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CSOネットワークのブログ

一般財団法人CSOネットワークのブログです。
一人一人の尊厳が保障される公正な社会の実現に向けて、
持続可能な社会づくりの担い手をセクターを越えてつなぎ、
人々の参加を促すことを目的に活動しています。
評価事業、SDGs関連事業などについての記事を書いていきます。


DEで大事なポイントはだいたいお釈迦様が教えてくれる [2018年05月21日(Mon)]

DEを学んでいく中で、その大事なポイントの解説を聞くと「仏教哲学的だなぁ」と感じることが多くあります。「だからなんなの?(SO WHAT?)」とDE的ツッコミを受けそうですが(笑)、自分の思考の整理のためにまとめてみたいと思います。


n   DEは「縁起(=関係性)」に着目する

「縁起」とは仏教では、「すべての存在は、原因(因)と条件(縁)によって、成立【結果(果)】する」という考え方です。DEでは、事業とその結果にとどまらず、事業者(内部環境)と外部環境、さらにはDE評価者としての自分と伴走先事業者など多様な「関係性(=縁起)」に着目していくアプローチといえます。


n   「縁起(=関係性)」は「重々無尽」と捉えるべし

 次に「重々無尽」とは仏教(華厳経)では、「あらゆる物事が相互に無限の関係もって互いに作用し合っていること」を意味します。つまり、DEで重要なのは、この「関係性(=縁起)」が1つ1つ独立した関係性として存在しているわけではなく「重々無尽」な「縁起」として存在していると捉えることが必要だと思います。複雑系理論やシステム思考と通じるところですね。


n   DE評価者は「融通無碍」であれ

「融通無碍」とは仏教(華厳経)では、「考え方や行動にとらわれるところがなく、自由であること」を意味します。複雑系理論を活用するDEにおいて、事象を非単線系の事象の連鎖として捉えたり、評価者の立ち位置を外部評価者、内部評価者のいずれにも状況に応じて置くことができる(時にはソーシャル・イノベーターを見守り育てる母親のような)「融通無碍」の在り方がDE評価者には求められると思います。


n   DE評価者は「直観力」を養うべし

「直観」とは仏教では、「物事を直接的かつ本質的に理解すること(直観智)」を意味し「分析的理解(分別智)」と区別しています。DEにおいては、もちろんあらゆるデータから分析的に事象を捉えることも重要ですが、それ以上に上記のような重々無尽な縁起を的確に捉え、即時にその中から本質的な価値を見出す「直観力」がより重要だと思います。また、DE評価者には、事業の現場や団体スタッフから得られるミクロなファクトと伴走先団体が向き合う社会課題や外部環境などのマクロなファクトを同時に直観していく「木も森も同時に見る」力が求められます。


以上、かなり強引ではありますが(笑)、DEで大事なポイントはだいたい2500年前からお釈迦様が教えてくれていんだね、というお話でした。DEDE評価者に関心のある方の何らか参考になれば幸いです。


作成:NPO法人日本ファンドレイジング協会 事務局長 鴨崎貴泰


DE(発展的評価)登山 [2018年04月13日(Fri)]

こんにちは。
評価士の三浦宏樹です。

発展的評価の提唱者であるマイケル・クイン・パットンは、ブランディン財団と共同で「アカウンタビリティ・マウンテン(Mountain of Accountability)」https://blandinfoundation.org/content/uploads/vy/Final_Mountain_6-5.pdfというレポートを発表しています。

この中でパットンは、アカウンタビリティ(説明責任)には3つの階層があると論じています。「経営プロセスの基本的アカウンタビリティ」「インパクトのアカウンタビリティ」「学習・発展・適応のアカウンタビリティ」の3層です。

1階層「経営プロセスの基本的アカウンタビリティ」で主に問われるのは、事業(プログラム)を計画・認可されたとおりに実施したかどうかという点です。ロジックモデルの言葉を用いれば、第1階層はインプット(投入)、アクティビティ(活動)、アウトプット(結果)に関わるアカウンタビリティといえます。コンプライアンス(法令遵守)の視点も、この階層に含まれます。第2階層「インパクトのアカウンタビリティ」では、プログラムのアウトカム(成果)やインパクト(効果)が満足すべき水準かどうかが主に問われます。世間でいう「アカウンタビリティ」は、この2つの階層で十分にカバーされるように感じます。

