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川北秀人on人・組織・地球

「地球上のすべての生命にとって、民主的で調和的な発展のために」を目的に、市民団体(NPO)・社会事業家(ソーシャル・アントレプレナー)や社会責任(CSR)志向の企業のマネジメントの支援や、市民・企業・行政の協働の支援などに奔走する、IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者の毎日の、ほんの一部をご紹介します。


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旧か、興か? [2013年03月12日(Tue)]
節目は、過去を思い出すためではなく、
当初の目標と経緯をふりかえり、次の節目に向けた
改善を確認するためにある、と考えている自分にとって、
3月11日だけでなく、大切な節目は、他にもいくつか
(実はたくさん)ある。

それが人類史上最大規模の大地震と津波という天災だったとは言え、
原発の炉心溶融と被災者支援・被災地再生の遅れという人災によって、
被災者や支援者が前向きに進んでいく気持ちが高まり切らず、
苛立ちや、諦めにも似た消極性・受動性さえ生んでしまっている
ことは、否定できない現実だ。

原因や背景を正確に把握したうえで、改善のアクションを効果的に
進めるために、敢えて厳しく言うなら、被災者支援と被災地再生を
阻害する最大の要因は、復興ではなく、復旧を進めてしまったこと
にある。

このブログでも、発災直後から再々指摘したように、岩手・宮城・
福島の沿岸部は、もともと高齢化率が高く、事業所の(新規設立や
廃業という)新陳代謝も低かったところに、多くの人命や財産が
失われた。

このとき、「地域の再生を踏み込んで進める契機だ」ととらえて判断し、
行動を始めれば、国内外からの支援を受けて、課題先進国・日本を導く
課題解決先駆地域として、進んでいくことができた。
実際に、私たちが微力ながらお手伝いさせていただいている地域では、
震災前には地域の中で力を発揮できずにいた女性や若者たちが、
先輩たちの期待や支援を受けながら、着実に新しい道を拓いている。

しかし、従来の、いわば活性度が下がり続けていた平時の手順や
判断基準に基づいて進めているところは、「・・・してもらえない」
「自分たちでは・・・できない」「・・・は・・だから難しい」
といった、まさしく活性度を下げ続けてきたときと同じ言葉を、
住民も行政も口にし続けている。

復興と復旧の違いは、ここにある。

行政、特に県は、すぐに「復旧」し、自分たちの感覚や枠組みの中で
対応や事業を進めさせた。「元のまちに」という声も多い。

しかし、「興す」という言葉は、

1 ひっそりしていたものを目立つ状態にする。
  衰えていたものを再び勢いづかせる。
2 新しく物事を始める。
3 気力を充実させる。奮い立たせる。
4 大挙して立ち上がらせる。

という意味であり、国や県など一部の現場から遠い人々が、従来の
権限や手続きに則って進めることによってではなく、そこにいる人々
自身が、多少は時間がかかっても、当事者としての判断と行動を
積み重ねていくことでしか実現できない。

被災した人々は、ずっと誰かによる支援を受け、待ち続けるままか、
それとも、自らが復興の担い手となるのか。
問題は、「リーダーという人材の不在」ではなく、「誰もが少しずつ
積極性や主体性を発揮して、リスクを取って進めていくリーダーシップ
の不足」にある。

元に戻すなら、従来のやり方でも、できるかもしれない。
しかし再生を機に、少し先の未来に備えて興すなら、チャレンジが
不可欠だ。

リーダーシップもチャレンジも、恋や学習と同じように、
力(チカラ)ではなく、気持ちから始まる。
興したいと心から望むか、元に戻すだけでいいと思うか。
その気持ちを、自分の中だけにとどめるのではなく、周囲の人々に
話しながら、自分自身が少しずつ動き出せるか。

これは被災地だけの問題ではなく、日本国内はもちろん、
世界中の地域に共通する「自治できるか」という試練だ。

どんなに小さな集落でも、自分たち自身でできることを増やし
ながら、自治を高めていくことを、「小規模多機能自治」と
呼んでいる。被災したかどうかではなく、少し先の未来に
どんな地域でありたいかを、自分たち自身で考え、決め、
行動する。そういう小さなチャレンジが集まった、豊かな森を
つくるために、これまでよりもっと深く踏み込みながら、
被災された地域にも、そうでない地域にも、お手伝いし続けたい。

きっと加藤哲夫さんも、同じことをおっしゃるに違いない。
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