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聴覚障害者留学

 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子などをお届けするものです。
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3月生活記録 【第2期性 谷口】 [2008年04月26日(土)]
3月生活記録
今まで寒さがまだ続き、春が到来するのは程遠いだろうと思ったが、3月末にようやく日米友好のシンボルである桜のつぼみがいくつか膨らんできて、春の息吹を感じ始めた。

■インターンシップ
今月はReadingに重きを置き、毎回クラスで2−3本の物語を初めに生徒たちが自力で読み、理解した後にそれぞれそれらの物語をASLで表現するという訓練を行ってきた。また1本の物語を読んだ上でASLで物語り、それをビデオにして送るという課題を生徒たちは毎回している。その成果があってこそ、以前とは比較できないほど生徒たちの英語力が向上してきた。英語力を高めるためには読書が基本となるということをこのクラスから学んだ。
また、中にはASLをまだ身についていない生徒もいるが、その生徒とのコミュニケーションがうまく取れない。その生徒に対してどう教えるかということが今の私の悩みの種である。英語もASLもまだ習得していないなら、まずASLを先に覚えさせるべきなのだろうか、というのが今の私の考えである。

■Model Secondary School for the Deaf(MSSD)■
ギャロデット大学内にあり、目の前にあるにも関わらず訪問する機会がなかったが、ついにMSSDを見学する時がやってきた。まず感じたことは、生徒たちが自由に勉強しかつ運動に励んでおられ、また教師たちも生徒を同等に扱っていたことである。教師たち全員、ASLを使いこなせる程度の能力を持っておられ、生徒たちの持っているろう文化を尊重できる環境が整備されていることに感心した。寮も見学したが、日本と同じくルールがあり、例えば外出の制限時間や部屋を清潔にしないと外出できないというルールもあるという。このろう学校は留学生の入学に関してはその学生の家族がアメリカに在住しない限り認められないが、その学生を責任もって保護できるアメリカ在住の人がいれば承認できるそうだ。

■フロリダ旅行■
まずギャロデットから約12時間のドライブで1996年夏のオリンピック開催地だったアトランタに到着したが、市街の道路やホテルなどが非常に荒れていた。一体何が起きたのか、ホテルの窓が割れており屋根の一部も欠けていたので爆弾でも投下されたのではないかと不安になったが、ギャロデット大学の友人から「ニュースを見ているが、アトランタにハリケーン発生したらしいけど大丈夫?」とメールが来たことで事実を知った。もし一足早く着いていたら、ハリケーンに巻き込まれたことになっていたかもしれない。初めてハリケーンの偉大な力を知った。
次にオーランドに向かい、初めて本場のディズニーランドを見たが、2日間では足りない位予想以上に面積が広かったことに驚嘆した。いくつかの乗り物は東京ディズニーランドと全く同じだったが、色々なイベントがありそれなりに楽しむことができた。オーランドの最後の夜にユニバーサルスタジオを一目で見てみたいということで、そこに寄って一周した後に徹夜しながらマイアミに向かった。マイアミに到着したのは夜明け4時くらいだったが、思ったより暖かく本当にマイアミは熱帯モンスーン気候だと初めて実感したこの時であった。マイアミビーチで1日過ごし、翌日にアメリカ最南端の島キーウェストにも寄ったが、その島を囲んでいるエメラルドグリーンの海があまりにも魅力的でその光景が今でも頭に焼き付いている。しかし、裸眼でキューバを見ることができず残念だった。
またマイアミに戻り、最終日にオーランドにあるNASAに行き、3Dで宇宙への旅を体験したりNASAの歴史を学んだりすることができた。

以上が私の1週間という短期間のフロリダ旅であったが、全日程すべて満喫することができ、アメリカ最後の良い旅になった。

■抱負■
来月はバイリンガルろう教育を主な理念とするろう学校を見学する予定で、そのバイリンガルろう教育の実践例を見るために幼稚部から高等部までのクラスを見回ったりカリキュラムについて尋ねて、そのろう学校から色々なことを学んでいけたらと思っている。
Posted by 谷口恵美(第2期) at 01:48 | 奨学生生活記録 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2008年 3月 生活報告 富田 望 [2008年04月16日(水)]
2008年 3月 生活報告 富田 望

久々の帰国
 3月下旬、Ohlone大学では2週間ほど春休みがあり、この機会をとらえ、日本に息抜き期国してきました。空港に着いた時の印象が、日本の徹底的な設備の良さ、綺麗さで、次にやはり、日本人だからだとおもいますが、スームズなコミュニケーション、そして印象の良い接待が新鮮でした。一週間半の滞在だったので、必要な手続き、必需品の買い出しなどの用事に追われる1週間で、気ついた時には、もう渡米日という感じでした。あっというまの1週間半でしたが、久々の家族、友人達との再会はやはり嬉しく、自分の故郷はいつまでたってもやはり故郷だと、新たな気持ちを胸に日本を後にした休暇になりました。

