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聴覚障害者留学

 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子などをお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。


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2008年2月生活記録(岡田) [2008年03月18日(火)]
3月に入り再びサマータイムになった。1時間時計が進むのであるが、この1時間が思いのほか、体に合わないようで慣れるのに苦労している。5月頃になればまた違うと思うが、午後8時近くになっても空が明るく、朝は8時過ぎになってやっと明るくなる。おなかの空く時間と実際の時間が合わなかったりリズムが狂う。もっともこれはアメリカ人でも慣れないようであるが、すっきりしない今日この頃である。

■履修クラス

今学期は英語に重点を移し、英語中心の時間割になった。

Mon: 13:30-15:10 Reading Strategy

Tue: 9:00-10:00 Special Project
11:30-13:10 Deaf Education
13:40-15:10 Fundamentals of Composition (Writing)

Wed: 13:30-15:10 Reading Strategy

Thu: 11:30-13:10 Deaf Education
13:40-15:10 Fundamentals of Composition (Writing)

これ以外に、コンピューターで行うVocabularyの授業を履修している。


■英語

学期が始まった当初は授業の要領がつかめなくて苦労した。というのも、例えばReadingのクラスで、日本でやっていたように解答すると「不十分」と言われるということがあった。こちらとしては「ポイントをおさえて簡潔に」とのつもりが、情報不足となってしまう。また、ライティングのクラスでは毎回エッセイを読んで感想を書くのだが、この感想も実はある一定の条件があって、日本のように自由に述べるのではない。こういった「ルール」を知らないために、かなり戸惑ったが、授業で詳細な説明を受けて慣れることができた。

2ヶ月前と比べて語彙力も上がっていることが実感できるし、読むスピードもだいぶ上がってきたと思う。先生からは「文法的なミスはわずかだし、気にする必要なないレベル。ただし not natural」と評価を受けている。しかし、ここが本当に難しいところである。

健聴者ならば聞きながら自然な英語を少なくとも「受ける」ことはできる。でもろう者の場合、その機会は著しく落ちる。以前にろう学生の英語クラスを担当している先生と「ろう者で非ネイティブの学生が英語を身につけるのはどのくらいかかるか?」と話したとき、以下のような趣旨のことをおっしゃられた。

「どのくらいかはハッキリわからないし、個人差があるけど、少なくともアメリカ人のの健聴者との比較で考えれば、彼らは生まれた瞬間から目と耳両方使って少しずつ身につけ始めて、大学生になるまで、18年間その状態できてる。で、大学入って、カレッジレベルのエッセイの書き方とかリーディングの仕方を2年間みっちりやって、ほかの科目もやって、プラス4年。こういう状態の人が大学院に入るようになってる。

ろうの留学生って言うのは、まず耳からの情報はなしって考えて、さらにアメリカ人が20年かけて身につけることを、短期間でっていうんだから、その差はもう想像を超えている。もちろんチャレンジしていくことは大事だし、そのためのバックアップもできる限りするけど、一方で、『外国から来た』『ろう者』が『目だけ』で英語を身につけるプロセスは、言うほど簡単じゃないってことを、もっと周りの人にも理解してほしい」

今このことを痛感している。例えばエッセイの適切な表現を知りたいとき、健聴者の学生はその場で先生に質問したり、アメリカ人のクラスメイトに聞くことができる。でもろう者の場合は、通訳がいないと深いコミュニケーションは取れない。もちろん先生は気軽に質問に来てというのだが、時間が合わなかったり、通訳の手配をしてアポイントとって、というプロセスが次の授業に間に合わなかったりで、不本意なまま提出せざるを得ないこともしばしばである。

ろう者のクラスでは、先生が私たちの事情を十分に理解しているため、不利になることはないが、メインストリームのクラスでは、naturalな英語ではないと大減点する先生もいる。メインストリームの環境では、ろう者は想像以上に難しい問題に直面する。

こうした経験の一つ一つを、「もし日本だったら??」「自分がサービスプロバイダーだったら?」と考えながら対処していきたいと思う。