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聴覚障害者留学
 
 このブログは、2004年度より特定非営利活動法人(NPO)日本ASL協会が日本財団の助成の下実施しております「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の奨学生がアメリカ留学の様子および帰国後の活動などについてお届けするものです。
 コメントでいただくご質問はブログに書かれている内容の範囲のみでお願いします。それ以外の留学に関するご質問は日本ASL協会の留学担当にお問い合わせ下さい。
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2019年9月生活記録【第13期生 橋本重人】[2019年10月08日(Tue)]
みなさん、こんにちは。前学期に続けて、今学期もOSWD(Office for Students With Disabilities / 障害学生のためのオフィス)という学生支援室で働かせてもらっています。今は特に盲ろう学生への支援を行っています。今までは、支援機器(拡大器、拡大印刷など)を使って読むことができる盲ろう学生が多かったのですが、今学期は点字教材を必要とする盲ろう学生が増えてきました。

これまではリーディング用テキストをスキャンして当該学生にメールしてきましたが、それを点字文書化するためには、スキャン→PDF化して、Googleドキュメントで読み取った文章のチェック作業を行わないといけません。単語が間違っていたりすることもあるので、私たちスタッフが正誤チェックをするのです。確認作業が終わったら、学生本人に添付ファイルとしてメールします。受け取った学生はそのデータを自動点訳ソフト(JAWS)を使って点字化にして読み始めるという流れになります。

IMG-1867.jpg
⑴テキストをスキャンする。

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⑵PDF化する。

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⑶Goodleドキュメントで文章チェックを行う。

最近は、e-bookといわれる電子書籍が増えてきており、盲ろう学生本人が自ら点字化することができますが、クラスで使うリーディング用テキストがたまたま1990年〜2000年に出版されたもので、まだ電子化されていないものばかりでした。OSWDのスタッフが出版社に電子化するように依頼しても、断られる場合があるそうです。そこで、スタッフが地道にスキャンしたり、文章チェックを行ったりしなければなりません。1冊300〜500ページもあるテキストに対して、完成まで4〜6日はかかります。それでも、クラスはどんどん進んでいってしまうので、必要な分だけ役割分担して行っています。でも、いちばん大変なのは盲ろう学生本人です。ちなみに、2018〜2019年の盲ろう学生は全員で16名だそうです。

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電子化されていない教科書の山。


もうひとつ、OSWDが困難に陥っていることはSSP(Support Service Providers / 支援サービス提供者)の数が足りないことです。OSWDが提供しているSSPとは盲ろう学生、車いすのろう学生などの学生生活の支援を行うことです。たとえば、入学してきた盲ろう学生はギャロデット大学にどんな設備があるか(階段、教室、トイレ、郵便局、売店など)、どのような建物があるかを覚えないといけません。SSPの学生と行動を共にして場所を覚えるようになったら自分で行動できるようになります。また、日が沈む頃に視野が極端に狭くなる盲ろう学生のサポートを行うこともあります。SSPの学生が足りずに、そのサービスを利用したくても利用できない学生が数名います。

夜になるとSSPサービスを必要とするアッシャー症候群のろう学生のある出来事に衝撃を受けました。

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こちらです。何か気づきましたか?そうです、スクーターが道路の真ん中に置いてありますね。

2年前あたりからか、アメリカの都市では電動スクーターや自転車を使ってシェアするようになってきています。ワシントンD.C.では、自転車シェア(CapitalBikeshare/LimeBike/Mobike/Spinなど)、電動スクーターシェア(Lime-S/BIRD)、カーシェア(Car2Go/Zipcar)などがあり、最寄り駅から目的地まで距離がある場合などに活用するようになってきています。ギャロデット大学内でもそれを利用する学生があちこち見られます。便利になったことはいいことですが、道の真ん中に置いてあったため、その学生はその存在に気付かずぶつかって転んでしまい、ケガを負ってしまったそうです。


また、車いすの学生がそこを通ることができず途方に暮れてしまうこともあります。悲しいことですね。乗り物をどのように停めたらいいか、その配慮がないことで他の人たちの障壁になってしまいます。


以上のことから、多様な人たちのことが考慮されていない社会は、様々なバリア(障壁)を生み出しています。障害の有無にかかわらず、どんな立場でも、安心して自由に生活をするためには、一人ひとりが様々な人のことを思いやる心をもつことが大切だと思います。

Posted by 橋本 at 09:24 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2019年9月生活記録【第13期生 山田茉侑】[2019年10月08日(Tue)]
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みなさまこんにちは。写真は、Prudential CenterからMIT(上)とイタリア街(下)方面を見た景色です。地上からは気づかなかったのですが、思っている以上にあたり一面赤煉瓦の建物が群集していました。
いままで通ってきた小道を、記憶をなぞるように上から見ていたら、いろんな感情がこみ上げてきました。ボストンは、わたしにとってすっかり第三の故郷です。



今月は、今学期受講するクラスの一部を紹介したいと思います。
・ASL 5
・Major Research:メインリサーチクラス
・Introduce to Research:リサーチ導入
(他に「日本語初級クラス」と「クラスルーム管理クラス」を受講しています。今月の記事ではそれらのクラスの詳細については割愛します。)


・ASL5クラス
ASLストーリーを作るスキルを磨くためのクラスです。イベントの企画もこのクラスの評価に入ります。つまり、このクラスで学んだことを取り入れたイベントを、ろう学校とBU PUB(驚くなかれ、ボストン大学にはなんと大学のバーがあるのです!)で開催するのです。
例えば、最近学んだVV(Visual Vernacular)で即興でストーリーを作り上げ競争する、などのイベント内容を考えてます。

