なぜか昔のセブンイレブン店長時代を思い出しスイッチがはいってコンビニ論をツイートしまくってました。記念にブログにコピペしておきます。
おでんは基本誰でもおいしく作れるけど、見た目をきれいにしたいなら「油抜き」で勝負がきまる。20種あるけど、キーパーソンは厚揚げ。どす黒くて濁ったおでんをたまに見かけると思うけど、あれの戦犯はほぼ油揚げです。
油抜きで勝負がきまるおでん、綺麗に作り上げたい廣瀬は、おでんをゼロから完成させるまでの工数を100とすると、150くらいは油抜きに時間をかける。厚揚げからこれでもかというくらい油を抜く。心配しなくても、味は変わらないです。
厚揚げの油抜きには、ポットのお湯を使う。下手な従業員は水道水のお湯で5分くらいで油抜きした気になってるけど間違い。ポットのお湯をチンして沸騰させてそれを回しかける、さっと湯に通して熱湯は捨てる。これを5回。
厚揚げの油抜きで熱湯回しかけを5回したら、ボウルを変える。ボウルに油がついてるから。そして「冷水をかける」。水をかけるとまだたっぷり油がこそげ落ちる。この発見はセブンイレブンでも共有されていないしオーナーの奥さんに見せたら超絶テクニックだと絶賛もされた。
徹底的に油抜きしした厚揚げをin to the おでんする。慎重に。すると、油がまったく広がらない!油で揚げたものを80度の鍋につっこむのに全く油が広がらない様は非常にジオグラフィックス的(?)です。こうしてものすごくきれいなつゆを維持できる。
おでんつゆがどす黒くなる理由は、つゆが蒸発するのももちろんあるけど、インスタントつゆに頼ったかつおだしベースだからだ。廣瀬のおでんはマニュアルと違ってこんぶベースのうえ素材の味を引き立てるから、凄くクリアな色で、天井の蛍光灯も反射する。人は「水おでん」と呼んだ
「水おでん」と呼ばれる、クリアで透明感あり天井の蛍光灯も反射するおでんはリピーターも多く評判だった。こんぶベースであることはもちろん、重要な論点は「鍋の中の組み合わせ」に他ならない。
おでん種は2種類にわけられる。味を吸い込む「大根、たまご、厚揚げ、ウインナーまき、ごぼうまき、練り物」系と、味を出す「つみれ、昆布まき、こんにゃく、牛すじ」系。この2種類をうまく配分しひとつの鍋にいれることが、味を引き出すひけつになります。
店員さんがおでんを作るのがうまいか下手か、なべが2個以上展開される冬は簡単に解ります。味をだす種「つみれ、こんにゃく、昆布まき」が片鍋にしかなければ、下手の部類です。
大根の近くにこんにゃく、たまごの近くに昆布まき、全体的につみれを散らし、厚揚げや練り物を適度にデザインする、極意は実はこれだけです。味が絶妙にミックスされながらも相性を引き出しあいます。
透明でクリア、かつおだしの濃い色が適度に熱湯で割られ、完成時には蛍光灯を反射する黄金のスープになる「水おでん」でも、美味しい理由は、こんぶだしをたっぷりとり「つみれ」「こんにゃく」を絶妙な位置に大量投下するからにほかなりません。
隠し味は「牛すじ」です。セブンイレブンのマニュアルでは、油が強烈に出すぎるつくね棒と牛すじは1/6マスの大きさの専用鍋を取り付けてつゆが絶対混ざらないようにするのですが、廣瀬の油抜きによって無害化した牛すじは通常エリアに投入できるので、良いだしをだします。
おでん種は2種に分かれるといったけど、もう2種違う分け方があってカラーリングです。「白系」の大根たまごしらたきはんぺんと、「濃色系」のウインナーまきゴボウ巻き昆布まき厚揚げがんもこんにゃく、など。味を出す・吸うを意識しながら、色も散るようにレイアウトします。
