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第117話 シカはシャガの葉っぱまで食べだした[2009年02月14日(Sat)]


 1月の活動日は天候不良で一度も炭やきができず、2月8日に今年始めて窯を開いて火を入れました。この日は3月中旬の暖かい陽気で久しぶりの活動日だったのか、28人も参加しました。炭やきのほかに炭窯上の急斜面に生い茂った椿山の除伐を兼ねて作業道つくりを行いました。

 この日の活動場所は豚汁広場付近だったのですが、早春の山の兆しを求めて「小鳥の水場」辺りまで登ってみました。久しぶりに「キツネのベンチ」を少し登った山道の両側に群生しているシャガの葉っぱが食いちぎられていました。しか(確)というほどではなかったのですが、食い方からして鹿に相違ありません。
 ベテランのNさんに話してみると、「数年前に北摂山地でシャガの葉っぱがシカに食べられだした」と仲間から聞いたそうです。この山でもシカの食べ物が少なくなり食べ始めたのでしょうか。
 シャガと鹿の話題をまとめてみました。


シャガ

 シャガはアヤメ科アヤメ属で、古く中国から渡来したと推定され、低山地に群生しています。葉は1年中常緑で、剣形の3センチほどの巾で、長さ40センチほど光沢のある葉っぱです。



     写真1上段:体験学習の森に咲くシャガ(08年5月3日撮影)

下段:シャガの花(08年5月3日撮影)


 写真1は昨年5月3日に花が咲きそろったころに写しました。接写(写真1下段)してみると、花は直径約5cmで白く、外花被片は倒卵形で縁に細かい切れ込みがあり、中央に橙色のときか状突起と橙色と紫色の斑があります。

 東海自然歩道のポンポン山から下った善峰寺近くで日陰の斜面一面に咲いていましたが、こうした低山地に群生しています。
Nさんは「日本のシャガはすべて同じDNAである」と話してくれました。そこでシャガの増え方を調べてみると、「走出枝」注)で増えるのが特徴である。日本のものは三倍体注)で種子は実らないが、中国のものは実るといわれている」(世界大百科事典、兜ス凡社、アヤメ)

注)走出枝(そうしゅつし):根っこの横から伸びて地上を横に伸びていく茎のこと。

注)三倍体「倍数体」の一種。受精や分裂時の異常によって生じた、染色体のセットが3組ある個体。3n。二倍体と四倍体の交配から生じることが多い。染色体が奇数組なので、不稔性(子孫を残せない)であることが多い。


シカに食いちぎられたシャガの葉っぱ

 今年1月にこの山道を通ったとき、シャガの葉っぱは、緑色で剣形、扇状に折れたように地面に接していましたが、食いちぎられてはいませんでした。

 写真2上段は、昨年5月に写した場所とほぼ同じです。写真中段の写真で見られるように葉の先端が食いちぎられています。この辺りにはササもたくさん生えていましたが、食いちぎられたシャガの葉っぱの間からシカに葉を食べられたササの茎だけが目立って残っていました。
 シカが勢いよく食いちぎったため、根っこまで抜かれてしまったシャガをNさんがたくさん持ち帰ってきました。
 写真2下段は食いちぎられ葉っぱと引き抜かれた根っこの部分を写しました。
 これらは未だ十分に育つ可能性があるので別の場所に植えることにしました。




写真2上段:シャガが生えている山道(09年2月8日)

中段:食いちぎられたシャガの葉っぱ(09年2月8日)

 下段:シカに引き抜かれたシャガの根(09年2月8日)


ニホンジカ
 箕面公園政の茶屋近くに「ニホンジカについて」の解説板が立っています。それによると、「野生のニホンジカは、府下では北摂山系だけにみられ、中でも箕面公園周辺は代表的な生息地の一つです。そしてこのような都市近郊の里山地域で見られるのは、大変めずらしいことです。ニホンジカ(学名Cervus Nippon)は偶蹄目シカ科の動物で、長く立派な角や可愛らしいバンビなど、古くから私たち日本人に親しまれています。秋の繁殖期にオスジカはテリトリー(なわばり)をつくり、「フィーヨー」となく習性があります」と解説しています。 



写真3 箕面公園に設置された「ニホンジカ」の解説板


体験学習の森で、真っ昼間、突然、シカが猛突進してきた!