VVは (1)CL (classifier) (2)ジェスチャー (3)マイム で構成されたもので、できる限り手話単語や音声単語をなくし、観客が“見るだけ“でわかるようにストーリー構成されたものです。
例をあげたいと思います。
こちら、Rob Royの「オリンピック」、すごいです。



CLを減らすと、手話の知らない聴者でも読み取れるようになります。
一方、CLが強いと手話のわからない人には難しくなります。ただ、CLを突き詰めていくと今年度7月の記事で紹介している「Cinematography(映像的技術)」のような表現になります。



・Major Research:リサーチクラス
卒業論文!!!ろう教育専攻内で卒業論文を書くためのクラス、といったら分かりやすいでしょうか。といっても、実は2年前から「手話の絵本」を作ることで、卒業論文の代わりとする、と決められたようです。

皆川さんの今月のブログの文化的資源でも説明されているように、ろうの子どもが使える教材は本当に限られています。デフファミリーのなかには、家族間で手話遊びや子ども向けの手話ストーリーが受け継がれているかもしれません。しかし、ろうの子どもの親のほとんどが聴者です。子どもを通して初めてろうの世界に入ってきた方ばかりです。外国語当然である日本手話の手話遊びや手話語りなどを、そんな保護者たちができますでしょうか。

育児のお助けツール、ディズニー映画などはNetflixで気軽に見れます。一方、手話の子ども向けの映像はあるのでしょうか。あっても、購入しようと思ったら、DVD1本に5000円もします。そんなDVDを何本も買えますでしょうか。

そんな家族が必要とするものはなんだろう、子どもの言語発達や育ちを支援する教材はなんだろう。そんなことを考え、だったら、われわれが教材を作って発信していこう、という流れで、「手話絵本作成」を卒業論文代わりにしたようです。

今後の予定
1) 手話絵本の対象児は二人(8歳と6歳)。どちらも空想のキャラクターですが、詳細は学生で決めました。ポイントは、どちらも言語剥奪の危機にある子どもです。
2) チームに分かれて対象児に合った「手話絵本」を作ります。
ただし、その動画はクラス全体の中で使えるものを目指しています。
(言語剥奪の子どもだけではなく、他の子どもも楽しく学べる動画。)
3) HMS(Horaceman school for the Deaf)、TLC(The Learning center for the Deaf)で実際に子どもたちに手話絵本を披露します。子どもの反応を見ながら変更修正します。
4) 11月終わりに実習でお世話になるTennessee school for the Deaf(テネシーろう学校)で、実際に手話絵本を披露します。

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こちら、対象児の詳細です。もし興味があれば読んでみてください。
絵本を作るときは、自己満足にならないよう、いつもこのプロフィールとにらめっこしています。


われわれのチームでは、アメリカ手話バージョンと日本手話バージョンの両方を作ることにしました。チームから許可をもらったので、今回作ったものを日本でも公開したい思います

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写真は、「どの手話単語を使うか」話し合った形跡です。「I/NEED/YOUR/HELP」と4語使うよりも、「HELP/(?)」と1語に絞るなど手話をシンプル化させ、そしてジェスチャーで終始しないように工夫しています。



・Introduce to Research:リサーチ導入クラス
Major Researchクラスで手話絵本を扱うのに対し、こちらでは紙媒体の論文を書きます。日本の論文と同じような感じでしょうか。ただ、論文の概要 (abstract) から方法 (method) までをデザインしますが、実際に実験やデータを集めることはしません。
せっかくなので興味のあること、乳幼児の手話子守唄について調べております。手話ベースの研究は英語論文でもなかなかないため、まずは音声ベースの論文を読み込み、手話に応用することを考えております。



こちらもうすっかり寒くなり、ものすごい勢いで木々が色を変えていっております。日本には、「食欲の秋、読書の秋」などいろんな秋が存在しますが、こちらではどんな秋が存在するんだろうと、ちょっと考えております。
まわりにいる友人たちは、毎日ホラー映画を見たりハロウインパーティのテーマやコスプレを考えたりと、気持ちはもうハロウインに向かっているようです。
みなさまも素敵な秋をお過ごしください。それではまた翌月にお会いしましょう。


Posted by 山田 at 04:27 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2019年9月生活記録【第16期生 皆川愛】[2019年10月06日(Sun)]
カチンコ動画はこちらのURLまたは画像をクリックしてください
( )は、その内容の開始時間です。興味のある内容に合わせてご覧ください。
@文化学とろう文化 〜授業より〜 (0:08〜
A手話の権利と文化的資源 〜国際ろう週間のイベントより〜 (8:25〜
https://www.youtube.com/embed/Cw4Z5QALHjA?loop=1&playlist=Cw4Z5QALHjA

 

今後、最初に今月のショットを一枚をお送りさせてください。
かわいい9月のショット
とある日暮れ前、ギャロデットのキャンパスがピンク色に包まれていました。
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@文化学とろう文化

<文化学(Cultural studies)とは何か?>
現在、ギャロデット大学大学院のろう者学部は3つの専攻があり、私は文化学を専攻にしています。
科学の功績は言うまでもありません。
ですが、科学は実験的な結果に基づき、規範を生み出し、
それが”Tyranny(制圧)”にもなりうります(Branson & Miller, 2002)。
例えば、ろうに関して言えば、聴力検査などの明確な基準を作り出し、
ろう者について”Deviance(逸脱)”や”Inferiority(劣等)”といったラベルを生み出しました。
それがろう教育における発声訓練という圧政にも結びついたのです。
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それに対して新しい視点を持ち込んだのが文化モデルです。
ですが、ろう文化とは何か?ろう文化は科学で説明できるのか?
科学でいう規範では説明しきれない人間の現象を解明しようとしたのが文化学です
さらに、文化学は抑圧された声の再発見に力を注いでいます
社会には、優越とされる文化もありますし、迫害される文化もあります。
ろう文化は後者の方です。だから、ろう文化研究が重要だと言えるのです。

