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ミッションリーダーなきNPOの行方 [2007年02月05日(月)]
 営利を目的とする企業と違い、NPOにはミッション(社会的使命)がある、というのは、NPOを知り始めたころに誰もが口にする言葉です。しかし、ミッションを持ち続けるのは難しい、と思う例に出会うことも少なくありません。
 NPOがミッションを持ち続けるカギはリーダーにあり。田中尚輝さんの「NPOのリーダー論」を聞いて、つくづくそう感じました。
 私が副代表理事を務める「おおた市民活動推進機構」(NPO法人認証待ち)では、大田区社会福祉協議会の共催を得て、昨年10月から全5回の「NPOマネジメント講座」を行っています。その第3回「NPOのリーダー論を語る」を、今年1月20日(土)に開催しました。
 講師は、NPOもしっかり事業をやって、仕事として食べていけるような「NPOビジネス」を提唱する田中尚輝さん。NPO事業サポートセンター常務理事をはじめ、様々な肩書きでその名を知られる、NPO界の超有名人です。

 田中さん自身は、35歳ごろから、元気シニアの社会参加をテーマにした活動に取り組んできました。これまでにも市民福祉団体協議会で全国の介護系の団体を束ねてきましたが、最近は、団塊世代をはじめとしたシニアの全国最大ネットワークを目指す、地域創造ネットワークジャパンの活動にも取り組んでいます。
 福祉団体はボランティアで行うのが当たり前――そんな時代に、アメリカで有償スタッフを抱えて事業を行うNPOに出会ったのがきっかけで、日本でもNPOによる事業を広げようと決意したのだそうです。

 さて、非常に幅広いネタをお持ちの田中さんに、今回伺ったのは、「NPOのリーダー論」です。田中さんのリーダー論には、3つのタイプのリーダーが登場します。第1は、理念やミッションを語る「ミッションリーダー」。第2は、組織の運営を行っていく「マネージャー」。第3は、個々の事業を担当する「プロジェクトリーダー」です。
 3種のリーダーそれぞれが揃って、NPOは活発に活動していけるわけですが、今回のお話では、とりわけ「ミッションリーダー」の重要性にあらためて気づかされました。

 私は、昨年6月まで、東京ランポというNPO法人の常勤スタッフでした。なぜNPOを辞めて自営業に転じたのかと聞かれると、自分のやりたいファシリテーターの仕事が、東京ランポではやりづらくなったから、と答えています。
 なぜやりづらくなったのか?今回の田中さんのお話を伺って、実は、その理由こそ、ミッションリーダーの不在だったということに思い至りました。

 東京ランポは、1993年の設立から10年以上が経ち、当初とは活動も環境も変わってきました。しかし、優先的に何に取り組むべきかが再検討されなかったため、2000年に私が入ってから始めたファシリテーターの仕事は、いつも理事会で賛否相半ばする状態でした。
 理事会での議論は大切なことですが、すでに何年も実績をあげ、財政的にも貢献している仕事を、毎度まいど疑問視されては、スタッフはたまりません。ファシリテーターの仕事に取り組むべき、と強く語ってくれる理事がいない状況は、正直辛いものがありました。

 田中さんも言うように、「私たちみんなで決めています」というNPOは、一見すると民主的でよいようで、実は、誰も責任をとらない、リーダーシップを放棄した状態です。
 思えば、ここ数年の東京ランポも、中期計画や事業計画は立てるが、達成できなくても何となく許されてしまう状態でした。

 その東京ランポは、1993年の設立以来の歴史に幕を閉じ、今年10月に他のNPO法人と合併する予定です。きっかけは、財政問題です。もともと生活協同組合から資金的な支援を受けていたのですが、その支援が先細るなか、同じ生協が支援する別のNPO法人と統合されることになったのです。
 ミッションではなく財政事情によるという、決して前向きとは言えない合併は、ミッションリーダーが不在となったNPO法人にとっては、必然の末路だったのでしょうか。

 リーダー論に引きつけて厳しいことを書きましたが、東京ランポの常勤スタッフであった6年半には、本当に感謝していますし、そんな東京ランポを立て直せなかった自分の非力も感じています。
 転じて、現在、私もリーダーの1人として関わることになった、「おおた市民活動推進機構」。間もなく東京都から認証が下り、晴れてNPO法人となる予定です。東京ランポでの経験を、良い面でも悪い面でも活かしていきたいと思っています。
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