一方、パットンが提示する第3階層は「学習・発展・適応のアカウンタビリティ」と名づけられています。ここで彼は、伝統的な評価(第2階層に対応)がプログラムの漸進的改善や意思決定に重きを置くのに対して、発展的評価(第3階層に対応)は、組織全体のミッションを達成するための戦略の実施や改革を支援するとしています。第2階層までのアカウンタビリティが、組織が手がけるプログラムが現時点で成果を挙げているか否かを評価するのに対し、それだけでは、組織が中長期にわたり存続・発展し、自らのミッションを達成するのは覚束ないという認識が、おそらくそこにあるのだと思います。自らを取り巻く環境の絶え間ない変化に適応し、現場で得た経験を新たな戦略へと練り上げていくイノベーションのプロセスが求められるのでしょう。

でもこれってアカウンタビリティの一種なのでしょうか? 評価の目的としてよく挙げられる「アカウンタビリティ確保」と「学び・改善」でいえば、後者の方に含まれるのでは?

そうした点について自分なりに考察を深めるうえで、営利企業におけるアカウンタビリティを取りあげてみたいと思います。というのも、今日アカウンタビリティというと行政機関やNPOのそれを連想しがちですが、この言葉はもともとAccounting(会計)+Responsibility(責任)に由来し、会社が株主に対して経営状況を説明する義務を意味したからです。

会社が株主を満足させるうえで最重視されるのは、まず間違いなく「利益」でしょう。その利益を計算するために作成・公表されるのが損益計算書(Profit and LossP/L)です。ざっくりいえば、収入から費用を差っ引いて利益(または損失)を計算した書類です。NPOでもP/Lを作成しますが、会社と違ってNPOの場合は、利益を増やすことが目的ではありません。利益に代わって目的となるのが、アウトカムやインパクトです。その意味で、アカウンタビリティの第12階層は、営利企業でいえばP/Lに対応するといえるかもしれません。この部分の測定を特に重視したのが、社会的インパクト評価です。


しかし会社も、何もない真空から利益を稼ぎ出しているわけではありません。会社は、価値を生み出す源泉として工場・店舗・事務所などの資産を所有し、それらに要する資金を借入や株式、内部留保で調達しています。そうした資産と負債・資本の状況を示すのが、貸借対照表(Balance SheetB/S)です。会社の経営状況を説明するうえで、P/Lと並んで基本になる書類です(他にキャッシュフロー計算書がありますが、ここでは説明省略)。


とはいえ、企業による価値創出の源泉は、こうした有形の資産だけではありません。会社で働く社員の皆さんの力や、経営者の指導のもとで発揮される組織の総合力、研究開発などを通じて獲得した特許などの知的財産といった無形資産(インタンジブルズ)があってこそ、企業は利益を生み出すことができるのです。こうした無形資産はB/Sには載っていません。しかし、企業価値を正しく評価するうえでその重要性は増しており、企業会計の世界でもそれらを「見える化」しようという動きが進んでいるようです。有形・無形資産は、その会社が将来に創出する価値(利益)の源といえます。


ひるがえってNPOのことを考えてみましょう。NPOの中には事業用の施設や設備を抱えるところもあるでしょうが、多くのNPOでは、そこで働くスタッフと、経営者のマネジメントが財産のほぼ全てではないでしょうか。要するに、NPOがいかにして社会的価値を創出するかを理解するには、B/Sだけ見ていても無意味。NPOが将来、自らのミッションを達成できるかどうかを判断するには、NPOの経営者や職員の能力構築(キャパシティビルディング)や、受益者や協力者などの多様な利害関係者(ステークホルダー)間の関係構築、それらを総合した組織としての経営力を見ることが大切です。すなわち、第3階層のアカウンタビリティは、営利企業になぞらえればB/S(&無形資産)に対応するといえそうです。学習・発展・適応を通じてイノベーションを生むNPOの能力は、B/Sに計上できる有形資産と違ってお金に換算することは困難です。しかし、複雑で不安定な現代社会の中で、自らが掲げたビジョンを中長期的に実現していくうえでは欠かすことができません。こうした意味で、パットンのいう第3階層――「学習・発展・適応のアカウンタビリティ」は、すぐれて未来志向のアカウンタビリティと呼べるのではないでしょうか。