<ろう文化(Deaf culture)とは?>
ろう文化という言葉は今日、私たちの生活に深く浸透しています(いると思われます)。
ろう文化の概念は、1988年にPadden氏とHumphries氏という
デフファミリー出身のろう夫婦によって、初めて提唱されました。
また、科学の話に戻りますが、Myklebust(1965)という心理学者は、
ろう者について心理的観察に基づき、「攻撃的」「自己中心的」などと記述しました。
夫婦はろう文化について一石を投じた意図は、
Myklebust氏のような権威のある科学者の言説に対する懐疑と倫理的批判にあると言及しています。
それこそ科学に対抗する新しいアプローチですね。
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そして、Padden・Humphries氏によると、ろう文化には以下の要素があると言います。
@”Language”言語:文化の大きな要素、アメリカでは視覚言語であるASL
A”Speaking”声を使うこと;音声を使うことは適切ではないという価値観
B”Social relations”社会的関係:親族関係というよりも、他のろう者との繋がりが重要視される
C”Stories and literature of the culture”文化における物語と文学:ろうの子どもがアクセスできる絵本など
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納得するような気もします。
なお、2012年にはHolcomb氏によって6つの要素にアップデートされています。 

けれども、ろう文化はリストで説明できるものなのでしょうか。
Padden・Humphries氏は文化的価値観など抽象的なものについては
明確に述べていないという課題を自ら言及しています。

Turner(1996)はその限界を踏まえてもなお、その定義が短絡的ではないかと指摘しました。
一つは”Culture as a verb(文化は動詞的である)”
文化は静的なものではなく、変化するものであり、単なるリストでは説明しきれないこと


二つは、アメリカの状況に基づいて書かれており、
それが他の国のろう文化への”Hegemony(ヘゲモニー)”支配を生むのではないかということ

例えば、Kusters氏は、国際手話がASLの影響をすごく受けていることに視点をつけました。
それはギャロデット大学で発案された様々な学術用語の手話表現が世界に広まっていること、
国際手話を使う場面では英語を中心に使われているため、口形と連動してASLに引っ張られることなど、
様々な理由が考えられますが、英語とASLはパワーであり、アメリカのろう社会がまさにヘゲモニーだと指摘しています。

最後に、ろう文化を取り巻く状況として、
Colonarism(植民地主義)”聴者マジョリティ社会との関係や、他の国のろう文化や手話への支配、
Biopower(生権力)”医学モデルにはなぜ勝てないのか、
すなわちパワーについて言及せず説明しているところにも不足があると書いています。
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冒頭の、文化学は単に文化とは何かを説明するだけに留まってはいけないという視点と繋がるところがあります。
繰り返しますが、社会の中にある文化には、優越にある側であれ、迫害される側であれ、パワーが働いており、
それを含めてこその文化学なのだということをTurner氏の指摘からも学ぶことができます。

Padden・Humphries氏の論文は、ろう者について文化という新しいメガネを社会に持ち出した点で、
その業績は大きいものです。
実際、日本もその影響を受けて、1996年に木村・市田氏によってろう文化宣言が出されました。
(ろう文化宣伝→ろう文化宣言 10/16に修正済み、ご指摘をありがとうございました)
ろう文化の著書にろう者の定義を言及していますが、
「ろう者とは、日本手話という、日本語とは異なる言語を話す、言語的少数者である」
というもので、文化については言及されていません。
また、社会の中でろう者や手話がどのように位置づけられているか、パワーについての言及もありません。
そして、その後ろう文化について具体的な議論や動きはあまりなされていないように思います。

ろう文化は私の今後の活動、自分自身の人生にとっても重要なキーワードです。
ましてや対象は医療者です。
科学、エビデンスを武器にしている医療の中に文化という概念をどう組み込めるのか、
医療現場でろう者が直面している抑圧、パワーについてど説明できるるか、
文化学をじっくり理解しながら、今後取り組んでいきたいです。

A手話の権利と文化的資源

世界ろう連盟によると、9月の最後の週は”International week of the Deaf(国際ろう週間)”と呼ばれています。
今年は、「Sign language rights for all(手話の権利はみんなのもの)」というスローガンで各地でイベントが開かれました。
ギャロデット大学では、9月24日に「Sign language rights for all deaf children(手話の権利を全てのろうの子どもたちに)」に焦点を当てて、シンポジウムが開かれました。
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バイリンガル教育をミッションにしているろう学校が複数ある米国でさえも、
85%のろう・難聴の子どもたちが口話法に向けられていて、
手話にアクセスできる機会をもっていません(ASHA Pediatrics Statistics, 2013)。
医療機関がろうに関するほとんどを支配しているからです。
そして彼らの多くは文化について気にしていません。医学に関する言説がやはり影響力を持っているのです。

さらに、システムの観点で見れば、行政は人工内耳や補聴器など「聞こえ」に焦点を当てた支援には金銭面で支援をしていますが、
ろう子どもを持つ保護者に「手話」を学ぶための金銭面での支援はしていません。
さらに、「手話」でアクセスできる文学、絵本がどれだけあるのでしょうか。


