自死者:名誉回復を 専門家ら、5項目の宣言文 「心の病」に寛容さ求め 等(毎日新聞)
[2009年07月06日(月)]
たいへん有意義な記事を掲載いただき、
まことにありがとうございました _(_^_)_
>中村記者様、毎日新聞社様
自殺対策基本法の第7条にも、以下の理念が明確にうたわれて
いる。多くの方々に、同法をぜひとも深く知っていただきたい。
※ ※ ※ ※ ※
(名誉及び生活の平穏への配慮)
第7条 自殺対策の実施に当たっては、自殺者及び自殺未遂者
並びにそれらの者の親族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、
いやしくもこれらを不当に侵害することのないようにしなければ
ならない。
※ ※ ※ ※ ※
●
自死(自殺)問題は、デリケートでセンシティブな内容を含む。
相手のためにと思い、よかれと思って発したことばが、
思いもよらず、逆効果となることだって大いにありうる。
(自分自身を振り返っても、どれだけ失敗を重ねてきたか…;)
相手の方との関係性やタイミング、前後の文脈などによって、
ことばが突き刺さったり、せっかくの気持ちが誤って受け取られ
たりすることもしばしば起こりうるだろう。
しかし、だからといって、あたかも腫れ物に触るかのようにして、
自死された方やそのご遺族、自死(自殺)未遂をされた方と
相対してしまうことは、きっとおかしいのではないかと思う。
お互いが上記の理念に基づき、お互いに相手を尊重し合いながら
理解しようと努力し続けることがだいじではないか。
●
同じく毎日新聞7/1付けの磯崎記者さんのコラム(発信箱)
を読み、その柔らかなまなざしと優しさに深く共感した。
この世の中の1人ひとりが
「分からないかも知れない。でも、だからこそ、ぜひ分かりたい」
という気持ちで、悲しみやつらさ、しんどさを抱えた方々の
気持ちに、そっと寄り添ってくださる世の中であって欲しい。
それはきっと、すべての方にとって生きやすい世の中となる
はずだ。
以下、引用
*******
2009(平成21)年07月06日(月)
毎日新聞 東京朝刊
トップ>ニュースセレクト>話題
自死者:名誉回復を
専門家ら、5項目の宣言文 「心の病」に寛容さ求め
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090706ddm013040172000c.html
全国の自殺者が11年連続で年間3万人を超える中、
遺族を支援する専門家らが
「自死者の名誉回復宣言」
をまとめた。
「自殺はわがまま」
などの偏見が根強く、遺族が精神的に追いつめられるケースが
少なくない。
宣言を広めることで、
「みんな精いっぱい生きた」
と受け止められる社会を目指す。【中村美奈子】
宣言したのは精神科医や大学教授、僧侶ら発起人5人でつくる
「自死者の名誉回復宣言委員会」。
40年間遺族を診察してきた「北千住旭クリニック」(東京都
足立区)院長で精神科医の平山正実さん(70)が発案した。
平山さんによると、自ら死を選ぶ人はうつ病などの「心の病」
にかかっていることが多いが、周囲は
「何でもう少しがんばれなかったのか」
「自殺は人生の敗北」
などと見なし、残された遺族まで心を病んでしまうという。
平山さんは、自殺に対する差別や偏見をなくさない限り
状況は変わらないと考え、社会の倫理規範になるような
宣言文の作成を思い立った。
今年2月から、自殺者の遺族にも呼びかけて議論を重ね、
文案を練った。
遺族からは
「ありがたい」
という声の一方、
「自殺を推奨することにならないか」
「故人に対しては悲しみ、怒り、恨みなど複雑な感情がある」
などの意見も出たといい、宣言では自殺を美化しないことを
明記した。
「意図的な行為ではなく、おのずから死に至った」
との意味で、「自殺」ではなく「自死」という言葉を使い、
5項目から成る宣言文をまとめた。
遺族同士の分かち合いの会を運営し、約2,000人の遺族と
接してきた発起人の1人、藤井忠幸さん(70)は
「自死者の遺族の多くは肩身の狭い思いで暮らしており、
婚約相手に身内が自殺したことを言えず、
思い悩んでいる人もいる。
遺族の思いを社会的に共有するには明文化が必要。
家族や医療者が努力しても防げない自殺もあり、
遺族の自責の念が少しでも和らげば」
と話す。
周知のため今後、内閣府や厚生労働省、都道府県の自殺対策部署、
