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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2018年9月生活記録【第13期生 橋本重人】[2018年10月08日(Mon)]
 私の住んでいるCarlin Hall(カーリン寮)では、最近までの長期間の雨の影響で、至るところにカビが発生してきたようです。気が付いたら、私の部屋の壁にも黒いシミが…!毎朝寮を出るたびに、1階ロビーのフロントデスク担当者が、寮生からのクレームに必死に対応しているのを見かけます。先輩たち曰く、毎年このシーズンになるとよくあるとのことでした。Carlin Hallはかなり古いため、カビや水漏れなどハプニングが起こるのは当たり前のようです。

 さて、アメリカのワシントンD.C.にあるギャロデット大学に入学して1カ月が経ちました。まだ1カ月なので私自身に大きな変化はありませんが、本当に毎日が新鮮です。ここは聴覚障害者のための大学なので、そのキャンパスにいる限りどこに行ってもみんな手を動かしています。人工内耳や補聴器を装用している学生もいれば、していない学生もいます。英語対応手話・アメリカ手話で話す学生もいれば、(まれですが)口話のみで話す学生もいます。ろうのアイデンティティーが確立されている学生もいれば、まだ不安定で考察中の学生もいます。もちろん、様々な国から留学に来たろう学生もいます。日本はもちろん、ノルウェー、デンマーク、中国、韓国、ミャンマー、アフガニスタン、イエメンと非常に多彩です。そのため、それぞれが多種多様な話題を持ち寄り、時間を忘れてしまうほど夢中で話し合っています。

 この秋学期は全部で下記の5講義を受講しています。
@The Structures and Application of ASL and English in the Classroom(教室でのアメリカ手話と英語の構成と応用)
AIntroduction to Research(研究入門)
BField Experience and Seminar: Deaf Education(フィールド体験とセミナー)
CTrends in Special Education(特別支援教育の動向)
DTeaching functional Curriculum to Deaf Students with Disabilities(ろう重複障害の生徒への機能的カリキュラムの指導)
 そのうち、今回は3つのクラスを紹介します。

@The Structures and Application of ASL and English in the Classroom(教室でのアメリカ手話と英語の構成と応用)
 この秋学期で一番やりがいを感じるクラスです。この講義を通してギャロデット大学の教育方針であるバイリンガルろう教育について学びたいと思い、受講しました。担当の先生は手話があまりにも堪能なのでろう者かと思っていたら、驚くことに聴者でした。いつも髪型をばっちり整え服装も決まっていて、かっこいい先生です。また、ポイントを押さえながら話してくれるので、ネイティブな環境に慣れていない私でも分かりやすかったです。グループに分かれてアメリカ手話と英語のそれぞれの言語分析を行います。

IMG-6142のコピー.jpg
 写真のように、ELAN(動画分析ツール)を使って、子どもや大人の手話一つ一つに様々な観点からの注釈を書き加えて、細かく分析するという作業です。3人グループでそれぞれ研究をしています。日本手話と日本語もそのように分析すると思うので、今のうちにそのスキルを身につけていきたいと思います。

AIntroduction to Research(研究入門)
 第12期生の西さんの2017年9月生活記録にも書いてありますが、毎回ある小テストが何はさておき本当に大変です。剰え15問中5問以上を間違えたら点数がもらえなくなるので、いつもヒヤヒヤさせられます。担当の先生は英語対応手話で話しますが、時々分からなくなったら一緒に受講しているろう学生にアメリカ手話で説明してくれるので、なんとか授業についていっているという感じです。自分の興味のあるテーマを決め、その文献を探し、文献レビューの練習をします。文献レビューとは、特定のテーマに関する研究論文などの著作物を評価しながらまとめることです。かなり難しそうですが、少しずつ学習していきます。

BField Experience and Seminar: Deaf Education(フィールド体験とセミナー)
 様々な学校を見学する講義です。ワシントンD.C.だけでなく、メリーランド州やバージニア州の学校にも見学することができるそうです。州によって学校システムが違うため、とても楽しみにしています。見学のない日には、担当の先生が出すテーマ(ろう教育関係)についてみっちり話し合いを行います。グループディスカッションでは他の何ものよりも私が情報弱者のため、「Again, please!(もう一回言ってください)」「What did you say?(なんて言ったの?)」「I can’t understand what you said.(何を言っているのか分かりません)」といつも授業中みんなに質問しています。

 残りの2つのクラスは次回報告します。なんとか頑張ります!
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