手話に関する資源が大変不足している現状をなんとかしなければ、ろうの子どもたちへの手話の機会はなかなか増えません。
手話やろう文化を学ぶ機会(オンライン形式やマンツーマンの講習など)、保護者に対するメンター制度、手話の絵本、など様々な文化的資源の開発に尽力されている方々によるパネルがありました。
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<文化的資源の例>
・ASL CONNECT(ギャロデット大学が中心に運営している手話やろう文化を学ぶオンラインコース:まだ発展途上のサイトですが、一部無料で提供しています)
https://www.gallaudet.edu/asl-connect/asl-for-free

・National Deaf Mentor Program(デフメンタープログラム:こちらは全国にトレーニングプログラムを提供している機関で、実際は各州によって委託されており、家庭訪問やビデオ電話を通して、ろうのメンターが助言をしたり、ろう児との関わりの指導を行っています)
https://www.deaf-mentor.skihi.org

・VL2 Storybook (VL2というラボがアメリカ手話の絵本をアプリをアップルストア経由で一冊500円程で提供している:ただ、現時点ではアメリカのアカウントでないとダウンロードできないみたいです、、)
https://apps.apple.com/us/app-bundle/vl2-storybook-apps-the-collection/id1063763821

この文化的資源の重要性は、医療場面でも同様のことが言えます。
医療関係において、手話でアクセスできる健康情報、健康相談はごく僅かです。
また、手話や文化に精通している医療者、手話によるアセスメントツールもほぼ皆無です。
私の目標は何か、医療関係の「文化的資源」の開発だということを改めて再認識することができました。

こちらはすっかり秋めいてきました枯れ葉
季節の変わり目、体調に気をつけてお過ごしくださいね。

<参考文献>

・Branson, J., & Miller, D. (2002). The cosmological tyranny of science: From the new philosophy to eugenics. In J, Branson, and D, Miller (Eds.), Damned for their difference: The cultural construction of Deaf people as disabled (pp, 13-35). Washington, DC: Gallaudet Press.

・Holcomb, T. K. (2012). Introduction to American Deaf culture. California, CA: Oxford University Press.

・Kusters, A. (2019). How much is too much? On the use of ASL signs in International Sign. Retrieved October 6th, 2019 from https://mobiledeaf.org.uk/aslis/

・Myklebust, H. (1964). The Psychology of Deafness: Sensory Deprivation, Learning, and Adjustment, New York, NY: Grune and Stratton.

・Padden, C., & Humphries ,T. (1988). Deaf in America: Voices from a culture. Boston, MA: Harvard University Press.

・Turner, G. H. (1994). How is Deaf Culture?: Another Perspective on a Fundamental Concept. Sign Language Studies, 83, 103-126.
Posted by 皆川 at 13:51 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
<速報>第13回留学奨学生帰国報告会 12/22開催決定![2019年10月02日(Wed)]
<速報>第13回留学奨学生帰国報告会 12/22開催決定!

今回の帰国報告会、12月22日(日)に開催です!
報告者は、米国・カリフォルニア州立大学チコ校でビジネス分野を学んできた辻奨学生、
どんな報告会になるかな。お楽しみに!

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チコ大学ビジネス学部のコンテスト、チコ・ピッチ・パーティで優勝した際の辻10期生


1、日時
2019年12月22日(日)午前

2、場所
東京ボランティア・市民活動センター会議室A・B(東京・飯田橋)

*日本手話/日本語音声の手話通訳、パソコン通訳が付きます。
*ヒヤリングループやその他支援が必要な方、ご相談ください。

ひらめき詳細は、追ってお知らせします。


協力:
日本財団聴覚障害者海外奨学金事業留学奨学生同窓会

事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 12:29 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL
2019年8月生活記録【第13期生 橋本重人】[2019年09月08日(Sun)]
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日本の9月はまだまだ蒸し暑いでしょうか。ワシントンD.C.では日中こそ暑さを感じますが、朝晩は20〜21度と比較的涼しくなってきています。毎日ではありませんが、早朝に家を出てジョギングすることが最近の日課です。冷たい風を顔に受けながら走ると気持ち良いです。

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さて、今後の一年間はギャロデット大学で最終学年として学ぶことになります。今学期は、研究方法やカウンセリング方法をぜひ学びたいと考え、様々な学部のクラスを受講しています。

・Independent Study(学生自主研究:ろう教育学部)
前学期のクラスの続きです。私の入っているプログラムでは必須クラスです。アメリカのろう学校において、発達障害のあるろう児童生徒がどのようにろう児童生徒とともに学習しているか、休憩時間や昼食時間、放課後ではどのように交流しているか、また教員はどのようにサポートしているかを、調査しようと考えています。今は、ギャロデット大学のInstitutional Review Board(研究倫理審査委員会)に提出する研究計画を、教授とともに話し合いながら作成しています。

・Foundations in Helping Skills(支援スキルの基礎:カウンセリング学部)
カウンセリング学部の学生とともにカウンセリングの実践を行います。受講生がInterviewer(面接者)とClient(心理療法を受ける人)、 Observer(観察者)の役割に分かれてロールプレイを行う機会が多いそうです。また、実際に、カウンセリングを何人かと実際に行うこともあるということなので、どのようなスキルが私たちには必要なのか、その演習を通して吸収したいと思っています。このクラスの担当はろう教授で35年以上も臨床心理学を研究されており、どんなクラスになるかとても楽しみにしています。