見た目方面でおでんを作り上げる際カラーリングの概念の他、立体感があります。鍋の高さは大根2個を縦にかさねてぴったりだけど、その上に昆布まきを乗せると少し鍋から盛り上がります。この盛り上がりを多数演出することで、夏でも少量のたねでも実に美味しそうに見えるのです。
鍋の底におく上げ底は徹底的に使うべきです。廃棄を減らしながら立体感を実現するために1つのなべに6個仕込みます。ウインナーまきとか沈むのでですが、上げ底のうえに立ててあげると、華やかなウィンナーの「赤」部分も見えて立体感も演出できます。
透明感ある「水おでん」を維持するためにかつおだしをあまり使いませんが、お店の中で香りたつのはかつおだしのほうです。別ポットになるつくね棒にたっぷりかつおだしを仕込み、香り用の戦力として細工します。
つゆ足しが、綺麗なおでんを維持する秘訣です。絶対に沸騰している湯を非常にゆっくり注ぐようにしてください。水道のお湯レベルを勢いよく注げば、完成後1時間でもすぐどす黒くなりはじめます。なぜ温度と勢いで差がでるかは、東大理系の山口氏も「わからない」といってました。
おでんは売れて新しい種をどんどん仕込むほど綺麗なつゆのまま味わいも深くなります。おでんを作るだけではなく、おでん検定1級に近づくためには、積極的に売る技術も求められます。
お客様は皆基本的におでんが食べたいんです。でも店員から買いにくいとか、忙しそうとか、並んじゃってるとか、今日はまずそうとかいろいろな要因が重なり合って買わないだけです。「作れるだけでなく、売れる」廣瀬はおでんマーケティングでさまざまなトライを重ねてきました。
おでんはセルフサービスとこっちで取る両方のシステムを確立しておきます。これだけでも売上3割増加です。
おでんにちらっと目をやったお客様にこう声をかけます。「こちらでお入れしましょうか」同時に容器をすでに用意します。5割の確立でクロージングが締結します。
対面販売とおばちゃまとの綿密なコミュニケーションによるリピーターの確保が欠かせません。レコメンドで一度弁当の売上を奪ってるわけですから、利益の純増は2度目以降の指名買いです。
セブンのなかで商品同士が競合するんじゃなくて、街のラーメン屋じゃなくてセブン、スーパーじゃなくてセブンを選んでもらうために、おでんを使ってダイレクトマーケティングをするのです。おでんは強烈なツールです。
コンビニ店員のユニフォームが汚い原因のひとつはおでんです。ユニフォームの汚れ方で誰がおでんリーダーかわかります。
おでんの購入セットのレコメンドも効果ありました。わかりやすく名付けて商品化、POP広告も貼っておく。ダイエットセットと名付けた大根こんにゃくしらたき(計17キロカロリー)が一番のヒット。
透明感ある水おでんの大敵は意外にもだいこん。入れすぎるとつゆが白く濁るほか、デッドストックがカスとなってゴミがちらかる。
ロールキャベツは売れない&すぐ煮崩れする嫌なネタの代表格だがこれを攻めで仕込むか、守りで1個だけいれとくかというのはそのまま店の発注態度がわかる。売れる店は、前者なのです。
ちくわぶも水おでんにとって大敵。だいこんよりも強烈につゆを濁す。一度さっと洗うと表面のぬめりがとれて濁らなくなります。
一番レイアウトが難しいのが実は「ちくわ」。ぷかぷか浮かぶし、一定の場所に定まらない。
だいこん・たまごというのは一見して双璧をなしているように見えるけども、売上比率でいうと10:5くらいなのです。だいこんの次に人気なのは、実は「しらたき」。
だいこんの上にもち巾着をのせるのはタブーです。というか付近に置くのも絶対だめです。だいこんの成分でもちが溶けてしまうのです。
つゆまで自分で入れるタイプのセルフサービスの場合、どの鍋のつゆが一番おいしいか?つみれが入ってる鍋を選びましょう。こいつのポテンシャルは半端ないです。
