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聴覚障害者留学

 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子などをお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。


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3月生活記録 【第2期性 谷口】 [2008年04月26日(土)]
3月生活記録
今まで寒さがまだ続き、春が到来するのは程遠いだろうと思ったが、3月末にようやく日米友好のシンボルである桜のつぼみがいくつか膨らんできて、春の息吹を感じ始めた。

■インターンシップ
今月はReadingに重きを置き、毎回クラスで2−3本の物語を初めに生徒たちが自力で読み、理解した後にそれぞれそれらの物語をASLで表現するという訓練を行ってきた。また1本の物語を読んだ上でASLで物語り、それをビデオにして送るという課題を生徒たちは毎回している。その成果があってこそ、以前とは比較できないほど生徒たちの英語力が向上してきた。英語力を高めるためには読書が基本となるということをこのクラスから学んだ。
また、中にはASLをまだ身についていない生徒もいるが、その生徒とのコミュニケーションがうまく取れない。その生徒に対してどう教えるかということが今の私の悩みの種である。英語もASLもまだ習得していないなら、まずASLを先に覚えさせるべきなのだろうか、というのが今の私の考えである。

■Model Secondary School for the Deaf(MSSD)■
ギャロデット大学内にあり、目の前にあるにも関わらず訪問する機会がなかったが、ついにMSSDを見学する時がやってきた。まず感じたことは、生徒たちが自由に勉強しかつ運動に励んでおられ、また教師たちも生徒を同等に扱っていたことである。教師たち全員、ASLを使いこなせる程度の能力を持っておられ、生徒たちの持っているろう文化を尊重できる環境が整備されていることに感心した。寮も見学したが、日本と同じくルールがあり、例えば外出の制限時間や部屋を清潔にしないと外出できないというルールもあるという。このろう学校は留学生の入学に関してはその学生の家族がアメリカに在住しない限り認められないが、その学生を責任もって保護できるアメリカ在住の人がいれば承認できるそうだ。

■フロリダ旅行■
まずギャロデットから約12時間のドライブで1996年夏のオリンピック開催地だったアトランタに到着したが、市街の道路やホテルなどが非常に荒れていた。一体何が起きたのか、ホテルの窓が割れており屋根の一部も欠けていたので爆弾でも投下されたのではないかと不安になったが、ギャロデット大学の友人から「ニュースを見ているが、アトランタにハリケーン発生したらしいけど大丈夫?」とメールが来たことで事実を知った。もし一足早く着いていたら、ハリケーンに巻き込まれたことになっていたかもしれない。初めてハリケーンの偉大な力を知った。
次にオーランドに向かい、初めて本場のディズニーランドを見たが、2日間では足りない位予想以上に面積が広かったことに驚嘆した。いくつかの乗り物は東京ディズニーランドと全く同じだったが、色々なイベントがありそれなりに楽しむことができた。オーランドの最後の夜にユニバーサルスタジオを一目で見てみたいということで、そこに寄って一周した後に徹夜しながらマイアミに向かった。マイアミに到着したのは夜明け4時くらいだったが、思ったより暖かく本当にマイアミは熱帯モンスーン気候だと初めて実感したこの時であった。マイアミビーチで1日過ごし、翌日にアメリカ最南端の島キーウェストにも寄ったが、その島を囲んでいるエメラルドグリーンの海があまりにも魅力的でその光景が今でも頭に焼き付いている。しかし、裸眼でキューバを見ることができず残念だった。
またマイアミに戻り、最終日にオーランドにあるNASAに行き、3Dで宇宙への旅を体験したりNASAの歴史を学んだりすることができた。

以上が私の1週間という短期間のフロリダ旅であったが、全日程すべて満喫することができ、アメリカ最後の良い旅になった。

■抱負■
来月はバイリンガルろう教育を主な理念とするろう学校を見学する予定で、そのバイリンガルろう教育の実践例を見るために幼稚部から高等部までのクラスを見回ったりカリキュラムについて尋ねて、そのろう学校から色々なことを学んでいけたらと思っている。
Posted by 谷口恵美(第2期) at 01:48 | 奨学生生活記録 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2008年3月 生活記録(1期生 池上 真) [2008年04月13日(日)]
□ はじめに

 今週の初めあたりから桜が咲き始めて今ではもう満開になり、ギャローデットのキャンパスにおいてもあちこちで桜がきれいに咲いている。同時に、ここ数日は気温も上がり、まさに春を感じさせる陽気が続いている。やはり、桜はいつ見てもきれいで、心を癒してくれるものである。