仏教やキリスト教の教団などに遺族の置かれている状況を説明し、
宣言全文のビラを送る。賛同する個人、グループも募っていく。
問い合わせは同委員会(〒107−0052 東京都港区赤坂
9の2の6の103、ファクス03・5775・3871)。
メールはsengen@jishicare.org
◇「生きるため必死に闘っていた」息子亡くした母、偏見に悩み
50代のある女性は、3年前に息子を亡くした。
毎週通っていたキリスト教の教会で、ある信者が自殺について
の見解を牧師に尋ねたところ、牧師は
「自殺は罪です。だが、その人を助けられなかった我々にも
罪はあります」。
遺族にはつらい教えだった。女性は
「息子の死は罪なのか」
とショックを受け、2日間泣き暮らしたという。
息子は生前、精神科に通っており、薬を替えた当日に
自殺は起きた。
「死の直前まで、生きたい、生きたいと言っていた。
まじめで何事も一生懸命で、この時代に生きづらくなる
くらい、優しくて繊細な子だった」
女性は、行政の自殺防止キャンペーンの広告で
「いのちを大切に」
とあるのを見ると、悲しくなるという。
「息子はいのちを大切にしなかったというのか」。
吐き気に耐え、必死で病気と闘っていた息子の姿が浮かび、
憤りさえ感じるという。
発起人の1人で、グリーフケア(悲嘆への支援)に詳しい
洗足学園短大講師、三輪久美子さんは
「家族を病気で亡くす場合と違って、自死遺族は
『なぜ止められなかったのか』
と周りから非難され、安心して自分の思いを語れる相手が
いない」
とし、
「うつ病は誰でも患う可能性があり、自分たちの問題だと
皆が思うようにならないと、自殺への偏見はなくならない」
と話している。
◇電話相談の時間を拡張−−自殺防止センター
悩みを抱え、自殺を考えている人からの電話相談に応じている
NPO法人「国際ビフレンダーズ東京自殺防止センター」
(東京都新宿区、相談受付電話03・5286・9090)
は今年4月から、毎週火曜の相談受け付けを3時間早め、
午後5時〜翌朝6時とした。他の曜日は午後8時〜翌朝6時。
年中無休。
公的機関や医療機関の相談窓口の多くが午後5時までで、
午後8時までが「空白時間」になっていたため。
10月からは、毎週土曜も午後5時からとする予定。
相談に当たる20歳以上のボランティアも募集中。
研修の受講が必要で、申し込みは同センター
(電話03・3207・5040)。
電話相談は
▽大阪(電話 06・4395・4343、24時間)
▽宮崎(電話 0985・77・9090、毎週日・水・金曜
午後8〜11時)
▽熊野(電話 0597・92・2277、毎週金・土曜
午後7〜11時)
の自殺防止センターも応じている。
==============
◇自死者の名誉回復文
わたくしたちは、おのずから亡くなった人たちの人格の尊厳と
名誉を守るために、「自殺」という言葉ではなく、「自死」と
いう言葉を用い、次のように宣言します。
▽わたくしたちは、自死をいたずらに推奨し、美化したりは
決していたしません。
▽わたくしたちは、自死者はいのちを大切にしなかったわけでは
なく、それぞれのかかえる問題でやむにやまれず、みずからの
命を絶たざるをえない状況に追い込まれたのだと考えます。
▽わたくしたちは、自死者の人格を非難、中傷、攻撃するような
社会的風潮やいわれなき偏見に反対します。
▽わたくしたちは、自死者は繊細、純粋、心やさしく、死ぬまで
精一杯努力し、まじめに生きてきた人たちであると考えます。
▽わたくしたちは、自死者の思いに寄り添い、祈り、かれらの
生きた日々を心に刻み続けます。
毎日新聞 2009年07月06日 東京朝刊
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
2009(平成21)年07月01日(水)
毎日新聞
トップ>ニュースセレクト>社説・解説・コラム>発信箱
発信箱:父がくれた道=磯崎由美(生活報道センター)
http://mainichi.jp/select/opinion/hasshinbako/news/20090701k0000m070154000c.html
「父を否定しているようで、つらくなるんです」。
4年前、自殺をなくそうと活動していた美和さん(30)が
漏らした言葉が忘れられない。
自分のような子を増やしたくない。
でもお父さんは悪いことをしたの?