・Deaf Studies Research Methods(ろう者学の研究手法:ろう者学部)
去年の秋学期に受講したクラスIntroduction to Research(研究入門)は文献レビューの練習を行いましたが、このクラスでは研究手法として、どのように調査を進め、参加者とそのデータ収集と分析の練習を行います。私が進めている学生自主研究にも結び付けることができるため、練習を積み重ねていきたいと思います。ろう者学部の学生との交流も楽しみにしています。

残り一年間になりますが、体調に気をつけながらいろいろなことを吸収していきたいと思います。

話は変わりますが、Theodore Roosevelt Island(セオドア・ルーズベルト島)はご存知でしょうか?ワシントンD.C.とバージニア州の間を流れるポトマック川の真ん中にあります。その名の通り、アメリカ合衆国の第26代大統領の功績を記念とする公園です。意外とその島は知られていないようです。ワシントンD.C.に10年以上住んでいる友人に連れて行ってもらい、そこでハイキングをしました。都会であるワシントンD.C.にもたくさんの公園があり、自然が好きな私にとってはとても嬉しいことです。
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Posted by 橋本 at 10:00 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2019年8月生活記録【第13期生 山田茉侑】[2019年09月08日(Sun)]

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皆様こんにちは。写真は新居に咲いていたヒマワリです。引っ越しの際は二階まで家具を運ぶのが大変でしたが、ヒマワリがずっとエールを送ってくれました。


今学期は、ろう教育クラスと合わせて、日本語初級者クラスを聴講生として受講することにしました。

なぜ、日本語初級者クラスを受講することにしたのか。それは、
今まで大学で学んできた、英語の「書き言葉」をろうの子どもたちにどうやって教えるかを、日本語でも応用したかったからです。その場合、日本語そのものを分析しないととても話にならないので、まずは「日本語」を知るためにこのクラスを受講してみました。
本ブログでは、このクラスで発見したことや、ろう教育クラスで習ったことで何か関係性があったら報告していきたいと思います。


–初回時のクラス内容–
「こんにちは」「さようなら」「いただきます」「どうも、よろしく」などの挨拶、そして「学生」「先生」「専攻」「〜時」といった身近な単語を、繰り返し繰り返し発音し音を通して学んでいました。同時に平仮名50音を順番に習っていました。
文字に入る前に、まずは音から入るようです。さて、この流れで思い出したのは、「指文字」です。


前にボストンのろう学校 小学部の先生に「就学前に身につけてほしいことは何ですか?」と聞いたことがあります。0歳児からの「指文字」と、その先生は言いました。つまり、聴者が音を通して英単語を覚えていくように、単語を指文字で覚えていく、ということでしょうか。別のろう学校でも、文字を教えるのは3〜5歳からだけど、指文字は0歳児から、と言っていました。
というのは、0-5歳児の間では、遊びや日常会話の中で「トマト(手話)→トマト(指文字)→トマト(手話)」というふうに自然に指文字を手話にはさみ、そして就学段階で単語を「書く」ことを教える時期には指文字を使いながら教えるそうです。

つまり、下の図のように、最初に「🐈」そのものの概念(意味)を理解した後、手話と指文字の「CAT (ねこ)」という単語を獲得し、そして最後に「CAT(ねこ)」と書けるように移行させるのです。

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また、現在「指文字」で、塊*を使って英単語を覚えられないか、という研究がアメリカでホットです。https://www.colorado.edu/program/fingerspelling/
ただ、日本語と英語の特徴に違いがあるため、日本語にも応用できるかどうかは分かりません。ここからは注意して読んでいただければと思います。

*塊
接頭辞、語幹、接尾辞はご存知でしょうか?英語には、一つの英単語の中にいくつか意味を持った塊があるのです。
例)education… e-「外へ」duce「導く」ate「〜する」tion「名詞」→「教育」

実は、アメリカ手話の指文字には英語とは違う塊があります。
例)英語 Piz・za / アメリカ手話 Pi・zza

さて、このようなアメリカ手話の塊を使って、「指文字」を通してどのように英単語を覚えるのでしょうか。こちら、一例になります。
全ての単語に共通するものはなんでしょうか。
C+AT …cat
H+AT …hat
R+AT …rat
H+AT+E …hate


そうです、「AT」です。他のスペルとATの間に少し間を入れることで、指文字で塊を作ります。

前に、黒板の前で「CAT」の意味がわからず困ってる子どもに、先生が指文字をするよう促すビデオを見たことがあります。その子は指文字で「c/at」と表した途端、意味を思い出していました。

s_Screen Shot 2019-09-07 at 5.32.19 PM.png


わたしも、友達と一緒に「at」ゲームをしたことがあるのですが、そこで「grater:おろし器具」という単語を初めて覚えました。その晩、その友達から実物のおろし器具を見せられ、この英単語は何かと聞かれたのです。英語語彙力のなさすぎるわたしでも、「atを使った単語で…gが付いていたような…ああ!grater?」と答えられたのです。そこから、この単語は今でも忘れずにいます。

s_grater.png

*「at」ゲームとは
Hat, rat, mate, cate, rate, hate, grate, など、「at」を使う英単語を順番に言い合い、最後まで残った人の勝ち。



このように、アメリカでは指文字の塊を使って英単語を覚えることが、研究や実践の面でホットになっております。しかしながら、日本語には塊はあるのでしょうか。おそらく日本語の場合は、漢字によって塊ができているのかなと思います。
例)半…半分、半袖、半日
上記の単語は「半」がつくことで、意味をなしていきますよね。漢字ごとに指文字の塊を作ればいいのでしょうか。例えば、「はん/そで」というように。

