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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
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2017年4月生活記録 第9期生 瀧澤泉[2017年04月30日(Sun)]

IMG_1789.JPG


卒業日を指折り数えつつも、
横には見苦しい風景が。

もちろん、山積みの課題とプレゼン。


月はほぼプロジェクトが中心です。卒業が迫ってくる際に論文を書くイメージがあると思われる方はいるのでしょうか。もう既にご存知の方がいらっしゃるかもしれませんが、日本でいう修士論文が米国にはほぼないんです(ただし学部によります)。自分が入っている学部の場合は必須な条件があります。指定された卒業単位数を通過し、クラスの成績が−B(日本でいうと不合格になる)に一つも入っていないこと、ポートフォリオ提出といった時点で修士号が取れるのです。

Good Luck (グッドラック)…あとは運次第です笑

今まで習得した内容がほとんど通信クラスとプロジェクトばかりなので、プロジェクトの内容と印象に残った映画を少しお話します。

【プロジェクト分析・開発】

国際開発金融機関であるWorld Bank (世界銀行)によるプロジェクト支援
• Tejaswini(インド女性の氏名):インドにおける青年少女・若年女性の社会経済的エンパワメントプロジェクト(2016年)
Empowerment (エンパワメント)とは
日本語辞書で調べてみても、今まで習った内容と釣り合わないため英英辞典(オックスフォード)で調べてみた結果。

《英》
1.give (someone) the authority or power to do something
2.make (someone) stronger and more confident, especially in controlling their life and claiming their right
《和》
1. 人に〜する権利と力を与える。
2. 自分の人生をコントロールし、特に自分の権利を持ってより良く強く主張する。

つまり、「エンパワメント」とは自分の周辺の課題や置かれた状況に気づき、問題を自覚し、自分の生活をコントロール・改善する力をつけるという意味で使われています。

 ただ、注意しないといけないのが、プロジェクトを立てる際に人々に「エンパワメントする」ことは「どのように」行動するかということ。簡単なようで難しいのです。インドの青年少女・若年女性たちの問題の状況を把握し、どのようにエンパワメントするのか。

 分析する中一番引っかかるのは、通学している少女たちは家族の家事や農業を手伝う、または災害に遭い、通えない状況になってしまうことがよくあるケース。バスや車がないため、家から学校まで数時間もかけて歩いて通っている。或いは結婚する傾向もあり、途中で退学になることもある。どうやって女性が貧困から抜け出せるのでしょう…?(ワークショップやトレーニングを受けたくても時間がないという状況になる)。

 そのプロジェクトは目の前にある課題を見つけ、青年少女・若年女性たちがワークショップやトレーニングを受けながら自立できる環境、そして経済を向上させるために5年間の企画で行っているそうです (NGOs/NPOs、協会、女性局と子どもの発達と社会保障、女性開発協会(JWDS)、およびその他の行政部門に参加しています)。

 しかし、地元住民はこのプロジェクトの参加に肯定的および否定的な立場を持っているのです。インドは、先住民、気候変動、健康問題から経済、教育、健康、環境から多くの影響を受けてしまう。

 例えば、互いが同じインド人でもそれぞれの背景、言語、伝統、宗教などの価値が異なるため、各グループは他のグループとの意見が合わず、プロジェクトを実践できるかどうか。或いは、干ばつの問題で水が足りなくなると生活ができなくなり、他の街に移動してしまうことも少なくないのです。そのようなリスクを乗り越えるようにプロジェクトが課題に面した時に改めて調整しなければならないと思います。

【プロジェクトデザイン】

アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)の助成金によるプロジェクト企画
• Inclusion Education for DeafBlind children in Mali (マリの盲ろう児のためのインクルージョン教育)

 去年、アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)からアフリカにあるマリにろうと盲者のためのインクルージョン教育に助成金の募集がありました。私のクラスメイトの人も申し込みしたいと相談したが、自分たちが団体を持っている立場でないと責任を負えないという状況のため、ギャロデット大学の監視者の下でプロジェクトを申請する形になりました。ろう、盲、盲ろう児のためのインクルージョン教育のうち、私は盲ろう児のためのプロジェクトの担当に。

 幾つかの資料や盲ろうのリーダーをしている、或いはベテランの人を依頼し、ワークショップやトレーニングを実践しようと企画を立てることに成功しましたが、申請する締め切りが学期の中間の時に締め切るため、期間的に間に合わず、経験のみにプロジェクトを作り上げることになりました。

どちらも12ページ以上書きました。一週間で終えないといけなかったため、毎日家やギャロデット大学で一日中引きこもってしんどかったです…笑 どっちも将来に仕事として使える内容でした。

印象に残った映画があります。

13条.jpg

「13th」-- 憲法修正第13条


その映画はIDP773のクラスで習ったものです。すんごく衝撃的な内容でした…!
今まで思っていたこととは違っていました。

今住んでいるところのDCにあちこちに黒人がいるのですが、今でも貧困で犯罪者の率が遥かに高いのです。昔から黒人と白人との間に人種差別が多く、今でも白人の警察官が黒人たちを見かけると意味のない暴力を振っている日々です。米国の奴隷制度の歴史が関係していると知っているにも関わらず、今になってもその問題が変わらないという疑問に思っていた私がわかってきたのがその映画です。ソーシャルメディアは本当にパワーがあります。

もし時間がある方は是非とも是非とも見て欲しいです。


それでは...また五月に会えるのかしら?

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https://blog.canpan.info/deaf-ryugaku/archive/1064
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