東京駅を出ると、皇居に向かう人の流れができています。そのなかを、4歳の長女の手を引いて、進んでいきます。
丸の内のオフィス街には右翼団体の街宣カーが多数とまり、黒服に身を固めた人たちが、あいさつを述べ合ったり、記念撮影したりしています。ラフな格好の一般客が多いなかで、さすが右翼の皆さんは、気合が入っています。
また、旅行会社の観光バスも目立ちます。ツアーの旗があちこちに立ち、各地の方言が飛び交うなか、団体客の皆さんが連なって歩いていきます。
この日は、7回のお出ましがあります。午前10時10分の第1回のお出ましから帰る人たちと入れ替わりに、午前11時の第2回のお出ましをめがけて歩きます。
皇居前広場でボディチェックを受けた後、砂利敷きの上をザクザクと音を立てて進み、二重橋を渡って皇居正門より入ります。
なだらかな坂を上り、左に伏見櫓を見上げながら中門を入ると、そこが、参賀会場となる宮殿東庭です。東京駅を出て約25分、午前10時50分頃、到着しました。
お出ましを前に、いまかいまかと待つ人たち。続々と参賀客は増え続けます。
辺りを見回すと、意外に多い、というか、かなり多いのが、外国人の皆さん。在住者も観光者もいるのでしょうが、日本の歴史と伝統に触れるという意味では、これ以上にない機会といえるかもしれません。
そういえば、この人波で思い出したのが、昨年11月に訪れた北京の故宮。あの日も、よく晴れた空に、中華皇帝の黄色の屋根が鮮やかでしたが、この日の宮殿・長和殿の翡翠色の屋根も、日本の皇室を象徴して、空にくっきりと浮かんでいました。
いよいよ午前11時、長和殿のバルコニーに、天皇・皇后両陛下をはじめ、皇族の皆さんがお出ましになりました。
一斉に日の丸が振られたり、カメラやケータイのシャッターが押されたりの大騒ぎ。特に、天皇陛下がこちらを向いて、お手を振られると、ワーッという歓声が上がります。私も、娘を抱きかかえて、「ほら見える? 手を振って!」と促しました。
お出ましの時間は、わずか5分程度。でも、そのお姿を拝見した人にとっては、幸せな気分になれるのですから、ありがたいことです。
意外かもしれませんが、私は、皇室がけっこう好きです。市民活動だとか、市民参加の支援だとか、「市民」にまつわることをやっていると、反体制的、イコール皇室にも否定的なスタンス、という単純な色分けをされやすいのですが、私は、意外と尊皇家です(笑)。
ただ、それは、天皇陛下の優しい笑顔が好きだとか、子育て真最中の皇太子家や秋篠宮家に親しみを覚えたりするという、いわば「アイドル」的な嗜好に近いのかもしれません。
もっとも、国民主権のもとでの皇室は、いつも変わらず清く正しい姿を示すことが、国民に期待されている役割ではないかと思います。いい大人がわがまま勝手に振る舞い、人の足を引っ張ったり、人を傷つけたりすることの多い現実の社会のなかで、それでも理想の人柄や家族のあり方はこうだよ、と示すことのできる存在、それが皇室ではないかと思っています。
在位20年目となる平成20年の年頭にあたり、天皇陛下には、ますますお元気でがんばっていただきたいと祈念いたします。