しかし、指文字で「はん」と表しても、「半」のほかに「反」という意味にもなります。音で塊を作るよりも、日本語は視覚的な塊が強いのかなとおもいました。そのところは英語と違います。
アメリカ手話よりも日本手話の方が、指文字が少ないと言われている所以も、「漢字」という資格的な塊の影響が大きいからかもしれません。*「小学生」「物質」「年金」など、漢字から手話化しているからです。

では、日本語の単語をどうやって効率良く覚えられるようにするか?
指文字をどう効率的に使うか?それはわたしの課題でもあり、皆様と一緒に考えられたらとも思います。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

◆クイズタイム◆

ろう学校では、先生の指文字を見て、子どもがその単語を紙に書き写すときが良くありますよね。
その際、あなたがもしも先生だったら、その子どもへ「ニワトリ」という指文字をどのようにあらわしますか?どのような指文字の表出方法だったら、子どもがその単語を覚えやすいでしょうか。




「に」「わ」「と」「り」と区切り、子どもに1文字ずつ書き写させますか?
実は、区切らずに単語全体の指文字「にわとり」を繰り返し何度も何度も見せた方がいいようです。
また、英語の場合は「cat」と出すのではなく、「c/at」と塊ごとに間を作るのもいいそうです。

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長くなってしまいましたが、来年1月に他州で教育実習があるためボストンの生活も残り4ヶ月を切りました。今後も引き続き気を引き締めて頑張りたいと思います。
それでは、また翌月にお会いしましょう。

Posted by 山田 at 09:48 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
2019年8月生活記録【第16期生 皆川愛】[2019年09月05日(Thu)]
眼鏡動画はこちらのURLまたは画像をクリックしてください
( )は、その内容の開始時間です。興味のある内容に合わせてご覧ください。
@はじめに (0:05〜
Aろう者学の目指すところ〜オリエンテーションより〜 (0:28〜
Aろう者学におけるインターセクショナリティとモビリティ〜世界ろう者会議より〜 (3:35〜



はじめに
私のブログのスタイルは、手話による映像(Vlog)文章(Blog)の二つによる発信です。
構成や文脈が少し違うことがあるかもしれませんが、基本的には同じ内容で発信していきます。
お好みの方をご覧いただければと思います。
スライド1.jpeg



@ろう者学の目指すところーオリエンテーションよりー

ろう者学って何するの?なんのための学問なの?としばしば聞かれます。
今後2年の自分への戒めも込めて、
オリエンテーションで学んだろう者学部の目指すところを記させてください。

一つは、既存のろうに関する知識に対するクリティーク(To critique)すること
ろうに関する知識は、これまで歴史や文学、文化人類学、言語学と様々な領域で研究がなされ、記述されてきました。
例えば、1990年代の心理学の著名な本ではろう者の特性に関して、
「攻撃的」「利己的」「非共感的」といったネガティブな記述がありました。
これは今日でも同じでしょうか。
極端な例ではありますが、こうした既存の知識に対して、懐疑的になる必要性を強調していました。
また、1960年代にアメリカを中心の手話の音韻、すなわち秩序性を見出す研究がなされ、
手話と書記言語は異なる言語だと立証されてきましたが、
アメリカ手話と日本手話の秩序性は同じでしょうか。
既存の知識が内容が果たして世界中のどのろう者にも適用できるのか、
時代とともに変化するもの、しないものは何か改めて考える必要があります。

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二つは、新しい知を創成(To product)すること
既存の知識をアップデートすること、新しい知識を発信することです。
これまでろうに関しては、圧倒的に医学界を中心に様々な知識が蓄積されてきました。
ろう者学は1970年代から学問として始まり、1990年代にアメリカやイギリスでろう者学部が設立されましたが、
それに関する論文や書籍はまだわずかです。
まだまだ可能性がたくさんあるといったところでしょうか。

ろう者学の目指すところは、
既存の知へのクリティークと新しい知の創成の二つを通じて、
社会の中にある、ろうに関する不利なイデオロギー(思想)を個人、組織レベルで変えることを通じて、
ろうコミュニティに革新をもたらすことです。
看護を含めた医学界において、「ろう」であることは欠損として見なされ、
文化として受け入れられることはなかなかありませんでした。
ろう者にとって快適かつ充実した看護ケアとは何かを、
文化モデルという新しいレンズを通じて追究することが私の目標であります。