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▲Mountain of Accountability レポート(Blandin Foundation)より
第3回定期研修開催しました! [2018年03月02日(Fri)]

こんにちは。

評価事業コーディネーターの千葉です。


2/14(水)〜16(金)に、『伴走評価エキスパート育成講座』最後の研修である第3回定期研修を開催しました。


最後の研修のテーマは、“おいしいカレーライスのレシピをつくろう!”でした。


16名の参加者の『伴走評価』の取り組みをケース・ストーリーとして発表いただき、うまくいった要因、うまくいかなかった要因などを抽出し、伴走評価の実践に必要なエッセンスを抽出してレシピにまとめます。


今回は、カレーライスのメタファーとして以下のように対応づけて参加者に提示しました。

@素材:伴走先団体の基本情報、評価対象となっている活動についての情報など。

A調理工程:評価設問および実際の評価調査で、何を具体的に行ったかを時系列に記述したもの。

Bできたカレーライス:評価結果のハイライト。

C美味しく調理するために活用した職人の技:伴走評価に活かした参加者のそれぞれのスキル・ノウハウ(暗黙知)など。

Dレシピの秘訣(スパイス?):参加者から、伴走評価やDEの経験からの学びと、今後DEを実践する人へのアドバイス。


初日は、アイスブレーカーで言葉のカードをめくりながら近況報告をおこなったあと、12月の集中研修の振り返りからスタート。少し時間が経っていますが、皆さん大事なことはしっかり覚えていました。

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16名の参加者にケース・ストーリーを発表してもらい、グループディスカッションによりうまくいった要因、うまくいかなかった要因などを抽出し、レシピとして@〜Dをまとめていきます。


初日は参加者のポテンシャルを十分に引き出せたと言えずでしたが、翌日の朝どのように進めたらよいかを参加者と一緒に議論したことで、2日目からは議論がとても盛り上がりました。研修内容もまさに参加型でタイムリーに発展的に変えたことで、とても学びの多い時間となりました。

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最終日は、御茶ノ水のソラシティカンファレンスセンターに会場を変えて、明治大学の教授で本事業の指南役でもある源先生にも加わっていただき、4グループがまとめたレシピを発表しました。

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どのグループの発表も本当に素晴らしく、ノウハウがたくさん詰まっていました。1期生の皆さんにご協力いただいたおかげさまで、国内でDE・伴走評価を実践していく上での具体的なレシピがたくさん出てきました。この多すぎる学びをどうまとめ消化していくか、運営側も真剣に考えています。


そのほか、参加者によるマイストーリー(人生を語ってもらい、相互理解を深めつつ伴走評価の学びにも落とすセッション)やリフレッシュのためのクリエイティブな体操などもおこないました。

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源先生には出来上がったレシピへのコメントの他、源先生のマイストーリーや評価者倫理についても語っていただき、あらためて評価者としてあるべき姿を考える機会もいただきました。

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最後に参加者からの感想を一部紹介します。

16のケースからDEのエッセンスを抽出し、レシピにまとめたことでDEの世界観が実感につながった感じがしました。


★全員のケースワークを聞いて、同じDEを実践していても、16組の団体×伴走評価者の組み合わせが、すべて違う色を放っていたことが驚きとともに新鮮でした。誰かのノウハウが直ぐに自分の伴走評価に役立つというより、自分の伴走のやり方や考え方の癖や足りないところを知る機会となりました。


DEは、ソーシャルイノベーターとの共創。団体へのタイムリーなフィードバックは、評価者にもとても大切な気づきと成長の機会を与えてくれる。どちらかが一方的に与え、与えられるものではないことが実感として得られたことで、意識が変わりました。とにかくとっても気づきの多い3日間でした。

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今年度の『伴走評価エキスパート育成講座』研修は、これで終わりになります。


次年度は、1期生の方々にも協力いただきながら、国内でDE・伴走評価が実践されるような環境づくりに取り組んでいきたいと思います。


次年度の動きもお楽しみに!!

