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聴覚障害者留学

 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子などをお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。


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2006年9月 生活記録 池上 真(1期生) [2006年10月31日(火)]
□秋学期の受講クラスの紹介

 まず初めに、秋学期の受講クラスを紹介したい。

1. デフスタディー(Deaf Studies) 月・水・金 9:00〜9:50
2. アメリカ政治 月・水・金 11:00〜11:50
3. 社会福祉 火・木 11:00〜12:20
4. 教育入門 水 18:00〜20:50
5. 体育 月・水・金 14:00〜14:50

□教育入門

 このクラスは、文字通り、将来、学校の先生を目指している学生を対象としたもので、他のクラスに比べ、最も一つのクラス当たりの学生の人数が多い(約20人)。また、先生によるレクチャーよりも学生同士のディスカッションや学生からのプレゼンテーション(以下、プレゼン)を中心に行われるため、他のクラスに比べ、少々ハードなクラスとなっている。
 一番初めの授業のときに、学生からのプレゼンの順番を決めるため、くじ引きを行ったが、一番バッターとしてプレゼンを行うこととなった。二週間後にプレゼンを行わなければならず、その上、その直後に、LSATの試験を控えていたので、運が悪いなぁと思ったものだ。しかし、そう落胆してる暇はなく、すぐに気を取り直して、プレゼンの準備に取り掛かり始めた。「JAPAN」について発表することを決め、本番の一週間前に、教授にプレゼンの計画書を提出し、フィードバックを行った。そして、プレゼンのために、パワーポイントを作成し、ASLの単語を友人に尋ねながら、本番までにイメージ訓練を何度も繰り返した。
 当日は、大勢の学生を前にかなり緊張したが、「カボチャカボチャカボチャ」と心の中で念仏を唱え、何とか無事にプレゼンを終了させることが出来た。
 学生からは、日本の文化に関して興味深かったなどと言ってくれた人もいたが、ASLの技術やスライド作成について辛口のコメントもいただき、「人にものを教えること」の難しさを実感したものである。

□社会福祉

 9月は、このクラスが一番お気に入りであった。なぜなら、僕の最も興味のある「障害をもつアメリカ人に関する法律(The Americans with Disabilities Act)(以下、ADA)」を題材として、法律や政策などをあらゆる角度から分析する方法を学ぶものだったからである。
 また、9月13日に、社会福祉の授業の一環として、このADAの公聴会(Hearing)を傍聴する機会に恵まれた。この法律は、アメリカ国内に住む障害を持つ人たちの市民権を守り、彼らに対する差別を撤廃することを目的として、1990年に成立されたものである。
 公聴会における参考人として、てんかんの患者を対象とした施設の施設長(元下院議員でもある)、小規模会社の社長、ロースクールの教授、雇用機会均等委員会の委員長が出席していた。
 ADAが施行されてから今年で16年が経ち、このような公聴会を設けるのは今回が初めてだそうで、ADAに関心を抱いている僕にとっては、願ってもいなかった機会だった。特に、ADAを専門とする、ロースクールの教授がいたことには強く運命を感じ、今、そのロースクールを志望校の一つとして出願の手続を進めているところである。

□LSATの試験

 9月の最終の土曜日、LSAT(Law School Admission Test)の試験を受けた。試験会場は、DCからバスで3時間のところにあるフィラデルフィアのテンプル大学で、前日の午後に現地入りした。前日は、午前中にアメリカ政治の中間試験が行われたため、行きのバスはかなりよく眠れた。夜はそこのホテルで泊まり、翌日の朝、テンプル大学へ向かった。久しぶりに、聴者の学生に囲まれた中で、試験を受け、不思議な気分だった。新学期が始まってから試験の前日まで、何かと慌しい生活を送り、夏休みのようにLSATのみに集中して取り組むことは容易ではなかったが、それよりも、体調を崩すことなく、健康な状態で無事に試験を受けることが出来て、ホッとしている。今後は、LSATのスコアをあまり気にし過ぎないよう、自分を信じて出願手続を進めて行きたいと思っている。

□今月を振り返って

 今月は、それぞれのクラスにおいて慣れることと、LSATの受験勉強とで、特に忙しかった。来月は、本格的に、ロースクールの出願手続を進めて行くことになる。自分に合ったロースクールを探すだけでなく、パーソナルステートメントを書いたり、大学の先生に欧文推薦状をお願いしたりする必要がある。これからが本当の意味での勝負になると思う。引き続き、気を引き締めて、一つ一つ不安を解消して行きたいと思っている。
2006年9月生活記録 (第2期生 谷口恵美) [2006年10月21日(土)]

