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CANPAN CSRプラス コラム&ニュースリリースのバックナンバー


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企業CSR責任者インタビューシリーズ トヨタ自動車株式会社 大野さん 加藤さんに聞く  [2011年02月02日(Wed)]
企業CSR責任者インタビューシリーズ 
トヨタ自動車株式会社 室長大満野さん 加藤理さんに聞く


CSRの達成度を「数値目標」に


学生の視点から各企業のCSR責任者に「CSRの戦略と方針」を聞くインタビュー・シリーズ、第3回はトヨタ自動車の大野満さんと加藤理さん。会社方針にCSR目標を組み入れ、社外だけでなく、社員の普段の業務にもCSRの意識を高める工夫を企画されています。

(布井佑佳(早稲田大学国際教養学部三年))
 まず、CSRをどのように定義しているか教えて頂けますか。

(トヨタ自動車株式会社・大野満)
 CSRの捉え方は会社によって、広報をメインにしていたり、環境への取り組みや社会貢献活動をメインにしているなど、違いがあります。私どもの会社には環境部や社会貢献部が別にありますので、これらに関する実際の活動はCSR室では行いません。
 CSR室は豊田市の本社にあり、現在5名だけで運営していますが、来年から8名に増やす予定です。グローバルなリスクマネジメント機能に加え、広報をメインに活動しています。
 トヨタが考えるCSRとは、自動車及び住宅の本業を通じて取り組むことです。プリウスをはじめとする環境に優しい車を、手に届く価格で提供することも社会貢献の一つだと考えます。
 また、本業の延長線上で新規事業を展開し、さらに事業として関わりのないところでは社会貢献という形で取り組んでいます。社会貢献分野については、なるべくなら、本業・新規事業と関わりのあることをしたいと思っていますが、社会の要請に応じて広げていきたいと考えます。

(坂本菜穂子(日本大学文理学部三年))
 環境・CSR活動における社外への広報活動は、どのようにされているのでしょうか。

(大野)
 トヨタは自動車メーカーですから、次世代の環境対応車に力を入れています。弊社は、ハイブリット車ではすでにある程度の地位は築けたと思っています。またEV、プラグインハイブリット、燃料電池車と、次世代の環境自動車でもフルラインナップが揃っています。
 先日、トヨタの環境に対する取り組みを紹介するバーチャルイベントと連動して、環境技術取材会を行いまして、私どもの考え方をメディアに説明し、ご理解いただいたと思います。
トヨタ自動車株式会社・加藤理 環境に対する取り組みは、トヨタのビジネスそのものでもあるので、こういった形での活動が多いですが、特に一般の方に対しての広報活動といえば、トヨタのグローバルウェブサイトの立ち上げですね。

■コーポレートサイトを多言語化

 今までも日本語のコーポレートサイトではトヨタの活動が分かりやすいのですが、英語のサイトは分かりにくかったため、そこを見直しました。
オルタナ編集長・森 それは、今後環境・CSRのコンテンツを増やしていくということですか。

(加藤)
 はい、そこの部分も含め、見直しています。ただ、まだ完全なものではありませんので、2011年も第二、第三と手を加えていくつもりです。

(森)
 想定されている対象というのは、ファンドを含めた投資家や世界各地域でトヨタのことを知りたいという方たち、研究機関、もちろん顧客もということですね。

(加藤)
 そうですね。まだ現状では不十分ですが、少なくとも英語を主言語にする方たちが見て、その方たちが知りたいことと、トヨタが伝えたいことの垣根を少しずつ埋めていきたいと考えています。

(森)
 例えば、中国語のコーポレートサイトも今後必要になってきますよね。

(加藤)
 仰るとおりです。コーポレイトとして、グローバルでどうなっているかの部分はまだ弱いですから、まずは英語ですが、今後しっかりとやっていきたいと思います。
 報告書に関して言えば、現在、15の海外事業体でも作成しています。CSR、サステナビリティについては、各国によってニーズが違うので、本社のレポートだけではとても語れません。皆さんのニーズに対してどういったコミュニケーションをしているかを、それぞれの地域にそれぞれの言語で、現地が主体となってお伝えしています。

(森)
 これは、トヨタと各国の地域コミュニティとの距離を縮めたいという、良い取り組みですね。

(布井)
 次に、CSR室の中で新しい取り組みをする時に、会社の経営に提言することはありますか。

(大野)
 トヨタは2007年に、CSR委員会を設置しました。それは2004年ごろに、当時の会長だった奥田碩が「CSRの観点を会社方針に入れていくべき」と考え、議論が始まったのがきっかけです。
 委員長は社長で、代表権のある副社長以上で構成されています。委員会は通常、年三回定期的に審議を行い、この下に社会貢献活動分科会、企業行動倫理分科会、CSR企画分科会、リスクマネジメント委員会があり、総合企画部CSR室が全体の事務局になっています。ですので、新たな取り組みをする時は分科会を通じて委員会に提言することは可能です。

