協働の相手は 「市民」か「市民団体」か [2008年04月19日(土)]
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千葉県四街道市の任期付職員として「(仮称)四街道市市民協働指針」の策定に取り組むとともに、各地の地方自治体の協働政策について、第三者としてのアドバイスを求められる機会が多くあります。
その際、同じ「協働」をテーマにしてはいるのですが、ところ変われば、焦点となっている話題にも違いがあって面白いものです。「有償ボランティア」に関する話題も、その1つです。 ![]() |
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先月、ある市で、昨年度1年間の協働の取り組みを伺って、アドバイスをする機会がありました。その際、研究材料として報告された事例は、文化財でもある市の施設の管理運営を市民による団体に委託しているというものでした。
市民団体と自治体との間で協働が始まるには、2つのパターンがあります。1つは、市民団体からの提案で始まるもの。もう1つは、自治体からの働きかけで始まるものです。 この事例の場合は後者であり、市が開催した講座の受講者に市が組織化を働きかける形で始まった、ここまでは、よくあるパターンです。 ただ、以後、市が悪戦苦闘することになったのは、市民団体に支払う委託料の積算根拠となる、有償ボランティアの時給をめぐるやりとりでした。 当初、時給450円と設定して始まったのですが、契約している勤務時間よりも長く働くのが常態化し、市民団体から委託料が足りないという意見が出るようになりました。市は、契約した勤務時間を守るようにいいましたが、話が折り合わず、一時は契約更新ができない事態にまでなりました。 その後、市民団体の体制が変わったこともあり、委託は現在も続いていますが、この事例をきっかけに、有償ボランティアの時給について、全庁的な基準を決めることになり、今年度は870円と定められています。 さて、「有償ボランティアの時給」が協働の話題の焦点になるというのは、私にとっては、新鮮でもあり、違和感もあるところでした。 市民団体と自治体が協働するには、大前提として、市民団体が個々の市民をコーディネートできている必要があります。なぜなら、市民のボランタリーな力を引き出し、コーディネートするのが、行政とも企業とも異なる市民団体の特技であるからです。 上記の事例では、まず、委託を受けた市民団体に、有償ボランティアを管理することができておらず、働いた分だけお金を請求することを許してしまっています。これなら、市が直接、個々の市民にお金を払って働いてもらえばよいだけの話になります。 また、そもそも、この事例の報告をきいても、文化財の管理運営を市民団体が行うことで、行政や企業にはないどんな素晴らしいメリットがあるのか、目的や動機が全く感じられません。 あるとすれば、お金の安さだけです。しかも、市だけでなく、市民の側も、ボランティアというよいことをやっていると感じながら、そのぶん安いけれどもお金ももらえるアルバイト、という捉え方になっているのではないか、と感じられてしまうのです。 安いお金で市民の力を活用することが目的や動機であるのなら、市民団体の特性の発揮が期待される「協働」などと呼ばず、市の公務を担う「市民労働」と位置づけて、市場価格ならぬ「市民価格」で働いてもらえばよいだけの話です。 施設の管理運営のように、ローテーションで窓口業務を担当するような事業の場合は、積算根拠として時給いくらという考えが必要になるのは当然です。また、自治体として、全庁的な基準を時給いくらと定めるのも、協働を全庁的に進めるためにはあってもよいでしょう。 しかし、「時給いくらの有償ボランティア」の活用が出発点になってしまうと、専門性のある市民やフツーの市民に夢ややりがいを提供しながら、それぞれの持ち味を引き出して大きな力に変えていく市民団体が、協働相手である必要はなくなります。 決められた時給のもとで労務管理さえできれば、企業が相手でもよいことになってしまいますし、行政が直接、希望する市民を登録しておいて、仕事を斡旋すれば済むことになります。 同じ協働をテーマにしていても、市民の力のコーディネートを行う「市民団体」を協働相手と考えている場合と、行政にコーディネートされることを待っている「個々の市民」を協働相手と考えている場合とでは、全く話がかみ合いません。 もっとも、以前にも、このブログで書きましたが( 「2つの協働 自由主義的協働と社会主義的協働」 )、協働にもいろいろなタイプが認められてよく、時給700円の有償ボランティア「行政パートナー」を導入した埼玉県志木市のように、自治体経営に対する「オーナーとしての責任感」で市民に奉仕してもらう協働があってもよいでしょう。 要は、有償ボランティアのような「個々の市民」による協働を志向しているのに、協働の条例や指針では、判を押したように、「自立」「対等」といった「市民団体」との協働のために考案されたのと同じ原則を謳っていて、言行が一致していないのが問題なのです。 ところ変われば、同じ協働でも焦点となる話題が異なるのは当然です。どんな協働をめざしているのか、協働の条例や指針をつくる際には、カッコつけた言葉で幻惑するのでなく、市民にも職員にも協働の必要性がストレートに伝わるようにすべきでしょう。 ![]() 自治体が働きかけて始まった協働でも、 コーディネート力を発揮する市民団体もあります。 「四街道サクラソウの会」はその1つ。 やはりコアとなる人材の獲得がカギです。 |