・English Class‥英語能力の向上を目的とした講義。
・Applied English‥英語の応用クラス。Aクラスの生徒のみ受講可。
・CCC‥Cross Cultural Communication. コミュニケーションのスキルの向上を目的とした講義。
・ASL2‥ASLのスキルの向上を目的とした講義。
・ASL LAB‥ASL1と一緒にASLビデオを見ることなどを通してASLでの会話を円滑に図ることを目的とした講義。

■□ELIでの様子■□
  英語は8月の終わり頃に実施された試験の結果と習熟度によって5つ(A・B・C・D@・DA)のクラスに分けられ、私の場合はAクラスの生徒として9月初めからスタートした。数学の試験も受けた結果、数学のクラスは免除された。初めの1週間、英語Aクラスの講義を受講したが、Cクラスに変更して頂きたいという要望書を出した。その結果、Cクラスに変更することになり、今に至る。その理由を説明したい。私は聾者のニーズに合わせた英語指導法を研究したいという目的でギャロデット大学のELIに入学したのであり、日本の中等教育の英語と同等のレベルであるCクラスで指導方法を模索することが望ましいと思ったからである。また、Cクラスの担当の教師はDr.という資格を持っておられるので、幅広い知識や豊富な経験歴を持つその教師の元で研究していきたいと思っている。
  先述したように、Cクラスは日本の中等教育と同等のレベルなので、自分の英語力の基礎を固めることも出来るし、その教師の指導方法も魅力的なので充実した学生生活を送っている。

■□寮での生活■□
  中学時代に3年間寮で生活した経験があるため、今まで難なく生活してきた。ただ、問題なのは環境の違いにより病気にかかりやすくなっていることである。風邪を3回も引いたり、1週間に1回は吐き気がするなどトラブルが相変わらず続いているのが悩みである。それは環境というより食べ物に慣れていないせいなのだろうか。アメリカでは脂っこい食べ物が多いため、私の体が自然と拒否しているかもしれない。やはり日本食が1番美味いのだと確信した。アメリカでの生活に慣れてくるのは果たしていつなのだろうか。また、皆さんもご存知の通り、アメリカではシャワーしかないために湯船につかりたいという思いが強くなってきたこの頃である。
Posted by 谷口恵美(第2期) at 02:05 | 奨学生生活記録 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2006年9月 生活記録 (2期生 春日 幸三) [2006年10月12日(木)]
8月後半からと9月分を、まとめて報告したいと思います。
アメリカでは、8月上旬までは夜8時半になってもまだ明るかったです(夕焼けの時間は短かった)。
その為、各スポーツも暗くなるまでやり続けていました。

(寮の生活状況)
7月から8月中旬までのサマープログラムが終了した為、PEET寮からCARLAN寮へ引っ越しました。
この引越しは、遠くて荷物を運ぶのが大変でした。
MADS君とは離れ、402号室の中は3部屋に分かれているので、1人部屋になりました。
1人部屋だから落ち着くだろうと思いましたが、数日後に隣の部屋にロシア人が入寮した時点で、その期待は裏切られました。初めて会ったのに挨拶もせずに、文句を言い放題であり、また私の部屋にロシア人が勝手に入り込んで、「これはなに?これはなに?ダサい!」などと言うのです。失礼な人だなあ!と思い「出て行け」と口喧嘩するなどのトラブルが続きました。
その為、寮長がロシア人に部屋を強制移動するように言ってくれました。それでロシア人は“ごめんなさい”と謝って来た為、解決策を考えながら、話し合って、解決が出来たけれど、解決策の実行はなかなか難しい状態であり、苦い経験となっています。