ASLクラスから学んだこと
 3月中句、Ohlone大学のASL学部と強い関わりを持っておられるスウェーデンの大学からの講師2名が、情報機器技術の調査/サポートのために視察しに来られました。ASL104クラスの視察の際に、すこしお話をする機会に恵まれ、スウェーデンでの聾教育/福祉の状況について色々とお話をして頂きました。具体的な内容としては、1981年の「手話」の公用語の認定、さらに2003年の教育、社会、法律などそれぞれの分野への政府による法的働きかけ、それにともなって向上した手話通訳養成システム、手話による教育システムの明確化などでした。中でも印象的だったのが、福祉先進国スウェーデンでは障害者のハンディだけでなく、教育、福祉、地域によるサポートによって、心理的な負担を軽くすることに重点をおくという質の高さで、障害者がいかに経済的に、心理的に、自立した人として生活できるかがに注目しているかが伺えた会談でした。

コミュニケーションの大変さ
 私が受講しているWritingクラスでは中間テストに3つのエッセイを提出しなければならず、一度にたくさんのエッセイを書句という経験が無かったため、少し不安でしたが、なんとかで提出期限までに済ませることができました。自分の感覚としては前よりも書く力が上達したという実感があります。ただ、英語を書く時に、日本語から英語に換えて書く方が効率良いのか、英語は英語として書く方がいいのか、自分の中ですこし葛藤があります。これに似た感覚を前にも味わった事があります。それは、幼児時代、日本語から日本手話への切り替えが上手くできず、もどかしい思いをしたことがありますが、それに似た感覚で、それよりももっとたどたどしい感覚です。おそらく、これは英語が自分の言語でないというせいもあるとおもいます。自分の考えている事、伝えたい事が的確に伝えられないという苛立ち、もどかしさは、やはりいつまでたっても慣れないものです。私の両親はろう者なので、両親が健常者とコミュニケーションを取る時の大変さを、たくさん見てきています。とはいえ、自分が幼児時代だったということもあって、知ってはいても、自分の問題として直面した事はありませんでした。しかし、今ここで、自分が両親の大変さを知るというのも皮肉な話で、この経験を通して、自分の両親への尊敬への気持ちを実感しています。
Posted by 富田 望 at 05:23 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2008年3月 生活記録(1期生 池上 真) [2008年04月13日(日)]
□ はじめに

 今週の初めあたりから桜が咲き始めて今ではもう満開になり、ギャローデットのキャンパスにおいてもあちこちで桜がきれいに咲いている。同時に、ここ数日は気温も上がり、まさに春を感じさせる陽気が続いている。やはり、桜はいつ見てもきれいで、心を癒してくれるものである。

□ インターンシップ 

 3月の半ばに、1週間ほどの春休みがあったが、すべての日々をインターンシップに費やした。これまでの生活記録においても記したが、今学期は、様々な障がいを併せ持つろう重複障がい者の社会的自立と就労の促進を図るために設立されたDeaf-REACHというところで実習をさせていただいている。
 Deaf-REACHは、現在、様々な障がいを併せ持つろう重複障がい者を対象としたプログラムが5つ提供されており、自分はその中の1つのCommunity Support Providers (CSP) のチームの一員として実習を行っている。現在、CSPにはディレクターを含む3人の常勤スタッフがいるが、それに加えて、自分を含む5人の実習生も常勤スタッフの指導の下、日々、ソーシャルワーカーやメンタルヘルスカウンセラーに求められるスキルを身につけるため、日々、研鑽を積んでいる。CSPの目的は、精神障がいや知的障がいのあるろう者が生活していく上で必要なサービスを確実に受けることができるように支援することである。具体的には、たとえば、利用者が毎日服用している薬がもうすぐなくなるので新しい処方箋を書いてもらうためにDeaf-REACHの近くにある精神科医に診察の予約を入れたり、社会保障身体障害保険(Social Security Disability Insurance)に関する諸々の手続きを行うために社会保障庁(Social Security Administration)に照会したりするなど、主にケースマネジメントの業務を行っている。その際の連絡手段は、ビデオフォン(Videophone)か電話リレーサービス(Deaf-REACHでは、i711)を使用している。たまに、それらを利用できないときは、TTYを使っている。仕事を通じて覚える英語も多く、ためになる。電話リレーサービスでは、いちいち辞書で単語の意味を調べたり、逆に自分が使いたい単語を探したりする時間がなく、リアルタイムにやり取りをしなければならないため、とっさの英語のフレーズを覚えるのにとてもいい訓練になっている。その他にも、利用者の医療保険に関する手続きにも携わるなど、アメリカの社会保障制度について、クラスではなかなか深く学べない、実に多くのことを学んでいる。
 また、今年の2月の半ばごろ、Deaf-REACHにおいて、HIV/エイズへの取り組みが再開され、そのディレクターによれば、今後、HIV/エイズの現状を知ってもらうとともに、HIV/エイズの感染拡大を防ぐため、ろう学校やろう者のためのプログラムがある一般の学校、そして、手話通訳者を養成するためのプログラムがある一般の大学などに赴き、講演会やワークショップなどを設けたりする予定であるという。この取り組みは、ワシントンDCだけでなく、その近郊にあるメリーランドやヴァージニア、ペンシルバニア、ニューヨークなども視野に入れているという。

