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第223話 アサギマダラなど蝶々の話題[2016年08月15日(Mon)]
 前回の第222話で書いたように、アサギマダラを初めて見たのは3年前の8月29日に伊吹山山頂のお花畑であった。名前を聞いたことがあった程度だったが、きれいな翅を広げていて、花の周りをゆっくりと飛んでいるのが印象的だった。

 今年の6月、Mさんから大分県国東半島先の姫島を訪れた時に撮ったアサギマダラの写真を貰ったのがきっかけで、「第222話 謎の蝶・アサギマダラの写真を貰う」を公開し、その謎を知るために、栗田昌弘氏の著書「謎の蝶 アサギマダラはなぜ海を渡るのか?」(以下引用した書名を『謎の蝶』と略す)やネットを引用しながら、アサギマダラや蝶々の話題を取り上げてみた。

世界大百科事典、アサギマダラには

 手始めに、平凡社発行の世界大百科事典(改定新版2011年6月1日)によると、
「鱗翅目マダラチョウ科の大形チョウで、開張は10p前後に達し、翅(ハネ、ツバサ)は非常に横長である。
 和名は浅黄色(淡青色)をしたマダラチョウの意である。淡青色の斑紋は前・後翅ともにあるが、地色は前翅が黒色、後翅は栗色である。インド北部、マレー半島をはじめ、東アジアの温暖な地域に広く分布し、日本全国で採集されている。年3〜5発生。1981年に成虫の長距離が確認された。すなわち、キジョランなどガガイモ科の常緑植物の豊富な温暖地で発生し、ここを根拠とし、ここでおもに、1〜2齢幼虫が越冬する。
 5月ごろ羽化した成虫の一部が北地、寒地へ移動を始め、おもにガガイモ科のイケマに産卵する。9〜10月にかけて、北地や高地の成虫は南下し、根拠地へ向かうものと推測される。近縁種にリュウキュウアサギマダラ、ウスコモンアサギマダラがあり、迷チョウとして採集されるが、アサギマダラより小さく、斑紋が細かいことで区別される」と解説している。

万博記念公園・自然観察学習館にて

『謎の蝶』の中の「秋にはどこで会えるか」に、「大阪府では池田市五月山でアサギマダラが見られ、私のアサギマダラがよく再捕獲されています」と書いていた。
五月山に近くて四季折々の草花が咲いている「万博記念公園」には、自然観察学習館に昆虫の標本が展示されているし、動植物に関する書籍も見られることを思い出して出かけてみた。

IMG_9186.JPG


写真1 自然観察学習館の蝶の標本


 アサギマダラの標本は写真1下の左から2番目の2匹である。拡大したのが写真2である。

IMG_9185.JPG


写真2 アサギマダラの標本(自然観察学習館)

 このほかに、この自然観察学習館に寄贈された写真やファイルに収められていた。
写真3は2011年10月18日に、「アジサイの森・東」で撮影(写真3)したものが展示されていた。

IMG_9190.JPG


写真3アジサイの森・東で撮ったアサギマダラ

 同館の書棚には、有賀憲介氏の名で、「2015年9月20日 花の丘」、「2012年5月10日 アジサイの森・東」がファイルされていた。
これらの資料を見ると、万博公園に咲く花の吸蜜にアサギマダラが来ていて、5月は北上する途上で、10月には南下する途上でこの公園にやってきていることが分かった。

 同館の動植物に関する書籍の中の、渡辺康之 著「チョウのすべて:1998年8月1日初版・トンボ出版(以下引用した書名を『チョウのすべて』と略す)」が目に留まった。表紙の裏面に「この本には、高山や離れ島・身近な環境にすむいろいろなチョウが紹介されています。
 なかでも、幼虫のときアリの巣のなかで育つという変わった生活をするゴマシジミやオオゴマシジミでは、10年以上にわたって観察した記録をくわしく載せました」と書いてあるように、昆虫生態写真家として貴重な写真が掲載されていた。

アサギマダラの卵から羽化

 秋に産卵すると、その年に孵化(ふか)する。1齢幼虫は、卵の殻を食べてから餌となる植物を食べ始める。体が大きくなった幼虫は脱皮をして、2齢幼虫になり、また植物を食べて大きくなった幼虫は脱皮をし、このパターンをくりかえして、3齢幼虫、4齢幼虫、と大きくなっていく。卵→1齢幼虫→2齢幼虫→3齢幼虫→4齢幼虫→5齢幼虫→蛹→成虫(「ネットの蝶の一生‐ぷろてんワールド)」から引用)

img46911.jpg


写真4 終齢幼虫→蛹(「ちょうのすべて」)から引用

「暖かくなるにつれて育って、3月下旬から5月にかけて蛹化と羽化をします。そこから北上の旅が始まり、本州のどこかで子孫を残して、多くの個体は夏の前に一生を終えます」。