■各国との情報共有を深める

(坂本)
 2009年の品質不具合問題は、CSR活動をする上で影響がありましたか。

(大野)
 CSR的には目立った影響はありませんでした。SRI(外部評価機関)からの評価もその部分だけでは下がっていません。どちらかというと、リーマンショック以降の大赤字の方が、影響はありました。CSR室の業務でいうと、グローバルのリスクマネジメント業務が増えたという影響でしょうか。
 自動車メーカーなので、ある程度の確率で不具合は起きると想定しているのですが、もし不具合が起こった場合でも、リコール制度に基づき迅速に、丁寧に対応します。それはどこの国でも一緒です。ただ今回は、不具合に対する米国側の認識と日本側の認識に温度差がありました。今回の問題をきっかけに、品質保証部門では、日本と各国で情報共有を深め、温度差をなくし、きちんと対応できる仕組みを作ろうとしています。

(森)
 トヨタ社員の心構えである「現地現物主義」についてお教え頂けますでしょうか。

(大野)
 「〜らしい」「〜と聞いています」などの報告では駄目なのです。自分の目で見て確かめて報告するという姿勢を忘れるなということです。もちろん「ただ行けば良い」もダメです。
 これは先ほどの品質問題の温度差にも通じると思います。海外とのやり取りもTV会議などITを多く取り入れていますが、色々な効率化を進めるた結果、コミュニケーションが不足してしまうことがあると感じています。

(坂本)
 従業員にとってCSR活動がモチベーションアップにつながっているのでしょうか。

(大野)
 これは私共CSR室が発掘した話ではないのですが、雑誌「月刊自家用車」で、ウェルキャブという身体障がい者向け自動車の企画をした社員の話が掲載されました。
 CSRの取り組みは社外に対してこのような情報を発信する役割も多いですが、同時に社員が社会貢献をしているこういった記事を読むことで、社員のモチベーションも上がるという効果も多いと思います。

(日本財団CANPAN企画推進チーム木田悟史)
 世の中から自動車事故を無くしたいという思いで入社された社員の方もいらっしゃるようですね。

(大野) 
 みんながそのような志を持っているとは言えませんが、そういう意志を持った社員も多くいると思います。

(加藤)
 先ほどのウェルキャブは去年、社内表彰制度で受賞しました。社員たちはわざわざCSRとは言わないけれども、仕事を通じ会社や社会に貢献した人を褒めながら、その情報を共有しています。二年に一回の社内満足度調査も徐々に上がっています。

(大野)
 従業員が色々な部署、それぞれの立場で何らかの形で世の中の役に立ち、関わりを持っていることで、その取り組みが実はみんなCSRに取り組んでいるということを伝えていきたいです。
 今年で4年になりますが、弊社はCSR指標を100項目以上定め、各部署の方針の中に織り込んで取り組んでいます。これはあくまでも社内の取り組みです。しかしトヨタは250以上も部署があるため、どうしても人事や経理、生産など一部の人だけの取り組みになりがちです。
 だから、多くの従業員を巻き込むために、指標を大事な10項目ぐらいに絞り、10年先にトヨタはCSRでどのような会社になりたいかということを、社外に向けて宣言することもCSRレポートの中でやりたいと考えています。
 また、各従業員においても従業員のCSR宣言ということも、一緒にできればと思っています。

(森)
 やっぱりCSRを「自分ごと」として捉える、決して他人事ではないのだという認識が大事ですね。

(加藤)
 どうしても言葉がカタカナで入ってきたために、自分が何をやればいいのかというところへ落としにくいわけです。実際には全部分解して、「あなたのやっていることの中で何が重要ですか。その重要なことは、考え方としてはCSRの考え方ですよね」というようなことを一歩ずつ分かってもらわないと進みません。
 他社でも同じかもしれませんが、会社方針というものは、グローバル方針のように大きいものから始まり、各部署や、各室、各グループの構成員レベルのものもあります。各従業員らが今年何をやるかを、一枚の紙に宣言し、そして彼らのグループでもやるべきことをリンクさせます。
 そこで、では何をすべきか、というように流れていきます。会社の方針が最後には一人一人にまでおりていき、リンクしています。

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