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第213話 「もらったトチの実?!」[2015年10月24日(Sat)]
 ジムへ夫婦で来られているAさんの奥さんが「主人がトチの実を持って帰ってきたが、どうしようか」と話しかけられた。
インターネットで「トチの実の皮むきやアク抜き」を書いた資料を渡したところ、「私ではとても手におえないから!」と、写真1のトチの実を私に預けられた。

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写真1 もらったトチの実


 そのトチノキが北千里駅近くの池のそばにあると聞き、写真を撮ってきた。植物の観察に詳しいAさんに見てもらったらまったく違った木を撮っていたので、万博公園で撮り直しをしてきた。

万博公園・自然文化園でトチノキ探し

 10月23日9時半には中央口で「トチノキはどこに植わっているか」と尋ねると、植木の台帳を繰って東寄りの「夏の花八景」を教えてくれた。
昨日Aさんからもらったトチノキの葉っぱなどの資料を見ながら探したが、黄葉したカエデ(写真2)の木が前面に並んでいるばかりだった。

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 写真2 「夏の花八景」を囲む黄葉したカエデ


 ネットの「スイタウェブ万博情報−万博記念公園−現在の万博」によると、この自然文化園には約260種50万本の樹木、草花が植えられている」というから、その場所に行っても、名札が取り付けられたり、図鑑で確認しないと難しい。このカエデの陰に、葉っぱに特徴のあるトチノキ2本写真3)をやっと見つけることができた。

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写真3 万博公園の黄葉したトチノキ


 図書館でトチノキを調べる


 植物の知識がないので、図書館でわかりやすい幼児用の絵本か、専門書では牧野植物図鑑を見るか、平凡社の「世界大百科事典」で概略の知識を得ている。
 この大百科事典には植物学的なことのほかに、利用方法、民俗に関することまで幅広く知ることができるので、ブログを書くときによく利用している。
その「トチノキ」には、「種子は多量のデンプンとともにサポニンやタンニンを多く含む。古くから、山村では種子の中身を刻んで木灰汁で煮て水にさらして渋を抜き、トチ餅、トチ麺、トチ団子を作った」と書いている。また、「花からは良質のはちみつが集められる」とも書いて、ネットの樹木図鑑などで見ると、5月〜6月にかけて白い花が咲く。きれいな花なので今後観察して写真で記録を残しておきたいと思っている。
 「トチノキの花から良質の蜂蜜が集められる」で思い出したことがある。普段買っている蜂蜜はレンゲの花など西洋蜜蜂だとか聞いていた。
8年前に、熊野古道を海南市の藤代王子から熊野本宮大社まで13回に分けて完歩したことがある。確か9回目の2007年1月23日は、稲葉根王子から富田川沿いの山中(写真4)を滝尻王子に向かって歩いていたときである。

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写真4 滝尻王子に近い山中から富田川を望む


 庚申塚の近くで初めて見たのが、日本蜜蜂を巣箱だとガイドが教えてくれた(写真5)。

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写真5 熊野古道の山中で見た蜜蜂の巣箱



 その巣箱を見て「こんな山中にお花畑もないのに?」と尋ねたら、「木の花から蜜を集めている」ということだった。
 このブログでトチノキのことを調べていて、熊野古道の鬱蒼とした山中にはこの付近には、良質の蜂蜜が採取できるトチノキがあったのかもしれないと思った。

滋賀長浜に西日本最大級のトチノキの巨木林

 パソコン・データ「植物」のファイルに、「トチノキの聖地」という2014年1月の朝日新聞夕刊の記事を記録していた。
 当時トチノキに特段興味があったわけでなかったが、コンクリートの人工的なダムでなく、ブナとかトチノキが、「自然のダム」の言葉に環境問題から興味を持ったのだろう。
 記事には「西日本最大級のトチノキの巨木林がみつかった。治水などを目的にしたダムは今月、中止の方向が打ち出されたが、広葉樹のトチノキは周辺のブナ林とともに山の保水力を高めると考えられている。滋賀県は移転住民と協力しながら、『自然のダム』の保全に乗り出す」という記事のトチノキ、ブナには保水力があることを知った。

