先日、ワーク・ライフ・バランスについて取材をする機会があり、関連する本をいくつか読んでみた。
その中で、子育ての当事者として、最も心に響いたのがこの本。「どうも、ワーク・ライフ・バランスって、いいとこどりではないか?」と、もやもやしていた部分に本質的に切り込んでいる。著者の萩原さんは元読売新聞記者で現在はフリー。一度、大阪にお呼びしてみたい。
「迷走する両立支援〜いま、子どもを持って働くということ〜」 著書:萩原久美子さん
(紹介文から)
もし、本気で両立支援にのりだそうと思うなら、そのいちばんのヒントは他の企業の取り組みや制度じたいにあるのではない。その職場や地域にいる母親や父親、働く人たちそれぞれがいま最前線で抱える体験のなかにこそ、ある。「両立」に葛藤する働く親の声に耳を澄まし、その言葉の奥底からうかびあがる社会の問題に言葉を与え、見えなかった問題を見えるようにすること。そこにこそ、ほんとうの両立支援の一歩があると信じている。
● ● ●
また、別の日に、神戸大学男女共同参画推進室の初代室長を務めた朴木佳緒留先生(現在は、神戸大学発達科学部長)にも、インタビューをさせていただいた。
男女共同参画やジェンダーがご専門の、朴木(ほうのき)先生は、「現在のワーク・ライフ・バランスの取り組みは正社員ばかりを相手にする傾向にあるのではないか?」として、疑問を投げかけておられた。
「広義のワーク・ライフ・バランスは、生活の質の向上やライフサイクルに応じて働き方を自ら選べる安定した労働環境づくりの意味があります。働く女性の半数が非正社員である日本の現状に照らし合わせると、女性と男性、正社員と非正社員の賃金格差の是正なしに進めるのには、課題が多いように思います」とも、指摘されている。
政府や自治体、労働組合には、企業や正社員への「予算措置を伴わない」取り組み支援だけでなく、労働者の賃金格差にどう向かい合うかが、問われていることを実感した機会となった。
鈴木暁子