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第88話 「山笑う」季節[2008年05月22日(木)]


 4月中旬、「語り部と歩く熊野古道」で中辺路のうち、近露王子から小広王子まで歩いたとき、熊野の山々は常緑樹の濃い緑色、若葉が出始めた薄緑色の中にヤマサクラのピンク色が交じった絶景のポイントを教えてくれました。その山もヤマザクラが散ると「山笑う季節に変わっていきます」と解説していました。

 5月の第2週の土曜日、10日は一日中雨が降り続き作業ができませんでしたので、次回の活動日の24日まで山の作業はお預けです。

 前回の「第87話  芦生の森の古老の話」の原稿を見てもらったNさんが11日に山へ行ったら、「タニウツギの花がきれいに咲いていたよ」と教えてくれました。そこで、16日2週間ぶりに「体験学習の森」へいってきました。今まさに「山笑う」季節になりました。


山笑う

 国語辞書(大辞泉)の「山笑う」には「《『臥遊録』の『春山淡冶(たんや)として笑うが如し』から》春の山の草木が一斉に若芽を吹いて、明るい感じになるようすをいう。《季 春》」と解説しています

 また、「故郷やどちらを見ても山笑ふ」と正岡子規の俳句が付け加えられていました。

 漢和辞典で「淡冶」を調べてみると、「淡」は色がうすいを意味し、「冶」は「艶めかしい」を意味しているので、春の山はうっすら艶めかしいと作者は言っているようですが、5月の山を見ていると、写真1にように、新緑の若葉が盛り上がっていて「ワッハハ!」と笑っているように見えました。




  写真1 若葉で山全体が「山笑う」(石庭付近から5月16日撮影)

 また、5月21日は草木が茂って天地に満ち始めるという24節気の「小満」です。

 写真2は5月20日熊野古道を歩くツアに参加した折、那智大社境内の樟(クス)を撮りました。「艶めかしい」という表現もまんざらでないほどに明るい緑色の若葉が生い茂っていました。この樟の側には「和歌山県指定文化財、天然記念物『那智の樟』、この樟は樹齢約800年と推定され、樹高27m、幹周り約8.5m、枝張るは南北25m、熊野三山造営の勅使として参った平重盛の手植えの樟と伝えています」と解説していました。




   写真2 見事に若葉の生い茂った那智の樟(5月20日撮影)

唱歌「夏は来ぬ」の卯の花

 「卯の花の にほう垣根に ほととぎす 早も来鳴きて しのび音もらす 夏は来ぬ」は小学校のころにはよく口ずさんだ唱歌ですが、作詞 佐々木 信綱. 作曲 小川 作之助に明治29年に作られた歌です。  

 その「卯の花」はどんな花か疑問に思ったこともなく今まで口ずさんでいたのですが、最近になってNさんから「『卯の花におう垣根に……』の歌詞の「卯の花」はウツギのことで、茎が中空のため空木と呼ばれる」と教えてくれました。


 ウツギは勝尾寺川支流沿いにたくさん生えていますが、花は未だ咲いていませんでした。
 唱歌の中では「卯の花におう……」とありますが、この川筋のウツギは臭わないそうです。ウツギには何々ウツギと名のつくものがたくさんあるので、唱歌の中の「垣根の卯の花」はどんな種類なのかわかりませんでした。

 この記事では今満開に咲いているタニウツギの花を紹介します(写真3)。




    写真3 満開に咲いたタニウツギ(5月16日撮影)

 なお、ウツギはユキノシタ科の落葉低木ですが、タニウツギはスイカズラ科の落葉低木で全く別物です。

 また、「夏は来ぬ」の唱歌に出てくる「テッペンカケタカ」と鳴くホトトギスは、今年は体験学習の森ではまだ聞いていません。例年のことですが、今頃は川沿いで鳴くウグイスが盛んにさえずっています。


