アンゴラのダイヤモンド採掘における人権侵害Vol.2 [2015年04月19日(Sun)]
アンゴラのダイヤモンド採掘における人権侵害Vol.2 【2015年3月25日(水)アンゴラ=ラファエル・マルケス・デ・モライス(ガーディアン新聞:英国)】 「『血のダイヤモンド』の主張を巡り、アンゴラ人ジャーナリストに対して追加告訴」 〜アンゴラの検察がラファエル・マルケス・デ・モライス氏(アンゴラ人ジャーナリスト)を新たに15件の罪で告発、裁判所前で擁護者と警察が揉み合いに〜 アンゴラのダイヤモンド鉱山で残虐行為や人権侵害に関与したとして軍や企業幹部を訴えた有名なジャーナリストが名誉棄損罪に問われている件について、アンゴラの検察側が彼に対して追加の罪での起訴を発表したため、公判が延期されることになりました。 ラファエル・マルケス・デ・モライス氏(43)は名誉棄損罪で9件の刑事告訴を受け、24日午前、アンゴラの首都ルアンダの法廷に出頭しました。しかし、開廷の大幅な遅れの後、マルケス氏の2012年の著書「血のダイヤモンド:アンゴラの腐敗と拷問(Blood Diamonds: Corruption and Torture in Angola)」を巡って、マルケス氏が新たに15件の名誉棄損罪に問われることが弁護人に伝えられました。著書には、治安部隊やアンゴラの軍部がアンゴラ・クワンゴ地域にあるダイヤモンド鉱山の周辺住民や末端の採掘労働者に対して行ってきた100件以上の殺害と何百件もの拷問の詳細が書かれていました。 新たな罪が発表されたことを受け、マルケス氏は自身のツイッター上で「今日、9件の名誉棄損罪のために出廷した。新たに15件もの名誉棄損罪を突き付けられた。言語道断だ!」とつぶやきました。 フランス通信社によると、今回の騒動は、裁判官が、扉を閉鎖しマスコミや一般市民を締め出して、非公開で訴訟を行うと決定したことを皮切りに、マルケス氏の擁護者と警察が裁判所前で揉み合いになりました。抗議していた数人が逮捕されましたが、その中には「ラファエルを解放しろ」、「軍人を拘置しろ」といったプラカードを掲げ、声を上げて訴える人もいました。 訴訟の日の後、裁判官は弁護人に新たな起訴内容に対する弁論の準備期間を与えるため、4月23日まで裁判を延期することを決めました。マルケス氏が有罪の場合、9年の服役と名誉棄損の賠償金80万英ポンド(日本円にして約1億4千万円)が科せられます。 マルケス氏は「軍や企業幹部は血のダイヤモンドで利益を得ているため、共謀して暴行を行い、虐殺を止めるために何もしなかった」と主張しています。 彼がこの件で軍の「倫理的責任」を問おうと刑事告発を決めたことをきっかけに、軍や関係者らがアンゴラの前植民地支配国ポルトガルでマルケス氏を名誉棄損罪で告訴しました。 しかし、リスボン公訴局は2年前、証拠不十分としてこの主張を退けています。現在、軍や告訴人らはアンゴラの裁判所を通してマルケス氏を訴えています。 マルケス氏は自宅の小さな台所で立ち上げた事実調査ウェブサイト「マカ・アンゴラ(Maka Angola)」を7年間管理していますが、以前、アンゴラのジョゼ・エドゥアルド・ドス・サントス大統領を独裁者と表現したため拘置されました。マルケス氏は1999年に罪状なく43日間監禁され、独房で何日間も食料や水を口にせず過ごしました。 彼はこの訴訟の状況を「不条理な状況だ」と言います。先週、検閲時評(Index on Censorship)主催の表現の自由賞・ジャーナリズム部門の共同受賞者挨拶では「この訴訟は私をより強くしてくれるだろう」と述べました。 その後、彼はイギリスの新聞「オブザーバー」の取材に対して「アンゴラ国民が政府当局の責任を問うたからといって、恐れたり難題だと感じたりする必要は全くないことが、今回の訴訟で明らかになるだろう」と話しました。 ※ 本記事は英国の新聞「The Guardian」に掲載されてものを、DFPにて翻訳したものです。 原文「Angolan journalist faces further charges over blood diamonds claims」http://www.theguardian.com/world/2015/mar/25/angolan-journalist-libel-charges-blood-diamonds-claims <関連記事> ・アンゴラのダイヤモンド採掘における人権侵害 Vol.1 |