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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2010年12月生活記録 (第5期生 川俣郁美)[2011年01月24日(Mon)]

あしかがフラワーパークにて


明けましておめでとうございます。
本年も昨年同様、ご支援•ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。


◆◇秋学期を振り返って◇◆◇
 毎日朝早くからクラスがあったため、割と規則正しい生活が送れた。そのせいか、体調を崩すことなく元気に過ごせた。家も学校のすぐ近くだったので、週末も学校へ行ったり、夜遅くまで学校で勉強ができたりと、なにかと便利だった。ただ、テスト前や大きな課題の提出日前になると徹夜することが何度かあったので、次学期はもっと計画的に過ごせるように心がけたい。

- American Sign Language and Deaf Studies/アメリカ手話とろう学
 生活記録で毎月このクラスについて話していたので、皆さんお分かりだと思うが、とても印象に残ったクラスである。アメリカ手話やろう史、ろう文学、手話言語学などを学んだ。特に言語学は私にとって新しい分野であり、学ぶことが多かった。ろう者としてのアイデンティティを高めることもできた。このクラスは一般教養科目に含まれており、ギャロデットならではのカリキュラムだと感じた。

- First Year Seminar/1年次セミナー
 読解力、レポートスキル、リサーチスキル、プレゼンテーションスキルなど、大学の授業で必要なスキルを学んだ。大学ではパワーポイントを使っての発表が数多く行われるので、このクラスはプレゼンテーションスキル養成に力をいれていた。人前で話すことが苦手な私にはもってこいのクラスであった。 聞き手に興味を持ってもらったり、自分の考えを理解してもらう発表の仕方を学んだ。他のクラスでもパワーポイントを使っての発表が何回かあったので、このクラスで学んだことがとても役に立った。秋学期だけで10回以上パワーポイント発表が会ったのだが、まだ、人前に立つとどうしても緊張してしまうので、さらなる練習が必要だと感じた。

- Economics for Social Workers/ソーシャルワーカーのための経済学
 経済学の基本や、経済の変化がどう人々に影響を及ぼすのか、なぜ社会福祉士が経済と大きく関係するのか、どう政府が経済に関わってくるか、などを学んだ。現代社会に置ける問題を取り上げ、分析しながら学んでいったので、わかりやすい授業であった。多くの読書が強いられ、読み切れない時もあったが、内容がアメリカの問題だけでなく、世界でも日本でも取り上げられている共通の問題ばかりだったので、読んでいてあまり苦にならなかった。クラスメイトとのディスカッションも盛んに行われ、現代社会についていろいろと考えさせられた。


◆◇冬休み◇◆◇
 冬休みはサンフランシスコと日本で過ごした。家族がサンフランシスコに来てくれると言うので、サンフランシスコで合流し、市内観光を共に楽しんだ。次はギャロデットを案内したい。年明け前に日本へ帰り、日本料理を堪能したり、家族と小旅行をしたり、友人と会ったり、アメリカから遊びにきてくれた友人を日光へ案内したりと、1年半ぶりの日本を楽しんだ。1月15日には第3期生岡田さんと管野さんの帰国報告会に参加することができ、先輩奨学生2人が留学中に吸収してきたことを聞くことができた。


ゴールデンゲートブリッジ。
向こう側に見えるのがサンフランシスコ市街



◆◇春学期履修クラス◇◆◇
 今学期受けるクラスは以下の通り。来月の生活記録で詳細を説明したい。
- Introduction to Integrated Learning/総合学習入門
- Introduction to Psychology/心理学入門
- The Field of Social Work/社会福祉学入門
- Child Welfare/児童福祉学

2010年 12月生活報告記録 (第三期生 富田) [2011年01月15日(Sat)]
新年あけましておめでとうございます。

今年も皆様のおかげで無事に新しい年を迎えることができました。いつもありがとうございます。そして、これからも変わらぬご支援ご指導の程、よろしくお願い致します。

挨拶
 晴れて新年である。例年ごとに昨年の反省はなんだったかと、柄にもなく神妙に思い返したり、新たな気持ちをもって目標をたてたりするのだけれど、それも毎年恒例のパターン、数日経つと目標の”も”すらもキレイさっぱり忘れているという三日坊主ぶりである。それでも今回こそはという妙な期待が膨らむから不思議だ。新年パワーというべきか。恭賀新年、今年の目標は「一つ一つを大切にする」である。昨年は時間に追われ、これをしなければ、あれをしなければとおもいつつも、気がつけば準備もままならない状態で、当日を迎えるというパターンが多かった。幸い、今までに大した問題にぶちあたったことがないが、自分には自分のことをあまり顧みない習慣があり、いい歳にもなって、自分のスケージュルを管理するという基本的な技能を欠いていては恥ずかしいとおもう。ほかのことに捕われすぎるのか、自分のことには無頓着なのか、、。ともかく今年こそは、自分のスケージュルや、計画などにもう少し時間をかける習慣を身につけたいと願う。