(学習の状況)
8月14日からELIオリエンテーションと、8月21日からIIPオリエンテーションをスタートしました。
私は秋季ELIの英語クラスに入ることになった為、オリエンテーションの時間表が重なり、両方とも出なければならないと言う事で、どっちを優先して出席をしなければならないのか等のトラブルが続きました。
8月28日から秋学期のクラスが開始の為、その前にCOURSE SELECTION FORM(コース選択フォーム)で選択科目を選んでから、教授にサインを頂いて、最終的にIIP責任者が最終確認をしてサインをもらうという手順で行ないます。そういう手順や選択科目などの意味がわかるようなアドバイスもなく、選択科目の申込日の〆切日が迫っているにも関わらず、IIPの責任者が夏休みに入った為、SPECIAL STUDENT(専科生)の人達にトラブル発生!私の場合は、サマースクールプログラムからずっとトラブルが続いていたおかげで、混乱することはありませんでした。でも、精神的や気分的は良くなかった。
英語能力の問題やIIP担当者とのトラブルの関係で、希望計画の科目が全て通りませんでした。
しかし私は諦めませんでした。
IIPの担当者に頼らずに、自分の力で教授と相談したら、幸いに教授達の理解があって、速やかに引き受けて頂けました。
ろう学・言語学・通訳学の関係の科目で学ぶことになりました。
コース選択フォーム提出期限は9月1日までですが、私は9月7日でやっと提出が出来ました。(提出期限が過ぎると手続きはますます大変な事になった。)提出期限が過ぎて認められない!という受講生もいましたが、私は無事に終了し、授業をスタートすることが出来ました。
授業の中で、教授からのASL読取は問題ありませんが、教科書やパワーポイントなどを読みこなす英語の能力も必要であり、苦労しています。
授業は月曜日から土曜日までであり、土曜日や日曜日もほとんど外出が出来ずに部屋の中で勉強している程・・・。
2006年9月 生活記録 (2期生 高山亨太) [2006年10月06日(金)]
1.9月の出来事
 あんなに地獄のように暑かったワシントンD.Cも夜は涼しくなってきた今日この頃である。9月は、私の誕生月であり、好きな月の1つである。誕生日である21日は、一人で寂しく部屋で論文を書いて、親父のようにビールを飲んで過ごしていた。日本の友人から日本時間の21日に祝いのメールをもらい、現地時間の21日に大学の友人からおめでとうといわれるなど誕生日が2回も続いたような気分になった。
 さて、本題は、ちょうど涼しくなった頃に、突然、友人より食事のお誘いがあった。当初は、1期生である池上さんも一緒に行く予定だったのだが、ドタキャンされてしまった。当日は、友人と2人でショッピングし、日も暮れた頃にレストランに行こうとなったときに、友人が「あそこで、日本食を食べたい。」というものだから、私は、「じゃあ、あの駅にあるレストランに行こう。そこよりもおいしいと思うよ。」と言ったが、友人がどうしてもそこにこだわるので、「不思議な人」だなって思いながら入ってみると、ドタキャンした池上さんをはじめ、2期生の谷口さん、他のたくさんの友人たちが拍手で迎えてくれたのである。思いがけないハプニングに感動したもののやられたと思った。このように盛大にお祝いをされたのは何年ぶりなのかわからないほど、自分の誕生日を祝うことの楽しさを久しく忘れていたように思う。これは、日本の家庭でなかなか見られなくなった光景なのだろうと考えさせられた。年を取ってもいくつになっても、誕生日を祝ってもらうことはうれしいものである。
 誕生日を祝ってくれたみなさんありがとう。

2.受講クラス
 今学期は、4つのクラスを受講している。具体的には、大学レベルの英語とアメリカ手話といったコミュニケーションに関する課題にあわせて選択したクラスと来年の大学院入学に備えて、アメリカの社会福祉のシステムを知るためにソーシャルワーク(社会福祉)学部のクラス、さらにGallaudet Universityの考え方や「聴覚障害」、「ろう」とはなにかということに興味を持って、聴覚障害に関する科目を受講した。詳細は、以下の通りである。
1.デフスタディー Introduction of Deaf Studies 月水金・9am-9:50am
2.ASL American Sign Language 月水金・10am-11:50am
3.英語 Reading and thinking 月水金・1pm-2:50pm
4.ソーシャルワーク Social Work Policy for American Social Welfare 火木・11am-12:20pm

3.クラスの様子
 9月からは、本格的にクラスが始動し、Assignment(宿題)もほぼ毎回課されるようになってきた。アメリカ人と違って、英語とアメリカ手話に課題があり、1週間の生活やリズムになれるまでに大変時間がかかった。私は、生来的に効率よく課題をこなすのは、得意な方であったが、言語的・文化的な環境が違う中では、大変なものなのだと実感した1ヶ月間でした。かつELIのように英語などの大学入学に向けたトレーニングをする養成校を経験しないまま、IIPとして、アメリカの大学生や大学院生と同じスタートラインに立って、クラスをこなしていくことはかなりの覚悟と最低限の知識などが求められるのだと考えさせられた。教員は、IIPだろうと、関係なくすべての学生に対して平等に宿題を与えるし、さらにそれだけではなく、グループワークによる宿題、ディスカッションも課され、ハードなスケジュールになっている。
 10月には、自分の母校である筑波大学大学院の中間評価論文発表会があり、その準備にも追われ、かなり大変な日々であった。10月からは、自分の論文も書きつつ、時間の合間にじっくり英語の勉強にも取り組みたいと考えている。
3期留学奨学生募集締切 [2006年10月04日(水)]
 日本時間の10/3(火)午後6時を持ちまして、2006年度第3期留学奨学生募集を締め切らせて頂きました。