□ インターンシップ 

 3月の半ばに、1週間ほどの春休みがあったが、すべての日々をインターンシップに費やした。これまでの生活記録においても記したが、今学期は、様々な障がいを併せ持つろう重複障がい者の社会的自立と就労の促進を図るために設立されたDeaf-REACHというところで実習をさせていただいている。
 Deaf-REACHは、現在、様々な障がいを併せ持つろう重複障がい者を対象としたプログラムが5つ提供されており、自分はその中の1つのCommunity Support Providers (CSP) のチームの一員として実習を行っている。現在、CSPにはディレクターを含む3人の常勤スタッフがいるが、それに加えて、自分を含む5人の実習生も常勤スタッフの指導の下、日々、ソーシャルワーカーやメンタルヘルスカウンセラーに求められるスキルを身につけるため、日々、研鑽を積んでいる。CSPの目的は、精神障がいや知的障がいのあるろう者が生活していく上で必要なサービスを確実に受けることができるように支援することである。具体的には、たとえば、利用者が毎日服用している薬がもうすぐなくなるので新しい処方箋を書いてもらうためにDeaf-REACHの近くにある精神科医に診察の予約を入れたり、社会保障身体障害保険(Social Security Disability Insurance)に関する諸々の手続きを行うために社会保障庁(Social Security Administration)に照会したりするなど、主にケースマネジメントの業務を行っている。その際の連絡手段は、ビデオフォン(Videophone)か電話リレーサービス(Deaf-REACHでは、i711)を使用している。たまに、それらを利用できないときは、TTYを使っている。仕事を通じて覚える英語も多く、ためになる。電話リレーサービスでは、いちいち辞書で単語の意味を調べたり、逆に自分が使いたい単語を探したりする時間がなく、リアルタイムにやり取りをしなければならないため、とっさの英語のフレーズを覚えるのにとてもいい訓練になっている。その他にも、利用者の医療保険に関する手続きにも携わるなど、アメリカの社会保障制度について、クラスではなかなか深く学べない、実に多くのことを学んでいる。
 また、今年の2月の半ばごろ、Deaf-REACHにおいて、HIV/エイズへの取り組みが再開され、そのディレクターによれば、今後、HIV/エイズの現状を知ってもらうとともに、HIV/エイズの感染拡大を防ぐため、ろう学校やろう者のためのプログラムがある一般の学校、そして、手話通訳者を養成するためのプログラムがある一般の大学などに赴き、講演会やワークショップなどを設けたりする予定であるという。この取り組みは、ワシントンDCだけでなく、その近郊にあるメリーランドやヴァージニア、ペンシルバニア、ニューヨークなども視野に入れているという。

□ 今後について

 4月は、ファイナルペーパーやプレゼンテーションが控えているので、健康に留意しつつ、がんばっていきたいと思っている。インターンシップも4月で最後になるので、引き続き多くのことを学んでいきたい。
2008年3月生活記録(岡田) [2008年04月13日(日)]
中間テスト

Deaf Educationの授業で中間テストがあった。内容は前半が授業で扱った内容の選択問題、後半がエッセイであった。秋学期に同じ先生の授業を受けたが、そのときはエッセイに何を書けばいいのかわからなかったり、ポイントとなる部分がわからないままなんとなく書いていたが、今回は英語の授業で知ったエッセイの書き方を活かして何とか思っていることを書けた。

しかし、まだまだ語彙力が足りなかったり、すぐに文章が浮かんでこなかったりと、最後は時間切れになってしまい、根本的な実力が不足していることを痛感させられた。わかってはいても、他のクラスメイトがすらすらと書いて、どんどん退出していくのは少々つらいものがある。

ただ、結果としてはクラスで2位の成績だった。特にエッセイの部分で「これは良く書けた方かな」と感じた設問に満点がつけられたことは学習の成果が感じられたので嬉しく思った。このクラスはろう学生向けのコースと、一般に履修可能なコースが一緒になっている関係で、アメリカ人の健聴者が半分以上を占めている。その中でこの結果を得られたことは良かったのではないかと思う。

とはいえ、依然としてリーディングはすべて消化できていないし、読んでも記憶に定着しているとは到底言いがたいレベルである。今回はそれを暗記やポイントをつかんだ勉強でカバーできたが、まだまだ基礎が足りなすぎる。(多分アメリカ人の中学生レベルではないかと思う。)事実、周りが全員健聴者で通訳を利用しているメインストリームのクラスでは、落ちこぼれという状況で、行くのが嫌になるときもある。これは英語だけではなくて、ASLも不十分なためにクラス内のコミュニケーションに確信が持てないままというのも関係はしているが、いずれにしてもメインストリームでやっていくには、これっぽっちの自信もないのが現状である。

