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思いなくして、指定管理者は務まらない [2007年02月24日(土)]
 2003年の地方自治法改正によって導入された「公の施設の指定管理者制度」。行政と同じ権限を持って、公共施設の管理運営を民間の団体が代行できる仕組みです。財政カットの必要もあり、全国の自治体が活用しています。
 市民社会パートナーズのある大田区で、NPO法人が指定管理者となった最初の施設「男女平等推進センター エセナおおた」には、いろいろと学ぶヒントが満載です。
 私が副代表理事を務める「NPO法人おおた市民活動推進機構」(先日、認証されました!)が主催する、NPOマネジメント講座。2月17日(土)に行われた第4回のテーマは、「公共施設の受託と指定管理者」。エセナおおたの指定管理者である、「NPO法人男女共同参画おおた」の牟田静香さんが講師でした。

 牟田さんは、エセナおおたから生まれた人気講座「行列のできる講座のつくり方」を担当する、全国で引っ張りダコの人気講師です。この日も短い時間ではありましたが、その迫力ある語りで、講座の一端を垣間見せてもらいました。
 人が集まるチラシのつくり方など、実体験にもとづくノウハウがふんだんに盛り込まれた講座は、受けてみてのお楽しみ。講座を行うことのあるNPOや行政の方、ぜひ一度、牟田さんを呼んでみてください。絶対に損はしません!

 さて、この日の中心のお題は、公共施設を管理運営する指定管理者のことでした。
 牟田さんは、民間の団体が指定管理者となることのメリットは、2つに絞られると言います。1つは、コスト削減。もう1つは、サービス向上です。
 コスト削減については、「行政の下請け」などに反発の向きもあるかもしれませんが、元を正せば、主権者である市民が誰を雇って公共施設の仕事を任せるかという話です。お金のかかる行政職員ではなく、民間の団体に仕事を頼む以上は、少しでもお金がかからないようにするというねらいは、当然あるわけです。

 もう1つのサービス向上について、航空機の客室乗務員の経歴を持つ牟田さんの語りには、さらに熱がこもっていました。
 エセナおおたの利用者からは、行政が直営していた時代よりもサービスがよくなったという声が、よく聞かれると言います。来館者を「お客様」と考え、相手の目を見ながら「ありがとうございました。またご利用ください」と声をかける、基本的なマナーを心がけているそうです。
 おかげで、行政時代は年間5万8千人だった来館者が、現在は9万8千人と1.7倍になり、部屋の利用率も、かつての58%から68%に10%上昇したそうです。

 そこには、何と言っても、エセナおおたが主催する講座の人気の高さも関係しているでしょう。「行列のできる講座のつくり方」でノウハウを輸出しているように、講座の企画力は抜群で、申込者数の平均は、定員の3.3倍だそうです。男女共同参画という人が集まりにくい分野で、これだけの人を集めているのは、エセナおおたくらいだろうと自負していました。
 そんなサービス向上の意識を持ったたゆまぬ努力が、行政時代よりも有効に使われる施設となって、数字にも明らかに表れているわけです。

 指定管理者と言っても、役所の外郭団体の公社などが、競争もなく選ばれているケースが圧倒的に多い現状。そのような馴れ合いのなかで選ばれた指定管理者は、役所OBの天下りの場となり、成果意識のない仕事をしていると言われます。
 私が先日、講師の仕事で訪れた某県立施設も、役所関係の団体が指定管理者をしていましたが、時間の管理や物品の管理にばかり厳しく、気持ちよく使ってもらおうという気持ちが全く感じられませんでした。

 そう言えば、私がパートナーシップ政策のアドバイザーをしている相模原市で、先日、面白い若者と知り合いました。JR橋本駅の近くにできた小山公園では、スケートボード、3on3、ストリートダンスのできる「ニュースポーツ施設」というのが、4月にオープンします。この施設の設計にあたっては、実際の利用者にワークショップに参加してもらいました。
 この若者は、そのワークショップのリーダー格だった人物ですが、もとはと言うと、この施設の設置そのものも、彼が署名を集めて要望したことが、10年越しで実ったものだそうです。そのため、彼のこの施設にかける思いは並々ならないものがあります。彼曰く、「行政に管理運営を任せると、“死んだ”施設になってしまう。だから、自分が管理運営をしたい」。

 彼は、見た目は、いまふうのスケボー好きのにいちゃんです。お堅い商売の行政職員はもちろん、「いまの若いやつは」と言いたくなる世代の大人から見ても、まともに話せる相手だとは思えないでしょう。しかし彼は、スケボーを愛するゆえに、この施設の行く末を誰よりも真剣に考えているのです。
 退職シニアを再雇用しているような公社が指定管理者を務めては、型どおりの管理しか行われず、その使いづらさから、やがては使われなくなり、荒廃した施設となるのでは、という懸念を抱いているのです。そこで、彼は自分が管理運営して、利用者の秩序を築くとともに、人の集まるイベントも企画したいと言います。

 協働は、行政だけでは対応できないところに生まれます。男女共同参画のような新たな政策課題、ニュースポーツ施設のような新たなニーズに対応する能力を、行政が持っているとは限りません。むしろ、持っていなくても当然なのです。
 それをムリに自前でやろうとしたり、既得権を持つ団体に任せて惰性でやったりするのでなく、ノウハウや思いを持つ市民に思い切って任せる方が、主権者や利用者である市民のためになる可能性は高いでしょう。
 指定管理者は、コストが下がれば誰が務めてもよいというものではなく、思いを持つ市民が務めることで、市民社会の自治力につながるような運用をしていきたいものです。

大田区立男女平等推進センター エセナおおた http://www.escenaota.jp/index.html
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コメント
「思いなくして」…同感です。(また来ちゃいました^^;)
今年度から狭山丘陵の4つの都立公園の師弟管理を、里山保全の中間支援NPOがコンサルと造園業者とのJVで行っています。
そのNPOは、この地をフィールドに10年近く活動してきた実績があってこそのプレゼンにより競合に打ち勝ちました。
仕事兼勉強として、毎月2回ほど通っていますが、若いスタッフが使命感を持ち、生き生きと仕事をしています。
それでこそ、指定管理者制度万歳!って感じますね。
http://www.sayamaparks.com/
Posted by: fuming  at 2007年02月25日(日) 00:45