7月のCANPAN・NPOフォーラム、助成プログラムをテーマに開催しました。
雨にも関わらず、出演者も含めて160名の方にご参加いただきました!
今回は早々と定員になってしまい、その後も参加希望のご連絡をいただきましたが、かなりの人数の方をお断りしてしまいました。
でも、多くのみなさまに情報提供をしたいと思いますので、紹介出来る限りのプレゼン資料をご紹介いたします。
また、学生ボランティアの谷口友介さんのまとめの報告をもとに、フォーラム内容をご紹介いたします。
(基礎編講座の会場風景)
CANPAN・NPOフォーラム
「助成プログラムを知る」
〜3ヶ月前から準備を開始する助成金申請!〜
日 時:2012年7月21日(土)13:30〜17:00(開場13:00)
場 所:日本財団ビル会議室
対象者:NPO、ボランティア、プロボノ、中間支援組織関係者
主 催:日本財団CANPANプロジェクト/セミナー3.0プロジェクト
(セブン‐イレブン記念財団野崎さんのプレゼン風景)
スケジュール
13:30
(1)基礎編:助成プログラムを理解する
〜助成制度にはどのような種類があるのか?〜
〜CANPAN助成制度データベースのご紹介〜
「助成プログラムを理解する」
助成金に対しては、(1)「よい活動をしていれば助成金はもらえる」、(2)「助成金があれば自分達の活動は安泰だ」、(3)「不採択になったのは運やコネが無かった」、といった誤解がある。
助成を受けるNPOだけでなく、助成財団も目的(ミッション)を持っている。助成金は目的を達成するための投資であって、助成財団の目的に合わない事業で応募しても、助成金はもらえない。
助成を申請する前に、しっかりと事前の情報収集を行って、助成財団の目的と助成プログラムの理解に努めること、それでもわからない点は事前に相談することが大切。
また、単に「よい活動をしている」ことではなく、誰にとって・どういう成果があるのかを、具体的に伝えるとよい。助成金の特徴として、自由度と金額は高いが、調達可能性と安定性は低い。
また、単年度の事業助成が多い。そのため、助成金は団体の活動を充実・拡大していくための「きっかけ」として活用するのがよい。発展途上の団体が大規模の助成を獲得すると、その後の運用や、助成団体とのやり取りで苦労する。適切な時期に、適切な規模・内容の助成プログラムに申請することが必要。
助成金は獲得したら終わりではない。助成期間中は、どのような事業を実施して、どのような成果を上げたかを積極的に情報発信していくこと、助成期間後は、助成団体とこまめに情報交換をすることが肝心。一度築いたご縁を大切に。
「CANPAN助成制度データベースのご紹介」
現在、CANPANは公益事業を行うNPO等に対象を絞った助成制度情報を提供している。
200近い助成制度をパッと俯瞰したいときに、CANPANデータベースが活用できる。
【プレゼン資料】
(2)参加助成機関によるショートプレゼン(5団体×10分)
・福祉医療機構
・セブン-イレブン記念財団
・パナソニック
・日本財団
・READYFOR?
(パナソニック金村さんのプレゼン風景)
独立行政法人福祉医療機構(WAM)WAMはWelfare And Medical Service Agencyの略で、福祉の増進と医療の普及向上を目的とする団体。福祉分野において最大規模の助成を行っており、助成にはオーソドックスなものから先駆的なものまで揃っている。
分科会で紹介する「社会福祉振興助成事業(WAM助成)」の他にも、さまざまな事業を行っている。WAMの支援スキーム全体に関しては、福祉・医療に関する多様な事業を一体的・総合的に実施することで、相乗効果を生み出している点に、「社会福祉振興助成事業」に関しては、事業評価を通じて得られた成果のフィードバックに特長がある。
それまで助成事業は国庫による基金を運用した利益で賄っていたが、事業仕分けによって基金を国庫に全額返納することとなり、財源は基金運用益から国からの補助金へと転換、助成金額は減少しつつある。平成23年度の助成金額はおよそ21億円。
【プレゼン資料】
一般財団法人セブン‐イレブン記念財団環境分野有数の助成財団。
1993年にセブンイレブンの店頭募金箱に寄せられた募金を主たる財源とする任意団体「みどりの基金」が設立され、2010年に同基金が一般財団法人「セブン-イレブン記念財団」へと移行。環境をテーマにした様々な社会貢献活動を行っている。
分科会で紹介するのは、地球温暖化防止事業における「環境市民活動助成」と、地域活動支援事業における「地域美化活動助成」からなる公募助成。公募助成の対象となるのは、法人格を持たない市民活動組織を含む、国内の環境市民団体。
「お客様の募金が大部分を占めている。お客様は、募金をすることにより、市民活動団体を支援されている」とのこと。