今学期はもう残り1ヶ月しかないが、チューターもつけることができたので、残りの期間とサマースクールで少しでも土台を引き上げていければいいなと思う。



大学院へ向けて

秋学期からの大学院入学に向けて、Special Projectの時間を利用して入学手続きを少しずつ進めている。何から何まで、右も左もわからない中で、メンターの先生と1対1で進めることができるのは本当に心強い。

大きな問題としてはやはり英語である。ホームページなどの情報では、英語に関する入学条件として、アメリカでB.A.を取っていること、アメリカの大学で60単位以上取得していることなどがあげられている。それに当てはまらない留学生はTOEFLを受けなければならないが、現在のコンピュータテストはろう者にはかなり不利な内容である。

しかし、直接受け入れ先のデパートメントとコンタクトを取って、日本での学歴やアメリカで学んでいる理由、英語力の現状を説明してみると、中には大学院入学までに特定の科目を履修できていれば、テストは必須ではないと言われる場合もあり、かなり柔軟な対応がある。

逆に言えば、それが手続きの煩雑さや曖昧さにつながっていることもあり、時には前に言ったことと違うことを言われたり、かなりイライラが溜まる要因でもあり、なかなか解決できないと思えば、カウンセラーが相手先と話してみるとあっさりとクリアできたりと、常に落ち着かず、ストレスがなくなることはない状況である。まずは今月までにアプリケーションを全て終わらせたい。
2008年3月生活記録 (第3期生 管野 奈津美) [2008年04月10日(木)]
● はじめに
この頃、桜も満開で日差しが暖かく、もう春だと感じる季節になった。3月初旬は中間テストがあり、いくつかプレゼンも重なってとても忙しい月であった。しかし、3月の中旬に1週間の春休みもあり、友人達とジャマイカ旅行に出かけ、リフレッシュできた。

● クラスの様子
English
毎クラス3時間なので、スローペースに物足りなさを感じるが、毎回出される語彙テストにも慣れてきた。最近はエッセイを書いて提出することが増え、いい刺激になっている。エッセイのテーマの1つに「Deaf President Now(略称: DPN 今こそろう学長を)」があり、Gallaudet Universityでその運動が起こってから今年で20年目を迎えるという。Deaf President Now は、1988年に起こったろう者の学長の選出を求める学生運動である。Gallaudet Universityの歴史は長いが、長年、学長は聴者であった。1988年、理事会は新しい学長に手話のできない聴者を選出した。それに不満を持った学生達が運動を起こし、Gallaudet Universityだけではなく、アメリカ中から支持者が集まり、 「Deaf President Now!!」とデモ行進を行った。それを受けた理事会はろう者であるキング・ジョーダンを8代目学長として選出した。そんな運動が20年前にあったのかと思うと、ただ感心するばかりである。

Deaf Culture
3月はCultureからDeaf Cultureに移行し、Audismについて学んだ。日本ではあまり知られていない言葉だが、アメリカのろう者の間では有名な言葉である。性差別や人種主義のように、色々な差別や抑圧があり、Audismはろう者に対する聴者による差別や抑圧を指している。Gallaudet Universityではずいぶん昔からAudismをなくそうと運動してきており、その一環としてビデオも作られている。クラスでそのビデオアメリカのろう者がAudismの経験談を話すという形式のビデオだが、クラスでそのビデオを鑑賞した。日本にはAudismという概念がないので驚いた。

Deaf Art
マイノリティ出身のアーティストについて調べてプレゼンテーションをする課題があり、私のグループのテーマは「レズビアン」であった。レズビアンのアーティストがいつ、どんなきっかけでレズビアンになったのか、どのように作品との関わりがあるのか発表しなければならなかった。まず、レズビアンのアーティストについての情報を求めて、日本のサイトを検索したのだが、まったくゼロと言っていいほど情報がなく、次にアメリカのサイトを検索したら、情報が山のように出てきて驚いた。また、レズビアンアートの本が何冊か出版されており、そこにアメリカという国のパワーを感じた。
また、クラスメイトのプレゼンのテーマも多岐に渡り、ゲイ、インディアン、黒人、ヒスパニックなど…。アジア系アメリカ人もあり、日本人が何人か取り上げられていた。聞いてみると、アジア系では日本人がトップレベルであるということだったので、改めて日本の芸術の高さを再認識させられた。
レズビアンのアーティストについて調べたが、彼女達はレズビアンであることを誇りに思っており、同時に世間の偏見に苦しみ、レズビアンであることをカミングアウトするまでの苦悩、偏見などを自分の芸術作品を通して表現しており、そういうところでは、デフアートと通じる部分があると感じた。パワーポイントを作るのに苦労したが、同じグループの日本人のクラスメイトとASLを練習したりと、とても楽しい経験だった。次は4月下旬にデフアーティストについてのプレゼンなので、上手く進められたらと思っている。