Aろう者学におけるインターセクショナリティとモビリティー世界ろう者会議よりー

7月末にフランスのパリで開催された世界ろう者会議に参加しました。
ろう者学に関して興味深い発表があったので紹介させてください。

テーマは「ろう者学におけるインターセクショナリティ」で、
Kusters氏、Moriarty氏、Lyer氏による合同プレゼンテーションでした。
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“Intersectionality” インターセクショナリティという用語は、
米国の法学者で、市民運動家でもあるCrenshaw氏(1989)によって提唱されました。
フェミニズムの理論が白人の中流階級の女性を前提としていることに対する普遍性への批判から始まったものです。
白人女性と黒人女性の経験は同じものか、そうではありません、
その時にインターセクショナリティの考えが重要になると主張しています。
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今日、インターセクショナリティは
「性や民族、経済状況などの様々なアイデンティティの交差」
として理解されることがしばしば見受けられますが、
本来は「様々なパワーと抑圧の交差」を意味しています。
Hill Collins氏とBilge氏(2016)の著書には、
世界には様々なパワー(すなわち抑圧)が働いており、
二重、三重と抑圧を受けているということを考慮すべき
だと強調されています。
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ろう世界はどうでしょうか。
ろう世界にも様々なパワーが働いており、それは”Mobility” モビリティー(移動性)とともに変化するという話でした。
この概念を医療場面に置き換えてみます。
例えば、日本で、私はバイリンガルの立場で、また看護師という専門職としての特権、
いわゆるパワーを持っています。
医師の説明で違うと思うことは自分の持ってる知識と日本語で異議申立てられますし、
受診を不安に思うことは一度もありませんでした
(病気の種類によっては大きな不安を持ちうることもありますが、
受診や入院そのものに対して躊躇は基本的にあまりないです)。
しかし、米国に来てみると、まだ受診経験はないのですが、
言語の壁、医療システムの違いから、受療が抑制されるのを感じます。
環境の変化によって、自分の持ってきたパワーが変化するのです。
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また、これまでろう者学が研究してきたことは、あくまでも白人のろう者です。
移動性や他の民族についてはあまり考慮されていなかったという指摘がありました。
これは、ろう者学の目指す、既存の知へのクリティークと新たな知の創成と一致するものでもあります。
今後、ろう者への医療、看護ケアを考えるに当たって、
移民のろう者など幅広く適応できるようにこのことを念頭においていきたいです。

興味深いことに、プレゼンターはみな女性で、更にろう者でもありました。
これまでろう者学の理論家、研究者のほとんどは白人男性、聴者でした。
(決して彼らを批判しているわけではありません、むしろ彼らの礎があるからこそ、今日のろう者学があるわけです。)
ろう者学の新しい風を感じたプレゼンテーションでした。

いつでも質問やコメント等あれば、コメント欄にお願いしますかわいい
できる限りお返事するようにします。

<参考文献>
・プレゼンター(Kusters, Moriarty, Sanchayeeta氏)が実施している研究プロジェクトのホームページ
英語と国際手話でプロジェクトの概要が語られています。
Mobile deaf. (2019). Retrieved September 6th, 2019 from https://mobiledeaf.org.uk/

・Crenshawのインターセクショナリティの論文
Crenshaw, K. (1989). Demarginalizing the intersection of race and sex: A black feminist critique of antidiscrimination doctrine, feminist theory and antiracist politics. University of Chicago legal Forum, 8(1), pp. 139-167.
こちらからも閲覧できます。
https://chicagounbound.uchicago.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1052&context=uclf

・Hill CollinsとBilge著書のインターセクショナリティの本
Hill Collins, P., and Bilge, S. (2016). Intersectionality. Cambridge, UK: Polity.
Posted by 皆川 at 00:00 | 奨学生生活記録 | この記事のURL | コメント(0)
【自己紹介】第16期生 皆川愛[2019年08月27日(Tue)]
こちらの内容は手話の映像でもご覧いただけます。


こんにちは!
第16期奨学生の皆川愛と申します。
テーマは、ろう者への医療・看護ケアです。

私は看護師注射器(血)としてろう者と関わる中で、
医療機関において人権侵害といえるような経験を受けているろう者を目の当たりにしてきました。
例えば、電話ができないと抗がん剤治療を受けられませんと告げられ、
適切に治療を受けられず亡くなったろう者。
この問題は「聞こえないから」「電話ができないから」という理由に集約されるでしょうか。


?なぜろう者学なのか

ろう者学の理論に、Bahan氏(2008) が提唱した感覚的志向(Sensory orientation)があります。
この理論によると、聴者は聴覚・音声的志向に基づいた行動や生活様式が主であるのに対し、
ろう者は視覚・触覚的志向であると言います。
連絡方法=電話という方程式は、聴者が聴覚・音声的志向だからです。
ろう者は、FAXやメールといった視覚的志向に基づいて連絡方法を採用しています。
当たり前ってなんだろう、聴者のやり方が普通で、当たり前なのか。

こうした大衆文化、すなわち聴文化とろう文化にはズレがあります
医療は、このズレに敏感になって提供されるべきと問題意識を持っています。

?私が目指すもの

@ろう者への文化的技術向上トレーニングプログラムの開発
医療場面においてろう者が直面している問題をろう者学の理論を用いて説明しつつ、
これらのズレを縮小すべく、医療者に対するろう文化のトレーニングを行いたいと考えています。

Aろう者を対象にした医療アセスメントツールの開発
また、現状として、診断や治療・ケアの方針を見立てるためのアセスメントは、
日本語で、かつ聴者のやり方で実施されることが多いです。
それによって、ろう者への正確なアセスメントがなされず、症状の悪化や、誤った投薬が起こっています。
そこで、ろう者が正確に診断を受け、治療やケアを受けられるように
日本手話でアクセスできる医療のアセスメントツールの開発を目指します。
このアセスメントツールは病院だけでなく、老人ホームの施設や学校での普及、
介護保険などの申請の評価の一つとして役立てられるようシステムにおける普及も考えています。
ギャロデット大学では、様々なラボ(研究室)がアセスメントツールのアメリカ手話への翻訳を行っています。方法を学び、日本手話に応用できるよう、自分を磨いていきます。

これらの二つの目標達成のために、ギャロデット大学大学院のろう者学で2年学びつつ、
ラボで様々なことを吸収していきます。

応援、ご協力をお願いいたしますかわいい

<参考文献>
本文で紹介したBahan氏の理論です。
Bahan, B. (2008). Upon the formation of a visual variety of the human race. In Bauman, H-D. (Ed.), Open your eyes: Deaf studies talking (pp. 83–99). Minneapolis: University of Minnesota Press.
Posted by 皆川 at 06:10 | 自己紹介/紹介 | この記事のURL
第16期留学奨学生の紹介[2019年08月25日(Sun)]
第16期留学奨学生の紹介

今年4月から行われていた第16期留学奨学生募集選考により選出された奨学生1名をご紹介します。

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第16期留学奨学生
皆川 愛(みなかわ あい)

留学目標:ろう者への医療・看護ケア
留学先 :ギャロデット大学 大学院 ろう者学部(文化学専攻)
    米国 ワシントン D.C.