当時彼女は2つの思いを行き来していた。
大好きだった父は97年暮れ、自らの命と引き換えに、
家族が暮らす家のローンと借金をなくした。
まだ高校生だった彼女には詳しい事情を知る由もない。ただ
「どんな人生を送ってこようと、亡くなり方1つで
社会の目は変わってしまう」
と知らされた。
それから時を重ね、美和さんは昨年新しい家族を作った。
間もなく初めての命を授かる。
女の子らしいと聞き、夫が待ちきれず大きなおなかに話しかける。
その姿に、自分の誕生を心待ちにしたという若き父を重ねる。
「お父さんもうれしいこと、悲しいこと、たくさんあって、
精いっぱい生きた」。
今はそう思う。
父の選択と向き合い続けた美和さんは、精神障害福祉の職に
就いている。
心の病は理解されづらい。ある日突然診断を受け、本人も家族も
受け入れるのは容易ではない。自殺の要因でもある。
それでも作業所で一緒に小物を作っていると、
みんなに生きる力を教えられる。
美和さんの父が亡くなった翌年から、
自殺者は11年連続で3万人を超えた。
数字の裏にはその何倍もの残された悲しみや、止められなかった
という悔いがある。でも周囲は自殺を人生の敗北と見る。
そのつらさはいまだに、遺族と呼ばれる存在にならなければ
感じられないものなのか。
悩み、考え抜いて、人を支える。
彼女の仕事はきっと悲しみを減らしていくことにつながっている。
毎日新聞 2009年07月01日 00時10分
*******
以上、引用終わり
まことにありがとうございました _(_^_)_
>中村記者様、毎日新聞社様
自殺対策基本法の第7条にも、以下の理念が明確にうたわれて
いる。多くの方々に、同法をぜひとも深く知っていただきたい。
※ ※ ※ ※ ※
(名誉及び生活の平穏への配慮)
第7条 自殺対策の実施に当たっては、自殺者及び自殺未遂者
並びにそれらの者の親族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、
いやしくもこれらを不当に侵害することのないようにしなければ
ならない。
※ ※ ※ ※ ※
●
自死(自殺)問題は、デリケートでセンシティブな内容を含む。
相手のためにと思い、よかれと思って発したことばが、
思いもよらず、逆効果となることだって大いにありうる。
(自分自身を振り返っても、どれだけ失敗を重ねてきたか…;)
相手の方との関係性やタイミング、前後の文脈などによって、
ことばが突き刺さったり、せっかくの気持ちが誤って受け取られ
たりすることもしばしば起こりうるだろう。
しかし、だからといって、あたかも腫れ物に触るかのようにして、
自死された方やそのご遺族、自死(自殺)未遂をされた方と
相対してしまうことは、きっとおかしいのではないかと思う。
お互いが上記の理念に基づき、お互いに相手を尊重し合いながら
理解しようと努力し続けることがだいじではないか。
●
同じく毎日新聞7/1付けの磯崎記者さんのコラム(発信箱)
を読み、その柔らかなまなざしと優しさに深く共感した。
この世の中の1人ひとりが
「分からないかも知れない。でも、だからこそ、ぜひ分かりたい」
という気持ちで、悲しみやつらさ、しんどさを抱えた方々の
気持ちに、そっと寄り添ってくださる世の中であって欲しい。
それはきっと、すべての方にとって生きやすい世の中となる
はずだ。
以下、引用
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2009(平成21)年07月06日(月)
毎日新聞 東京朝刊
トップ>ニュースセレクト>話題
自死者:名誉回復を
専門家ら、5項目の宣言文 「心の病」に寛容さ求め
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090706ddm013040172000c.html
全国の自殺者が11年連続で年間3万人を超える中、
遺族を支援する専門家らが