DEの現地視察 in カナダ(後編) [2018年02月02日(Fri)]

こんにちは。

評価事業コーディネーターの千葉です。


20177月に行ったカナダでの現地視察レポートの後編です。


前編はこちらをご覧ください。

http://blog.canpan.info/csonj/archive/16


2)GAFF

GAは、複数の「食」をテーマに活動する財団により結成されたアライアンス()です。4年前に結成されて、現在は約25の財団が加盟しているそうです。


パットン氏が評価アドバイザーとして関わっていたことから紹介いただき、GAFFの評価者である事務局長のRuth氏と、DE外部評価者のPablo氏にインタビューをさせてもらいました。


DEを取り入れた背景は、食のシステムという分野の複雑性、異なる関心分野・人柄が新たに集まったネットワークという複雑性等から、評価手法はDEが最適と判断したとのことでした。


特に印象的だったのが、ミッションやビジョンといったあるべき姿からバックキャストしていって中期計画・戦略プランをつくるわけではなく、GAFFの場合は、

●ストラテジーをもとに、「12ヶ月の優先取り組み課題」を策定

●行動指針としてのプリンシプルがあり

●行動記録としてのロードマップをつけている


ということです。


詳細は省きますが、複雑な状況にある組織運営の方法として、とても興味深かったです。

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3)J.W.McConnell Foundation(マッコーネル財団)


トロントから、早朝の便でモントリオールに飛び、マッコーネル財団に訪問しました。この財団は、DEのイロハをガイドブックにまとめ、発行しています。


対応いただいたBeth氏とJohn氏に、DEの価値について熱く語ってもらい、お土産にガイドブックをもらいました。


このガイドブックは、WEBでも見ることができます。


A Developmental Evaluation PrimerThe J.W. McConnell Family Foundation

http://communitysector.nl.ca/sites/default/files/practical_resources/2011/a_developmental_evaluation_primer_-_en.pdf


A Practitioner’s Guide to Developmental EvaluationThe J.W. McConnell Family Foundation

http://vibrantcanada.ca/files/development_evaluation_201_en.pdf


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▲マッコネール財団の立派な応接室▲

4)オタワ大学

オタワ大学のBrad教授とは、今田がAMAの大会の分科会で彼のクラスを受講したことがきっかけで知り合ったそうです。


モントリオールから電車でオタワに移動しました。大草原の中を電車で走って気持ちよかったです。Brad教授には駅まで車で迎えにきていただき、オタワ大学で彼の研究室の研究者たちと、DEからソーシャル・イノベーションまで、幅広く意見交換しました。


帰りには、ドライブ、食事と、とても歓待いただきました。

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Brad教授に川辺のレストラン美味しい食事をご馳走いただきました▲


以上、簡単ですが、カナダ現地視察の報告でした。

ここでの学びを、日本の研修に活かしていきます。


PS:カナダはなかなか物価が高く、普通にランチを食べると1,500円くらいになってしまいました。日本は暮らしやすいですね。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




DEの現地視察 in カナダ(前編) [2018年02月02日(Fri)]
こんにちは。

評価事業コーディネーターの千葉です。


今回のブログでは、20177月に行ったカナダでの現地視察、ヒアリングの様子をレポートします。CSOネットワークからは、代表の今田、研修担当の白石、コーディネーターの千葉が訪問しました。


2日間で、トロント、モントリオール、オタワの都市を行き来して、

1)Ontario Ministry of Education(オンタリオ州教育省)

2)Global Alliance for the Future of FoodGAFF

3)J.W.McConnell Foundation(マッコーネル財団)

4)University of Ottawa(オタワ大学) 

の4件を訪問し、お話を伺いました。


1)Ontario Ministry of Education(オンタリオ州教育省)

カナダ在住の日本人評価者のKeikoさんにコーディネートいただき、彼女が評価者として仕事をしているオンタリオ州教育省に訪問しました。午前中は評価チームの10数名と面会、午後はKeikoさんが評価で関わっているオンタリオ州北部にある学校の副校長Jennifer McMasterさん(正確には、Keewatin-Patricia 学校区、Queen Elizabeth 高等学校副校長)と面会をおこないました。


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オンタリオ州は広くて、特に北部は先住民の割合が多く、主たる産業がないそうです。そのため失業率が高く、公教育の質(生徒のスコアや進学率・退学率)に課題を抱えていたそうです。しかし現在は教育省としてDEを取り入れて適切な改善活動をおこなったことにより、教育の質があがり生徒の成績も向上したとのこと。そのため、海外からの視察が多く、年間100近くを受け入れているとのことでした。