この8月に渡航し、米国にて留学をスタートしました。
今後ともよろしくお願い致します。

事業担当:根本
Posted by 事業担当者 根本和江 at 08:22 | 事業担当者よりお知らせ | この記事のURL
2019年7月生活記録【第13期生 山田茉侑】[2019年08月08日(Thu)]


今月は、ボストン郊外にある博物館Plimoth Plantation(プリマス農園)に行きました。展示の仕方が面白いな、と思ったので紹介したいと思います。

その前に、プリマスの歴史を少し。
昔、イギリスでは宗教の自由を認めていませんでした。特に、ピューリタンたちはカトリックを信仰しないことで罰を受けていたのです。それなら、誰にも邪魔されずに自分の信仰を貫ける場所を探しだそうと、ピューリタンたちは旅にでました。
メイフラワーに乗って、大西洋を横断し、1620年にたどり着いた場所がアメリカにあるマサチューセッツ州プリマスという場所です。
ここは、アメリカが現在の歴史へと動き出した場所の一つでもあるのです。


プリマス農園には、入植当時の生活(ネイティブアメリカンの小さな村と、イギリスからの入植者の小さな村)が再現されており、そしてスタッフたちが当時の装束を着てあたかもそこで生活しているかのように振る舞っていました。
なので、250年近く前のアメリカにタイムスリップし、実際に目で見て、話をし、当時の様子を学ぶことができます。


入場料は3種類あり、プリマス農園のみで$30。
オプション1と2をつけると少し料金が上乗せられます。
オプション1:メイフラワーに乗る、オプション2:製粉所の見学
障害者割引は適合され、プリマス農園+オプション1,2全て込みで一人$17でした。
その時にペンと小さなメモ用紙を渡されることになるのですが…。


当時の様子を再現したネイティブアメリカンの村
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畑の手入れをするネイティブアメリカンたち。スタッフたちの後ろにある小さな家が、5つほど他の場所にも建っておりました。家の中には、たくさんの動物たちの毛皮がカバーや毛布として使われておりました。毛皮は重く、外側は毛でフサフサしている傍、中はツルツルしてました。密封という形で暖をとるのかな、と予想しております。


薪をくべて芋を蒸している様子。実はこの方の背中にはかっこいいタトゥーが。友達とも話したのですが、スタッフがしているタトゥーや化粧、アクセサリーなどは、昔の様子を再現しているものか、それともスタッフ個人のものなのか、わかりにくかったです。これは日本と違うところだなと思いました。
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当時の食べ物。そういえば、イギリスからの入植者の村では、スープらしきものが作られていましたが、スタッフからはおいしくないよと。
この豆のようなものを使った料理はおいしいのだろうか。
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左側のスタッフが、アクセサリーらしきものの作り方を他のスタッフに教えている様子。たくさんの見学者がここに集まっていました。スタッフ二人のコミュニケーションから学べるものもありそうで、楽しそうですね。
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ダーツのようなゲームもありました。
羽が後ろについているため、まっすぐ飛ばすのに苦労しました。
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そして、こちらからはイギリスからの入植者の村。


村の後にある海は、どこまでも青く広がっていました。
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家の中は、このような感じです。
ベッドの下にあるのは、尿瓶です。昼間は外で排尿をするそうです。しかし、夜間は電気がなく真っ暗であること、寒い気候、安全などのため、ベッドの下の瓶の中に排尿をするそうです。
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6羽ほどのニワトリが、村中を走り回っておりました。スタッフの誰も見ていなかったため、脱走しないのかこちらがヒヤヒヤしました。
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こちらは、ハーブの収穫をするスタッフたち。博物館として機能させるために、一年中毎日同じことをしているのだろうか、ハーブは毎日植えているのだろうか、それとも本当に季節に沿って当時の生活を再現しているのだろうか、と気になるところです。
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スタッフの一人が、ASLのできる方でした。その方によると、嵐のため一度は大西洋横断を断念したものの、2度目のチャレンジで3ヶ月かけ、ここまでたどり着いたそうです。「食べ物や料理の仕方、気候、暮らし方など、何もかもが以前とは違う。イギリスにいた頃がとても懐かしい。」新しい大陸での生活は、野心とは裏腹にとても大変だったようです。



往来博物館は、動かない展示と読みにくい説明書きというイメージがあります。プリマス農園は当時の様子を目で見て、そしてスタッフ同士のコミュニケーションから学び取る展示スタイルで、子どもから大人まで楽しく学べそうです。
残念ながら、時間が押していることもあり、今回の訪問ではメモとペンを一切使うことはありませんでした。そのため、全くコミュニケーションが見えない中での訪問になってしまいました。願わくは、近い将来、聴覚障害者への割引がなくなり、スタッフ同士のコミュニケーションが完全に見える化されますように。


おまけ
最近プリマスでヤギの赤ちゃんが最近生まれたようです。
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尻尾をふりながら親らしきヤギとじゃれておりました。嬉しそうな様子にこちらも幸せな気持ちになりました。

Posted by 山田 at 10:50 | 奨学生生活記録 | この記事のURL
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