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川北秀人on人・組織・地球

「地球上のすべての生命にとって、民主的で調和的な発展のために」を目的に、市民団体(NPO)・社会事業家(ソーシャル・アントレプレナー)や社会責任(CSR)志向の企業のマネジメントの支援や、市民・企業・行政の協働の支援などに奔走する、IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者の毎日の、ほんの一部をご紹介します。


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【必読!】所得税の寄付控除はどうあるべきか? [2012年06月10日(Sun)]
いろんな仕事を溜めてしまい、みなさまにご迷惑をおかけし、
本当に申し訳なくお詫びするとともに、体力や能力の低さや
衰えを体感する昨今ですが、喝を入れられる記事。

Economist の2012年6月9日号(手元では最新)の
Sweetned Charity」は、イギリス国会で議論が始まった、
「すべての寄付控除は、控除を受ける人への便益を
控除を受けない人の負担によってまかなっている」という
とっても古くて新しい問題への興味深い論考です。

そもそもイギリスで寄付控除が導入されたのは、なんと16世紀の
エリザベス1世の時代にさかのぼるそうですが、その後、1798年(!)に
フランス革命戦争への戦費調達の一環として拡充され、アメリカでも
連邦政府に所得への課税が認められたわずか4年後の1917年に、
本格的に導入されたとか。

問題は、高額所得者の寄付に対する(優遇的な)税制が、低所得者の
(控除の対象となる額を超えない少額の)寄付や、寄付をしない人への
課税に対して、優遇的すぎるのでは、ということ。
また、自らの所得税について優遇を受けているNPO(イギリスでは
チャリティといいますね)が、行政(国や自治体)から委託を受ける
ことが、同業の民間事業者の参入や競争力上の問題として不平等では
ないか、ということも。

これが日本で問題になるには、あと何十年かかるだろうと思いながら、
しかし、「NPOは寄付(と寄付者への優遇税制)や政府からの
資金提供に見合う成果や価値を、社会に生んでいるといえるか?」という
問題は、まさに足元の問題ですよね。
1998年度に「緊急経済対策」がスタートして以来、毎年数兆円に及ぶ
政府や民間からの資金を受けながら、事業の成果や、社会への価値や、
経営上の力や、働いてくれている人材の育成に、きちんと応えられていない
私たちNPOのセクターが、いつになれば、ちゃんと応えられるか。

すべての団体は無理にしても、できる団体を加速的に増やすことが、
支援に携わる私たちの責任だと、改めて感じました。

同号にはもう1本、
Philanthro-Journalism: Reporters without orders」という、
これもとっても興味深い記事が。
商業主義的に、販売部数や広告によってではなく、寄付や助成によって
支えられているメディアの現状や意義について紹介されています。
私たちIIHOEも、ジャーナリスティックではないかもしれませんが、
調査報道や政策提言・啓発に類する取り組みは、ずっと続けています。
昨年春まで12年間・72号に及んだ「NPOマネジメント」に続く
「ソシオ・マネジメント」というメディアを、近日中に創刊します。

あぁ、その原稿の執筆が、遅れに遅れていることを、今思い出しました。。。
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