第96話 ウワミズザクラの実が熟れるころ[2008年07月30日(水)]
梅雨が明けた7月中旬からは連日の猛暑です。7月23日ごろから立秋までの期間は24節気の大暑で、一年で最も暑い「酷暑」の時期です。
7月第4週目の26日の活動日には22名が参加し、暑さで体力を消耗させない程度に草刈りや間伐、玉きり作業などの軽めの作業を行いました。
ちょうどこの時期にウワミズザクラの実が熟れていました。この夏本番の森の中の様子をお届けします。
ウワズミザクラの実が赤くなる
体験学習の森にはヤマザクラ、カスミザクラ、ウワミズザクラが数多く生えています。これらのサクラは私たちが活動するずっと以前から生えています。植えられたものか、自生したのかわかりませんが、10メートル以上の高い木が多く、その変化はなかなか気がつきにくく、目立ちません。
たまたま豚汁広場の近くの斜面に生えているウワズミザクラは下の方まで枝が伸びていて花や実の熟れる時期までその変化を追うことができました。
4月中旬、クリーンセンターへの坂道にソメイヨシノ咲き出したころ、写真1上段のように、ウワズミザクラの花のつぼみが目立ち始めました。それから半月ほど経った4月26日には写真1中段のようにほぼ満開になりました。

写真1 上段:ウワズミザクラの花のつぼみ(4月12日撮影)
中段:ウワズミザクラが満開(4月26日撮影)
下段:マクロレンズでウワズミザクラを写す(4月26日撮影)
日頃サクラと言えば、葉っぱに先駆けて花だけが密集していっせいに咲く派手さが目立ちますが、ウワズミザクラは葉の中に埋もれてしまって華やかさは見られません。
しかも、この山のウワズミザクラは高木で遠くから眺めて今満開になったのだなと気が付く程度の目立たない花です。
近くでよく見ると写真1下段のように、ビンを洗うブラシのように細長い穂に、たくさんの白い小さな花が密集して咲いています。
7月になると写真2上段のような緑色の実が目立つようになりました。1週間後には緑色の実が少し色づいてきました。そして、その2週間後の7月26日には実は真っ赤に色づきました。真っ赤になったのはごく一部で黄色く色づいたのが大半でした。

写真2上段:色づき始めたウワズミザクラ実(7月5日撮影)
中段:さらに色濃くなったウワズミザクラ(7月13日撮影)
下段:熟れたウワズミザクラ(7月26日撮影)
さくらんぼとウワズミザクラの実
熟れたウワズミザクラの実を口に入れてみました。小粒ですが、少し甘みがありました。
サクラの実がさくらんぼと思いがちですが、店頭で売られているさくらんぼとはどこか違うので調べてみました。
インターネットで、「さくらんぼは桜の木に成らないのですか?」を検索してみると、具体的な答が出てきました。
「『さくらんぼ』という木はありません!オウトウの木、桜の木となります……『さくらんぼ』とは商品化されたものの通称(木も実も)……サクラとオウトウは学術的分類がされていて、桜はバラ科サクラ属までで、オウトウはバラ科サクラ属ウワミズザクラ亜属ミザクラ区となり、基本的に種類が違う」そうです。
大辞泉で「さくらんぼう」を見ると、「桜ん坊/桜桃:桜の果実の総称。特にセイヨウミザクラの実をいい、6月ごろ紅色・黄色に熟したものを食用とするほか、缶詰・ジャムなどにする。おうとう。さくらんぼ」と出ていました。
深津 正・小林義雄 著「木の名の由来」(東京書籍出版鰍P993年5月28日第1刷発行)のウワミズザクラには「抬顔斎(いがんさい:松岡玄達)はウワミズザクラを犬桜と表現した『桜品』に、『此犬桜の実六月に熟す其色黄にして味ひ杏仁に似たり、好事のもの塩蔵(しおづけ)にして酒を芼(すすむ)る料となす』と書いている。このごろ新潟県でつぼみの花穂を塩漬けにしたものを杏仁子(あんにんご)の名で売っているが、このほうがクマリンの香りも少しあり、果実の杏仁子よりおつな味のつまみになる」と紹介しています。
このほか、インターネットにも「ウワミズザクラの実は果実酒に最適で、たいへん香りの良い果実酒ができあがるようです。実の採取は野鳥との競争になりそうです」とも書いていました。
この森のウワミズザクラの実は高い場所で熟れているので採取は難しく、小鳥の餌になっていることでしょう。
キツネノカミソリの花が咲き始めました
12年程前にはこの山に生息するシカやイノシシも歩けないほどの蔓が生い茂ったジャングルを手入れして初めて顔を出したのがこのキツネノカミソリでした。
陽が入らない陰気な土に埋もれていたこのヒガンバナ科の球根は、間伐されたあと、ヤマザクラやウワズミザクラが植わっている近くの明るい林床に、真夏のこの暑い時期に写真1下段のような明るい花を咲かせました。
春先には写真1上段のようは葉っぱが目立っていましたが、今では葉は枯れてしまって花だけがスッと突っ立って咲いていました。

写真3上段:キツネノカミソリの葉っぱ(5月3日撮影)
下段:キツネノカミソリの花(7月26日撮影)
残り2匹の鯉は釣れず!
ダム湖に放流されていた3匹の鯉のうち1匹は、念願かなって7月5日に釣り上げ、モリアオガエルが産卵した形跡のない下流の砂防ダムの渓流に強制移転することができました。
7月26日の活動日にはIさんに朝礼後直ぐに鯉釣りに取り掛かってもらいましたが、残念ながら釣ることはできませんでした。
砂防ダムの天端から見下ろすと、水深1メートルほどの真下に動きの鈍い鯉が1匹見えます。そのすぐ側まで釣り糸を投げ入れるのですが、腹いっぱいなのか、暑さのために食欲不振なのか、餌には見向きもしません。

写真4 炎天下鯉の捕獲は失敗!
8月2日の活動日に再度挑戦することにしました。今回は釣る前に水を濁らせなかったのが、失敗だったのかもしれませんでした。次回は釣る前に湖底をかき回して濁らせておくことにしました。
澄み切った水の中では、鮠(はや)と思われる小魚がすいすい泳ぎ回っていて、ダム湖の鯉が1匹減って食料の需給バランスが崩れたのではないだろうかと思っています。
昼食時の話題から
市街地では今蝉がうるさいほど鳴いていますが、この山ではさほど蝉の声は気になりませんでした。
幼稚園に通う5歳の孫がおばあちゃんに連れられて参加していました。テーブルにカブトムシを置いていましたが、胴体が半分にちぎられていました。その仕業はクリーンセンターのごみの残りくずを拾いに集まってくるカラスでした。雌のカブトムシの腹の中だけをつついて食べていくそうです。
前回の活動日にも昼食時にみんなに食べてもらうためのきゅうりの漬物が、一瞬目を放したすきにカラスが少しかっぱらっていったそうです。
この山の蝉もカブトムシと同じように、「カラスに食べられたために少ないのかな」という声が出ていました。
この山の生存競争は厳しいものがあるようです。
昼休みのデザートに冷やした水羊羹が出ました。水羊羹にはヤブツバキの葉っぱが敷いてありました。誰かが「アジサイの葉っぱを食べて中毒を起こしたが、まさか椿の葉っぱは厚くて硬いから食べないだろう」と笑い話になりました。
この猛暑の中では水分補給を十分にして、熱中症対策が肝要です。Fさんがシソジュースを氷で冷やして差し入れしてくれました。飲み心地もよく、体にもいいそうです。
次回はこのシソジュースの話題を提供できればと思っています。



