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植生管理の手法として環状剥皮を実習してきました[2007年10月28日(Sun)]


 「第3回みのお森の学校(里山連携講座)」には私たちクラブから3名が参加しています。
 その里山連携講座は、私たち箕面市からだけでなく、三田市、尼崎市等の4団体が連携した講座で約90名が参加されています。
 第1回は9月23日三田市フラワータウン「兵庫県立 人と自然の博物館」で講義と植生調査の実習でした。

 第2回は昨日10月27日には有馬富士自然公園内でありました。午前中に植生調査の実習をした結果を解析し植生管理方針を決めました。
 午後から再度調査場所に行き、各自のこぎりと剪定はさみを持って植生管理の実習を行いました。

 その中で、私たちが活動している箕面の里山では未だ実施されていないと思われる環状剥皮の実習をしてきました。
 目新しい環状剥皮という言葉は以前植生管理に詳しいNさんから聞いていましたが、今回の連携講座で初めて実習してきました。

 参加されていない私たちの会員へ報告するとともに、私たちが実施している里山管理の一手法として会員同士で話し合うための資料としてまとめてみました。


植生調査の結果


 有馬富士(標高374m)を望む福島大池のほとりから少し入った写真1の右手の森の中に観察場所を決め10m×10mのロープを張り、その中に生えているすべての植物の名前、高さ、幹周り、植被率などを調べました。



    写真1 福島大池の前方に有馬富士を望む

 ヌルデ、コナラ、タカノツメ、アラカシ、ソヨゴなどの高木層からネザサやコウヤボウキの低木層まで40種ほどの植物が出現していました。

 北摂地域で10m×10mの調査枠での植物の出現数とほぼ同じだと解析結果が発表されました。




     写真2 密集した森の中で植生調査

 担当の先生だけでなく、参加した生徒の中には、植物に詳しい人もおられましたが、私は植物の名前を覚えるのは全く苦手でした。

除伐・間伐作業

 植生調査の結果から、常緑樹は葉が生い茂って林相(林のようす『状態』。樹木の種類や生え方)が暗くなり、下草が生えないので除伐・間伐し、クヌギ、タカノツメなどの落葉樹を残すことにしました。

 また、除伐・間伐によって光が差し込むようになると、ネザサが生い茂ってくるので、まずネザサから切り取りました。23人がネザサを切り取り、集計すると212本ありました。 
 低木層から順にヒサカキ21本も大きくなると茂ってくるので伐採しました。同じようにイヌツゲ12本、ヒイラギ5本を切っていきました。

 下草のように生えている実生(種子から発芽して生じた植物)で、成長の著しいアラカシの苗は130本、ソヨゴは207本抜き取りました。

 今回植生管理した区画とその周辺とでは写真2に見られるように変わりました。




    写真3 間伐した区域とその周りとの比較

環状剥皮作業の実習

 
 葉が生い茂って落葉樹や下草が育たない里山のアラカシやソヨゴなどの太くなった木を間伐すると、その周辺で育ってほしい樹木を傷めることになります。

 そこで、間伐を代用する手法として幹の樹皮と形成層を環状に削り取って木を立ち枯れさせる方法です。
 
 できるだけ地面に近いところで写真4のように幅20センチほどのこぎりで切り込み、その部分を木槌などでたたいて樹皮を剥ぎ取ります。




 写真4 のこぎりで切れ目を入れて木槌でたたいて樹皮をはがす

 これによって根から葉への水分補給がたたれるとともに、葉は光合成によってできた栄養分を根に補給することができなくなり、その木は葉を落とし、枝を枯らしてやがて木は立ち枯れていきます。
 
 きれいに樹皮を剥がないと水分補給や栄養補給路ができて、木を枯らすことにならないと注意を受けました。

 今回実習した調査箇所ではアラカシ3本、ソヨゴ2本の環状剥皮を行いました。
また、地面から高いところで環状剥皮をすると、そこから萌芽しやすいので、作業性は悪いができるだけ地面に近い場所が良いとも教えてもらいました。

 今回植生管理で実施した10m×10mの調査域の中ではアラカシ3本、ソヨゴ2本を環状剥皮して講座を終えました。

 午前中調査区域の鬱蒼とした写真1の森は、午後の植生管理の実習で除伐・間伐と環状剥皮を実施した結果写真5のようにすっきりとした森になりました。




   写真5 除伐・間伐と環状剥皮ですっきりした調査区域


  次回11月18日の第3回講座で約1ヵ月後の状況を観察することにしています。

環状剥皮についての反応

 今朝から私たちのクラブでは試験的に右窯だけを04窯で行ってきた障壁を設けないドラム缶方式で竹炭をやきました。その作業の合間にこの原稿の下書きを見せて意見を聞きいてみました。

@環状剥皮をする場所は、通常は市民が近づけなくて、管理がしにくいところでやむを得ずしなければならない場所に限定されるべきだ。一般市民が自然観察に来るような場所では木に傷をつけ、立ち枯れさせた理由を納得させる形で説明しなければ理解が得られないだろう。
A立ち枯れていく木をいつまで見続けなければならないのだろうか。倒木する時期になってからの後始末が大変になるのではないか。
B40年経過の杉の大木を環状剥皮し、倒木した杉を山主から後始末を手伝わされたNさんは、倒れた方向がランダムになっている朽ちた杉の大木を片付けるのは危険が伴ってこわかったし、手間がかかりすぎた。

 
 私たちが今行っている場所での森林の保全は、一般市民も簡単に入ってこられる自然観察ができる森林です。今後ずっと奥深くで管理のしにくい場所では検討する必要にせまられるかもしれません。

 今日は3人から意見を聞きましたが、今後会員からの意見や、ブログを読まれた方からの意見も参考にして議論を深めたいと思っています。
この記事のURL
https://blog.canpan.info/dandan-minoh/archive/52
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