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国のタウンミーティングが衣替え 広報から広聴へ [2007年06月02日(土)]
 昨年、「やらせ質問」や発言者への謝礼金支払い、広告代理店との高額な請負契約が発覚し、国民の批判にさらされた、国のタウンミーティング。5月18日(金)、新たな国民対話に関する基本方針が発表され、その名も「政策ライブトーク」に衣替えすることになりました。
 広聴より広報を重視していた、との反省を踏まえての今回の見直し。民間や自治体で広まる対話の技術を、国も遅ればせながら採り入れることができるでしょうか。
 問題の多いタウンミーティングの実態が明るみに出た後、政府では、内閣府副大臣を委員長とする「タウンミーティング調査委員会」を立ち上げ、12月13日付で調査報告書を公表していました。
 そこでは、なぜタウンミーティングを行うのかという理念が欠如しており、そのために、事務担当者が広報イベントだと理解して、見栄えをよくしようと、広い会場が埋まるように参加を依頼したり、意見のバランスを考慮して、特定の内容の発言を依頼したりしたことが指摘されています。

 なるほど、広報イベントだと考えれば、広告代理店(電通、朝日広告社)に仕事を依頼したり、参加や発言の依頼をしたりして、セレモニーとしての側面を重視したことも合点がいきます。
 しかし、タウンミーティングと名乗っておいて、広報イベントだと理解してしまう官僚の発想には呆れます。国民の意見を国政に活かそうと思うのでなく、賢い官僚の考えた政策を全国津々浦々の愚かな民に宣べ伝えればよいと思っていたのでしょうか。

 ともかく、上記のような反省を踏まえて、「新しい国民との直接対話に関する検討グループ」による「国民との直接対話の推進に係る基本方針」が内閣官房長官によって決定され、「政策ライブトーク〜言いたい、聞きたい これからの日本〜」が、7月から行われることになりました。
 ちなみに、検討グループの6名のうちには、私がサポートしていた志木市民委員会の発案者である、前・志木市長の穂坂邦夫・NPO法人地方自立政策研究所理事長もいました。市民との対話を実践した市長としての見識が活かされたことと思います。

 政策ライブトークは、理念がなかったタウンミーティングの反省に立ち、「基本方針」を示して、基本的な考え方から運営のイメージまで示しています。そこでは、広報ではなく「広聴」機能を重視して、会場も市民会館等の身近な施設で行うことを打ち出しています。
 そして、何より大きいのは、これまでの、国民が質問→大臣や有識者が回答、を繰り返すだけの、大した進行の技術も要しないスタイルではなく、「出された複数の意見等を関連付けて議論を発展させていく技術を有する司会(コーディネータ)が進行する形態」も採用するとし、専門技術を持った司会者を確保するとしていることです。
 また、まず大臣等が論点を提示し、賛否それぞれの立場の有識者が意見表明したうえで、国民が対話するというプログラムの流れも、政府や専門家の意見を学習したうえで対話する形になっており、評価できます。

 私のように、議論の手助けをするファシリテーターを職業にする人も増えつつあり、民間の会議や自治体における市民参加の会議では当たり前になっている、対話の技術を導入することに、やっと国が追い付いてきたと言えます。
 そもそも、政策ライブトークの副題になっている「これからの日本」は、NHKの市民参加の討論番組『日本の、これから』のパクリではないかと思うのですが、あの番組で、生放送という緊張感のなかで、市民や有識者の間で次々に対話を成立させていく、三宅民夫アナウンサーの司会などは、政策ライブトークの模範にしてほしいものです(余談ですが、私も、昨年1月の「増税」をテーマとした回に、50人の市民討論者の1人として参加し、三宅アナのファシリテーションを堪能しました。)

 もっとも、国民対話の場を政府が主催してしまうと、またぞろ広報重視の運営になってしまうのではないか、との疑念は払拭できません。
 実は、この点についても、注目される方針が打ち出されており、NPO、自治体、大学、シンクタンクなどが主催する場に政府が参加したり、それらの主体と協働で開催したりすることも考えられています。最近では、選挙の公開討論会やタウンミーティングを行うNPOも登場しており、不偏不党の民間の団体が国民対話の場を主催し、そこに政府が協力するスタイルの方が、国の政策について対話する場のあり方としては、望ましいと言えるでしょう。
 全国各地のNPOは、対話の場づくりに手を挙げていくことを、ぜひ事業計画のなかに盛り込んでいただければと思います。

 折しも、政策ライブトークの基本方針が発表される4日前の5月14日(月)、憲法改正の手続きを定めた国民投票法が成立しました。国民投票という決定行動を行うには、その前にしっかりと対話を深めることが重要です。
 憲法こそ、国民対話にふさわしいテーマであり、多くの国民が憲法を考える機会となるように、全国各地で政策ライブトークが開催されるとともに、その模様が、全国ネットのテレビ、ケーブルテレビ、インターネットなどで放送、配信されることが必要と考えます。

内閣府ホームページ 政策ライブトーク http://www8.cao.go.jp/taiwa/
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