企業CSR責任者インタビューシリーズ トヨタ自動車株式会社 大野さん 加藤さんに聞く
[2011年02月02日(Wed)]
■女性管理職も増やしたい
先ほど大野が申したCSR指標も、この枠組みを使って、会社方針とリンクさせ、個人レベルまで落としてやってみたいということです。
社外から観ても方針がわかりやすいということは必要ですし、結果、社員にとっても方針を理解しやすいということになると思います。
(森)
指標づくりというのは、いつから取り組まれるのでしょうか。
(大野) 昨年より進めておりますので、来年度に打ち出したいと思っています。
(加藤)
CSRの指標が100個も項目があると、びっくりするような目標は、なかなか作れません。地に足がついたような物事の進め方をするので、到達できる目標も一つずつの積み重ねで、そこまでしかいきません。もう少し世界を広めて、ここに行きたいというところまで示したいと考えています。
(森)
その100個の項目はISO26000ともリンクしていますか。
(大野)
これからISO26000とのリンクも考えていきたいと思っています。
トヨタの環境活動の方向性とあるべき姿を取りまとめた「トヨタ環境取組プラン」というものがあるのですが、言わばそのCSR版ですね。
(加藤)
環境に関しては、現在第5次取組プランがあり、今までも繰り返しやってきました。環境は主に数値目標で、レギュレーションもありますし、さらに進んだ世界までやっております。
(森)
環境の取り組みは数値目標で取り組みを進めていきやすいですが、CSRの数値目標というのは結構大変ですよね。どのようにされていくのか、何か一つ具体的に教えていただけますか。
(大野)
例えば、会社における女性管理職の割合を増やす目標設定です。女性管理職の比率がまだまだ低いけれども、10年後にはこの数字を目指します、ということです。分かりやすい目標を設定し、トヨタはこういう姿を目指しますということを示して行けたらと思います。
(加藤)
全部数字でなければいけないということではありませんが、「こうなっていきたい」という目標設定の仕方もあると思います。たとえば、会社方針も目標があって、それに対するプロセスがある。目標だけなら誰でも置けるけれども、目標に対してどう到達するかという線がなければ次へはいけない。だから線の書き方だけ定めるような目標もあって良いと思っています。
(大野)
定量的な目標に定めたほうがはっきりしていて分かりやすいのですが、内容によってはなかなか難しいですからね。
(森)
ちなみに、女性管理職の割合は今どれくらいですか。
(加藤)
いわゆる管理職と呼ばれるひとたちの割合は5%未満です。弊社は七万人いますが、大きい割合を占める社員は工場で働いています。生産ラインをご覧いただくとわかると思いますが、重いものを持ち上げてやっている、工場は、もともと男性の職場です。昔は、一日にいくつものタイヤを運んだり、女性には大変でした。
しかし最近では、機械が自動で重いものを目の前に持ってきてくれるように工夫したり、深夜勤務をなくしたりと、女性でも働ける環境になってきています。工場で働く女性や女性の技術者も徐々に増えてきています。ですから割合も徐々に増えてくるのではないでしょうか。
■CSR室の人員を3名増員へ
また結婚に伴い、女性が早く退職してしまうことも今までの問題でした。特に豊田地区は働かれても、早い段階で結婚される方が多く、そのまま家庭に入られる方が昔は多かったのです。今はそういう方たちの職場復帰を支援するような制度をとっています。女性の割合も5─10年後には、だいぶ変わっていくと思います。
(大野)
現状、他社と比べれば、見劣りする実績だと思いますが、これからだと思います。
(布井)
今後CSRで新しくやっていきたいことは何でしょうか。
(大野)
先ほど申しました、新たなCSRの重点目標の打ち出しは一番やっていきたいことです。それから、CSR室の人数が来年3名増えますので、従来やりたくてもできなかった社内従業員向けのCSR浸透活動なども、もっとやっていきたいと考えています。
(加藤)
パンフレットなど、ツールを用意して配るという形だけだと、社員が読むか、覚えるか、というところが疑問に残ります。お互いに理解しているかどうかを確認するような双方向のものが望ましいです。eラーニングなどもやってみたいですね。
(森)
今日のお話の中で興味深かったのは、CSR目標の数値化ですね。日本の会社で、CSR目標の数値化をされている会社は、まだ少ないのではないでしょうか。
(加藤)
重点目標の打ち出しは、他社も結構やられていますが、数値化の部分についてはされているところは少ないかもしれないですね。
最終的には、社員がどうしたいか、どうしようと思えるかが大事だと思います。それをどうやって伝えていくかをしっかりとやっていきたいです。
冒頭にもありましたが、弊社のCSRは広報部寄りではありません。会社によっては広報部の中にCSR部がありますが、弊社ではCSRは本業を通じ、取り組むことだろうという考え方でやっています。
たまたま私たちは環境の分野が先行していましたから、CSR・環境部という形でスタートしましたが、今は総合企画部の中のCSR室となりましたので、本業を通じてCSRに取り組むに
は、一番座りの良いところになったと思っています。
(森)
つまり経営の中心にあるということですね。トヨタさんがこれからCSRを中心に据えたいという意思の表れといると思います。
一同 有難うございました。
原稿作成:日本財団CANPANチームインターン生
企画編集:株式会社オルタナ
トヨタ自動車 CSRへの取り組みウェブサイト
