2013年8月生活記録 (第5期生 川俣郁美)[2013年09月30日(Mon)]
◆◇夏休みを終えて◇◆◇
留学中最長の2ヶ月半の一時帰国、数多くの貴重な経験を積むことができた。今後の目標となる方々に出会えたこと、日本のろう社会の歴史や現状をさらに学ぶことができたことも、この夏得た財産である。ご多忙中にもかかわらず、丁寧な指導をしてくれた全日本ろうあ連盟、栃木県聴覚障害者協会には感謝の気持ちでいっぱいです。この夏学び得たことを糧に、大学院でもしっかり勉学に励み、帰国後できるだけ日本のろう社会に貢献できるよう、精進していきたい。
◆◇大学院進学◇◆◇
当初の予定では、2014年5月に卒業予定だったが、予定より1年間早い卒業となったため、大学院進学を決めた。専攻は行政学(Master of Public Administration)と国際開発学(International Development)である。卒業予定は2年半後の2015年12月。日本財団からの助成は予定通り2014年5月までである。
◆◇行政学と国際開発学に決めた理由◇◆◇
ソーシャルワーク学士課程では、ミクロ(個人)・メゾ(集団•家族)•マクロ(地域•団体•行政)の3レベルでの、ニーズの特定方法や支援方法を学んだ。そうしていく中で、マクロレベルでのろう者の権利アドボカシー(権利擁護、政策提言)をしたいと想いが強くなった。また、ゆくゆくはアジア発展にも貢献したいという目標が留学当初からある。
行政学では、公共団体•組織の運営方法、政策形成過程、行政管理における意思決定のあり方等を学び、ろう者のニーズに対応した行政のあり方を学ぶ。国際開発学では、国際関係、社会的•政治的•経済的開発理論、開発政策や事業計画の分析•策定•実行•評価方法、人権アドボカシー等を学び、ろう者のニーズをどう政策に反映させるかを学ぶ。また、障害者権利条約のモデルとなった1990年制定の障害のあるアメリカ人法(ADA法)の現状や課題点などについて学び、日本にどう応用できるかを考えたい。
◆◇履修クラス◇◆◇
今学期の履修クラスは以下の通り。詳細は来月の生活記録で報告したい。
組織再設計 Redesigning Organization
研究法入門 Introduction to Research
国際開発入門 Introduction to International Development
国際関係と開発 International Relations and Development
◆◇公民権大行進50周年記念◇◆◇
50年前の8月28日、人々は黒人の公民権を求め大行進をし、リンカーン記念館でマーティン•ルーサー•キング牧師が「I have a dream.(私には夢がある)」と唱えた 。今年、50周年を 記念して行進と記念式典 が行われ、私もクラスで参加した。ユニオン駅からリンカーン記念館までの数万人と大行進。人々が挙げるプラカードやTシャツには、黒人差別解消だけではなく、同性愛者•移民•障害者の権利、宗教の自由、など様々な主張が書かれてあった。
行進の終点リンカーン記念館で記念式典が行われたのだが、障害者用ブースは会場の中間に設置してあったものの、字幕と手話通訳が設置してあるのは会場の一番前のVIPブースのスクリーンのみ。そこに一般人はアクセスできない。一般ブースからは字幕も手話通訳も見えない。セキュリティースタッフに私たちは手話通訳•字幕が必要だと訴えても、VIPチケット無しには入場できないとの一点張り。一方で、早めに着いたクラスメイトの何人かからは、チケットなしにVIPブースに入れたというメールが。偶然私たちと一緒にいた全米ろう協会の会長がすぐにホワイトハウスに苦情のメールを入れた。すぐに対応します、と返事があったそうだが、対応を待っている間に、時間は過ぎていく。そこに、一緒にいたろう者が、偶然通りかかったセキュリティースタッフと話していると、たまたま共通の友人がいたらしく、事情を話すとさらりと入場許可がおりた。会場についてから約1時間後であった。同時に、やっと全スクリーンに字幕がついた、という情報が入った。だが手話通訳は始終ないままだったという。
偶然が重なり、運良くオバマ大統領やキング牧師ファミリーをはじめとする著名な方々の演説を近くで、手話通訳を通して聞くことができたのだが、手話通訳を通して演説を聞けなかったろう者がどれだけいたのだろうか。主催者の障害者への配慮、スタッフ全体に指示•情報が行き渡っておらず、スタッフによって対応がばらばらだったこと、人脈(コネ)で変わる対応に疑問を抱いた。
この50年、初の黒人大統領当選をはじめ、管理職に就く黒人は増えてきているものの、人種問題だけではなく、同性愛者、女性、移民、障害者などに関する多くの課題が残されており、今後も前進し続けなければならない。アメリカ障害者協会会長のFred Maahs氏も、今日、アメリカの障害者の非雇用率は障害のない者の2倍だと述べ、障害者権利条約批准の重要性について語っていた。We have a dream.