Ceramic
本当に日本と授業のプロセスが異なり、特に初心者のクラスなので、どう作るか一から指導しなければならないが、道具や機械も効果的に取り入れている。そもそも私が大学時代に履修していた芸術学科のクラスではほとんどの生徒が芸術専攻なので、機械も使わず、技術やセンスを生かした作品が多かったが、このクラスは少し異なる。クラスメイトの上達も早く、驚いている。発想が豊かで道具や機械を効果的に使って幅広い作品を作っている。日本では使わなかった機械ばかりなので、少し戸惑いもあったが、楽しく制作している。道具や釉薬の名前もほぼ英語で理解できるようになった。

● Spring Break
日本で言う春休みのことである。中間テストが終わった後、1週間春休みであった。インターナショナルの学生12人ほどで、ジャマイカを旅行した。リドート地として有名な場所でもあり、ビーチがとても美しく、感動した。ただ、貧しい人たちの暮らしもたくさん見ることができた。途上国を訪れたのは初めてだったので、ショックもあったが、色々とても良い経験になった。一緒に旅行したインターナショナルの学生のほとんどはアメリカ滞在歴も長く、経験豊富な方ばかりで、一緒に旅行し、色々経験談を聞けて勉強になった。一生忘れられない旅行になったと思う。

●最後に
早いもので今学期も残り1ヶ月を切るので、期末テストに向けて気を引き締めていきたい。期末にいくつかプレゼンがあるのでそれに向けて準備していきたい。5月から夏休みだが、どう有効に使っていくか考えていきたい。
2008年 2月生活記録 富田 望 [2008年03月31日(月)]
2008年 2月 生活報告 富田 望
挨拶
 憂鬱な雨期が嘘のように、最近ではからっとしたいい天気が続いています。バレンタインも通り過ぎ、忙しない週末と共に、3月に入りました。ここでのバレンタインでは、男性が赤いバラとキャンディ女性に送るのが常識で華やかに彩られた店内のデコレーションがバレンタイン独特の雰囲気を醸し出していました。最近読んだ新聞のコラムでも「バレンタインの男女の葛藤」と云った面白いテーマで「バレンタインが生み出す男女の間の溝」をメインに皮肉さを示唆した文章で綴られておりました。学校生活の方では秋学期よりも、英語クラスに集中し、今回新しく受講したボキャブラリークラスが面白くなってきた今日このごろです。

トムの講演について
トータルコミュニケーションを考案したRoy K Hulcomb氏を父に持ち、現在オーロニ大学でdeaf culture/deaf educationなどを受け持っておられるTomas K Hulcombの講演がJASSとの遠隔指導により設けられ、この機に講演に参加してきました。テーマは「トータルコミュニケーションの歴史と現在」で、日本では誤解されがちなトータルコミュニケーションについてTomas氏の「バイリンガル教育が主流である今日では、トータルコミュニケーションによる教育方法は目立たなくなってきているが、根本的なところは同じだ」という言葉が印象に残りました。

英語スキルの向上のために
 春学期には、去年から受講している英語クラスを引き続き受講し、加えてボキャブラリークラスとASLクラスを受けています。ボキャブラリークラスでは一週間に40程の単語を覚えなければならないので、毎日暗記、英作の練習の繰り返しです。自分の英語がいかになっていないか実感させられるのもしょっちゅうで、英作にはいまだに悪戦苦闘の日々ですが、グループをつくって英語の勉強をすると不思議と効率があがるもので、最近では特定の友人達と時間をつくって勉強をしています。
2008年3月 生活記録(第2期生 高山 亨太) [2008年03月25日(火)]
サマータイム
ブッシュ現アメリカ合衆国大統領による去年から始まったサマータイム期間の延長が今年も3月から実施された。これまでは確か4月1日からサマータイムになるのだが、どうもなぜか去年から3月9日から実 施されるようになった。 1つの目的として、サマータイムに慣れるための準備期間が必要と言うことらしいが、本当は経済的な面での理由があるのだろうが、どうもじっくりこない。今年も、3月9日の午前2時から半年以上にわたるサマータイムに突入した。 1時間進むので、春休み直前の宿題ラッシュで忙しくて、少しでも時間が惜しい自分にとってはちょっと損した気分だった。これまで6時半におきるとちょうど日が昇り始め、明るく なるのに慣れていたせいか、今は6時半に起きてもまだ暗く、7時半になってやっと日が昇って来る。ついでに夜も8時ぐらいまで明るいので、どうも感覚や食欲がおかしくなっても仕方ない。

