CANPAN・NPOフォーラム
「一日限りのサマースクール」〜ヒゲとソーシャル〜
時 間:2012年8月17日(金)14:00〜21:00
場 所:日本財団ビル
対象者:NPO、ボランティア、プロボノ、中間支援組織関係者など
【公式報告目次】
https://blog.canpan.info/cpforum/archive/46報告その1
https://blog.canpan.info/cpforum/archive/43報告その2※この記事です。
https://blog.canpan.info/cpforum/archive/44報告その3
https://blog.canpan.info/cpforum/archive/4517:00〜18:10
C-1 独白、3年半、ネットの寄付/会費決済を支援して思ったこと。
講師:高島友和(日本財団経営支援グループ事業企画室 室長)ANPANネット決済(ペイメント+、メンバーズ)、スタートして3年半が経ちます。
これまでご支援した約200団体の中には、1,000万円以上の寄付をネットで募る団体もあれば、ほとんど稼働せず途中で利用をやめる団体も。
稼働実績を眺めると、”寄付者の想いが伝わる力”、”熱い心、受け入れる力”、”行動に移すスピード感”がネット決済にはありました。ネットの特徴は使い方次第で、メリットにも、デメリットにもなるようです。3年半、ご支援した中で、感じたこと、思ったこと、サマースクールでお話します。
プレゼン資料
講義のまとめ報告(日本財団CANPAN神谷)
★本日のセミナーでの統計
ホームページを持っている団体:8割
ホームページに募金箱を設置している団体:2割
→まだまだネット募金をしている団体は少ない。
@CANPANクレジット決済システムの立ち上げ
・4年前、CANPANウェブサイトに、CANPAN活動応援サイクルの「応援する人→活動者」の部分はなかった。それを踏めるために高島はCANPANプロジェクトに参加し、構築にあたった。
・公益分野でインターネット寄付をするために、CANPANにクレジット決済機能を作れないか検討した。しかし、当時はクレジット業界における「寄付」の取り扱いが難しかった。(普通の商品であれば、クレジット決済をすれば、ものが購入できる。返品すれば、クレジット決済額が帰ってくるという単純な仕組み。ものがないクレジット決済には上記が当てはまらず、課題が多かった。)。
→交渉の結果、VISA、Masterについてライフカードと提携が可能に。JCBは現在交渉中。
・クレジットカードの場合、寄付者が、寄付の手続きを取ってから、実際の寄付の公益団体への入金のタイミングは約20日かかる。
・CANPANクレジット決済サービスは、楽天と同じように、システムの中に、各サイトがあるイメージ。
→上記のコンセプトでシステム完成
A決済システムの稼働
・完成した決済システムをCANPANブログ大賞団体のチャイルド・ケモ・ハウスに使っていただき、クリスマスキャンペーンX’mas Gift for Cancer Children 2008を実施→10日間で約70万円のネット寄付
・各地域の中間支援組織、地域公益ポータルプロジェクト参加団体を通じてのサービスを案内。一月、3団体平均の申込あり。
・2009年にチャリティライドキャンペーンを実施した団体→キャンペーンチラシ、メディア掲載、ホームページ告知などの相乗効果で130件、約100まねんの寄付を集めた
・2010年 行列のできる法律相談所に出演した団体→800件、550万円の寄付取得。
・2011年利用の団体は、毎月コンスタントに50〜100万円の寄付が決済された。
★ゴールが明確なプロジェクトを設定する団体やメディアに取り上げられた団体ほどネット寄付を使いこなしている。
B継続課金システムの導入
・継続課金システムを2010年2月にスタート(クレジット情報を一度入力すれば、次回以降の決済は自動的に行われる)。→年会費やマンスリーサポーター用の月次課金。
・支援者の会員更新作業や、更新連絡作業などの付加が軽減。
・一度会員になったらなかなか退会しない(退会率1パーセント)。