留学中最長の2ヶ月半の一時帰国、数多くの貴重な経験を積むことができた。今後の目標となる方々に出会えたこと、日本のろう社会の歴史や現状をさらに学ぶことができたことも、この夏得た財産である。ご多忙中にもかかわらず、丁寧な指導をしてくれた全日本ろうあ連盟、栃木県聴覚障害者協会には感謝の気持ちでいっぱいです。この夏学び得たことを糧に、大学院でもしっかり勉学に励み、帰国後できるだけ日本のろう社会に貢献できるよう、精進していきたい。
◆◇大学院進学◇◆◇
当初の予定では、2014年5月に卒業予定だったが、予定より1年間早い卒業となったため、大学院進学を決めた。専攻は行政学(Master of Public Administration)と国際開発学(International Development)である。卒業予定は2年半後の2015年12月。日本財団からの助成は予定通り2014年5月までである。
◆◇行政学と国際開発学に決めた理由◇◆◇
ソーシャルワーク学士課程では、ミクロ(個人)・メゾ(集団•家族)•マクロ(地域•団体•行政)の3レベルでの、ニーズの特定方法や支援方法を学んだ。そうしていく中で、マクロレベルでのろう者の権利アドボカシー(権利擁護、政策提言)をしたいと想いが強くなった。また、ゆくゆくはアジア発展にも貢献したいという目標が留学当初からある。
行政学では、公共団体•組織の運営方法、政策形成過程、行政管理における意思決定のあり方等を学び、ろう者のニーズに対応した行政のあり方を学ぶ。国際開発学では、国際関係、社会的•政治的•経済的開発理論、開発政策や事業計画の分析•策定•実行•評価方法、人権アドボカシー等を学び、ろう者のニーズをどう政策に反映させるかを学ぶ。また、障害者権利条約のモデルとなった1990年制定の障害のあるアメリカ人法(ADA法)の現状や課題点などについて学び、日本にどう応用できるかを考えたい。
◆◇履修クラス◇◆◇
今学期の履修クラスは以下の通り。詳細は来月の生活記録で報告したい。
組織再設計 Redesigning Organization
研究法入門 Introduction to Research
国際開発入門 Introduction to International Development
国際関係と開発 International Relations and Development
◆◇公民権大行進50周年記念◇◆◇
50年前の8月28日、人々は黒人の公民権を求め大行進をし、リンカーン記念館でマーティン•ルーサー•キング牧師が「I have a dream.(私には夢がある)」と唱えた 。今年、50周年を 記念して行進と記念式典 が行われ、私もクラスで参加した。ユニオン駅からリンカーン記念館までの数万人と大行進。人々が挙げるプラカードやTシャツには、黒人差別解消だけではなく、同性愛者•移民•障害者の権利、宗教の自由、など様々な主張が書かれてあった。
行進の終点リンカーン記念館で記念式典が行われたのだが、障害者用ブースは会場の中間に設置してあったものの、字幕と手話通訳が設置してあるのは会場の一番前のVIPブースのスクリーンのみ。そこに一般人はアクセスできない。一般ブースからは字幕も手話通訳も見えない。セキュリティースタッフに私たちは手話通訳•字幕が必要だと訴えても、VIPチケット無しには入場できないとの一点張り。一方で、早めに着いたクラスメイトの何人かからは、チケットなしにVIPブースに入れたというメールが。偶然私たちと一緒にいた全米ろう協会の会長がすぐにホワイトハウスに苦情のメールを入れた。すぐに対応します、と返事があったそうだが、対応を待っている間に、時間は過ぎていく。そこに、一緒にいたろう者が、偶然通りかかったセキュリティースタッフと話していると、たまたま共通の友人がいたらしく、事情を話すとさらりと入場許可がおりた。会場についてから約1時間後であった。同時に、やっと全スクリーンに字幕がついた、という情報が入った。だが手話通訳は始終ないままだったという。
偶然が重なり、運良くオバマ大統領やキング牧師ファミリーをはじめとする著名な方々の演説を近くで、手話通訳を通して聞くことができたのだが、手話通訳を通して演説を聞けなかったろう者がどれだけいたのだろうか。主催者の障害者への配慮、スタッフ全体に指示•情報が行き渡っておらず、スタッフによって対応がばらばらだったこと、人脈(コネ)で変わる対応に疑問を抱いた。
この50年、初の黒人大統領当選をはじめ、管理職に就く黒人は増えてきているものの、人種問題だけではなく、同性愛者、女性、移民、障害者などに関する多くの課題が残されており、今後も前進し続けなければならない。アメリカ障害者協会会長のFred Maahs氏も、今日、アメリカの障害者の非雇用率は障害のない者の2倍だと述べ、障害者権利条約批准の重要性について語っていた。We have a dream.