□ 今後について

 4月は、ファイナルペーパーやプレゼンテーションが控えているので、健康に留意しつつ、がんばっていきたいと思っている。インターンシップも4月で最後になるので、引き続き多くのことを学んでいきたい。
2008年3月生活記録(岡田) [2008年04月13日(日)]
中間テスト

Deaf Educationの授業で中間テストがあった。内容は前半が授業で扱った内容の選択問題、後半がエッセイであった。秋学期に同じ先生の授業を受けたが、そのときはエッセイに何を書けばいいのかわからなかったり、ポイントとなる部分がわからないままなんとなく書いていたが、今回は英語の授業で知ったエッセイの書き方を活かして何とか思っていることを書けた。

しかし、まだまだ語彙力が足りなかったり、すぐに文章が浮かんでこなかったりと、最後は時間切れになってしまい、根本的な実力が不足していることを痛感させられた。わかってはいても、他のクラスメイトがすらすらと書いて、どんどん退出していくのは少々つらいものがある。

ただ、結果としてはクラスで2位の成績だった。特にエッセイの部分で「これは良く書けた方かな」と感じた設問に満点がつけられたことは学習の成果が感じられたので嬉しく思った。このクラスはろう学生向けのコースと、一般に履修可能なコースが一緒になっている関係で、アメリカ人の健聴者が半分以上を占めている。その中でこの結果を得られたことは良かったのではないかと思う。

とはいえ、依然としてリーディングはすべて消化できていないし、読んでも記憶に定着しているとは到底言いがたいレベルである。今回はそれを暗記やポイントをつかんだ勉強でカバーできたが、まだまだ基礎が足りなすぎる。(多分アメリカ人の中学生レベルではないかと思う。)事実、周りが全員健聴者で通訳を利用しているメインストリームのクラスでは、落ちこぼれという状況で、行くのが嫌になるときもある。これは英語だけではなくて、ASLも不十分なためにクラス内のコミュニケーションに確信が持てないままというのも関係はしているが、いずれにしてもメインストリームでやっていくには、これっぽっちの自信もないのが現状である。

今学期はもう残り1ヶ月しかないが、チューターもつけることができたので、残りの期間とサマースクールで少しでも土台を引き上げていければいいなと思う。



大学院へ向けて

秋学期からの大学院入学に向けて、Special Projectの時間を利用して入学手続きを少しずつ進めている。何から何まで、右も左もわからない中で、メンターの先生と1対1で進めることができるのは本当に心強い。

大きな問題としてはやはり英語である。ホームページなどの情報では、英語に関する入学条件として、アメリカでB.A.を取っていること、アメリカの大学で60単位以上取得していることなどがあげられている。それに当てはまらない留学生はTOEFLを受けなければならないが、現在のコンピュータテストはろう者にはかなり不利な内容である。

しかし、直接受け入れ先のデパートメントとコンタクトを取って、日本での学歴やアメリカで学んでいる理由、英語力の現状を説明してみると、中には大学院入学までに特定の科目を履修できていれば、テストは必須ではないと言われる場合もあり、かなり柔軟な対応がある。

逆に言えば、それが手続きの煩雑さや曖昧さにつながっていることもあり、時には前に言ったことと違うことを言われたり、かなりイライラが溜まる要因でもあり、なかなか解決できないと思えば、カウンセラーが相手先と話してみるとあっさりとクリアできたりと、常に落ち着かず、ストレスがなくなることはない状況である。まずは今月までにアプリケーションを全て終わらせたい。
2008年3月生活記録 (第3期生 管野 奈津美) [2008年04月10日(木)]
● はじめに
この頃、桜も満開で日差しが暖かく、もう春だと感じる季節になった。3月初旬は中間テストがあり、いくつかプレゼンも重なってとても忙しい月であった。しかし、3月の中旬に1週間の春休みもあり、友人達とジャマイカ旅行に出かけ、リフレッシュできた。

