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ファシリテーターはいつも仏とは限らない [2007年09月19日(水)]
 会議の進行を行うファシリテーターと言えば、いつも笑顔をたたえて、どんな言葉にも相づちしながら耳を傾けるのが理想の姿。私もよく「何を言っても受け入れてくれそう」などと、以前はよく言われたものでした。
 しかし、そんな観音様のような慈悲深い姿勢だけではなく、ときには、阿修羅のように激しい姿勢が求められるときもあります。
 この4月から、千葉県四街道市の職員を兼務している私。任務の一つである、(仮称)四街道市市民協働指針の策定作業が、いよいよ始まりました。
 まずは、8月から9月にかけて、市内12ヶ所で、市民の皆さんと意見交換会をしました。ファシリテーターとしての職能を活かすべく、任期付職員として採用された私にとっては、ようやく本領を発揮する機会の到来です。

 四街道市では、私が策定時にファシリテーターを務めた、市民参加条例が4月より施行され、今回の意見交換会の実施も市民参加条例に基づくものでした。
 市民参加条例は、市民が、特に役所が認める肩書きを持たなくても、一人の市民として参加して、意見を表明できるようにするものです。逆に言うと、他の市民に全く支持されない意見であっても、一つの市民意見として、大きく見せる効果があります。

 今回の意見交換会にも、市内で有名なクレーマーの高齢男性が参加してきました。冒頭から、会議の持ち方、進行の仕方、説明の内容の全てにわたって、いちいち粗を探しては進行を妨げ、発言を求めると、様々な知識をひけらかして、長々としゃべり続けます。
 市民参加は、市民のいろいろな意見を把握したうえで、役所がよりよい判断をすることが目的ですので、内容がどんなものであれ、意見そのものは大事にしなくてはなりません。

 しかし、各人が時間を繰り合わせて集まり意見交換をする場で、いちいち進行にケチをつけて時間を浪費させ、自分は他人の反応などお構いなしに、ダラダラと持論をぶつ。これには、ファシリテーターより先に、他の参加者に怒りの表情が浮かびます。
 ファシリテーターは、全体の利益を考えて進行することを付託されていますので、断じて、少数者のために全体が不利益を被ることを看過することはできません。

 はじめは穏やかに、わからなければ次第に激しく。「公僕」という難しい立場もありますが、ファシリテーターという任務に忠実になって、厳しい口調で静粛と退場を求めました。
 それでもグズグズ主張し続ける様子に、ついには、他の参加者からも「いい加減にしろ」と怒鳴り声が上がり、退席する人まで現れる始末。世間一般で言えば、自分の店で好き勝手にされて、他の客に逃げられたようなもので、役所にとっては、立派な営業妨害です。

 このように、会議で他人と議論するのに向かない人もいますので、本来であれば、そういった人は、パブリックコメントのような、書面で意見を提出する方法などを活用してほしいものです。
 もっとも、どんな方法で参加するしないを決めるのは市民の権利ですので、職員もファシリテーターも、そのときどきの状況に応じるしかありません。

 最近、別の自治体の市民参加の会議(こちらは、第三者としてファシリテーターを務めました)でも、やはり同様の、地元で有名なクレーマーの高齢男性が参加する場面に出くわしました。
 最初から、聞きたいことの核心を言えばよいのに、まるで、議会か裁判のように、小出しに質問しては職員に答えさえ、問い詰めていくので、いつまでも話が終わりません。

 他の参加者から、「そろそろ、先に進めては」との援護もあり、その人の発言をできるだけ抑えるように進行したところ、こんどは、私に食ってかかり、「お前などいても意味がない」などと毒づく始末。
 「進行を妨げるあなたのような人がいるからこそ、私のような商売があるのだけど……」とは、さすがに商売の恩人(?)でもあるので、まだ言っていません。

 それにしても、この種の人たちは、一体何がしたいのか理解に苦しみます。本気でよくしたいと思っているのであれば、役所を攻撃するだけでなく、周囲に自分の主張への理解を求めて、仲間を増やすべきですが、当然、こんな独りよがりでは、仲間などできません。
 挙句の果てには、周囲をバカ呼ばわりして、「オレの主張が他のヤツに理解できるわけがない」などと言ってのける人に、四街道市で窓口対応する機会にも恵まれました。

 残念ながら、私は、ただのお人好しのファシリテーターではありません。市民社会パートナーズの方針は、他人の声に耳を傾けたうえで、自分で考えるような市民を増やすことです。
 「市民」であるのをいいことに、他人のことなど意に介さず、自分勝手な振る舞いで、せっかくの対話の場を壊すような人に対しては、厳しく臨みますので、お覚悟あれ。
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