【プレゼン資料】
パナソニック株式会社Panasonic NPOサポートファンドは、NPOのキャパシティビルディングを支援する基金。
市民活動組織とその事業を貨物船に例えると、組織は船に、事業は積荷に当たる。
キャパシティビルディングとは、積み荷(事業)に目を向けるのではなく、それを載せる船(組織)の積載量をチェックし、増大させるプログラムのこと。キャパシティビルディングは、人材育成・財政基盤強化・マネジメント力強化の3つからなる。
それまでNPOサポートファンドはキャパシティビルディングにのみ助成を行っていたが、2011年に助成システムを見直し、組織診断助成⇒キャパシティビルディング助成の二段階で助成を行うようになった。
組織の課題を深堀することは、当事者だけでは難しい。組織診断助成のねらいは、第三者の客観的な視点・多様な視点を取り入れることにより、的確に団体の運営課題を抽出し、制度の高いキャパシティビルディング事業を実現することである。
組織診断助成の対象となるのは、(1)環境分野または子ども分野の活動取り組んでいる(2)団体設立3年以上(3)有給常勤スタッフ1名以上(4)直近3ヶ年の会計年度の経常収入平均が1,000万以上(5)日本国内に事務局がある、これら5つの条件をすべて満たすNPO・NGOに限られる。
(3)〜(4)によって対象が大規模かつ専業スタッフのいる団体に限定されているのは、本業に加えて新たに基盤強化プログラムに取り組むためには体力が要るからだ。「自分たちの組織は泥船ではないかと危惧している人は、ぜひ応募してほしい」とのこと。
【プレゼン資料】
日本財団日本財団は、1962年設立の民間助成財団で、2011年に財団法人日本船舶振興会から公益財団法人日本財団に移行した。ボートレース(競艇)の売上金のうち2.5%(2012年度は220億円)と、一般・企業からの寄付金をもとに活動を行っている。
以前は助成金による公益団体支援が中心だったが、最近ではそれに加えて「CANPANによる公益団体の情報発信支援」、「民が民を支える社会のための寄付文化醸成」「CSRの推進」といった活動にも取り組んでいる。
助成事業のフローにおいて、審査を経て助成団体を決定した後に、情報発信と助成金の使途に関する助成契約を締結すること、事業完了後、成果物の公開を求めることに特徴がある。
2012年度の助成実績は、海洋関係事業に69億円、公益・ボランティア事業(国内すべての公益事業が対象)に33億円。
「申請したら通るのか」とよく訊かれるが、8-9ページに記載されている重点項目に合致しているかどうかが大きく影響する。「助成を受けたい人は、重点項目を確認したうえで、担当に連絡・相談してほしい」とのこと。
【プレゼン資料】
READYFOR? READYFOR?は、「実行者」(何らかのアクションを起こしたい人)を支援する、日本初のクラウドファンディング。クラウドファンディングとは、情報発信を通じて大勢の人からの共感を得て、少しずつ寄付をしてもらう取り組みのこと。
READYFOR?では、「実行者」を募り、プロジェクトページの作成を支援している。プロジェクトページでは、「実行者」がアイデアをプレゼンテーションして寄付を募り、募集期間内の目標金額到達を目指す。
これまでに9,000人が参加、5,500万円の寄付を集めている。READYFOR?の活動のねらいは、アクションする人が、評価されるような日本にすること、社会を少しでも良くしたいと考えるアクションが多くの人に支えられる仕組みを創ることにある。
まだ不安な方は、8月1日にREADYFOR?を通じて100万円以上のファンドレイジングに成功した団体の代表4名を招いて説明会を開催するため、ぜひ参加してほしい。
※説明会の詳細
http://www.facebook.com/events/417019565016920/【プレゼン資料】
15:20 分科会(前半)
セッション1:福祉医療機構「社会福祉振興助成事業」【福祉】
http://hp.wam.go.jp/guide/jyosei/tabid/176/Default.aspx セッション2:セブン-イレブン記念財団「公募助成」【環境】
http://www.7midori.org/セッション3:READYFOR?(クラウドファンディング)【分野:オールジャンル】
https://readyfor.jp/Readyfor?は「購入型」、「All or Nothing 型」という二つの特徴を持つ。
「購入型」とは、プロジェクト成立時に、支援者がサービスの引換券を受け取ることができるシステムのこと。例えば、陸前高田市の図書室に本を寄贈するプロジェクト(
