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第132話 集中豪雨による人工林からの流木被害[2010年10月06日(Wed)]


  9月5日の日曜日、ソーメン流しの席でビールをしっかり飲んだあと、バスで下山して千里中央で二次会となった。
 その席でTさんから今年の7月16日の「庄原豪雨」の災害の写真(広島県北部農業共済組合“きずな”から引用)を見せてくれた。




写真1 「庄原豪雨」災害


 このコミュニケーション誌によると、「去る7月16日(平成22年)に局地的な豪雨が発生し、時間雨量で観測史上最大の91.0ミリを記録するなど、管内庄原市に大きな被害をもたらしました。特に、庄原市川北町重行地区、川西地区、西城街大戸地区においては、土砂崩れや土石流が相次いで発生し、流木等により住宅や水稲耕地
 
 それにしても、「流木のなんと多いことか!」と驚かされた。
 Tさんの田んぼは被害地区から少し離れていて被害は免れたと話していたが、「これらの流木は、スギやヒノキで人工林から流出したものだ。戦後の焼け野原の時代に、家を建てるために植林政策を推し進めたが、日本の木材を使わなくなったこと、高齢化で山の手入れをする人がいなくなったからだ」と解説してくれた。


人工林

 辞書(大辞泉)の人工林には、「種まきや植樹などにより、人為的につくった森林。⇔天然林」と書いているが、「人工林はなぜ集中豪雨などで流木など引き起こすのか」などを調べてみた。

 宮崎 昭著(横浜国立大学名誉教授、財団法人国際生態学センター研究所長)の「いのちを守るドングリの森:集英社新書」には、「森の見分け方・人工林」の中で、より具体的に書いてあったので引用してみる。

 「木材生産を目的としたスギ、ヒノキ、カラマツなどの人工造林は、林内に入ればすぐわかる。経済価値の高い木材は、同じ樹種、同じ大きさの規格品でなければならない。そして人が林内に立ち入り、できれば器具も使って定期的に管理できるように、等間隔に、多くは筋状に植える。したがって、列状に同一樹種が生育している画一的な林分は、木材生産などを目的とした人工造林である」。


近隣の山の人工林の状況

 私たちが活動している「箕面市体験学習の森」の中にも、こうしたスギの人工林が点在している。活動拠点の豚汁広場は標高340mだが、戦後に植林された杉の人工林は、およそ標高520mなので、180mも登らなければならない。
 2年前にこの人工林への作業道を作ったが、ここへ到達すためには急斜面を登らなければならない。




写真2 体験学習の森の人工林(08年3月撮影)


 写真2では比較的緩やかな尾根付近に植林されていたが、写真3では、急斜面の崖に植林されていた。



写真3 急斜面の人工林(08年3月撮影)


 この急斜面の人工林では岩肌があちこちに露出していて、こんな危険な場所にも植林せざるを得なかった戦後の厳しい木材増産時代の人たちの苦労を思わざるを得なかった。

妙見山でみた人工林

 2週間ほど前の9月25日に妙見山に登ったとき、この山にもスギの人工林があったが、使う当てのない切り倒されたままのスギ丸太とスギの落葉で覆われて下草はほとんど見られなかった。



写真4 下草が生えていないスギの人工林


 上記本の人工林の続きには「本来、自然は極めて多様性に富んでおり、同じ樹種が等間隔に生育していることは決してない。

 よく管理されたスギ、ヒノキなどの人工造林では、下草や低木がほとんどない。植栽後10年20年経って林冠が覆うと、太陽光は林床部まであまり入ってこない。針葉樹の落ち葉は土壌生物が分解するのに時間がかかる。十分分解されていない粗腐植と呼ばれる分解途中の状態では、酸性で植物の生育に利用されにくい。甚だしい場合には、足が10cm以上ふわふわと入ってしまうほどたまる。下生え植物も生育できない。

 このように、土壌の表層が劣化していることと太陽の光線があたらないために、林床はほとんど死んでいる状態といえる」と説明していた。


人工林では間伐が必要

 人工林では樹木を太く、まっすぐ育てるために、間伐を行うことを前提にしている。最初は密に植林をし、後に樹木の成長に合わせて伐採することで光の量を調整して、悪い苗を淘汰して良い苗を選別して育ててきた。

 間伐した細い丸太は、建築の足場材として、鋼管などの足場材が導入されるまでの一時期には使われてきたが、今では建築現場で杉丸太の足場を見ることはほとんどない。
間伐材の需要がなくなり、手入れしなくなった人工林は、ひょろひょろの「もやし林」(線香林)」なっていく。

 植林した時代にはいずれ間伐をしていかなければならない必要性は理解されていたが、間伐材だけでなく木材そのものが安価な海外の木材、木製品が輸入されたち、プラスチックなどの非木質製品が増えてきた。需要の落ち込みに追い討ちをかけて高齢化が進み、放置林になってしまった。

 間伐されなくなった人工林は、樹木の大きさに対する葉の割合が少なくなるため、十分な光合成ができず、栄養状態が悪くなるため、強風や豪雪で折れたり、病気にかかったり、虫に食われたりする危険性が高くなる。

 こうして放置された人工林では、根が浅いもやし林で、緑のダムと言われる下草が生えにくいことために、集中豪雨によって一気に流出してしまう危険性をはらんでいる。




写真5 妙見山の自然林(10年9月25日撮影)


 妙見山の谷筋の登山道を登っていて、左手のスギの人工林(写真4)と道を挟んで右手では高木、低木、下草が生い茂っていた自然林《写真5》は対照的だった。

放置した木材からは酸化炭素が発生する

 成長段階の樹木は酸素の供給源であるが、腐らせてしまうと微生物等の働きにより、植物体に取り込まれた炭素を二酸化炭素として大気中に放出してしまう。
 地球温暖化の原因の一つとして大気中の二酸化炭素濃度が上昇していることが問題視されているが、木材を使用することで炭素を固定し、放出量を減少させることができる。

 体験学習の森では、今のところ間伐したスギやマツは、小屋の柱や椅子などに使っているが、尾根に近い人工林の間伐材の利用法や運搬方法を検討しなければならないだろう。
 放置して腐らせてしまえば、折角木材に溜め込んだ二酸化炭素を放出してしまってもとの木阿弥になってしまう。

 集中豪雨で流出した流木の写真を見てあれこれ調べているうちに10月になってしまった。森林の保水機能や、放置して腐らせた木材から発生する二酸化炭素の問題など、まだまだ調べなければならないと思っている。


(平成22年10月6日)
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