 日本国内に棲息するニホンジカは、エゾシカ、ホンシュウジカ、キュウシュウジカ、マゲシカ、ヤクシカ、ケラマジカ、ツシマジカの7つの地域亜種に分類されますが、本州に生息するからこの山のシカはホンシュウジカでしょう。
 奈良市一円のシカは天然記念物になっています。2年前の夏に奈良公園に群れていたシカを写しました。




           写真3 奈良公園のニホンジカ


 人馴れしていて、天然記念物で過保護に育っているせいか一緒についてきて紙など持っているとすぐさま食べられてしまいます。
 体験学習の森にはどのくらい生息しているのかわかりませんが、シカの糞をよく見かけるし、時たまシカの角を拾ってくる人もいます。1月ほど前には渓流の中からシカの頭蓋骨が見つかっていますし、シャガの葉っぱの近くから大腿骨が見つかっています。

 この山ではめったに出くわすことはありませんが、昨年の夏、Kさん一人が翌日の準備作業のため豚汁広場で作業をしていたとき、坂道から大きなオスジカが猛突進してきたそうです。「何か来た気配を感じたのでシカに向かって鉈で立ち向かおうとした瞬間、Kさんの目の前でシカは急ブレーキをかけて立ち去った」と、そのときのシカが飛びかかろうとした位置を示しながら恐怖の場面を話してくれました。

 フリー百科事典「ウィキペディア」の「夜行性」を検索してみると、「シカ、イノシシ、タヌキなどは夜間によく活動するものが多いが、人間が関わらない地域ではそれらが意外に昼間動いている例がある。夜行性という性質も、それほど固定的とは限らない例である」と書いています。体験学習の森では人里に近いせいか、夜間に活動していると思われますが、1月に5回程度の活動ですし、ふだんはこの山に入ってくることは少ないため、「人間が居ない」とシカは高をくくって昼間に餌を求めて出没してきたのでしょう。



シカの生態 
 上記解説板の後半に「ニホンジカは草食でササ類などのイネ科の植物を主な餌としており、そのほかイヌツゲ、ヒサカキ、アオキ、シラカシなどの様々な種類の樹木の葉を食べています」と書いていますが、インターネットで宮城県農産園芸環境課のホームページ「ニホンジカの生態」を引用してみました。

■分布と生息環境:北海道から沖縄まで多雪地を除き、全国に分布している。近年、その分布域は全国的に拡大傾向にある。餌となる植物が多い場所を好むため,林内以外に、林縁、伐採跡地、造林地なども餌場としている。

■行動特性:シカはほとんど除助走せずに1.5m以上の障害物を跳び越える能力を持つ。しかし防護柵など障害物では上を跳び越えるよりも、隙間や下をくぐり抜けることの方が多い。

■農作物被害の特徴と痕跡:牛と同じ反芻動物であるシカは,一部の有毒な植物(アセビなど)を除き1000種を超える植物の葉、芽、樹皮、果実を餌としている。その量は1日約3sとなる。シカにとっては、農地の農作物だけでなく、集落周辺の雑草の大半が餌となる。特にシカの餌が乏しくなる冬〜早春の農地、林道や農道のり面、果樹園などに茂る青草は格好の餌資源である。それ以外にも、水稲のヒコバエ(2番穂)、レンゲやクローバー、ナンテン、サカキなどの植木も餌となる。農地周辺で見られるシカの痕跡として、足跡(イノシシと異なり,副蹄跡は残りにくい)、糞、食痕がある。また、樹皮はき跡、休み場などが見られる。特にシカの密度が高い地域の森林では、シカの食害によって,高さ2m以下の林床の植物がほとんど消失し、都市公園のような景観を呈している場合がある。


シカの被害対策

 この話題の結びとして、(社)日本森林技術協会 藤森 隆郎技術指導役の「シカの被害対策」を紹介します。シカの被害が拡大した理由は,20世紀の初頭に天敵であるオオカミを絶滅させたことと、戦後の農山村人口の減少と生活様式の変化から,狩猟人口が激減してきたことである・・・・・・

 ウサギ程度の大きさの動物であれば、オオカミはいなくてもキツネや猛禽類など代役は多いが、シカの大きさになると,クマがときどき襲うことはあっても、オオカミの代役はいない。シカは天敵に食われてもポピュレーション(生態学で、個体群)が維持できる繁殖力を、進化を通して身につけてきた。その天敵がいなくなれば、シカの繁殖の抑止力はなくなり、人間がシカのポピュレーションをコントロールする以外に、正常な生態系を維持することはできない。

