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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2018年3月生活記録 第11期生 <牧谷 陽平>[2018年04月08日(Sun)]
「おめぇなんか先生クビだ!!」
「おめぇ,ろう者学勉強してないんだろ?数学もまともに勉強していないんだろ!いやだー,こいつに教えてもらいたくねえよ。」
「えー,こいつと同じ大学 (RIT) になんか行きたくねえよ!地元の大学にいくっちゃあこった!このRITのステッカーなんか必要ねえな。(ベリベリベリ…RITのステッカーをはがす)」
「おめえの話なんかつまんねえよ!さっさと授業内容を進めていくことやな!」



一体全体,何が起こったのでしょうか。ちょっと私の体のゼンマイを巻き戻してみますね。
それは3月4日。。。この日から,卒業式目前まで,この留学の総まとめである教育実習を,行うことになりました!場所は。。。

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<ろう学校の正門>


ここです!2年前の英語研修のときに住んでいたCalifornia州に戻りました!というのも,California州に戻りたかったわけでもなく,教育実習をする場所を大学の先生と相談して,いくつかのろう学校に教育実習を依頼したのですが,12月になっても何の連絡が来ず,12月末ごろにやっと教育実習を受け入れてくれる学校から引き受けの返事がきたので,このろう学校で教育実習をすることになりました。今回は写真と一緒にこの学校のことを紹介します。

まずここのろう学校の特徴と言えば…私の先生が「このろう学校は教室を出ると廊下なんかなく,外なんだよ」ということを思い出し…来てみると本当に開放的な空間が広がっていました。

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<高等部の写真>
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<中学部の写真>
高等部の写真ではわかりにくいのですが,
中学部の写真を見てわかるように,違う世界に来た気分でした


教室に入ると,そこは日本と似ているようで似ていない教室が…。日本の場合は,中学校から高校までは生徒が同じ部屋にいて,先生が教科ごとに変わって毎時間,教室に違う先生が入ってきます。つまり部屋は全部,職員室なんですね。職員室 (兼) 教室。毎時間,生徒が入れ替わりでこの部屋に入ってきます。

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<私の指導教官の部屋>


他に,MSSEから教育実習で中学部の社会の実習をすることになったクラスメイトがいたので,お願いして担当の先生にも会って,その先生の部屋も見せてもらいました。

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<中学校社会の先生の部屋>


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<社会とは何か,を説明したものです>

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<いろいろな思考をするためのヒントです>

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社会で習う4本の"世界"「政治」「経済」「社会」「文化」と「地理」「技術」
を先生が "視覚構造化 (いわゆるマッピング)" したものです
これが私の欲しかったものです!


なんと,シンプルな私の教官の部屋に対し,こちらの教室はいろいろな工夫がされていて,つねに生徒が思考回路を生かせるように設計されていました。
また,隣の部屋は保体の先生の部屋で,教室には性教育の道具がありました。生徒にとっては実物が教室にあることはとても効果が大きく (とくにろうの子どもたちは言葉で説明するよりも実物の方が分かりやすい),これらを触りながら正しい使い方を学ぶことができることに感心しました。
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<性教育の道具です>


ここの時間割というか,アメリカ全体での学校の時間割は奇妙なものです。ここのろう学校の高等部は授業が毎時間52分で,休憩時間が4分という,中途半端な時間分配になっています。しかも金曜日は偶数校時と奇数校時が交互に隔週であり,金曜日の場合は1校時が65分です。
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<社会の先生の部屋にあった時間割です。アメリカ大統領をのせるなんて粋です>



教育実習が始まり最初のうちは授業を担当せず,クラスの見学を兼ねて,問題演習をするときに問題を解くのを手伝っていました。とあるクラスは,高校1年生(日本でいう中学3年生と同じ学年) のワイルドなクラスです。誰かが,筆記用具を忘れて先生の鉛筆を借りるときに,白板に誰が何を先生から借りたか,書き留めるというルールがあります。その白板に何々を借りると書いたついでに,ちょっとした遊び心から,変なことを書きだした生徒の書いてあることに他の生徒がつられ,白板に落書きをしてしまうという,ワイルドなクラスです。もう授業の間じゅう,おしゃべりが尽きず,もはやおしゃべりに来ているかのようなクラスでした。これはもはや,教室ではありません。動物園です。生徒たちは立ち回っておしゃべりしたり,他ごとをしていたりして,授業に集中することがほとんどありませんでした。彼らの授業のときに,いろんな生徒の問題演習を手伝うのですが,「あっちいけよ!何見てんの!」とか「なんでお前が教えているんだよ!」とか罵詈雑言をこちらに浴びせてきます。もちろんこの生活記録の最初にあった罵詈雑言も,彼らの言葉です。

やれやれ…ここで教育実習を2カ月することになるのか…頭がもうすでに痛い状態です。でもここで2カ月強,ふんばれば卒業はもう目の前ですから,頑張っていくことにします。
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