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がんと就労でもガラパゴス化する日本 [2017年05月02日(Tue)]
 4月23日に行われたフランス大統領選挙第1回投票で、マクロン氏とルペン氏がそれぞれ1位、2位を占め、5月7日の決戦投票に駒を進めることになりました。
ルペン氏の勝因は、国民の間で広がってきた反移民感情と治安悪化への懸念を背景とした移民規制と治安対策、フランス優先と反EU、フランス国民保護などの主張が功を奏したといえます。一方のマクロン氏の勝因としては、右でも左でもないという新しい中道路線の成功を挙げることができます。
 昨日は5月1日、May Day。ヨーロッパでは夏の訪れを祝う日であり、労働者が統一して権利要求と国際連帯の活動を行う日。大統領選挙で暑いフランスの労働環境はどうでしょう。フランスでは「Code du Travail」という労働法典で規定されています。そして、フランスでは「疲労は借金と同じ」という考え方があり、労働は1日7時間で週35時間、労働と労働の間隔は6時間の睡眠を確保するため11時間開けなければならないというインターバル規制があります。労働者が10日以上継続勤務した場合、1ヶ月につき2.5労働日の年次有給休暇が発生します。したがって、1年間で30日の有給休暇を取得できます。また、労働者は5月1日〜10月31日の「法定期間」の間に、メイン休暇として一定日数(2週間〜4週間)の休暇を一度に連続して取得しなければならないといいます。
 ルペン氏は週35時間労働を堅持、マクロン氏は週39時間労働を主張と、労働関係で二人の考え方には大きな差がありますが、報道における争点としては埋没した感が強いところです。
 国際労働機関(ILO)では、有給休暇に関して、「年次有給休暇に関する条約(1970年の改正条約)」という条約を採択しています。この条約には、
・労働者は1年につき3労働週の年次有給休暇の権利を持つ
・休暇は原則として継続したものでなければならないが、事情により分割可能
・休暇給与は先払いで、祝日や慣習上の休日は年次有給休暇に含めない
・病気やけがの欠勤は一定の条件下で年休の一部として数えないことが可能
といった事項が定められています。
 日本の労働環境はどうでしょうか。まず日本は国際労働機関(ILO)の「年次有給休暇に関する条約(1970年の改正条約)」に批准していません。日本に「バカンス」という言葉がないのも頷けます。また、日本において、治療中のがん患者さんが病気と向き合いながら仕事を続けることの困難さの一端もこうしたところにも隠されているように思います。
 がん患者さんを支援していく術はないのでしょうか。平成28年度厚生労働科学研究費補助金がん対策推進総合研究事業(課題番号:H26-がん政策−一般−018)「働くがん患者の職場復帰支援に関する研究―病院における離職予防プログラム開発評価と企業文化づくりの両面から」班からがん治療スタッフ向けの「治療と職業生活の両立支援ガイドブック」が公開されたとのことです。医師や看護師が治療現場でどう動けば患者さんの「仕事」を少しでも支えることができるのでしょうか。医師ヒアリングに基づいて作成された本ガイドブックとのことです。研究班ホームページ http://cancer-work.ncc.go.jp/ の「各種支援ツール」からダウンロードできるので参考にされてはいかがでしょうか。
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