 その続きには「巨木林が見つかったのは福井と滋賀の県境に近い標高約400〜800bの山林。約1千f以内の範囲に幹回りが3bを超えるトチノが200本以上群生している。推定樹齢500年以上の巨木もあった。県の担当者は『調査が進めば、さらに多くの巨木が見つかる可能性がある。西日本最大級の規模』と言い切る」という。
 滋賀県の山では、武奈ケ岳や朽木村観光協会から「芦生の森」の観察会、ビラデスト家族旅行村から近江坂古道にも3回ほど歩いている。
また、10年前には、滋賀県と福井県の県境の駒ケ岳頂上付近には新緑のブナの美しい林(写真6)を歩いたことはある。

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写真6 駒ケ岳のブナ林(2006年5月28日撮影)


 これらの山々ではガイドの人からトチノキの話は聞けなかったのは、ありふれた木なのか、ルートには生えていなかったのかもしれない。

トチノキの天然記念物の写真を撮りに出かけたが!

 世界大百科事典でトチノキを調べたついでに、講談社発行の「日本の天然記念物・5・植物V」(1984年6月25日第1刷)には、「トチノキの天然記念物」として指定されていることを知った。それによると、
@利賀のトチノキ、 指定:大正15年10月20日、場所:富山県東礪波郡利賀村利賀
A脇谷のトチノキ、 指定:大正15年10月20日、場所:富山県東礪波郡利賀村栗当
B畑上の大トチノキ 指定:昭和26年6月9日   場所:兵庫県豊岡市畑上
C熊野の大トチ   指定:昭和33年2月6日   場所:広島県比婆郡西城町熊野大畑

 この天然記念物のトチノキの写真を見て、「車で走れば日帰りで写真を撮りに行ける」と決めて、トチの実をもらった週明けの14日に、好天に誘われ家内と豊岡に向かった。
 10時に家を出発して13時半に豊岡市畑上(はたがみ)の標識(写真6)で右折れした。

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写真7 大トチノ木の道路案内標識


 ネットで事前に調べていたので、行止まりの林道で駐車して登山靴で装備して40分ほど登ることは覚悟していった。
 念のために民家で尋ねてみたが、「とても無理だ」と家内が聞いてきた。林道方面から降りてきた軽トラックの男性に尋ねると、携帯電話でこの土地出身の人の話を伝えてくれた。
「先日もツキノワグマが出たし、地元の人も近寄ったことがない。草に覆われて道も定かではない」ということだった。
 
 トチの実をもらったのが10月7日だから、この山奥でもトチの実が落ちていて、地元の人もトチ餅などの風味を味わっておられるのだろうと思っていたが、無残にも願いがかなわなかった。
ツキノワグマにとっては、冬眠を控えて栄養源を探してしっかりと食べなければならない季節であるから、人が来ないとなればわが領域とばかりに、私たちのような人間が近づけば、『邪魔者が来た』とばかりに襲われるのは必至だろう。

 実は豊岡市に事前に「畑上の大トチの黄葉はどうですか」と尋ねたら、観光協会の電話番号を教えてくれたが、「現在使われていません」ということで、それ以上探ることをしなかった。帰宅してネットに掲載されていた「兵庫県治山林道協会」の畑上の大トチを引用させてもらったのが写真8である。

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写真8 畑上の大トチノキ(兵庫県治山林道協会から引用)


 道なき山を登って写真を撮りに行ってツキノワグマに襲われたとなれば、洒落にもならない。地元の人のアドバイスに従い、すごすごと引き返した。

 豊岡市の「歴史探訪〜文化財を巡る〜S」には、巨樹、巨木の史跡・名勝天然記念物が4か所紹介されており、「畑上の大トチ」には「胸高周囲7.2m、樹高20mの巨樹で、樹齢は500年以上といわれています。遠くからでも目立つため、猟などの目印にされてきました。周辺にある3本のトチノキも後継樹として、市の指定を受けています。集落の外れから林道を車で約30分、さらに徒歩で30分ほど掛かりますが、春先や晩秋には、全国から巨木ファンが訪れます」と案内されている。
 もう少し時期をずらした晩秋でクマが冬眠し、草木が枯れたころならいけるのだろうか。

セイヨウトチノキ

 因みに、写真6の案内標識に書いている「Great Horse」は、トチノキの英名で"Horse-chestnut"(ウマグリ「馬栗」)の「chestnut」を省略したからだと思われる。
ジム仲間でフランス旅行にいったKさんにトチノキのことを話したら、フランスではマロニエと言って同じものだと思うが、フランス人は食すことはないという。

