私が住む東京都大田区には、69万人が密集して住んでいるため、数多くの商店街があります。JR(大森・蒲田)の駅前は、駅ビルに張り付く形でにぎやかな商業空間が広がりますが、大手チェーン店への入れ替わりも進んでいます。
一方、八百屋、肉屋、魚屋をはじめ、地場の個店が元気なのは、京急や東急などの私鉄の駅前商店街で、駅ビルがないぶん利用されています。私の家からも近い、京急梅屋敷などは、その代表格です。
最も状況が深刻なのは、住宅地にある商店街です。特に、JR駅からも近い住宅地にある商店街では、駅前に顧客を奪われ、店を閉めて住宅に立て替わるケースが相次いでいます。そして、店が減ると、客離れがますます進むという悪循環を生んでいます。
「交友会」も、JR蒲田駅から近い住宅地に挟まれた、一方通行の道路に面した商店街です。ここ数年で、肉屋や酒屋などが閉店して、活気がますます低下しつつあります。私も、コンビニは別としても、ときどき居酒屋や魚屋を利用する程度でした。
ところが、最近、様子が変わってきました。一方通行の道路がカラー舗装され、歩車分離が見えやすくなりました。ここは、道路に面している小学校への登下校路でもあるうえ、近隣には、杖やキャリーを使うお年寄りも多いため、安全性が向上しました。
また、「交友会」と染め抜いた揃いの旗を街灯に掲げたり、フリーマーケットのイベントを始めたりと、ここが「交友会」という名前の一体の商店街なのだというのを、意識する機会が増えるようになってきました。
そして、ちょうど1年前から始まったのが、リサイクル(正確には、リユース)の一種である、「もったいないBOX」の取り組みです。不用になったけれど、まだ使えるというものを住民が持ち寄り、毎月第3土曜日に、「もったいないBOX」という箱に入れて、各店の店頭に置かれます。
必要なものがあれば、誰でもタダでもらって帰ることができます。3人の子どもがいる我が家でも、子ども服やおもちゃなどをいただいて重宝しています。
その1周年を記念して、9月20日(土)に、「“もったいないBOX”サミットフェアー」というイベントが行われました。飲食の模擬店が軒を連ね、韓国太鼓、津軽三味線、フラダンスなどのステージが雰囲気を盛り上げました。子どもたちに人気のNHK「みんなのうた」で、ルー大柴さんとともに『MOTTAINAI〜もったいない〜』を歌う、仁井山征弘さん(大田区在住)も登場し、ラップのミュージックを披露しました。
心配された台風も前夜のうちに過ぎてしまい、よいお天気に恵まれて、近所に住む子どもからお年寄りまで、大勢の人出があって、大変にぎやかでした。
「もったいないBOX」を仕掛けたのは、「交友会」の会長で、美容院を営む、佐藤あき子さんです。お店の前に、通行人が座れるベンチを出すなど、商店街がよくなるための取り組みを率先して行ってきました。
「もったいないBOX」も、知り合いの商店主から得たアイデアを、「女はまず行動」と自分のお店の前からはじめ、徐々に商店街全体に広めていきました。ここ数年の「交友会」の変化も、やはり佐藤会長のようなキーパーソンがいてこその展開です。
それにしても、リユースなどやっていては、物販店は儲からないのでは、と心配にもなります。もっとも、「もったいないBOX」の子ども服をお目当てにやってきて、ついでにケーキを買って帰る、という展開になるかもしれません。
また、住宅地にある商店街にとって、遠くまで行く足のないお年寄りは大事なお客さんです。リユースは、年金暮らしのお年寄りに優しい取り組みでもあります。
さらに、もらうばかりでなく、不用になったものを提供することで、住民が商店街の事業に協力することにもなります。
かくいう、私の妻も、佐藤会長の美容院に通うなかで、「もったいないBOX」の仕掛けを知るようになり、今回のイベントにボランティアスタッフとして参加しました。
子どもを育てる親にとっても、身近な商店街の使い勝手が向上することは、ありがたいことです。また何より、商店の方々をはじめ、地域の皆さんに、子どもの顔を覚えてもらうことが、安心・安全な暮らしにつながります。
「うちの商店街は活気がない」とか「区の産業政策がなっていない」などと他人事のような態度はやめて、まずは、身近な商店街を使い、住民の立場でイベントに協力することから始めてみませんか。