インターンシップ
多くの学生が旅行などを楽しんでいる春休みの最中に、自分が担当するケースの裁判を経験した。ケースを担当するソーシャルワーカー(実際にはインターンであるが)として、前回の裁判から3月までの3ヶ月間にわたる家族の状況やサービス提供の状況などを実際のサービス提供状況に基づいて、裁判官の前で話をした。
裁判では、Child and Family Service Agency側の弁護士、高山(ソーシャルワーカー)、子どもの弁護士、母親、父親の順にテーブルで横に並んだ。一般的な虐待、育児放棄のケースではこのように一列に並ぶようだ。後ろに両親のそれぞれの弁護士、私のスーパーバイザーなどがそれぞれ着席し、主に裁判官の質問に答える形で裁判が進められた。私も含め、当事者である両親もろう者であるため、裁判所から1名の法律専門の手話通訳者、Gallaudet Universityからインターンである私のためにもう1名の法律専門の手話通訳者が派遣され、それぞれの手話通訳者が協働しながら手話通訳を行っていた。
法律専門の手話通訳というのは、法律に関わる手話通訳を有している手話通訳のことであり、裁判などの場面での通訳技術や知識、また経験が求められている。具体的には、Registry of Interpreters for the Deaf (RID、日本で言う日本手話通訳士協会)が実施する試験であるSpecialist Certificate: Legal(SC: L)の試験に合格した手話通訳者が裁判所に派遣される。具体的な条件や内容については、以下のウェブサイトから閲覧できる。
http://www.rid.org/education/edu_certification/index.cfm/AID/46

日本財団会長
 春休み直前に、私がお世話になっている日本財団の笹川会長がGallaudet Universityを訪問し、日本財団に支援を受けている多くの留学生との情報交換、懇談を目的とした懇談会に参加した。Gallaudet Universityのロバート・ダビラ学長も臨席し、それぞれの留学生が自己紹介、さらにそれぞれの国のろう社会の問題について話し合ったりした。

国立大学法人筑波技術大学訪問団
 Gallaudet Universityの協定大学である国立大学法人筑波技術大学筑波技術大学から7名の訪問があり、彼らと交流した。メンバーは、学生4名と教員3名であった。今回の訪問の目的は、Gallaudet UniversityとNational Technical Institute for the Deaf(NTID)といった国立大学法人筑波技術大学の協定校との交流が目的である。しばらくは、このような細々とした大学間交流が続くのだろうが、いずれは正式に単位互換制度を創立して、1学期や1年の計画で交換留学が実現するとよいのではと個人的に思っている。国立大学法人筑波技術大学はNTIDをモデルにして設立されたが、それにこだわらずにGallaudet Universityの持つ強みやノウハウから、研究実績といった知的財産まで含めて、ろう社会の発展、高等教育の発展のために様々な形で両校間の研究交流や学生交流がさらに盛んになってほしいと感じている。Gallaudet Universityにいる在籍している間は、可能な限り多くの訪問者と交流したいと思った今回の交流であった。

その他
もうすぐWashington,D.C.にも桜が咲く時期になり、日本での桜の時期の思い出などを改めて思い出し、日本が恋しくなってきた。残り、1ヶ月ちょっとの学期であるが、気を抜かずに勉強に集中していきたいと思っている。
2008年2月生活記録 (第3期生 管野 奈津美) [2008年03月24日(月)]
● はじめに
2月はアパートから大学までの電車通学やお弁当作りなど慣れないことばかりだったが、3食自炊しているおかげなのか、風邪をひくことなく健康に過ごすことができた。早起きしてルームメイトと一緒に通学し、電車の中で「眠い眠い…」と言いながら今日は何のクラスがあるなどたわいない会話をする時間が好きである。3人のルームメイトとアパートの家賃や食費などをシェアしているので、ルームシェア生活での役割分担やお金に関するルールを話し合ったりなど色々良い経験になっている。私は主に家賃の支払い担当でルームメイトから家賃を集めて自分の口座に振り込んでいるが、アメリカのATMが古く、何度振り込んでも受け取ってもらえず、直接銀行に振り込みにいくハプニングを経験した。(日本の機械は本世界トップレベルと言っていいほど本当に質が良いと改めて感動しているこの頃です…。)また、週末には友人をディナーに招待し、日本食を作ったりおしゃべりしあったりとアパート生活を楽しんでいる。