・組織基盤を安定化させるには、継続課金を増やす必要がある。
C東日本大震災とクレジット決済システム
・東日本大震災の直後から、被災地を思うメッセージと寄付が多く集まった。
・想定以上のアクセスが起き、トラフィックが多いために、2重決済などが起きた。これは短時間での決済送信ボタンダブルクリックによる。(解決済み)。
・上記のトラブルを踏まえ、よりトラフィックに対して強化されたシステムに改善。
Dシステムの改善と有料化
・2011年10月にシステム改善を行い、都度寄付のみのサービスCANPAN PaymentをCANPAN Payment+に変更。管理が面を使っての寄付者情報の確認や名簿のダウンロード、品目の追加が可能になった。
・有料化により、サービス利用を中止した団体もいた一方、本格的な寄付募集を始めた団体も出てきた。
・固定費としては、ベーシックプラン1000円と継続課金プランは4000円。それ以外に5パーセントの手数料とトランズアクション料の10円がかかる。
・新サービスを機に、認定NPOを目指す団体もいる。
Eネット寄付の気づき
・伝わる力(寄付者→潜在寄付者)
・スピード感(企画、即寄付募集)
・熱い心、受け入れ力(ある出来事→検索→寄付)
・じわっと仕組み力(継続的な支援活動)
C-2 IFacebook初心者のための「今日から"イイネ"を2倍にするFacebook講座」
講師:清輔夏輝さんチャリティーサンタ代表 (IT企業勤務)日本のFacebookユーザーは1,000万人を超え、月に100万人ペースで増加中。(世界のユーザー数は約9億人)
まさに、一人ひとりがメディアになれる時代。
ただ残念なことに、多くの人が「何となくはじめて、何となく使っている」ような状態です。
そこで、誰にでもできる「イイネ・シェアを何倍にもアップさせる、4つのポイント」を実際にPCやスマホで投稿しながら、楽しく解説します。
※当日は実際にFacebookを使用したいと思っていますので、アカウントをお持ちでない方は、ご準備ください。また、参加者同士も交流できるようにしたいと考えています。
ツイッター中継(日本財団CANPAN 関)
http://togetter.com/li/357522C-3 NPOスタッフの最新“就職・採用事情”
講師:小堀悠さん((特活)NPOサポートセンター・事務局長代行)ここ数年、スタッフを積極的に採用するNPO・NGO団体や就職・転職の希望者が増加し、注目を集め始めています。
本セッションでは、NPOサポートセンターが2010年度から展開するNPOへの就職・転職を目指す研修プログラム「NPOスタッフ養成研修」、国内最大のNPO合同就職・転職説明会「NPOキャリアフォーラム」などの事業をご紹介します。これらの事業の中で、個別に相談やサポートしたNPOへの就職・転職希望者約500人から見えてきた傾向や、最近の求人情報の分析結果などもあわせてお話しします。
また、NPOがスタッフ採用や育成に活用できる助成金や支援サービスなどもご紹介します。
プレゼン資料
講義のまとめ報告(日本財団CANPAN橋本)
1.NPOの就職・採用環境の状況
2010年に行われた東京しごと財団の調査によると、NPO職員に対する福利厚生は雇用保険、健康保険など、少しずつ充実してきています。給与は5年前と比較するとかなり向上しており、月給25万円以上の団体もできています。年間1,000万円以上だと常勤の事務局スタッフを一人置いていり。事業規模の大きい団体では職員の間で2倍以上の差があり、経験や責任によって賃金に幅があることがわかります。応募するときには団体の大小で決めるのではなくて、団体でお金を出すのではなく、自分自身で給料を稼ぎ出す、という気持ちも大事かも知れません。
2.NPOサポートセンターでの就職、転職への支援
(1)NPOスタッフ養成研修
NPOへの就職・転職などを支援する研修です。一番大切にしているのが、応募者が
・職員で関わるのが良いのか
・ボランティアで関わるのが良いのか
・プロボノとして関わるのが良いのか