img469.jpg


写真5 羽化の様子「ちょうのすべて」から引用


蝶々はなぜ菜の葉にとまるのか:ドラミング

 平凡社の「世界大百科事典・チョウ」によると、「現在知られている最古のチョウの化石は新生代古第三紀の漸新世から見つかっている。白亜紀に入って被子植物の多様な分化が起こり、それに従って植物に依存する鱗翅目もこれに適応する形で発展したと考えられる……現在知られている鱗翅目は約14万種であるが、このうちチョウ類は約1万8000種である。これはチョウに限ったことではないが、植物に依存する昆虫はその植物の生育する環境や気象条件に適応した結果独自の特徴をもち、科や属のレベルの分化が起こったと考えられる」と書いている。

 図書館で蝶々のことを調べていた中で「蝶々はなぜ菜の葉にとまるのか(稲垣栄洋・三上修:草思社・以下引用には『蝶々はなぜ菜の葉』と略す)に、「チョウが花から花へと飛びまわるのはわかるが、葉から葉へ飛びまわることなどあるのだろうか……モンシロチョウの幼虫である青虫はアブラナ科の植物しか食べることができない。そこでモンシロチョウは、幼虫が路頭に迷うことのないように、足の先端でアブラナ科から出る物質を確認し、幼虫が食べることができる植物かどうかを判断するのである。この行動は『ドラミング』と呼ばれている。

 だから産卵するモンシロチョウは、葉っぱを足でさわって確かめながら、アブラナ科の植物を求めて、葉から葉へとひらひらと飛びまわるのである……一カ所にすべての卵を産んでしまうと、幼虫の数が多すぎて餌の葉っぱが足りなくなってしまう。そのためモンシロチョウは、葉の裏に小さな卵を一粒だけ産みつける。そして、つぎの卵を産むために新たな葉を求めて、葉から葉へと飛びまわるのである。まさに『ちょうちょう』の原型となったわらべ唄の歌詞のとおりだ……植物にとって、旺盛な食欲で葉をむさぼり食う昆虫は大敵である。
 そのため、多くの植物は昆虫からの食害を防ぐためにさまざまな忌避物質や有毒物質を体内に用意して、昆虫に対する防御策をとっているのである。一方の昆虫にしてみれば、葉っぱを食べなければ餓死してしまう。そこで、毒性物質を分解して無毒化するなどの対策を講じて、植物の防御策を打ち破る方法を発達させているのだ。
 ところが、植物の毒性物質は種類によって違うから、どんな植物の毒性物質をも打ち破る万能な策というのは難しい。そこで、ターゲットを定めて、対象となる植物の防御策を破る方法を身につけるのである」と解説していた。

唱歌「ちょうちょう」の歌詞の変遷

 何気なしに歌っていた唱歌の「ちょうちょう」は、戦時中に歌っていた歌詞は、「菜の葉にとまれ 菜の葉にあいたら 桜にとまれ 桜の花の 花から花へ とまれよ 遊べ 遊べよとまれ」であった。

 欧米各国に伝わる童謡「ちょうちょう」は、1875年から1878年)まで米国へ留学した教育学者が日本へ紹介したのではないかと推測されている。この曲に野村秋足が独自に歌詞を付け、1881年に文部省が発行した『小学唱歌集』に「蝶々」の表題で掲載された。ただし、この歌詞と似た詞の童謡や清元は江戸時代から全国各地で知られており、野村も現在の愛知県岡崎市一帯で歌われていた童歌の詞を改作して「Lightly Row」の曲に当てたとされている(ウィキペディア『ちょうちょう』から引用)

 ところが、この歌詞に野村秋足は日本の春のシンボルであるサクラを詠み込んだ。ただし、野村秋足が最初に作った歌詞は「桜の花の さかゆる御代に」と日本を称える唄だったが、国家主義を排除する意図から「桜の花の 花から花へ」に改訂されてしまった。
 そして、葉から葉へと飛びまわっていたはずのチョウが、時代を経て花から花へ飛びまわるように書き換えられてしまったのである。ただ、もともとの歌詞の本質的な部分である「菜の葉」は残されたのである(『蝶々はなぜ菜の葉』から引用)。

蝶々の「ドラミング」と跗節(ふせつ)

 ネットの「JT生命誌研究館:チョウが食草を見分けるしくみを探る」によると、「ドラミング」のことを説明していた。
「アゲハチョウの仲間は、それぞれの幼虫が特定の植物のみを食草として利用するので、メス成虫が正確に植物を識別して、産卵場所を間違えないことが次世代の生存を左右する。メス成虫はどのようにして数多くの植物の中から幼虫に適した食草を選択しているのかというと、そのヒミツは前脚の先端にある『跗節(ふせつ)』と呼ばれる部分にある。