「自死者の名誉回復宣言」
をまとめた。
「自殺はわがまま」
などの偏見が根強く、遺族が精神的に追いつめられるケースが
少なくない。
宣言を広めることで、
「みんな精いっぱい生きた」
と受け止められる社会を目指す。【中村美奈子】
宣言したのは精神科医や大学教授、僧侶ら発起人5人でつくる
「自死者の名誉回復宣言委員会」。
40年間遺族を診察してきた「北千住旭クリニック」(東京都
足立区)院長で精神科医の平山正実さん(70)が発案した。
平山さんによると、自ら死を選ぶ人はうつ病などの「心の病」
にかかっていることが多いが、周囲は
「何でもう少しがんばれなかったのか」
「自殺は人生の敗北」
などと見なし、残された遺族まで心を病んでしまうという。
平山さんは、自殺に対する差別や偏見をなくさない限り
状況は変わらないと考え、社会の倫理規範になるような
宣言文の作成を思い立った。
今年2月から、自殺者の遺族にも呼びかけて議論を重ね、
文案を練った。
遺族からは
「ありがたい」
という声の一方、
「自殺を推奨することにならないか」
「故人に対しては悲しみ、怒り、恨みなど複雑な感情がある」
などの意見も出たといい、宣言では自殺を美化しないことを
明記した。
「意図的な行為ではなく、おのずから死に至った」
との意味で、「自殺」ではなく「自死」という言葉を使い、
5項目から成る宣言文をまとめた。
遺族同士の分かち合いの会を運営し、約2,000人の遺族と
接してきた発起人の1人、藤井忠幸さん(70)は
「自死者の遺族の多くは肩身の狭い思いで暮らしており、
婚約相手に身内が自殺したことを言えず、
思い悩んでいる人もいる。
遺族の思いを社会的に共有するには明文化が必要。
家族や医療者が努力しても防げない自殺もあり、
遺族の自責の念が少しでも和らげば」
と話す。
周知のため今後、内閣府や厚生労働省、都道府県の自殺対策部署、
仏教やキリスト教の教団などに遺族の置かれている状況を説明し、
宣言全文のビラを送る。賛同する個人、グループも募っていく。
問い合わせは同委員会(〒107−0052 東京都港区赤坂
9の2の6の103、ファクス03・5775・3871)。
メールはsengen@jishicare.org
◇「生きるため必死に闘っていた」息子亡くした母、偏見に悩み
50代のある女性は、3年前に息子を亡くした。
毎週通っていたキリスト教の教会で、ある信者が自殺について
の見解を牧師に尋ねたところ、牧師は
「自殺は罪です。だが、その人を助けられなかった我々にも
罪はあります」。
遺族にはつらい教えだった。女性は
「息子の死は罪なのか」
とショックを受け、2日間泣き暮らしたという。
息子は生前、精神科に通っており、薬を替えた当日に
自殺は起きた。
「死の直前まで、生きたい、生きたいと言っていた。
まじめで何事も一生懸命で、この時代に生きづらくなる
くらい、優しくて繊細な子だった」
女性は、行政の自殺防止キャンペーンの広告で
「いのちを大切に」
とあるのを見ると、悲しくなるという。
「息子はいのちを大切にしなかったというのか」。
吐き気に耐え、必死で病気と闘っていた息子の姿が浮かび、
憤りさえ感じるという。
発起人の1人で、グリーフケア(悲嘆への支援)に詳しい
洗足学園短大講師、三輪久美子さんは
「家族を病気で亡くす場合と違って、自死遺族は
『なぜ止められなかったのか』
と周りから非難され、安心して自分の思いを語れる相手が
いない」
とし、
「うつ病は誰でも患う可能性があり、自分たちの問題だと
皆が思うようにならないと、自殺への偏見はなくならない」
と話している。
◇電話相談の時間を拡張−−自殺防止センター
悩みを抱え、自殺を考えている人からの電話相談に応じている
NPO法人「国際ビフレンダーズ東京自殺防止センター」
(東京都新宿区、相談受付電話03・5286・9090)
は今年4月から、毎週火曜の相談受け付けを3時間早め、
午後5時〜翌朝6時とした。他の曜日は午後8時〜翌朝6時。