鍋をデザインするときに、昆布巻き、もち巾着、はんぺん、つみれが遊びに余裕があるネタたちとして店員のセンスが問われます。適度に散らす、揃える、重ねる、沈める、浮かす、並べる、立てる、他の種とコラボする。ルールを崩すために、ルールをつくるのです。
おでんの反対、レジ側のレシート捨てのところにあえてからしを山盛りにしておきます。異様なまでに山盛りにしておきます。おでんに関心0%だったひとの心にインプレッションが与えられ、0が0.01とかになります。1シーズンに1度は食べたくなってくるものです。
おでん70円セールが売れる理由が安さだと思っていてはおでん検定3級です。「いっぱい売れてる」感、これが決定的な決め手になるのです。いつもは得たいの知れないおでんでも、みんなが買ってるおでんは美味しそうにみえるもの。
アニメで見かけるこんにゃく、ちくわ、練り物を串にさしたやつ、あれをリアルに再現すると色合いが最悪で食欲をそそらなく、また2年に一度くらいセブンでもちょろっと出すんだけどほとんど売れないのです。
おでんというのは数少ないバイト同士のリレーでなりたつ業務。「あいつのシフトの後はおでんが悲惨」はありえる評判。22時ごろにすかすかなおでん鍋を見て夕勤と夜勤の軋轢をおもうこの時間帯のセブンイレブン。そう思うとおでんには理論だけでなく、人間模様も確認できます。
コンビニバイトも別に誰しもが疲弊感にまみれてやってるわけではないわけですね。楽しいほうがいいに決まってるけど仕事だから・・っていう部分もある。従業員の意識改革をするおでんという教育アイテムで、「俺の客」を見つける快感までエスコートできれば最高ですね。
おでんは「こいつだから買うんや」が成り立つコンビニで数少ない商品。だからこそ売上シェアでいえば店の1%を占めればいい程度なんだけどもセブンが力をいれるところ。そして廣瀬もこれが平均日商の圧倒的差だと思うわけです。
冬シーズンにセブンイレブンで一日に販売するおでんのタネ数は、平均的な店で約100個。お客様の数にして25人くらいで売上の7割が夕方〜深夜。透明感が維持される廣瀬式水おでん理論はピーク時間とアイドルタイムの緩急にも対応できる次世代のおでんだったのです。
冬シーズンにセブンイレブンで一日に販売するおでんのタネ数は、平均的な店で約100個だけども、70円均一セールをすると1日400個とかにまで上がる。中野杉並地区の優勝店は1日1000個おでん売ったらしい。
性善説にたつと、コンビニバイトは店の役に立ちたいと思ってるわけで、対面販売となるおでんでコミュニケーションをとるか?とらないか?の壁で、悶々としながら成長し、いつか一歩踏み出して仕事が変わる。おでんは、店員が自らブレイクスルーを果たすための補助にもなるのです。
おでんをお願いします、と言ってからうんうん悩むお客様には提案型販売。「いまたまごが良い感じですよ」。”シフト上がりを待つだけの作業”から”価値を生む仕事”に変わる瞬間。
レギュラーメンバーのほかに毎シーズンたくさん新商品がでるけどそいつらの売上比率は僅かに10%程度、販売数の大半が定番モノによって達成されます。2割の商品が8割の利益をつくる、パレートの法則はおでん鍋のなかにも深い世界をつくっています。
関東で一度おでんみそがが発注できたが、お客様に新しいエクスペリエンスを提供するか、原価高いから辞めるか、というのも、たかがおでんだが経営のDNAが行き渡るところ。「いまだけ」「あなただから」「特別につけてあげる」と価値をつければ口八丁でも次に繋がる。
48時間煮込んでもまったく色も変わらず味もかわらない最強の具材が、しらたきです。