ゴマギ

 ゴマギは花見山へ行く途中の散策路際の目立つところに生えているので、四季の変化を確かめていますが、5月16日には花は咲き終わった後でした。
 ところが、石庭の方へ登っていくと、写真4上段に見られるように、緑色と白色が盛り上がったようになった樹名札をみてゴマギと知りました。写真4下段は近づいて写しました。枝先に円錐花序を出し、白い小さな花を多数つけていて、葉をちぎってみると、ゴマ油の匂いがしました。




   写真4上段:石庭近くに咲いたゴマギの花(5月16日撮影)
       下段:白い小さな花を多数つけたゴマギの花


 「ゴマギ」の名前の由来は、この香りからと言われています。秋に葉の落ちるころ、赤い実から黒紫に変化していくのでこれから注目して観察していくことにします。

斑入り(ふいり)ハナミズキ

 「体験学習の森」に生えている木の話題ではありませんが、4月下旬になってハナミズキがきれいに咲き出したころ、箕面市内の遊歩道の植樹帯に写真5下段のように斑が入った珍しい葉っぱを見つけました。その樹名札には「クロガネモチ」と掛けてありました。その遊歩道には同じクロガネモチと書いた木もあって全く似ていない木なので、森林総合研究所へメールで問い合わせてみました。



    写真5上段:園芸品種として改良されたハナミズキ
        下段:園芸品種のハナミズキの葉っぱ


 早速に返信が来て「お送り頂いた写真を研究者に鑑別頂きましたので報告します。★北米産のミズキ科ミズキ(Cornus)属と推定した→ ハナミズキの園芸品種
 研究者が言うには、園芸品種として改良された可能性が大である。ハナミズキの仲間と考えて下さい。
----- 参考 ------
ハナミズキ(花水木) アメリカヤマボウシ(アメリカ山法師・アメリカ山帽子)
学 名 Cornus florida L. 英語名 Dogwood
分 類 ミズキ科ミズキ属 Cornus cornaceae
原 産 アメリカ東部〜メキシコ北東部
タイプ 落葉小高木
 桜の返礼としてアメリカから送られたことが知られている。落葉後の冬も赤や黄色の鮮やかな枝を楽しめる」と返信をいただきました。

 「クロガネモチ」の樹名札が外れていたために、樹の名を知らない人が適当に取り付けたのだろうと思われます。
 近くの公園を散策する人たちの中には、四季折々の木々や草花を楽しんでいる方が多数おられるので、早速に箕面市役所に森林総合研究所の同定結果を報告しておきました。


斑入りの葉を持つ木

 インターネットで「斑入り(ふいり)ハナミズキ」で検索してみると、「斑入りの葉を持つ木」(www2s.biglobe.ne.jp/~k_midori/fuiri.html)にはハナミズキのほかにたくさんの木を紹介していました。それによると「アオキ、ケヤキ、サカキ、セイヨウイワナンテン、チャイニーズホーリー、ツゲ、ナワシログミ、ネグンドカエデ、マサキ類、ヤツデ、ヤマボウシ、ユリノキ」が書いてありました。

 ハナミズキは桜の返礼としてアメリカから送られたということなので、当然「体験学習の森」には生えていませんが、上記の木々の中には自生している木もあるので、これからは花や葉っぱにも注視していこうと思っています。


リョウブの花

 箕面の山々で活動している仲間からのメールには「新緑が終わり、しおんじ山も緑濃くなってきました。リョウブの花の季節の到来です」と6月の活動案内がありました。

 鹿に食べられたリョウブの樹皮ばかりに目がいってしまい、いままで葉っぱや花には目が届いていませんでした。

 前回「第87話 芦生の森の古老の話」の中で、リョウブは鹿が樹皮を剥がしても再生して育つそうですから、6月の活動日にはリョウブの花や梅雨時期の山の彩りを届けられればと思っています。

 ただ、Nさんの話では「しおんじ山」より標高の高い「体験学習の森」では初夏から夏にかけて咲く花ではリョウブが一番遅いようです。この花が終わったころにキツネノカミソリが咲き出すというコメントをいただきました。


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