https://readyfor.jp/projects/an_empty_library)では、3,000円の支援者にステッカーの引換券を、10,000 円の支援者に支援者の好きな本を1冊、名前入りで図書室に寄贈するサービスの引換券を発行した。「購入型」は、体裁上は支援者が引換券を購入するeコマース(電子商取引)である。
「All or Nothing 型」とは、募集期間内に目標額が集まった場合、プロジェクトが始動するが、募集期間内に目標額が集まらなかった場合は集まった支援金が全額返金されるシステムのこと。「All or Nothing 型」を採る理由は、少額の寄付ではプロジェクトの遂行が不可能なため、受け取っても結局無駄になるからだ。さらに、「All or Nothing 型」には支援金を集めやすくする効果もある。募集期間終盤に至っても目標金額に達していない場合、プロジェクトを成立させるために多くの人が一挙に支援を寄せるからだ。
プロジェクトを始めるまでの流れは、(1)申込み→(2)審査→(3)プロジェクト公開となっている。審査の際には、必ず「この活動は誰のためのものか」を訊ねる。「自分たちはいいことをやっている」という自己満足にとどまっているプロジェクトは、審査を通過しない。「このプロジェクトを通じて社会がこう変わる」と、論理的に説明できることが求められる。審査通過からプロジェクト公開までに、10日〜3週間程度かかる。
単発のイベントよりも、形の残るプロジェクトのほうが適している。イベントの場合、支援者にはイベントのチケットを渡すことになるが、支援者の都合がつかなかった場合、イベントに参加することができずに終わってしまう。一方、先の陸前高田市の図書室には、週に一度の頻度で支援者が訪れているという。図書室や学校のように、直接その場所を訪れ、自分の支援の成果を確かめられるプロジェクトは、Readyfor?のクラウドファウンディングに適している
セッション4:申請書の書き方講座
※セッション4・8は全く同じものを実施します)
16:15 分科会(後半)
セッション5:パナソニック「Panasonic NPOサポート ファンド」【環境・子ども】
http://panasonic.co.jp/citizenship/pnsf/npo_summary.html#pro_003キャパシティビルディングプログラムの特徴として、中間支援NPOと協働での企画開発・運営が挙げられる。何年もプログラムを行っていれば単独での実施も可能になるが、それだとひとりよがりになる。現場を知っている中間支援NPOとの協働によって、現場に即した効果的な助成プログラムの提供が可能になっている。
2000年の設立時には、NPOが毎年の活動資金を助成金で調達する→活動規模が拡大する→助成金への依存度が高まると同時に、助成金管理の手間(報告書など)が増大する→組織の疲弊という負のスパイラルを課題として認識していた。負のスパイラルの克服、NPOの持続可能な発展に向け、キャパシティビルディング支援を行うPanasonic NPOサポートファンドが設立された。
キャパシティビルディングの障害物として、リソース(時間・人・物)の不足、リソースに余裕が出来た場合、それが戦略や長期的サービスよりも、直接的ないしは緊急のサービスに割かれること、マネジメントの専門的な知識がないことが挙げられるが、キャパシティビルディングを通じて、過去の助成先の97.6%は組織基盤の強化、70%は事業成果の改善・向上といった効果を実感している。
キャパシティビルディングは役に立つ。自分たちの団体にあった取り組み方で、ぜひキャパシティビルディングに取り組んでみてほしい。
セッション6:日本財団「助成事業(通常募集)」
http://www.nippon-foundation.or.jp/kyotu_site/zyoseikin/g_bosyu_tujou.html※助成金の募集要項です。
セッション7:さらに助成プログラムを知る講座
セッション8:申請書の書き方講座
(セッション4・8は全く同じものを実施します)
<分科会について>
セッション1〜3、5、6は、助成機関等による、45分間の個別制度説明会になります。第1部のショートプレゼンよりさらに詳しい説明を行います。
セッション4・8「申請書の書き方講座」は、特定の助成制度に関するものではなく、助成金申請全般に関する普遍的な申請書の書き方のコツとヒントをお伝えする講座です。
何度か助成金申請にチャレンジしたことのある方におススメです。
なお、参加希望の人気が高ったため、ワークショップを割愛し、同じものを2回実施いたします。
セッション7「 さらに助成プログラムを知る講座 」は、CANPANの助成制度データベースに掲載予定のおよそ200の助成制度から見えてきた、助成制度の「分布」をご紹介いたします。
助成申請初心者の方におススメです。
日本財団CANPAN 山田泰久