mog00m200027000c.html

「千鶴と似ているところはたくさんあります」
と話した加藤ローサさん
都会の生活に疲れ、自殺をするために田舎町を訪れた女性。
しかし、自殺に失敗。宿泊した民宿の主人との触れ合いを通して、
やがて生きることへ前向きになっていく……。
人気作家、瀬尾まいこさんの小説を加藤ローサさん主演
で映画化した「天国はまだ遠く」が、11月8日から
東京を皮切りに全国で順次公開される。
監督・共同脚本は長澤雅彦さん。
加藤さんとは「夜のピクニック」で一度組んだことがある。
お笑い界の“イケメン”で知られるお笑いコンビ「チュートリアル」
の徳井義実さんが民宿の主人役で出演していることでも話題だ。
役作りなどに加藤さんに話を聞いた。
(文/りんたいこ、写真/細田尚子)
◇ 死と生はつながっている
−−自殺を試みる女性とそれに失敗した後。
1人の女性の2つの顔を表現していますね。
私自身、最初は千鶴が暗い女の子だと思っていたんです。
でも、(ロケ地の)宮津(京都府宮津市)に行く前のリハーサルで、
監督から
「(千鶴は)基本的にはすごくいい加減で、自殺なんか考えない
ような子。だから前半と後半とではまったくの別人だと思って
演じてもらっていい」
と言われたんです。それで、自殺をする前の千鶴と、
それに失敗して朝、目覚めてからの千鶴は別人だと思って
演じるようにしました。
−−両極端の性格の人間を演じることに戸惑いはなかったのですか?
戸惑いはなかったんですが、自殺をしなさそうな子が
自殺をするというのは、最初はやりづらかったのは確かです。
でも監督が
「“死”は“生”の対極にあるわけではなく、生きている限り
ずっと横にくっついていて、すきあらばこちらに向かってくる。
それを伝えたいから普通の子をわざと演じてほしい」
と言われて理解することができました。
◇ “抜けてる”千鶴と“気配りが効く”加藤さん
−−加藤さんご自身、千鶴には共感できました?
根本的なところでは、似てるところはたくさんあります。
たとえば、力の抜け加減とか、いい加減なところ。
マイペースや人任せのところも似ていますね。
でも、千鶴は運が悪いことに、周りに気づいてくれる人や
頼れる人がいなかった。
私は、この(女優という)仕事を通して随分精神は
鍛えられているので(笑い)、千鶴みたいに自殺をすることは
ないですね。
−−千鶴は、相手に自分の気持ちが伝わっていると思って
いたのに実際は伝わっていなかった、そうしたエピソードも
物語の中にあります。
そこが千鶴の抜けている部分、運の悪いところだと思います。
私の場合、そういうことは、あまりないと思います。
千鶴は意外に、普通に生きていたら強い子だと思うんです。
逆風が吹いても気づかない、みたいな。
でも私は、割と慎重派で臆病なほう。自分で言うのもなんですが、
周囲に気を遣うほうで、人の顔色をうかがうのが小さいころからの
クセなんです。だから、自分の言ったことが相手に伝わったと
確信が持てないと安心できない。
たとえば、大勢でお酒を飲みに行って、店員さんに今のオーダー、
ちゃんと通ってないな、と感じる時ってあるじゃないですか。
1本のビールの注文が2本と勘違いされていたり。
そういうのを読み取るのが、けっこう得意ですね(笑い)。
◇ モデルはアンジェラ・アキさん
−−この映画の原作である瀬尾まいこさんの小説は読みましたか。
随分前に読みました。そのあとで台本を読んだんですが、
最初の印象は、原作以上に登場人物に厚みが加えられていて、
いろんな人とのつながりや関係性が描かれていると思いました。
(死んで)いなくなろうと思っていた千鶴が、与えてもらうばかり
ではなく、自分では気付いていないところできちんと他人に与える
こともできる、そういう内容だったので、
「あ、素敵だな」
と思ったことを覚えています。
−−今作ではいろんなことに挑戦していますね。
たとえばピアノ。ペダルの踏み方から、ピアノ演奏歴があると
見たのですが。
ピアノは、小学校1〜6年生まで習っていましたし、
自宅にピアノもあるんですが、いまだに何も弾けないんです(笑い)。
(ペダルの踏み方は)監督には、何に効いているのかわからないけど、
とにかく踏んでる、みたいな感じ、頭の振り具合は、アンジェラ・アキ
さんみたいに、と言われてああした形になりました。
◇ 徳井さんとは「似た者同士」
−−そば打ちのシーンもあります。
あまりうまく作れなかったようですが(笑い)。
あれは、そば職人の方が普通とは水配分の違うタネを作って
失敗するようにしてくださいました。でも徳井さんは、すごく
上手になったみたいですよ。
−−その徳井さんについて聞かせてください。どんな方でした?
とてもおとなしくてホンワカした空気の方。初めてお会いして
共演させていただいたんですけど、気を遣うこともなく、
(撮影待ちの)車の中に一緒にいても全然緊張しない、
無言でいられる人でした。
−−もしかして仲が悪かった?
いえいえそうではなく(笑い)。最近、2人で話をする機会が
あって、その時にようやく答えが見つかったんです。
2人とも“似た者同士”なんだと。
私は割と、周囲の人に対してオープンにするタイプ。
自分から積極的に話しかけたりしないけど、だからといって
引いたりもしない。自然の触れ合いに身を任せるというか……。
どうやら徳井さんもそういうタイプのようで、2人とも開いては
いるけど、あえて自分からは近づかないし、離れないみたいな。
で、最近お会いしたときに徳井さんが私に
「俺に興味なかったじゃん」
と言うので、私は私で
「そうじゃない、徳井さんだってなかったじゃない」
みたいな話になって(笑い)。結局、気が合い過ぎたんでしょうね。
そういうところは、(徳井さん演じる)田村と千鶴の関係と
すごく似ていると思います。
−−そんなお2人の息の合った演技が見られる
今回の作品の見どころを最後に。
宮津の大自然と、千鶴と地元の人との触れ合い、
ご飯をおいしそうに食べる顔、それから、徳井さんが普段
バラエティ番組で見せている顔を封印して役者として真面目に
演技をしているところ。そこが見どころだと思います。
−−ご自身の演技については?
千鶴を見て、あ、生きているっていいことなんだな、
生きてるだけで幸せなんだなと思ってもらえればいいな、
と思っています。
*……「天国はまだ遠く」は11月8日から
東京・シネセゾン渋谷ほか全国で順次公開。
<加藤ローサさんのプロフィル>
1985年、鹿児島県出身。ファッションモデルとして
デビューした後、リクルート「ゼクシィ」のCMで話題に。
05年「tokyo tower」で映画デビュー。
06年には「シムソンズ」で初主演を果たす。
テレビでも活躍をしており、“月9”の「CHANGE」での、
首相のおきゃんなアシスタント役は記憶に新しい。
その他の代表作に映画「いちばんきれいな水」
「デトロイト・メタル・シティ」などがある。
今作の長澤雅彦監督とは「夜のピクニック」以来
2度目のコラボレーション。