特に印象的だったのが、データを活用する体制です。生徒の成績のみならず、子供を見守る大人の数(Caring adult)などのデータまで集めていて、それを分析する仕組みができていました。子どもたち一人ひとりのカルテができており、評価者たちはこれを教師と見ながら何が必要か指南できる環境がある、ということでした。


Jenniferさんが評価者のKeikoさんのことを次のように話していました。


Keikoは私たちにとって、メンターでありお母さん。タスク・セラピストであり、状況分析官。長けた質問者。決して『こうしろ』とは言わないし、批判しない。常にやさしく、厳しい」

Keikoとの会話には常に目的があり、問題の解決策を出すこと、行動アイテムをしっかり決めることなど、いつもメリハリが効いている」

「日常的に大変なことがいろいろあって、なかなか全体像が見えない。そんなとき、Keikoが来てくれて、物事を整理してくれる」


ここに、評価者としてのあるべき姿が凝縮されている気がします。


この日の夜はKeikoさんの自宅でホームパーティに招かれ、彼女やJenniferさんのつながりで学校関係者も多く集まりワイワイと時間を過ごしました。

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Keikoさん(左)とJenniferさん(右)▲


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▲教育省でのラウンドテーブルの様子▲


後編はこちらから。
DEの現地視察inワシントンDC [2018年02月01日(Thu)]
こんにちは。
評価事業コーディネーターの千葉です。

今回のブログでは、アメリカのワシントンDCでの現地視察、ヒアリングの様子をレポートします。CSOネットワークからは、代表の今田、研修担当の白石、コーディネーターの千葉が訪問しました。


ワシントンDCでは二人の方とお会いできました。

1人目は、Ann Doucette(アン・ドゥシェット)さんで、彼女自身DE評価者として活躍されている方です。 

  

2人目は、Jacqueline Greene(ジャクライン・グリーン)さんで、USAID(アメリカ合衆国国際開発庁、United States Agency for International Development)の職員の方です。



Ann Doucette(アン・ドゥシェット)さん

今田とAMA(アメリカ評価学会)の大会で知り合ったことがきっかけで、今回話を聞かせてもらいことになりました。


Ann氏は、以前TEIディレクターをしており、現在は世銀における新しい評価の仕組みを構築されているとのことです。


実際に現場でDEを適用した経験が豊富です。2011年から、世界各国の多分野21プロジェクトでDEを適用したりと豊富な評価経験をお持ちで、DEについてもわかりやすい例えを用いながら教えてくれました。(幸福度の評価もおこなったということでした)



Jacqueline Greene(ジャクライン・グリーン)さん


TEIでのパットン氏によるDE研修でご一緒したJacqueline氏が所属する組織USAIDでのDEを適用しているということで、ご縁を活かしてヒアリングさせてもらいました。


USAID(アメリカ合衆国国際開発庁、United States Agency for International Development)は、1961年に設置されたアメリカ合衆国のほぼすべての非軍事の海外援助を行う政府組織です。ホームページによると、より良い生活をたてるためにもがいたり、災害からの復興、自由で民主的な国で生活できるように努力するなどの海外の人々へ援助の手を広げているそうです。


USAIDでは、Complex(複雑)な状況で、ロジックモデルやロードフレームを使うことの限界を感じており、パットン氏をアドバイザーとして招き入れてDEを取り入れている最中ということでした。アカウンタビリティの確保や具体的な困難について、現場の声を聞かせてもらいました。USAIDにおいても組織的にDEの考え方を取り込みたいと考える方々は多いようでした。



参考情報:Program Cycle Operational Policy
https://www.usaid.gov/ads/policy/200/201


図6.png

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白石さんからは、

世銀やUSAIDのように世界中で様々なプロジェクトを実施する組織においては、プロジェクトの運営における不確実性の認識や、生成的・発展的な取り組みの必要性・重要性を理解しており、DEの考え方がとても良くマッチする印象を持ちました

と、振り返りのコメントをいただきました。



私のスーツケースの半分は、このようなシーンで使う訪問先団体へのお土産で埋まっていて大変でしたが、このようにDEについて、具体的な事例を交えながらパットン氏以外の人からとても分かりやすく解説してもらったおかげで、理解が深まったような気がします。


以上、簡単ですが、ワシントンDCでのヒアリング報告でした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。





パットン氏のDE研修受講 in ワシントンDC [2018年02月01日(Thu)]

