地方自治法施行60年でもあった昨年に行われたインタビューは、タイトルのとおり、地方自治、とりわけ、市民自治のこれまでを振り返り、これからを展望するものになっています。
インタビューという形をとったことで、著書や論文では十分に表れない、それぞれの論者の息遣いがライブに伝わってくる内容に仕上がっています。
各章の論者とタイトルは、以下のとおりです。豪華な顔ぶれですよね。
1.松下圭一(法政大学名誉教授)−いまから始まる自治体再構築
2.逢坂誠二(衆議院議員)−当たり前のことを当たり前に
3.根本良一(前・福島県矢祭町長)−「合併しない宣言」で見えたこと
4.大杉覚(首都大学東京教授)−地方自治の「東京問題」を考える
5.庄嶋孝広(市民社会パートナーズ代表)−市民社会をファシリテートする
6.梅田次郎(JMAC構造改革推進セクター・行政経営アドバイザー)−市民自治のしかけをつくる
7.高橋寛治(和歌山県高野町副町長)−「目覚め」のまちづくり
8.金井利之(東京大学教授)−地域間格差と自治体の政治力
9.中川幾郎(帝塚山大学教授)−自治体にとって文化・コミュニティとは何か
10.大森彌(東京大学名誉教授)−未知の時代にグランド・セオリーを
11、松本克夫(ジャーナリスト)−「第三のムラ」を求めて
12.大石田久宗(三鷹市市民部調整担当部長)・島田恵司(大東文化大学准教授)−地域で新しい価値を創造する
最後には、〔訊き手後記〕として、インタビュアーであった、今井照・福島大学教授のまとめがあります。
社会学者の真木悠介(見田宗介)氏の「最適社会」(人間の個別性の重視)と「コミューン」(人間の共同性の重視)という2つのユートピアの対比を手がかりに、各論者の考えを分析しつつ、市民自治のありようを探っている論考は、大変示唆に富んでいます。
ちなみに、今井先生によれば、ファシリテーターとして、個々の意思をもとに合意形成を図ろうとする私は、13人の論者の中で、もっとも「最適社会」論に近いそうです。
一方で、私の仕事のなかにも、「最適社会」的な合意形成の技術だけではなく、「コミューン」的な集団内の人間的要素へのアプローチも認められるとされています。結局、両者が絡み合って、市民自治への展望が開けるのだろうと思います。
実際のところ、条例や計画などを検討する市民参加の会議では、個々の考えは違っていても、「よいものをつくろう」という点では思いが共有され、考えの違いを許容できるような人間的な信頼関係があってはじめて、よい議論ができます。
先日もある会議で、非難ばかりを繰り返すごく一部の参加者のために、他の参加者が続々と退席してしまうような場面がありました。
個々の市民同士が、対話を通じて協働していくには、まだまだ多くの課題があると感じます。そういった、市民自治の未来をデザインするためにも、本書を一読されることをおススメします。
なお、私のインタビューは、ちょうど1年前(昨年5月22日)のもので、その後、千葉県四街道市での公務員経験などを通して、当時よりさらに考えが深まっている部分も多々あります。
その辺りは、ぜひ講演などの機会をとおして、またお伝えしていきたいと思います。