● クラス
今学期は4つのクラスを履修しており、詳細は以下の通りである。

English
語彙、文法、エッセイとバランス良く勉強できるクラスである。語彙に関しては毎回小テストがあり、とても良い刺激になっている。本を読んで議論する時間があり、テーマはイスラム教とイラン革命である。本といってもアメリカでベストセラーになったコミックであり、筆者が少女時代に味わったイラン革命・イラン&イラク戦争の経験がコミカルに描かれていて読みやすい。そこで2人でパートナーを組んで、イスラム革命について調べてプレゼンをするという課題が出て、私のグループのテーマは「イスラム教の信念と他の宗教との違い」であった。私はイスラム教と他の宗教の違いを簡潔にまとめてプレゼンをした。イスラム教について調べた時に世界中の様々な宗教観に触れることができ、元々、日本では宗教に対する意識は薄いと改めて感じた。宗教について考えるいい機会になったと思う。

Deaf Culture
前学期のDeaf Studiesのクラスの内容をより深く学べるクラスと言っていい。2月はまずCultureとは何かというテーマから入り、アメリカにおける価値観、外国人から見たアメリカ人は何かというテーマの本を中心に進めた。それと同時にリサーチプロジェクトの課題があり、もちろんDeaf Artistについての本を選択し、読んでいる。とても分厚い本なので読み切れるか心配だが、頑張って読んでいきたい。

Deaf Art
アメリカのDeaf Artistとして有名なポール・ジョンソン先生のクラスでDeaf Artについて学べる講義である。先生いわく、Deaf Artについて詳しく学べるのはGallaudet Universityだけで、「君たちはとてもラッキーだ」と言っていた。Artとは何かという議論から始まり、2月はマイノリティとは何か、マイノリティとアートの関わりは何かというテーマで進められた。マイノリティのアートについて調べてプレゼンをする課題があり、黒人、アジア、ヒスパニック、女性、ゲイ、レズビアンなどのテーマが出て、私はレズビアンのテーマを選んだ。今まで知らなかった新鮮な世界に触れることができ、今学期で一番楽しみにしているクラスである。また、様々なDeaf Artの作品に触れることができ、良い刺激になっている。先生に作品集を見せたところ、「wonderful !! 」と喜んでいただき、「ぜひ、ここで学んだことを日本に持ち帰って広めてほしい。」と励ましの言葉とヘンリー・ムーア(アメリカの有名な彫刻家)の作品集をプレゼントして下さった。インターンシップ先や進路についても色々アドバイスを頂き、きっとこの先大きな力になってくれるであろう。この出会いに感謝している。

Ceramic
前回は中級クラスで今学期は上級クラスを履修しようかと思ったが、時間がどうしても合わず、先生と相談した結果、初級クラスを履修することになった。初心者と一緒に授業を受けているが、アメリカと日本では教える内容とプロセスが全く違うので、いい勉強になっている。また、クラスメイトから作り方について質問を受けることもあり、どうやって説明したらわかりやすいのか考えながらアドバイスしている。前学期はまだASLと英語に慣れず、ついていけなかったが、今学期は落ち着いてクラスに溶け込むことができ、色々釉薬の重ね塗りを試してみたりなどチャレンジしている。

● バイト
週に6時間だけだが、今学期からLab Assistantという学内のバイトを始めた。Lab Assistantというのは主に実習室の管理で、夜実習室を生徒のために開けなければならないが、先生の代わりに部屋にいて、生徒が誰か来たか確認したり、機械を使う時に危険がないかどうか見たりする仕事である。私は陶芸部屋のLab Assistantで、ほとんどの生徒が初心者なので生徒に作り方をアドバイスすることもでき、とても良い経験になっている。

P.S. もうすぐ春!!
日本はそろそろ桜が開花する季節ですね。ワシントンDCに、明治時代に日本から贈られた桜の並木道があり、とても美しいスポットだそうで、今から楽しみです。ただ、アメリカでは外では酒を飲んでいけない法律があるので、日本と同じようにお花見はできなさそうです…。健康的にお弁当を持ってハイキングに出かけようかと計画中です。
2008年2月生活記録(岡田) [2008年03月18日(火)]
3月に入り再びサマータイムになった。1時間時計が進むのであるが、この1時間が思いのほか、体に合わないようで慣れるのに苦労している。5月頃になればまた違うと思うが、午後8時近くになっても空が明るく、朝は8時過ぎになってやっと明るくなる。おなかの空く時間と実際の時間が合わなかったりリズムが狂う。もっともこれはアメリカ人でも慣れないようであるが、すっきりしない今日この頃である。

■履修クラス

今学期は英語に重点を移し、英語中心の時間割になった。

Mon: 13:30-15:10 Reading Strategy

Tue: 9:00-10:00 Special Project
11:30-13:10 Deaf Education
13:40-15:10 Fundamentals of Composition (Writing)

Wed: 13:30-15:10 Reading Strategy

Thu: 11:30-13:10 Deaf Education
13:40-15:10 Fundamentals of Composition (Writing)