こんにちは。

評価事業コーディネーターの千葉です。


20177月、『伴走評価エキスパート』育成事業の事業に携わってから3ヶ月というタイミングで、発展的評価(Developmental EvaluationDE)が多く実践されているアメリカとカナダに、研修受講と現地視察で訪問してきました。


CSOネットワークからは、代表の今田、研修担当の白石、千葉が、そして後にチームに加わる評価アドバイザーの中谷も参加しました。


719日(水)、20日(木)、晴天のワシントンDCの中心街から電車で約30分、郊外のホテルが研修会場でした。主催はTEIThe Evaluators' Institute、講師は、もちろんDEの唱者であるマイケル・クィン・パットン氏。


事前に講義資料が送られてきていたので、なんとなく資料と著書に目を通し、英語があまりできない私は不安半分・期待半分で会場入りしました。


パットン氏は、事業評価コンサルタントとして50年以上のキャリアがあり、様々な国や機関で仕事をされてきたそうです。1985年に、『実用重視の評価(Utilization-Focused Evaluation)』を出版し、その流れを受けて、2011年に『発展的評価(Developmental Evaluation)』を発表しています。現在は全米評価学会の大会で多くのセッションがDEに関するものになっていたりと、研究・実践ともに積み上がっておりスタンダードになっているようです。パットン氏は、とても熱心な研究者という雰囲気でした。


会場に入ると、(当たり前ですが)様々な人種の方おり、30名ほどの受講者がいました。大小様々な非営利組織で評価を行なっている人、学校関係者などもいました。グループに分かれて、講義+グループディスカッションの形で進みました。研修の内容は、DEの目的や原則の他に、複雑系の理論の話などもありました。


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内容については詳細に記述しませんが、個人的に印象的だったのが、DEを理解する上で欠かせない『システム思考』を考えるための次の問いかけでした。

『情熱的なキスを取り巻くシステムは?』


これには、会場から笑いが起こり、議論が白熱しました。パットン氏曰く、マッケグ氏(当法人研修の指南役の一人)の考案とのこと。

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▲研修は2日間とも、パットン氏とランチ▲


この時研修を受けて、当時私の頭に引っかかったことをそのまま列挙すると、以下のような感じです。


DEが出てきた背景として、既存の評価の限界、複雑な現実の世界・課題への対応という問題意識がある


DEは、明確な進め方や『型』があるわけではない。決められたトレーニングの方法もない。評価の『手法』というよりは、評価をおこなう際の『思想』や『評価者としての在り方』、『評価活動や伴走の仕方』という意味合いが強い


DEは個別性が非常に高い。評価先団体の状態や、評価者に大きく左右される。属人的なので、日本で普及していくには良い人材の輩出(ロールモデル)と、事例蓄積が必要


・今回の研修は評価の知識と経験があることが前提のようだが、いわゆる『評価手法』の話は全くなかった。伝統的な評価者は、アン・ラーリング(学習棄却)の必要があり、習得が大変という話があった


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▲研修では、DEに関するモヤモヤ・疑問を記載▲


評価者として実務を経験してきた中谷さんは、パットン氏のDE研修を受けて、こう総括しています。


16年前カナダで開催されたパットン先生の研修をきっかけに評価の世界に飛び込みました。長いレポートばかりで誰も読まない・使わない「評価」のイメージを、生き生きとした現場で「使える」ものとして紹介された時、自分の前に新たな道が開けたと実感しました。その後現場で評価の経験を積み多くの壁にぶちあたることもありましたが、今回のDEの研修を受け、これらの壁を軽やかに回避できる「思考の自由」と新たな冒険への「ワクワク感」を得ることができました!”


以上、簡単ですが、ワシントンDCでのDE研修の報告でした。

ここでの学びを、日本の『伴走評価エキスパート』研修に活かしていきます。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


CI(コクティブ・インパクト)とDE(発展的評価) [2018年01月15日(Mon)]

