7月12日(土)・13日(日)、都内のホテルで、「NPO塾:リーダー研修会」が開催されました。
「NPO塾」は、次世代のNPOリーダーを発掘するために、中間支援NPOの全国センターの一角を占める「NPO事業サポートセンター」が主催し、「村上ファンド」の村上世彰氏が10億円を寄付したことで話題となった「チャリティ・プラットフォーム」が支援して、都道府県単位で開催している事業です。
今回の「リーダー研修会」は、各地の「NPO塾」で「発掘」した次世代リーダーを、「養成」する最初の機会であったといえるでしょう。
今年2月に、私が副代表理事を務める「おおた市民活動推進機構」がホスト役となって、東京都大田区で「NPO塾 in 東京」を開催したことが縁で、私も「リーダー研修会」に参加する機会を得ました。
もっとも、次世代リーダーといえるほどに、現在の私は、NPOに身を投じているわけではありません。外資系企業から転じて、「東京ランポ」(現「まちぽっと」)で6年半を職員として過ごしましたが、その後は、職業としてのNPOからは距離を置いてきました。
年次昇給のない職場は、子どもたちを育てていくには不安でしたし、必ずしもめざすものが同じでない創業者世代と、考えをすり合わせるのにも疲れました。現在は、NPOは一休みして、自営で気ままにやらせてもらっています。
人に雇われるのでも、雇うのでもない立場でやっているため、NPO経営の苦労に思いをいたすのを忘れていたのですが、今回の「リーダー研修会」に出させてもらって、20〜30代の若い世代が、職業としてNPOを選べる社会をつくりたい、と考えるようになりました。
全国各地から参加したリーダーには、NPOを創業した方も多かったのですが、後継者として育ててきた若い世代が、やはり給与の問題などから離れていってしまった、という話が多くきかれたからでした。
また、私の専門である、地方自治体における協働政策の現場を見ても、市民活動サポートセンターなどの指定管理や委託をNPOが受けているケースなどで、若い職員がそこだけの仕事では食べていけず、他の仕事を掛け持ちしているような状況を目にします。
行財政改革という喫緊の課題があるにせよ、役所が働く人の生活保障を考えないまま仕事をアウトソースし、不安定雇用を率先して生み出している状況が見えてきます。
若者がNPOで食べていけない状況を告発するにとどまらず、食べていける状況を実現するための処方箋には、どんなものがあるのでしょうか。残念ながら、私には、まだ十分な答えはありません。
しかし、「リーダー研修会」では、2つの方向性が示されました。
1つは、研修会の講師であった、後房雄・名古屋大学大学院教授が、イギリスを範として提示した、NPOが地方自治体の仕事をこれまで以上に受けていく方向性です。
その際、キーワードとなるのが、「フルコスト」です。自治体職員は、仕事をアウトソースする際に、事業費として計上されている部分だけをコストと考え、人件費として計上されている自分の給与のことを忘れがちです。そこで、人件費も含めた「フルコスト」で計算して、NPOが食べていける仕事として任せるべきだというのです。
仕事を受ける側のNPOも、自治体から仕事を「もらう」という感覚ではなく、専門性を武器に「稼ぐ」という感覚をもたないと、対等な協働にはならないとの話でした。
後先生は、自らが代表理事を務める「市民フォーラム21・NPOセンター」で、毎年、職員を新規採用しながら、この方向性を実践しています。
もう1つは、「日本における寄付文化の創造」をミッションとする、「チャリティ・プラットフォーム」(佐藤大吾理事長)が示した、NPOがもっと寄付を得ていくという方向性です。
日本には、3万を超えるNPO法人があります。「チャリティ・プラットフォーム」は、そのうち、年間の事業規模が1,000万円以上で、メディアに掲載されるなど、一定の基準を満たしたNPOについてデータベース化を図り、直接訪問するなどして、日本のNPOの最新事情を最も定量的に把握してきています。
そこで見えてきたのは、NPOの多くが、もらった寄付金に対して税金がかからない、という最大の特徴を活かしておらず、寄付集めに努力していない姿でした。
「チャリティ・プラットフォーム」としては、寄付者がNPOの情報を入手できるような基盤を整備することで、NPOが寄付を獲得する方向性を推進しています。
NPOや非営利セクター(市民セクター、サードセクター)全体をどうするかについて考えるのをやめ、ともすれば「自分さえ食べられれば」という考えに傾いていた私でしたが、今回の「リーダー研修会」のおかげで、「若者がNPOで食べていける社会づくり」というミッションが、むくむくと湧き上がってきました。
すでに、このテーマで、調査提言活動を始めている当事者世代もいます(「チャイルドライン支援センター」の加藤志保さん、林大介さん)。まずは、当事者世代が互いにつながり合って、自ら問題提起をすることから、NPOが安定的に人材を受け入れ、社会の重要なセクターに成長する、新たな10年をめざしたいと考えています。
NPO法人 チャリティ・プラットフォーム
(日本のNPOを次のステージに載せる予感があります。)