 跗節には化学感覚子があり、植物に含まれる化合物を認識することができる。アゲハチョウのメス成虫は、産卵の前に植物の葉の表面を前脚で叩く『ドラミング』と呼ばれる行動を示すが、その時に植物に含まれる化合物(味と考えれば解りやすい)を感じ取っている」と。

 朝日新聞社発行の『蝶の世界』から「チョウのからだ」の説明と図を引用した。
「退化した脚以外は明瞭にそれぞれ五節から成り立っている。胸部の中に潜っていて外から見えない最初の節を基節といい、次の小さな節が転節、以下比較的太くて頑丈に見える腿節(たいせつ)、脛節(けいせつ)となり、一番先端は細くて長い跗節となっている。跗節はさらに五つの節に分かれ、その末端に、ものにつかまったり、ぶら下がったりするのに有効な爪がある」。

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図1 チョウのからだ

アサギマダラの魅力

『謎の蝶』の「アサギマダラの24の魅力」の中に、「(6)グルメ―PA物質を含む植物を敏感に発見し、集まる天与の才能を持っている(9)群れる―1カ所に、数百頭、ときには千頭を超えるアサギマダラが吸蜜する(10)速い―実質2日で、740km以上もの海生移動をする例がある(11)酔う―スナビキソウで吸蜜中は酔ったかのように無反応になり、手づかみできる(13)香りを操る―ヘアペンシルという実にユニークな道具でフェロモンを発する(15)毒草を食べる―ガガイモ科の有毒植物を食べ、毒を蓄積して防御に利用する」などが列挙されている。

 (6)PA物質で、雄が花に群れる理由には、アサギマダラが集まる花にはピロリジジンアルカロイドと呼ばれる物質が多く含まれている。長い名前なのでPA物質と省略。アルカロイドとは植物に含まれるアルカリ性の物質。人体にも作用するものがあり、その多くは毒性を持つ。アサギマダラの場合、このPA物質は、雄が成熟するのに必要とされるのは、雄が雌を惹きつけるフェロモンはこの物質から作られるので、花に群れているのはほとんどが雄なのだ。これがグルメの理由」と説明している。


アサギマダラはなぜ海を渡るのか

 栗田昌弘氏の著書「謎の蝶 アサギマダラはなぜ海を渡るのか?」の設問に、著者は琉球弧での間氷期の地殻変動で海峡ができ、アサギマダラは「海を渡る」ことに適応したという仮説で説明している。
「琉球弧と呼ばれる現在の九州から台湾までの南西諸島をつなぐ『ひも状』の地域は、その西側は東シナ海で大陸から切り離されていて、約2億5千万年前から約1億3千万年前、海底にあった。1500万年から1000万年頃には陸地化して南方から九州につながり、1000万年から200万年前には分断されて、北側が中国大陸とつながった。259万年前から第四期更新世が始まり、この時代は氷河期で、氷期と間氷期を繰り返し、そのたびに生物は南方から北に移動した。(主に間氷期)、北方から南に移動したりした(主に氷期)。約2万年前に琉球弧は3つの領域に分かれた。最初はトカラ海峡ができ、次にケラマ海裂、与那国海峡ができて、北琉球、中琉球、南琉球と呼ぶ3つの領域が生また。最後の氷期は約1万年前に終わり、(約1万2千年前以後を完新世と呼ぶ)。
この物語が事実ならアサギマダラはわずか1万年の間に『海を渡る』ことに適応した。縄文時代の開始は1万年前、人類が文明を作って活躍した時代にアサギマダラは海を渡る蝶になった。北米のオオカバマダラは国境を越える旅をしますが海は越えない。それに比してアサギマダラが世界にも稀な『海を越えて定期的に移動する蝶』になった理由は『間氷期に琉球弧が海に沈んだ』という特殊事情に遭遇したからだ」と説明している。

ハイキング友だちからもらったアサギマダラの写真がきっかけで、吸蜜していることばかりに注目していたら、「蝶々はなぜ菜の葉にとまるのか」の本で、蝶々の足先の「跗節」という植物に含まれる化合物を認識することができる化学感覚子があることを知った。
また、「チョウ」と「ガ」の関連から、セセリチョウ科のイチモンジセセリが移動することで話題になったという。その幼虫がイネの葉を食べる害虫であり、初夏のころからすがたを見せ、はじめはそれほど多くいないが、世代を交替して、夏の終わりから秋にかけて急に数が増え、北海道まで移動することがある。今から20年前ごろまでは、おびただしい数のイチモンジセセリが大阪市内でも飛んでいたという。

 調べていくほどに、興味のある話題が次々と出てきた。今年の秋には、万博記念公園か、五月山でアサギマダラの写真をぜひ撮りたいと思っている。


(平成28年8月15日)







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