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「学習」を楽しくするワークショップ手法 [2007年10月04日(木)]
 ワークショップを「参加体験型のグループ学習」と定義したのは、岩波新書『ワークショップ』の著者である中野民夫さんです。自治体政策づくりの会議を得意とする私は、合意形成まで行う「対話」型のワークショップ手法を多く扱いますが、実は、楽しく「学習」するためのワークショップ手法も得意です。
 学生と市民向けに、最近行った、2つの「学習」型ワークショップ手法をご紹介します。
 昨年から、大分県の別府大学で「社会教育演習T」という、4日間の夏季集中講義を持たせてもらっています。社会教育を、単に「(学校以外の)社会で行われる教育」にとどまらず、「社会に関わるための教育」と私なりに考えて、他者とともに学び、対話するための手法として、ワークショップ手法を演習形式で教えています。
 ドイツで行われている、無作為抽出で参加を要請する会議、「プラーヌンクスツェレ(計画細胞)」を日本に紹介した、別府大学文学部の篠藤明徳教授に依頼されてのことです。

 この集中講義は、次のようなカリキュラムになっています。わずか4日間ですが、「学習」から「対話」までのワークショップ手法を学び、最後には、自分の考えたワークショップを実演するまでになれる、お得な授業です。

第1日
1.自己紹介/インタビュー 2.社会教育とワークショップ 3.紙芝居づくり−わたしの好きなこと 4.下午茶会−五感でワークショップ

第2日
1.「月に迷った」ゲーム 2.新聞記事を読む 3.「合意」を目指して話し合う 4.まちウォッチング

第3日
1.まちウォッチングをまとめる 2.ファシリテーションのポイント/ワークショップの設計法 3〜4.ワークショップを設計する

第4日
1〜3.ワークショップを実演する

 「学習」のためのワークショップ手法としては、紙芝居による情報提供を学びます。起(つかみ)・承(引き込み)・転(本題)・結(まとめ)のリズムを意識して作成します。
 私が、例として、「日本語とベトナム語の意外な共通点」、「中国・台湾茶の基礎知識」などの紙芝居を実演します。「お茶」の方は、実際に、私が2種類の中国茶(台湾茶)をたてて、飲み比べをしてもらいながら、五感を使って違いを感じてもらったうえで、紙芝居で解説するという方法をとります。

 最終日は、ワークショップの実演です。「対話」の前提となる情報を、賛否両方に公平に配慮して、素人にもわかるように提供する、「学習」部分を必ず入れてもらいます。
 今年の学生がとり上げたテーマを紹介すると、「捕鯨の是非」「外来魚の駆除の是非」「ファイル共有ソフト(P2P)の規制の是非」「小学校での英語必修化の方法」「メディア教育の方法」などでした。それぞれにユニークなテーマですが、「学習」のワークショップ手法をうまく取り入れることで、新たな知識を共有しながら、よいワークショップができました。

 さて、もう一例は、自治体政策づくりに関わるものです。
 地方分権の時代に入り、全国で「自治体の憲法」といわれる「自治基本条例」の制定が相次いでいます。自治体にとっての「憲法」だけあって、条例案の策定にあたっては、広く市民の参加を得て、あるいは、市民が主体的に取り組んでいるのが特徴です。
 もっとも、自治基本条例といっても、参加する市民の多くにとってはチンプンカンプン。そこで、まずは、自治基本条例を学ぶ機会が大切になってきます。

 自治基本条例の学習内容としては、(1)研究者に自治基本条例の意義やおおまかな内容を学ぶもの、(2)すでに市民参加でつくった自治体の市民や職員に策定時の苦労話などを聴くもの、などがあります。
 私も、(1)のような話をさせられることもありますが、実は、一番得意にしているのは、制定済みの他自治体の自治基本条例の内容を、ワークショップ手法で楽しく「読む」というものです。

 この9月29日(土)、埼玉県越谷市の「自治基本条例に関する勉強会」で、「ワークショップ 他市の自治基本条例を読む」を行う機会に恵まれました。
 越谷市では、来年度の自治基本条例の策定作業に向けて、まずは、広く市民に自治基本条例の理解を広める勉強会を設けています。年度内は勉強会を重ね、4月からは、審議会を設置して、勉強会に参加した市民にも公募で入ってもらい、条例案の策定を行っていくそうです。

 このような、市民参加の自治基本条例づくりを行うにあたって、まず、学習会の期間を設けるというやりかたは、つい先日、「自治基本条例原案」をまとめたばかりの、千葉県流山市の「流山市自治基本条例策定市民協議会」でも行ったことでした。
 実は、私は、昨年2月、流山市でも、「ワークショップ 他市の自治基本条例を読む」を行っています。その後、市民協議会は、市内各所に出向き、120回に及ぶPI(対話集会)を重ねて、7,000件を超える意見を踏まえて、今回の「原案」をまとめました。

 このワークショップの特徴ですが、「クイズ形式」で自治基本条例を読み進めるというものです。6〜8人くらいのグループに分かれてもらい、2つのタイプの異なる自治基本条例を題材に、クイズに答えながら読み進めていきます。
 1問ごとに答え合わせをして、自治基本条例を理解するうえで、かなり本質的な部分を、わかりやすく解説していきます。グループのなかで、「あーだ、こーだ」と議論した後、解説を聴くので、頭にも入りやすくなります。

 私は、法律学者でも行政学者でもないので、あまり学術的な話までは対応できませんが、条例という難解で独特なルールのある文章を、市民に楽しくわかりやすく伝えることについては、自信があります。
 「学習」と「対話」で市民社会を創造する、が市民社会パートナーズのモットーですが、「対話」を行う前提としての「学習」はとても大事ですので、お手伝いできることがありましたら、ぜひお声をおかけください。
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