 多くの方にご応募いただきましてありがとうございました。

 今後、提出書類の再確認、第一次審査(書類審査)を経て、第二次審査(面接-11/5(日)と選考を進めます。
 
 3期生の発表は11月中旬〜下旬の予定です。


事業責任者 野崎
3期奨学生申込締切り迫る [2006年10月02日(月)]
明日10/3(火) 午後6時を持ちまして、今年度の3期留学奨学生申込を締切らせていただきます。

当協会事務所は朝10:30amより開室いたしますので、当日の持ち込みもまだ可能です。

多くの皆様からのご応募をお待ちいたしております。


事業責任者 野崎
2006年9月 生活記録/太田琢麿(1期生) [2006年10月01日(日)]
 9月に入りいよいよ秋学期が始まった。夏休み中は静だった寮も学生が一気に戻ってきたため、とてもうるさく感じるようになった。また、9月に入ったとたん気温が急激下がってきており、夏から一転し秋に突入したとかんじている。ロチェスターの夏は短いと言われる理由が、この急激な温度変化を通じて強く実感した。そんな中新しい学期が始まった。

 今学期の授業構成は大学院(聾教育)の授業、アメリカ手話、スピーキングセラピーと国立聾工科大学の英語の授業を取ることになった。
 大学院の授業は、Independent Studyといい、私の研修目的である情報保障の調査を行う授業である。この授業は一対一で行われており、週に一度ロチェスター工科大学の障害学生支援をしている人々へのインタビュー、ロチェスター市内にある大学へ行き聴覚障害学生支援の実態を調査する(3校)、週に一回あたえられる書籍を読み授業でのディスカッションという3つの構成である進められている。現時点で4回のインタビューを終えており、RITの支援がどのように行われているかという点について明確に分かるようになってきた。それだけでなくインタビューを通してRITの職員とも知り合うことができ、新しい情報だけでなく、より具体的な連携方法が明らかになり、ロチェスター工科大学・国立聾工科大学の障害学生支援の組織がより具体的に見えてきた。自分の求めている情報なども少しずつ集まりはじめ、今後の研修の良い土台となるであろう。

 アメリカ手話の授業は、春学期違い一般の学生が取るコースと同じコースを受講している。これまでは職員用のクラスを取っていたためレポートなどはなかったのだが、今回のクラスはレポートや、SLI(Self Instruction Lub:手話のビデオやろう文化に関するビデオの閲覧および、手話の練習が出来る場所)へ行き、指定されたビデオを見てレポートを書いたり、聴覚障害者関連のイベントや講演会へ行き感想を書くなど、ただ学ぶだけでなく聴覚障害者との交流を通してよりろう文化を理解していかれるように工夫がなされている。受講している学生のほとんどは、手話通訳学科か、MSSEの学生であるがそれ以外にも一般の学部からも学生が来て手話を学んでいる。まだ知らない単語も多く出てくるため、この授業でよりレベルの高い手話を学んでいきたいと思う。

 スピーチセラピーでは、主に発音の練習をするところである。ただ、NTIDで行われているスピーチセラピーは口話教育ではない。スピーキングの練習を通して自分の発音に自信を深めていくなど、明瞭な音声発音以外にも様々なサポートが行われている。このスピーチセラピーではただ発音するだけでなく実際に自分の声紋を見て自分の発音がどのように間違っているのかなどを視覚的に学ぶことも出来る。また、セラピーは学生自身がどのような課題を持っているのか自分で提示し、それをもとにセラピーが行われている。今学期は週に二回このセラピーを受けている。まだ始まったばかりであるが、スピーキングの能力も出来る限り伸ばしていきたいと思う。

 最後に英語のクラスであるが現在は国立聾工科大学で行われているReading とWritingのクラスを受講している。これまでの学期はじめは、最初の授業に手話通訳が来るか来ないかと言うことで、いつもドキドキハラハラしながら学期が始まるのであるが、今回は国立聾工科大学のため、先生が手話で授業を進めてくれる。そのような意味で最初から安心して授業を開始することができた。また聴覚障害者の特性に合わせた授業が行われており、余裕を持って英語の学習に望むことが出来るのも国立聾工科大学のメリットだと思う。クラスメートもろう学生のため、授業時には手話でコミュニケーションが出来るため相手から色々学ぶことも出来るようになった。

 授業環境が一変し、まだ完全に馴染み切れていない一面もあるが、今の課題を明確にし次に繋げていきたい。