● クラスの様子
English
毎クラス3時間なので、スローペースに物足りなさを感じるが、毎回出される語彙テストにも慣れてきた。最近はエッセイを書いて提出することが増え、いい刺激になっている。エッセイのテーマの1つに「Deaf President Now(略称: DPN 今こそろう学長を)」があり、Gallaudet Universityでその運動が起こってから今年で20年目を迎えるという。Deaf President Now は、1988年に起こったろう者の学長の選出を求める学生運動である。Gallaudet Universityの歴史は長いが、長年、学長は聴者であった。1988年、理事会は新しい学長に手話のできない聴者を選出した。それに不満を持った学生達が運動を起こし、Gallaudet Universityだけではなく、アメリカ中から支持者が集まり、 「Deaf President Now!!」とデモ行進を行った。それを受けた理事会はろう者であるキング・ジョーダンを8代目学長として選出した。そんな運動が20年前にあったのかと思うと、ただ感心するばかりである。

Deaf Culture
3月はCultureからDeaf Cultureに移行し、Audismについて学んだ。日本ではあまり知られていない言葉だが、アメリカのろう者の間では有名な言葉である。性差別や人種主義のように、色々な差別や抑圧があり、Audismはろう者に対する聴者による差別や抑圧を指している。Gallaudet Universityではずいぶん昔からAudismをなくそうと運動してきており、その一環としてビデオも作られている。クラスでそのビデオアメリカのろう者がAudismの経験談を話すという形式のビデオだが、クラスでそのビデオを鑑賞した。日本にはAudismという概念がないので驚いた。

Deaf Art
マイノリティ出身のアーティストについて調べてプレゼンテーションをする課題があり、私のグループのテーマは「レズビアン」であった。レズビアンのアーティストがいつ、どんなきっかけでレズビアンになったのか、どのように作品との関わりがあるのか発表しなければならなかった。まず、レズビアンのアーティストについての情報を求めて、日本のサイトを検索したのだが、まったくゼロと言っていいほど情報がなく、次にアメリカのサイトを検索したら、情報が山のように出てきて驚いた。また、レズビアンアートの本が何冊か出版されており、そこにアメリカという国のパワーを感じた。
また、クラスメイトのプレゼンのテーマも多岐に渡り、ゲイ、インディアン、黒人、ヒスパニックなど…。アジア系アメリカ人もあり、日本人が何人か取り上げられていた。聞いてみると、アジア系では日本人がトップレベルであるということだったので、改めて日本の芸術の高さを再認識させられた。
レズビアンのアーティストについて調べたが、彼女達はレズビアンであることを誇りに思っており、同時に世間の偏見に苦しみ、レズビアンであることをカミングアウトするまでの苦悩、偏見などを自分の芸術作品を通して表現しており、そういうところでは、デフアートと通じる部分があると感じた。パワーポイントを作るのに苦労したが、同じグループの日本人のクラスメイトとASLを練習したりと、とても楽しい経験だった。次は4月下旬にデフアーティストについてのプレゼンなので、上手く進められたらと思っている。

Ceramic
本当に日本と授業のプロセスが異なり、特に初心者のクラスなので、どう作るか一から指導しなければならないが、道具や機械も効果的に取り入れている。そもそも私が大学時代に履修していた芸術学科のクラスではほとんどの生徒が芸術専攻なので、機械も使わず、技術やセンスを生かした作品が多かったが、このクラスは少し異なる。クラスメイトの上達も早く、驚いている。発想が豊かで道具や機械を効果的に使って幅広い作品を作っている。日本では使わなかった機械ばかりなので、少し戸惑いもあったが、楽しく制作している。道具や釉薬の名前もほぼ英語で理解できるようになった。

● Spring Break
日本で言う春休みのことである。中間テストが終わった後、1週間春休みであった。インターナショナルの学生12人ほどで、ジャマイカを旅行した。リドート地として有名な場所でもあり、ビーチがとても美しく、感動した。ただ、貧しい人たちの暮らしもたくさん見ることができた。途上国を訪れたのは初めてだったので、ショックもあったが、色々とても良い経験になった。一緒に旅行したインターナショナルの学生のほとんどはアメリカ滞在歴も長く、経験豊富な方ばかりで、一緒に旅行し、色々経験談を聞けて勉強になった。一生忘れられない旅行になったと思う。

●最後に
早いもので今学期も残り1ヶ月を切るので、期末テストに向けて気を引き締めていきたい。期末にいくつかプレゼンがあるのでそれに向けて準備していきたい。5月から夏休みだが、どう有効に使っていくか考えていきたい。