株式会社PubliCoの山元です。

僕たちは「社会を変える組織をつくる」というミッションのもと、非営利組織を対象に戦略立案/推進・財源基盤強化・組織基盤強化などの経営支援を行っています。


その事業活動の中で数年前から出てきたキーワードが「コレクティブ・インパクト(CI)」です。


CIとは、

「異なるセクターにおける様々な主体(行政、企業、NPO、財団など)が、共通のゴールを掲げ、お互いの強みを出し合いながら社会課題の解決を目指すアプローチ」

と定義されています。


つまり、社会課題の解決を本気で目指すならば、個別組織ができることでは限界があり、多様な主体とともに取り組むことが効果的であるということです。


かねてからの課題意識もあり、これに関心を持った僕は、PubliCoの共同代表である長浜と共に、より深く学ぶため、最初にCIを提唱したアメリカのコンサルティング会社FSGが主催する「コレクティブ・インパクト・フォーラム@ボストン」にも参加しました。そこではCIを推進する上での「5つのポイント」や「3つのステップ」など分かりやすく使えそうな手法やフレームワークなどをたくさん得ることができました。僕は意気揚々と帰国しました。


しかし、帰国後、CIに関心を持たれた方々から様々なご相談やご依頼をいただき、一緒にCIを推進して行かせていただく中ですぐに気づいたことがあります。


CIをやろうとするとCIは失敗する」


ということです。

CI自体は何も新しく特殊で固定的な手順やノウハウで構成されているものはなく、これまでにすでにあった様々なものを組み合わせたり、活用して成り立っています。そもそもリニア(直線的な)ものではなく、状況に応じて柔軟にいったりきたり、グルグルまわりながら「育んでいく」プロセスを許容するものだと考えています。正解のないことに学びながら進んでいくので当たり前なのですが。


だから、手法やフレームワークに当てはめることに一生懸命になりすぎると、本当に大事なものである当事者や関係者を結果的にないがしろにしていることもあります。


DEも同じです。


DE自体は何も新しく特殊で固定的な手順やノウハウで構成されているものはなく、これまでにすでにあった様々なものを組み合わせたり、活用して成り立っています。そもそもリニア(直線的な)ものではなく、状況に応じて柔軟にいったりきたり、グルグルまわりながら「育んでいく」プロセスを許容するものだと考えています。


だからこそ、ボストンでのフォーラムの中で繰り返し語られていたことは、

CIプログラムの評価方法としてDEは相性が良い」

ということです。


CI/DEは「手法」ではなく「在り方」です。


伴走者/評価者が当事者と当事者を取り巻く社会環境と真剣に真摯に向き合った際に、自然と行き着くカタチであり、それを外部の人たちが見た時に理解しやすいために後づけでつけたラベルにすぎないと思っています。


改めて、目の前で今起こっていることに向き合っていこうと思いました。



CIについてより詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

1)スライドシェア:コレクティブ・インパクト

https://www.slideshare.net/yonst2/ss-81894750


2)PubliCoジャーナル:あらためて「コレクティブ・インパクト」とは?

https://publico.jp/journal/1810/


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DEをプログラムにすることについて [2018年01月10日(Wed)]

こんにちは。

CSOネットワークの白石です。


『伴走評価エキスパート』育成事業では発展的評価(Developmental Evaluation: DE)に着目をしてプログラムを作っています。


皆さん。“プログラム”と言う言葉を聞きますと、精緻に練り上げられ設計されたスケジュールとコンテンツ、プログラム終了後もバイブルにしたくなるようなテキスト、毎プログラム参加後に感じられる高揚感と明日への希望、そして更なる知識への渇望等など、様々なことが思い浮かぶのではないでしょうか?


一般的にはその通りなのだと思います。
が、しかし、このプログラムは違います・・・いや、正確には、当初はそのようにするつもりでしたが、実際にはできませんでした。


実際には、スケジュールとコンテンツは練り上げて設計したつもりですが、プログラム実施中であってもその場で必要に応じて改訂しています(“調整”ではありません、“改訂”です)。また、テキストはプログラム参加者の皆さんと作り上げていく仕立てですし、プログラム実施後の参加者の皆さんは“明日からどうしよう”と思い悩み、ついついDEから目を背けたくなるようなモヤモヤ感が余韻として残ります。(この12月に実施した集中研修でようやくその状態から“脱しつつある気がする”という声が聞こえてきました。)


これは一体どういうことなのでしょうか?


