賛成7,962、反対25,384。(当日有権者数70,596。)――想像以上の「大差」になったといえるのではないでしょうか。
住民投票条例の直接請求を求めた有効署名数は9,142筆(有権者の約13%)でしたが、それにも及ばない賛成票(有権者の約11%)。住民投票の実施が決まった後に、8,000筆以上の建設促進の署名が提出されていましたが、それにさえ届かない賛成票の数でした。
投票率は47.55%と、過半数が参加する住民投票にはなりませんでしたが、地域交流センター建設への支持や理解が広まらなかったことは否定できないでしょう。
地域交流センターは、四街道のまちの顔づくりをめざす、都市核北土地区画整理事業の一部として、ショッピングセンターや超高層マンションなどの民間エリアとともに、公共エリアの中心施設として建設される予定でした。
公共施設エリアは、都市核北周辺地区都市再生整備計画として、地域交流センターの建設(21億円)のほか、老朽化した文化センターの改修、武道館の建て替え、中央公園の改修なども含む、総額35億円の事業として計画され、うち12億円が国のまちづくり交付金によって賄われるというものです。
そのため、今回、都市再生整備計画の金額の6割を占める、地域交流センターの建設が中止となったことで、計画全体を見直す必要が生じました。計画全体に対して出される予定であった、まちづくり交付金も先行きが不透明となり、文化センターの改修なども、行方がわからなくなってしまいました。
私の仕事でいえば、平成21年度に、改修後の文化センター内に設置される予定となっている市民活動センターも、見通しがあやしくなってきました。
このように、ことは、地域交流センターという1施設にとどまらず、その他の公共施設の整備にも影響を与える結果となったわけです。
10月の臨時市議会で、市民の直接請求による「四街道市における地域交流センター建設の賛否を問う住民投票条例」が可決されて以来、四街道市役所のカウンターの中にいる私の耳には、賛成、反対いずれの市民の声も入ってきました。
また、このブログへのコメントでも、賛否両方の方々からご意見をいただきました。さらには、他自治体で、やはり直接請求により公共施設の建設を止めようと動いている市民の方から、四街道市の経過についてご質問をいただいたりもしました。
もっとも、はっきりさせておきたいのですが、私は、任期付とはいえ、四街道市職員である以上、いずれの政治的な動きにも与するものではありません。まして私は、四街道市民でもなく、賛否を表明する一票もありませんでしたので、ただただ市民の皆さんが出された投票結果、またその結果を受けた市長の判断を受けて、職務を遂行するのみです。
そうお断りしたうえで、第三者的に、1つだけ所感を述べたいと思います。
今回の住民投票では、地域交流センターの建設に反対の方々は、一部の市民しか恩恵を受けないムダな施設=「ハコモノ」という批判を行いました。また、年間1億円と見込まれる維持管理費を示して、福祉や教育に使うべきとの声も聞かれました。
一部の市民にしか恩恵がないかはわかりませんが、地域交流センターの計画には、ハードの施設整備の話があるだけで、市民が運営に関わる仕組みなど、ソフト面が何も示されていなかったのは確かです。
私が住む東京都大田区の例ですが、区役所移転に伴う旧庁舎跡地に、「おおた文化の森」という、地域交流センターに似た、区民が文化活動に親しみ発表を行うことを支援する施設ができています。
ただし、「おおた文化の森」の場合は、開設当初から「大田文化の森運営協議会」が区長より委嘱され、区の外郭団体が行うハードの管理業務とは別に、ソフトの運営については、区民に任されていました。
しかも、運営協議会は手探りで運営を行ううち、15名しかいない自分たちだけで施設運営を行うことは、区民の文化活動の支援という施設の目的に照らして十分でないと判断し、講座などの事業を企画するボランティアである「文化プレーヤー」という仕組みを設けました。
文化プレーヤーは、毎年200名以上にのぼるため、9つの実行委員会に分かれて活動しており、そのなかには、芸術や異文化交流といった文化活動にドンピシャのものから、障がい者や子ども・若者を対象としたものまで、狭い意味の文化活動にとどまらず、様々な区民の活動の舞台となっています。
四街道市の地域交流センターでも、もっと運営面への市民の参加について、きちんと計画に盛り込み、福祉や教育に関わる活動の舞台にもなることが示せていれば、今回のような、単純な「ハコモノ」批判を許す状況にはなっていなかったかもしれません。
四街道市は、よそ者の私の目から見ても、中心市街地が貧弱な顔のないまちです。隣接する千葉市ほどの拠点性を持つことは難しい以上、どんなテーマにせよ、市民が主体的に関われるような施設が、まちの顔にはふさわしいと思われます。
今回、都市再生整備計画そのものの行方がわからなくなったことで、今後、まちの顔を整えることができるかはわかりません。しかし、再起するチャンスがあれば、市民参加の検討によって、施設運営に市民がどう関わるのかまで描き、できれば、検討に携わった市民が中心となって、実際に運営を担っていくような流れをつくるのがよいと考えます。