この研修を通じて整理してもらうことです。転職しては見たものの、想像としてのギャップでのミスマッチも防ぐことができます。研修のプロセスの中で、「やはり自分は仕事としてではなく、プロボノとして団体と関わろう。」というように、理解を深めたうえで考えを変えられる参加者もいます。
(2)NPO/NGO合同就職・転職説明会「キャリアフォーラム東京」
最近、NPOで説明会を実施する団体が増えてきています。説明会を行うことは、このフォーラムに限らず採用を担当する職員にとっても、自分達の活動を他の人に説明する、とても重要な機会だと思います。その他にも、NPOで働きたい方へ向けた参考書の制作も行っています。
3.最近の採用活動の特徴
最近ではソーシャルメディアを活用した採用活動も出てきています。例えばある団体では、団体代表のブログやfacebookにアクセスした人、つまり団体に興味を持った人のみを対象にして採用活動を行う、という事例もあります。また、採用側はツイッターなどで応募者のことを知ることもできるので、ソーシャルメディアへの書き込みなども注意する必要があるかも知れません。
4.雇用関連助成制度について
厚労省から出ているものや、労働局から出ているものなどに制度がたくさんあります。ただ震災後は被災者の方への支援が多く、NPO向けのものが少なくはなっていますが、
@新規の雇用
A雇用環境の改善
Bスタッフの能力開発
C非正規スタッフの待遇改善
などの分野で助成金制度があります。制度自体が知られていないものも多いので、一度調べてみると、活用できるものがあるかも知れません。
(2)夜の部
18:30〜19:40
D-1 ファンドレイジングを最大化するEメール・マーケティングの極意とは!?
講師:長浜洋二さん(NPOマーケティング研究所 代表)日々の生活になくてはならないコミュニケーション・ツールである『Eメール』。NPOにおける広報手段として、チラシの活用やプレスリリース配信が一般的ですが、インターネット普及に伴うメールアドレス保有者数の拡大、低コスト、スピードなど、効果・効率の観点から、更なるEメールの活用拡大が不可欠です。
本セッションでは、Eメールの効果改善によるNPOのマーケティング力UPについて、具体的な事例を交えてご紹介します。
プレゼン資料
講義の報告まとめ(日本財団CANPAN 橋本)
1.さまざまなコミュニケーション・メディア
5つのコミュニケーション・メディア
・広告
・プロモーション
・人的活動(営業)
・広報・パブリシティ
・口コミを長所・短所を考慮しながら最適な組み合わせを実施するのが大切です。中でもNPOとして取組みやすいのが「広告」や「口コミ」です。大事なのはメディアの全体像を理解したうえで、自分達に最適なメディアを選択することです。
2.メールマガジンの活用
・メールマガジンは、メディアとして「費用負担」が少なく、「顧客への到達度・理解度」が高いものです。また、団体への支援者の中で、比較的まだ関心が薄い方に対しての有効なメディアだと言えるかもしれません。
・支援者へのリーチ・コスト・スピード・タイミング・カスタマイズの要素から見てもメールマガジンは有効だといえます。ソーシャルメディアとメールマガジンのミックスを考えるのが大切です。
・成功の要因としては、
基本方針(40%)配信方法(30%)、クリエイティブ(30%、デザインや件名、人を引き付ける内容、見やすさなど)の3つの要因で成功するかの要因を分析することができます。
3.長浜さんが理事を務めるシャンティの事例紹介
まずは競合他社の動向を調査したうえで、
クリエイティブの改善を
@メールの件名が開封率の全て!
メールボックスには件名を表示するスペースが必ずあります。重要情報が一目でわ かるように、30〜35文字を目安に訴求する件名を考えることが重要です。
Aメールのヘッダーはシンプルに!
ヘッダーは件名を見た人がメールを開けた時に、にシンプルに
B目次への一工夫でクリック数アップ!
最初に目次・インデックスを箇条書き、詳しいページに飛べるように設定することで、URLへ誘導することもできます。
C表記ユレを統一してストレス・フリー!
Dランディング・ページの絞り込みで誘導を強化!