 そのためには,それぞれの地域のシカの適正密度を求めて,頭数管理をしていかなければならない。そのことに必要な条件は,自治体の森林の管理計画を行う部署に野生生物の専門家がいること,必要な数の狩猟者が確保されることである。これからの森林管理には,シカを含めて野生生物の専門的技術者の存在が不可欠である。

 さらに,その対策を現実的なものにするためには,シカの肉を食へる文化を築くか,オオカミの分身である犬に,シカ肉を材料にしたペットフードを食べさせることまで考えなければならないだろう。そうしないと生態系を維持することは難しい。


この記事のURL
http://blog.canpan.info/dandan-minoh/archive/117
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鹿の食害

鹿の食害は深刻な問題です。
以前に書いた京都大学 芦生の森の現状は、鹿の食害で実生の苗が育たなくなっていて、古木だけが残り、これらの木が寿命をおえた将来、この原生林がなくなるだろうと懸念されている方がおられます。
そういった意味で以下の新聞記事を紹介しておきます。

「日本の森にオオカミの群れを放て」
朝日新聞(平成16年)4月10日
小林照幸さんと読む「日本の森にオオカミの群れを放て」吉家世洋(よしやくにひろ)著、丸山直樹監修
 シカ、カモシカが増えた森林では、食害が大きな問題になっている。草木が生えず、生態系も狂い、土砂の流出も起こる。主因は、彼らの天敵、ニホンオオカミが消えたこと。雑食性のクマは天敵とは言い難い。
 この本のタイトルに驚くだろうが、オオカミの生態に基づく真剣な科学プロジェクトだ。中国のオオカミを移入して本来の生態系に近づけようと、この本の監修者、東京農工大の丸山教授を中心に10年余り研究を重ねてきた。移入によって食害を克服した欧米の前例を示し、日本での実現性を考証する。
 日光国立公園が有力候補地。シカの食害が深刻で、園内の自然研究が進んでいることなどが理由だ。
 絶滅した野生動物を人為的に復活させて、かつての生態系に近づける趣旨は、人工繁殖のトキを自然に放す計画と同じだが、オオカミを放すのを危惧する声も当然ある。だが、オオカミは自然の中では食欲が満たされれば人間は襲わない、と各国の報告からその先入観を取り払う。
 日光ではサルによる農作物、観光客への被害も深刻。オオカミに期待を託す意義はここにもある。=ノンフィクション作家(ビイング・ネット・プレス/1600円・税抜き)

Posted by:高橋 正克  at 2010年04月06日(Tue) 12:01

シャガは外来種だから、まあ食べられても問題ない気がする。繁殖力がとても強くて、植えて後悔する人が出るくらいだから・・・。
繁殖力が強すぎて、同じ場所の自生種を駆逐してしまうので、鹿と同じかもしれない。
鹿の場合は、分布範囲が狭い、大型の植物にダメージが大きくて、絶滅に近いものも多い。
笹ばかりにとらわれてあまり注意が行かなかったりする。
動物植物までは行っても、昆虫はほぼ無関心だね。可愛い動物と、きれいな花だけに注目して、それ以外は無関心というのはどうかなあと思う。
論文や報告書も、植物までは行っても昆虫はほとんど無い。
昆虫は開発による絶滅のスピードが速すぎてそれどころじゃないのかもしれない。
Posted by:なる  at 2010年03月31日(Wed) 18:52

いつも大変参考になるブログを書き込み頂き、誠に有難う御座います。
さて、シャガの食害については以前から気になっておりましたが、よくぞ取り上げていただいたと思っております!
春、白基調の薄青と薄黄色の上品な花が群生しておるのを見て、癒される存在でした。  それを鹿に食い荒らされておるのを見て、情けなくなります。  鹿を初め、獣害には
全国的に農産物被害などで困っておるのに加え、外来生物の被害についても問題視されて久しいが、一向に学術調査による生態系の法制化がなされておる様子が無い。 共存共栄がベストであるが、動物愛護家の強硬意見のみがもてはやされておるような気が致します。
それによって農家の人たちが如何に困っておられることか。
食料自給率の低い日本でこそ、農業阻害となるものにつては排除されるべきと思います。
日本全国の山麓に獣害防除の金網を張り巡らせるような馬鹿げたことは
止めてもらいたいともおもっております。 まるで人が檻に閉じ込められておるようです。
Posted by:松本  at 2009年02月14日(Sat) 21:21

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