 ネットの「植物の話あれこれ」には、トチノキによく似たマロニエは、セイヨウトチノキと呼ばれ、パリでは、街路樹として植えられ、マロニエの並木道として有名である。
「この植物は、英名で"Horse-chestnut"(ウマグリ『馬栗』)と呼ばれている……その昔、この植物の栗のような種子を馬や家畜の飼料に使ったり、ウマの咳を治す薬に用いたりしたことから、このよう な名称で呼ばれるようになったといわれている。また、甘栗(Sweet chesnut)と区別するために、大形で、野卑なクリという意味を込めて『ウマグリ』と名づけられたともいわれている」と解説していた。

 6年ほど前に「万博記念公園における統合医療による認知症予防プログラム」を受講したとき、森林療法で自然文化園を散策したとき、オランダから寄贈されたマロニエの花が咲いていた写真7を撮っていた。

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写真9 万博公園のマロニエ(2008年5月28日撮影)


 この写真を撮って7年後の10月23日に撮ったのが写真10である。この木の横に「マロニエ(とちのき科 寄贈国・オランダ)・原産地ヨーロッパ南東部」と銘板が設置されていた。

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写真10 7年後のマロニエ


土産にトチ餅を買う

 城崎温泉へ行く前に玄武洞へ立ち寄った。玄武洞の前の店にトチ餅があり、土産に買ってきた。「トチ餅」を買ったのは、せっかくもらったトチの実であったが、私も家内も結果的には手間暇のかかる渋皮むきや灰汁抜きはとてもできないので、せめてその味を確かめておきたかったからである。

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写真11 土産で買ったトチ餅


 先の世界百科大事典・トチノキの民俗には「トチを食用とするにはアクを抜きが必要で、天日で干した実を長期間水さらした後に灰汁で煮るのが一般的だが、その方法はトチによって異なる。トチは収穫も一定し、凶作や飢饉に備える食物であったから、かつて飛騨の白川村ではトチを留木(とめぎ)としてみだりに傷つけたり伐ったりするのを禁じ、焼畑で類焼させても村民の厳しい取調べを受けた」と書いている。

 地球温暖化がどんどん進んで飢饉が出る可能性は否定できない。そのときにトチノキが育っているかはわからないが、このトチの実は重要な食材となりうるし、よく乾燥すれば保存がきく」事から、」飢饉のための備考食物になることは知っておく必要がある。

もらったトチの実の行方は?

 もらったトチの実は、箕面だんだんクラブに10月10日の活動日に持って行った。広島県の山村で育ったTさん、岡山県の田舎育ちのFさんの二人とも、このトチの実をさらしてトチ餅を作った経験はないと言われてしまった。

「箕面市体験学習の森」の森林保全活動の中に、
@ 植生の自然推移を中断し、明るい森を作るために、間伐、除伐をする
A 山桜、椿等を育てるために陰を作る高木、中木を間伐する
B 昆虫、小鳥、小動物(リス、ウサギ等)の餌となる実のなる落葉樹の育成と植樹をする。
(クヌギ、コナラ、アベマキ、栗、エノキ、マユミ、ネズミモチ、ムラサキシキブ等)
など、「豊かな自然を守るために森林の保全と再生を図り次世代の体験学習に供することを目的」として具体的な活動を10項目列挙している。
その活動の一環として、毎年12月にドングリを発芽させて2年ほど育てた上で、50本ほど間伐した後に植樹している。

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 写真12 2014年12月に植樹したクワガタ山


そのことをイメージして、昼食時にFさんが助け舟を出してくれた。自宅でドングリを発芽させ、苗を育ててくれる初代代表のKさんも快く引き受けてくれた。

 残りの実は「日本熊森協会」で活動もしているTさんが、兵庫県の山奥で植林をしているので、そこで利用してもらうことができた。だんだんクラブの会員で、日本熊森協会の会員が2人も参加していることは心強い。
 参考に、日本熊森協会のホームページを開けると、
「奥山水源の森の大荒廃問題に取り組む」として、
「平成になって、クマなどの奥山動物が人里に次々と出てくるようになった原因
・ 戦後の大規模奥山開発・大規模拡大造林による人工林内の餌場喪失
・ 大規模ナラ枯れ・下草消滅・昆虫絶滅などによる自然林内の餌場喪失(原因諸説:地 
球温暖化・中国からの大気汚染による酸性雪・農薬散布など)→奥山生態系崩壊・山の湧水激減 →日本文明の将来的衰退
 くま森は、全生物のため、人のため、奥山広葉樹林の再生活動に取り組んでいます」

(平成27年10月24日)


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