パットン氏が提唱したこのDEとは、とても概念的なものです。DEは「正解」の存在しない世界であり、また、「成功」も存在しません。従って、成功に通じる「レシピ」(スキルやフレームワーク等々)も存在しないのです。もちろん、役に立つ考え方や視点は存在しますので、それらは「8つの要素」として提唱されていますが、それらもレシピではありませんし、成功を約束するものではありません。


更にパットン氏は続けます。評価者として常にクライアントを取り巻く環境の変化を読み取り、クライアントにとってベストの(役に立つ)内容を見定めて提供する。そして、その際に評価者がどのような情報を収集し、どのような分析を加え、どのようなメッセージをクライアントに伝えるか。それらは全て、評価者次第であり、そこが評価者としての腕の見せ所である、と。


何とも挑戦的な内容ではありませんか。

そして、何とも“当たり前”の内容ではありませんか?


CSOネットワークとしては、このプログラムを作成するにあたって、必要なメッセージを参加者に伝達するためにはいかなる方法も排除していません。ある意味で「型」が存在しないものを人々に伝えるために、「型」にこだわっているようでは目的が達成できないと感じています。そのようなこともあり、プログラム作成・実施するにあたり、意識して守っていることは1つだけです。それは・・・


「このプログラム自体がDE的であれ」


ということです。まさにdevelopmentalにプログラムを作り、実施しているわけです。プログラム参加者の頭の中を想像し、状態を見定め、そしてそれらに適応した内容を都度、改訂を加えながら提示していく。究極のテーラーメイド!と言えば聞こえは良いですが、それって本当にプログラムとして成立しているの?という声も聞こえてきそうですね。


“このプログラムが異なる参加者を相手に毎度同じ質と量の内容と結果を提供できるか”というと、現時点ではそうではないと思います。それでもどこかに着地点があるのではないか、と常に探求しつつ前進しています。


今年度のプログラムはこの探求の精神にあふれた参加者の方々に恵まれ、大変助けられています。感謝、感謝の気持ちでプログラムも残すところ、あとは2月のみ。プログラム参加者の皆さんとともに、引き続き頑張って参りたいと思います。


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大いに共感できる集中講義に満足しました! [2017年12月27日(Wed)]
こんにちは。

(一社)参加型評価センターの田中博です。


私は評価の専門家として、参加型評価(Participatory Evaluation)を専門に活動しています。「伴走評価エキスパート」育成プログラムには、評価の専門性を高めるために、発展的評価(DE)に関心を持って参加しています。


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12月は10日に明治大学でDEをテーマにしたシンポジウムがあり、翌日から4日間の集中研修がありました。私は残念ながら緊急の仕事で最初の2日間は欠席したのですが、残りの3日間は出席し、充実した時間を持つことができました。なによりものこの3日間は、CSOネットワークさんがニュージーランドからDEの専門家として招へいした、ケイト・マッケグ氏の講義だったのでラッキーでした。


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先住民族であるマオリの人々を対象とした教育プログラム(MPEI)のDE評価を事例に、質問に答える形で講義は始まり、DEの考え方や厳密さ(Rigour)、評価設問の設定など多彩な内容でした。


私が印象に残ったことは「DEも本質的にはしっかりした評価なのだ」という、いまさらながら失礼というか、あたりまえといえばあたりまえのことでした。これまでの研修で、DEは流動的な状況の中で、臨機応変に対応する性格であるとわかり、通常の評価と比べて、なんとなくルーズというか「特殊な評価」といったイメージを勝手に持っていました(ごめんなさい)。


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しかしケイトさんが強調したのは、例えば「評価の哲学者」ともいわれるスクリーヴェン先生が仰っている「The logic of evaluation」などを徹底することでした。要は評価を行う際に、何に価値を置くか、何を持って「成功」と見なすかをしっかりと明確にすることです。具体的には評価の設計を丁寧に行うことであり、あらゆる評価の基本になることです。特にDEは評価者が評価対象の人々と共にそれを、時間をかけて行う点に共感しました。


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また私はDEにおけるデータや判断の妥当性(validity)・信頼性(reliability)について質問しました。答えは「相互の権力関係を含めて、関係者分析をしっかりやることでバイアスを排除し、妥当性・信頼性を高める」というもので、参加型評価の考えに近いものでした。DEは評価の基本を踏まえた上で、それを柔軟に応用する「自由度の高い評価」であるというのが今の私のイメージです。


なお、ケイトさんはヨーロッパ系の方のようですが、マオリの方と仕事をしているためかマオリ文化にもお詳しいようで、その方面の話ももっと聞いてみたいと思いました。


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