http://www.toyota.co.jp/jp/index_responsibility.html
先ほど大野が申したCSR指標も、この枠組みを使って、会社方針とリンクさせ、個人レベルまで落としてやってみたいということです。
社外から観ても方針がわかりやすいということは必要ですし、結果、社員にとっても方針を理解しやすいということになると思います。
(森)
指標づくりというのは、いつから取り組まれるのでしょうか。
(大野) 昨年より進めておりますので、来年度に打ち出したいと思っています。
(加藤)
CSRの指標が100個も項目があると、びっくりするような目標は、なかなか作れません。地に足がついたような物事の進め方をするので、到達できる目標も一つずつの積み重ねで、そこまでしかいきません。もう少し世界を広めて、ここに行きたいというところまで示したいと考えています。
(森)
その100個の項目はISO26000ともリンクしていますか。
(大野)
これからISO26000とのリンクも考えていきたいと思っています。
トヨタの環境活動の方向性とあるべき姿を取りまとめた「トヨタ環境取組プラン」というものがあるのですが、言わばそのCSR版ですね。
(加藤)
環境に関しては、現在第5次取組プランがあり、今までも繰り返しやってきました。環境は主に数値目標で、レギュレーションもありますし、さらに進んだ世界までやっております。
(森)
環境の取り組みは数値目標で取り組みを進めていきやすいですが、CSRの数値目標というのは結構大変ですよね。どのようにされていくのか、何か一つ具体的に教えていただけますか。
(大野)
例えば、会社における女性管理職の割合を増やす目標設定です。女性管理職の比率がまだまだ低いけれども、10年後にはこの数字を目指します、ということです。分かりやすい目標を設定し、トヨタはこういう姿を目指しますということを示して行けたらと思います。
(加藤)
全部数字でなければいけないということではありませんが、「こうなっていきたい」という目標設定の仕方もあると思います。たとえば、会社方針も目標があって、それに対するプロセスがある。目標だけなら誰でも置けるけれども、目標に対してどう到達するかという線がなければ次へはいけない。だから線の書き方だけ定めるような目標もあって良いと思っています。
(大野)
定量的な目標に定めたほうがはっきりしていて分かりやすいのですが、内容によってはなかなか難しいですからね。
(森)
ちなみに、女性管理職の割合は今どれくらいですか。
(加藤)
いわゆる管理職と呼ばれるひとたちの割合は5%未満です。弊社は七万人いますが、大きい割合を占める社員は工場で働いています。生産ラインをご覧いただくとわかると思いますが、重いものを持ち上げてやっている、工場は、もともと男性の職場です。昔は、一日にいくつものタイヤを運んだり、女性には大変でした。
しかし最近では、機械が自動で重いものを目の前に持ってきてくれるように工夫したり、深夜勤務をなくしたりと、女性でも働ける環境になってきています。工場で働く女性や女性の技術者も徐々に増えてきています。ですから割合も徐々に増えてくるのではないでしょうか。
■CSR室の人員を3名増員へ
また結婚に伴い、女性が早く退職してしまうことも今までの問題でした。特に豊田地区は働かれても、早い段階で結婚される方が多く、そのまま家庭に入られる方が昔は多かったのです。今はそういう方たちの職場復帰を支援するような制度をとっています。女性の割合も5─10年後には、だいぶ変わっていくと思います。
(大野)
現状、他社と比べれば、見劣りする実績だと思いますが、これからだと思います。
(布井)
今後CSRで新しくやっていきたいことは何でしょうか。
(大野)
先ほど申しました、新たなCSRの重点目標の打ち出しは一番やっていきたいことです。それから、CSR室の人数が来年3名増えますので、従来やりたくてもできなかった社内従業員向けのCSR浸透活動なども、もっとやっていきたいと考えています。
(加藤)
パンフレットなど、ツールを用意して配るという形だけだと、社員が読むか、覚えるか、というところが疑問に残ります。お互いに理解しているかどうかを確認するような双方向のものが望ましいです。eラーニングなどもやってみたいですね。
(森)
今日のお話の中で興味深かったのは、CSR目標の数値化ですね。日本の会社で、CSR目標の数値化をされている会社は、まだ少ないのではないでしょうか。
(加藤)
重点目標の打ち出しは、他社も結構やられていますが、数値化の部分についてはされているところは少ないかもしれないですね。
最終的には、社員がどうしたいか、どうしようと思えるかが大事だと思います。それをどうやって伝えていくかをしっかりとやっていきたいです。
冒頭にもありましたが、弊社のCSRは広報部寄りではありません。会社によっては広報部の中にCSR部がありますが、弊社ではCSRは本業を通じ、取り組むことだろうという考え方でやっています。
たまたま私たちは環境の分野が先行していましたから、CSR・環境部という形でスタートしましたが、今は総合企画部の中のCSR室となりましたので、本業を通じてCSRに取り組むに
は、一番座りの良いところになったと思っています。
(森)
つまり経営の中心にあるということですね。トヨタさんがこれからCSRを中心に据えたいという意思の表れといると思います。
一同 有難うございました。
原稿作成:日本財団CANPANチームインターン生
企画編集:株式会社オルタナ
トヨタ自動車 CSRへの取り組みウェブサイト
http://www.toyota.co.jp/jp/index_responsibility.html