これ以外に、コンピューターで行うVocabularyの授業を履修している。


■英語

学期が始まった当初は授業の要領がつかめなくて苦労した。というのも、例えばReadingのクラスで、日本でやっていたように解答すると「不十分」と言われるということがあった。こちらとしては「ポイントをおさえて簡潔に」とのつもりが、情報不足となってしまう。また、ライティングのクラスでは毎回エッセイを読んで感想を書くのだが、この感想も実はある一定の条件があって、日本のように自由に述べるのではない。こういった「ルール」を知らないために、かなり戸惑ったが、授業で詳細な説明を受けて慣れることができた。

2ヶ月前と比べて語彙力も上がっていることが実感できるし、読むスピードもだいぶ上がってきたと思う。先生からは「文法的なミスはわずかだし、気にする必要なないレベル。ただし not natural」と評価を受けている。しかし、ここが本当に難しいところである。

健聴者ならば聞きながら自然な英語を少なくとも「受ける」ことはできる。でもろう者の場合、その機会は著しく落ちる。以前にろう学生の英語クラスを担当している先生と「ろう者で非ネイティブの学生が英語を身につけるのはどのくらいかかるか?」と話したとき、以下のような趣旨のことをおっしゃられた。

「どのくらいかはハッキリわからないし、個人差があるけど、少なくともアメリカ人のの健聴者との比較で考えれば、彼らは生まれた瞬間から目と耳両方使って少しずつ身につけ始めて、大学生になるまで、18年間その状態できてる。で、大学入って、カレッジレベルのエッセイの書き方とかリーディングの仕方を2年間みっちりやって、ほかの科目もやって、プラス4年。こういう状態の人が大学院に入るようになってる。

ろうの留学生って言うのは、まず耳からの情報はなしって考えて、さらにアメリカ人が20年かけて身につけることを、短期間でっていうんだから、その差はもう想像を超えている。もちろんチャレンジしていくことは大事だし、そのためのバックアップもできる限りするけど、一方で、『外国から来た』『ろう者』が『目だけ』で英語を身につけるプロセスは、言うほど簡単じゃないってことを、もっと周りの人にも理解してほしい」

今このことを痛感している。例えばエッセイの適切な表現を知りたいとき、健聴者の学生はその場で先生に質問したり、アメリカ人のクラスメイトに聞くことができる。でもろう者の場合は、通訳がいないと深いコミュニケーションは取れない。もちろん先生は気軽に質問に来てというのだが、時間が合わなかったり、通訳の手配をしてアポイントとって、というプロセスが次の授業に間に合わなかったりで、不本意なまま提出せざるを得ないこともしばしばである。

ろう者のクラスでは、先生が私たちの事情を十分に理解しているため、不利になることはないが、メインストリームのクラスでは、naturalな英語ではないと大減点する先生もいる。メインストリームの環境では、ろう者は想像以上に難しい問題に直面する。

こうした経験の一つ一つを、「もし日本だったら??」「自分がサービスプロバイダーだったら?」と考えながら対処していきたいと思う。
2008年2月 生活記録(1期生 池上 真) [2008年03月17日(月)]
□ Deaf-REACH

 先月の生活記録にも書いたが、今学期は、「Deaf-REACH」という、さまざまな障がいを併せ持つろう重複者を対象とした生活就労施設でソーシャルワークの実習をさせていただいている。現在は、CSP (Community Support Providers)という部門で、主にケースマネジメントやカウンセリングなどの業務を担当させていただいている。日によってばらつきがあるが、多くて一日に3、4人の利用者の相談にのったり、カウンセリングを行ったり、近所の精神科医やリハビリテーションセンターへ利用者に同行したりしている。Deaf-REACHでの実習を始めてから約2ヶ月が経つが、毎日失敗だらけ、まだまだ分からないことだらけであぷあぷしているが、周囲の職員や他の実習生に聞いたりしながら、日々多くのことを学んでいる。直上司は、去年ギャローデット大学大学院のソーシャルワーク学部を卒業した人で、実習生という立場をよく理解し、責任ある仕事を分けてくださるので、心強い存在となっている。

□ 日本財団笹川会長との面談

 先々週の木曜日、日本財団の笹川会長がギャローデット大学を訪問され、会長を囲んでの懇親会に出席させていただいた。そこには、ギャローデット大学の第9代学長であるロバート・R・ダビラ学長をはじめ、世界聴覚障害者リーダーシッププログラムの奨学生や、日本財団の奨学金を受けて勉強している日本の学生たちが出席した。奨学生たちは始めに、それぞれの学年や専攻、出身国など、簡単な自己紹介を行い、続いて、それぞれの国のろう者を取り巻く環境の状況説明や帰国後の目標、現在の学校生活の様子などを報告した。最後に、笹川会長より一人一人に対して「これからも頑張ってください」と、励ましのお言葉を頂いた。どの学生も意欲的に勉強やその他様々な活動に取り組み、逆に自分が刺激を受け、気持ちを新たにしたものである。