メルマガから飛ぶサイト
4.効果測定の大事さ
イベント開催・寄付のお願い・ボランティア募集などメールマガジンでお知らせすることは多岐に及びますが、どの記事でクリック率が高かったのか、読者の興味はどこにあるのかを分析して改善していくということがとても大事です。今はGoogle Analyticsなどのツールを活用して分析することができます。
5.配信タイミングの最適化
曜日別のアクセス状況を測定したり、競合団体の配信日との兼ね合いを考えたり、時間帯はいつが一番良いのかなどを分析して改善を図る必要があります。このようにシャンティでは様々な要因を踏まえてメールマガジンの改善を図り続けています。
6.まとめ
NPOにとってのマーケティング4つのCの中のメールマガジンというメディアについて話した。活用拡大の上で
@読ませる仕掛けづくり
連載を書いて続けて読んでもらうことなどがあります
Aコンタクト機会(配信回数)の拡大
顧客との接点を少しでも増やして興味を持ってもらうということです。
B支援の深さに応じた、育てる仕掛けの導入
C自分の団体での独自配信による支援者情報の収集
Dチラシ等、他のコミュニケーションツールへの活用
E他団体とのメルマガ・バーター配信の検討
例えば他団体と協力して新たな支援者にリーチすることも考えられます。
F 広告枠の設置による広告収入の獲得
が大切です。ただ、メルマガは一つのツールに過ぎず、チラシ、プレスリリースなどを組み合わせながらプランを作って後から振り返って改善していく必要があるでしょう。
講義のまとめ報告A(日本財団CANPAN神谷)
★NPOのマーケティングプロセス
課題認識→現状分析→ターゲット設定→施策立案→施策実行、改善
★支援者へのマーケティングの4C
@ 支援者にとっての価値(Customer Value)
A 支援者とのコミュニケーション(Communication)
B 支援者の負担(Cost to the Customer)
C 支援のタイミング、場所、利便性(Convenience)
★コミュニケーションミックス
顧客に情報を伝えていく手段は5つのメディアに大別される。長所、短所を考慮しながら最適な組み合わせを実施する。
・広告 ・プロモーション ・人的活動(営業) ・広報パブリシティ ・口コミ
★広告と広報の違い
両者の違いを踏まえながら活動することが必要。
★メールマガジンの特徴
・リーチ(メールアドレス所有率の高さ)
・低コスト(配信件数が増えてもコストは増えない)
・スピード(臨機応変の情報発信)
・タイミング(団体側の都合に合わせて配信可能)
・カスタマイズ(ターゲットごとに内容をカスタマイズ可能)
★メールマガジン成功の要因分析
・基本方針40%(目的、成果の明確化など)
・配信方法30%(配信頻度、日時など)
・クリエイティブ30%(件名や、分量、改行等)
上記のポイントにおいて、競合との比較が必要。
メールだけで勝負しようとはしない。ポイントのみを示し、ホームページに誘導することが必要。
★クリエイティブの改善
・メールの件名が開封率UPにつながる(件名の左から伝えたい情報を書くようにする。配信するごとに伝えたい内容が一目でわかるように)。文字数は30~35文字が目安。
・メールのヘッダーはシンプルにする。(見出しは件名と同じにし、伝えたい情報を強化する)。
・目次を工夫する(ホームページURLの追加、シンプル化など)
・表記ゆれを統一する。(違う表現をしない)。
・ランディングページを絞り込み、PDFを選び先にしない
★メールは少しの工夫でマーケット効果を増やすことができる。
日々分析を行い、工夫してみることが重要。
D-2 Tumblrで情報発信しようワークショップ
講師:高橋佳代子さん※ヒゲ好き女子代表(楽天株式会社 CSR推進課)アメリカでは国務省をはじめ官公庁も正式導入しているTumblr。
TIMEや News Week はたまた、Kate SpadeやGUCCI、Lady GAGAなど多くの企業、個人、ブランドがTumblrを使って発信しています。見た目にCoolなブログが簡単に作れるだけでなく、SNSとの連携、リアルタイム発信仲間の声を集めたキュレーションなどその活用は幅広く・深いです。
当日は、活用事例をお話しつつ、実際の設定から発信までをナビゲートさせていただきます、ぜひ、PCをお持ちくださいませ。
プレゼン資料
報告その3に続く