年中無休。
公的機関や医療機関の相談窓口の多くが午後5時までで、
午後8時までが「空白時間」になっていたため。
10月からは、毎週土曜も午後5時からとする予定。
相談に当たる20歳以上のボランティアも募集中。
研修の受講が必要で、申し込みは同センター
(電話03・3207・5040)。
電話相談は
▽大阪(電話 06・4395・4343、24時間)
▽宮崎(電話 0985・77・9090、毎週日・水・金曜
午後8〜11時)
▽熊野(電話 0597・92・2277、毎週金・土曜
午後7〜11時)
の自殺防止センターも応じている。
==============
◇自死者の名誉回復文
わたくしたちは、おのずから亡くなった人たちの人格の尊厳と
名誉を守るために、「自殺」という言葉ではなく、「自死」と
いう言葉を用い、次のように宣言します。
▽わたくしたちは、自死をいたずらに推奨し、美化したりは
決していたしません。
▽わたくしたちは、自死者はいのちを大切にしなかったわけでは
なく、それぞれのかかえる問題でやむにやまれず、みずからの
命を絶たざるをえない状況に追い込まれたのだと考えます。
▽わたくしたちは、自死者の人格を非難、中傷、攻撃するような
社会的風潮やいわれなき偏見に反対します。
▽わたくしたちは、自死者は繊細、純粋、心やさしく、死ぬまで
精一杯努力し、まじめに生きてきた人たちであると考えます。
▽わたくしたちは、自死者の思いに寄り添い、祈り、かれらの
生きた日々を心に刻み続けます。
毎日新聞 2009年07月06日 東京朝刊
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
2009(平成21)年07月01日(水)
毎日新聞
トップ>ニュースセレクト>社説・解説・コラム>発信箱
発信箱:父がくれた道=磯崎由美(生活報道センター)
http://mainichi.jp/select/opinion/hasshinbako/news/20090701k0000m070154000c.html
「父を否定しているようで、つらくなるんです」。
4年前、自殺をなくそうと活動していた美和さん(30)が
漏らした言葉が忘れられない。
自分のような子を増やしたくない。
でもお父さんは悪いことをしたの?
当時彼女は2つの思いを行き来していた。
大好きだった父は97年暮れ、自らの命と引き換えに、
家族が暮らす家のローンと借金をなくした。
まだ高校生だった彼女には詳しい事情を知る由もない。ただ
「どんな人生を送ってこようと、亡くなり方1つで
社会の目は変わってしまう」
と知らされた。
それから時を重ね、美和さんは昨年新しい家族を作った。
間もなく初めての命を授かる。
女の子らしいと聞き、夫が待ちきれず大きなおなかに話しかける。
その姿に、自分の誕生を心待ちにしたという若き父を重ねる。
「お父さんもうれしいこと、悲しいこと、たくさんあって、
精いっぱい生きた」。
今はそう思う。
父の選択と向き合い続けた美和さんは、精神障害福祉の職に
就いている。
心の病は理解されづらい。ある日突然診断を受け、本人も家族も
受け入れるのは容易ではない。自殺の要因でもある。
それでも作業所で一緒に小物を作っていると、
みんなに生きる力を教えられる。
美和さんの父が亡くなった翌年から、
自殺者は11年連続で3万人を超えた。
数字の裏にはその何倍もの残された悲しみや、止められなかった
という悔いがある。でも周囲は自殺を人生の敗北と見る。
そのつらさはいまだに、遺族と呼ばれる存在にならなければ
感じられないものなのか。
悩み、考え抜いて、人を支える。
彼女の仕事はきっと悲しみを減らしていくことにつながっている。
毎日新聞 2009年07月01日 00時10分
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以上、引用終わり