□ 筑波技術大学の学生との交流

 先々週の日本財団の笹川会長の訪問に続き、先週末は、筑波技術大学の学生4名がギャローデット大学を訪問し、彼らとの夕食会に招かれ、短い時間ではあったが、有意義な時間を過ごした。彼らはこちらに来る前に、ロチェスターにある国立ろう工科大学(National Technical Institute for the Deaf)をも見学してきたと言い、少々お疲れの様子だったが、「アメリカに来て一番自分自身が変わったと思うものは何か?」「ギャローデット大学に入るにはどれくらいの英語力が要求されるか?」「ギャローデット大学にはどんな学部があるか?」「ギャローデット大学に来てからASLはどれくらい上達したか?」などと、活発な質問を受け、3年前の渡米時の自分の姿を思い出した。アメリカの大学、あるいは、大学院への留学を希望する人が今後ますます増えると想像されるが、自分も初心を忘れずに頑張っていきたくと思う。
2月生活記録 【第2期生 谷口】 [2008年03月15日(土)]
非常に冷たい風が身に凍みる季節となり、インターンシップのために毎朝5時半には起床し、まだ朝明けしていない夜空の中を歩き、ギャロデット大学に通学して1ヶ月以上経つ。ワシントンDCの緯度は日本の東北地方に一致し、東北地方に住んだ経験の全くない私にとって2度とこのような経験はしたくないというほどの辛さだった。おかげで喉を痛め、風邪を3回もひいてしまったのである。

■IIP■

インターンシップ
英語教育指導を見ていく中で、解決できるとは到底思えないほど1番大変な問題は、生徒たちそれぞれ違った言語を持っており、概念も当然異なる。その上、生徒たちのほとんどはアメリカで生活してから1年しか経っていなく、ASLも簡単な会話程度しか習得していない。そのような環境の中で、be動詞と一般動詞を教えていくかということが先生にとって一番辛い試練だと思っている。絵を使ったり色々な方法を使用して指導して、その時は生徒たちは「分かった!!」と嬉しそうに答えてくれるが、次の日にまた復習すると忘れてしまうのである。それは理解していないということになる。今のところは読書を通して使い方を指導するという方法を行っている。

ENG 103S
毎回、初めにボキャブラリーのテキストブックを使用して意味の確認をした上でテストを受け、次に文法の訓練、そして最後に「PERSEPOLIS」という本について議論し合うことになっている。特に生徒たちの関心を最も引き寄せたものはイラン革命についてである。実際にイラン革命を目の前で見ながら育ってきたイラン人の講演もクラス内で催され、生の経験談が聞けて大変良かった。その講師によると、そういう環境で育ったイラン人の子供たちは子供でさえ特に政治に非常に関心を持っており、それに関する話を子供同士で議論するという。

EDU 311
最初に、言語とコミュニケーションとは何か、それらの違いは何なのかという議論から始め、言語は生まれつき備わっているものなのかという非常に熱い討論までに発展していった。教育学では、言語は先天的なものであると定義されているが、少し矛盾していることがある。インドのある村でオオカミに育てられた人間の子供が10歳くらいになって以後無事に保護され、徹底的に教育を受けた結果、死亡されたという残念な結果に終わったという有名な実話がある。言語の臨界期があるが、もし言語が先天的であるならば、臨界期とは関係なく言語は発達するはずなのである。そういう討論がなされたが、結果としてうまくまとめられなかった。こういうテーマだと終わりなき議論になるのは無論のことである。

EDU 605
今学期の講義は評価方法についてである。成績を出すために生徒たちはテストなどを受ける必要があるが、評価は大きく分けて2つの種類がある。1つ目は形成的評価で、生徒の学習進度を継続的に評価する方法であり、もう一方が総括的評価でテストなどで確認する評価である。どうやって正当に評価するかという議論を毎回行っている。

■ELISO■
毎週火曜日の夜6時に委員会の会議があるが、あいにく他の講義と重なっているために今学期はその会議に出席することは出来なくなった。しかし、陰ながら企画の担当として色々と企画を練っていきたいと思っている。

■抱負■
また、来月の春休みに友達とドライブでフロリダを周遊する予定である。今年最後のアメリカなので、ディズニーランドの有名なオーランドや魅力的なビーチのあるマイアミなどを観光してみたかったからである。今回が最後のアメリカの旅になるだろう。
Posted by 谷口恵美(第2期) at 11:22 | 奨学生生活記録 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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