春学期の予定
 今学期を最後に日本財団の助成あってのこの留学もラストパートになる。前レポートでも書いたが、今回はEDU-793-Field Experienceと称して、English Language Institute(ELI)での実習があり、またその他にもサウジアラビアの手話を研究するというField Methodクラスがあり、この二つがこの学期とるクラス内で一番、集中力を用いられるだろう。その他のクラスには、児童の言語習得過程に集中した教育コースや、言語学コースを取得する予定で、いつもよりも言語習得過程に集中した内容を盛り込んだ。以下のクラスが今学期、履修することになっており、もっと具体的内容については、次回のレポートで報告したい。

EDU 793 Internship
EDU 713-Language Acquisition & Cognitive Development
LIN 704-Proseminar
LIN 772-Field Method 2
LIN 510-First language and second language

DCでの冬休み
 冬休みにはDCを出ないと豪語していたのだが、年末あたりにカリフォルニアの友人からキャンプへいかないか?というお誘いをいただいた。3年前にカリフォルニアに移住してからロッククライミングを趣味にしている自分としてはヨセミテにキャンプへいくという甘い誘惑を断ることはできなかった。というわけで、青いカリフォルニアの空の下でこの生活報告を書いている。16日にはDCに戻る予定であり、それからテキストの注文や、クラス登録の状況を調整するなど、きたる多忙のスクールライフに備えていきたい。これからも変わらぬご声援のほどよろしくお願い申し上げます。

富田 望
第4回留学奨学生帰国報告会[2011年01月09日(Sun)]
第4回留学奨学生帰国報告会

今年度も留学していました2名の奨学生(第3期岡田・管野両奨学生)が帰国しました。

今週1月15日(土)に帰国報告会を行います。

詳細については、日本ASL協会サイト 帰国報告会ページ を、報告会チラシはこちらをご覧下さい。


皆さまのお越しをお待ちしております。

事業責任者 野崎
2010年12月生活記録 (第4期生 福永梢)[2011年01月02日(Sun)]
謹賀新年

昨年中はいろいろとご厚情をいただきありがとうございました。
本年も尚いっそうのご声援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。



2011年 元旦


◆◇ 期末レポート Final Paper ◇◆

 ソーシャルワークの授業では、課題本にて展開されている人間関係の問題を分析し、グループ発表と個別レポートを行った。私の課題本「The Joy Luck Club (Tan, Amy/1989, Penguin)」は、米系中国人の4家族それぞれが抱える家族問題を、母と娘の両視点から描いている。4家族とも母娘関係があまりよくない。中国で生まれ育ち、青年期に渡米した母世代。アメリカで生まれ育ち、青年期まっただ中の娘世代。ぱっと見ると文化の違いが不和の原因のように見える。しかし、さまざまな理論を用いて多角的に分析すると、時事的・個人的な違いも絡んでいることが見えてくる。例えば母世代が渡米した1850年代後半、アメリカでは中国人への差別が強かった。欧米文化とまったく違うアジア文化をもつ中国人を、「社会適応能力に欠けた人たち」と見なしていたからである。教育や職業面で制限をかけられた母世代は、自力で生きていかなければならなかった。一方、娘世代は制限や差別がない時代に育っている。ここに時事的な違いが見える。つまり、母世代は自分たちで解決するのがあたりまえで、ソーシャルワーカーなど社会的サービスや友人を頼る娘世代との間で、解決のし方が異なるという解釈もできるのである。
 この授業は、はじめは理論が多すぎてどう用いてまとめればいいのかわからなかったが、このレポートを通して自分の成長を感じることができた。教授が繰り返していた言葉「理論は物事を分析するための道具である」は、今後とも心にしっかり留めておきたい。

 次に異常心理学の授業では、精神障害者が出てくる映画を見て、その症状、原因、予後、ケアについて分析を行った。私は、ソーシャルワークの授業で見た「A Beautiful Mind」を題材にした。この映画の主人公は、大学院時代より統合失調症による幻覚・幻聴を発症している。このレポートは幻覚の種類など単なる分析にとどまらず、自閉症のある人に対する統合失調症の診断(*註1)をはじめ、治療法における1950年代当時の時代背景(*註2)も見られて大変興味深かった。ちなみに幻覚について、手話やジェスチャーを言語媒介とした事例も確認されており、ろう・難聴者も統合失調症の診断対象となっている。


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*註1:American Psychiatric Association (1994) Diagnostic and statistical manual of mental disorders (4th ed.). Washington, DC: Author. p.312. を参照。
*註2:その映画の主人公が統合失調症と診断された1950年代当時、電気ショック(Electroconvulsive Therapy, ECT)とインシュリン投薬が統合失調症の代表的な治療法であった。同時に道徳的な治療法への動きにより、精神障害者の人権保障が盛んに唱えられた時代でもあった。


◇◆ 冬休み Winter Break ◆◇

 恒例のごとく、今年の冬休みも日本に帰省した。食事や文化のこともあるが、私にとって日本は気軽に一言が出せる点で一番ほっとする。しかし一方で、英文も見ないと落ち着かないなど英語に慣れている自分もいて、アメリカ在住2年半という長さをしみじみと思った。それに冬休み明けにTOEFL受験、願書用の小論文9本提出があるので、ちょうどいい。新年早々の忙しさに備えて、しっかり一息つくつもりだ。皆様、今年もどうぞよろしくお願い致します。